2009年「ひふの日」記念 市民公開講座
皮膚科医と考える 美しい肌のためのスキンケアと最新治療
〜365日、調子のいい肌のために〜

皮膚の日市民公開講座 レポート

11月12日は“いいひふ”で「皮膚の日」。日本臨床皮膚科医会・日本皮膚科学会により制定され、毎年前後1ヶ月は全国で皮膚科医による講演会、セミナー等が開催されます。去る10月18日(日)、秋晴れの中、東京(品川)で市民公開講座が開催されました。当日は、開場前から人の列ができ、講演会会場は参加者で満席となりました。

   
   
皮膚科医による相談会

日頃なかなか聞く機会がない、皮膚に関する素朴な疑問や質問、悩みを相談できる「皮膚科医による相談会」も今年で2回目。市民公開講座にご応募いただいた方の中から、抽選で約30名様をご招待させていただきました。ひとりひとり仕切られたブースで、皮膚科医に、日頃の皮膚に関する悩みを相談。みなさま、じっくり先生方とお話しされているご様子でした。

   
   
スキンケアミニレクチャー

皮膚の洗浄や保湿をする際は、そのお手入れ方法も大切なポイント。講演前に行われたスキンケアミニレクチャーでは、ご家庭で気をつけたい、ボディケア・フェイスケア・ハンドケアのお手入れ方法について実演。ご来場者の皆さんもローションやハンドクリームを手にとり、一緒に実践されていました。

   
   
   

「皮膚の日について」
日本臨床皮膚科医会会長・浦安皮膚科院長 加藤 友衛 先生

   

「皮膚の日」は、皮膚の健康と皮膚病について、正しく知ってもらうために制定されました。この市民公開講座は、東京で毎年開催されており、今年で8年目となります。

まず、皆さんには、皮膚は単純な一枚の皮でなく、敏感な生き物とご理解いただきたいと思います。皮膚の最下層にある基底細胞は、分裂を繰り返して、天然保湿因子やセラミドなどを作りながら成長し、最後には角層とよばれる細胞の層を形成します。体内の水分蒸散を抑えたり、ほこりや細菌など外部からの刺激を防いでくれる、皮膚の「バリア機能」には、この角層と皮脂膜、角質細胞間脂質などが重要な役割を担っています。

よく、お風呂で肌をゴシゴシ洗う方がいらっしゃいますが、これは決してよいことではありません。お風呂で激しく皮膚をこすってしまうと、このバリア機能が崩れて、肌が荒れる原因にもなるためです。この他にも、みなさまのお役に立つ話を、今回ご講演いただく先生方から色々と聞けると思います。ぜひ日常の皮膚ケアの参考にして下さい。

   
 
   

「健康で美しい皮膚を保つためのスキンケア」
順天堂大学浦安病院 皮膚科 教授 須賀 康先生

   
 
   

秋は皮膚トラブルが多くなる季節ですが、スキンケアの基本は「乾燥ケア」と「紫外線ケア」にあります。皮膚は外界からからだを守る、大切な城壁のようなものです。昔から守りに優れた城壁というものは、ある種の美しさを有していました。では、美しい肌とは何かというと、子供のおしりのようなキメ・ツヤ・ハリのある若々しい肌です。この美肌だったものが、年齢を重ねるごとに乾燥してくすみ、キメも荒く不均一になっていきます。また紫外線を浴びて、メラニン色素が沈着し、くすみを生じたりします。

では、どうすれば若々しい肌をキープできるのでしょう?
肌が若さを保つ一番の方法は、肌を保湿することです。そこで乾燥ケアが大事になってきます。まず、洗顔・入浴後は、5分以内に保湿剤を塗ることが鉄則です。余分な水分をタオルで拭き取り、肌に水分が残っているうちに保湿クリームなどで角層の中に水分を閉じ込めてしまいましょう。この際、水分蒸発を防ぐ皮脂膜の代わりになるワセリンや、角層内での水分保持機能を補ってくれるセラミドなどを配合したクリームを使用すると効果的です。

次に大切なのが、紫外線に対するサンケアです。紫外線を浴びすぎるとシミ(日光黒子)やシワだけでなく、皮膚がんの原因にもなりえますので、適切な防御とスキンケアを行う必要があります。日傘・帽子などによる予防、紫外線防止剤の使用、紫外線を浴びた後の対策が、美肌を守る三大原則です。特に紫外線防止剤は用途に合わせた使い方が大切です。紫外線の中でもUVBによる、炎症から皮膚を守るための目安となるSPFと、UVAにより、肌が黒くなる、シワができやすくなる事から皮膚を守る目安のPAがあります。これらは数値の大きいものを使用すれば良いという訳ではありません。日常生活ではSPF20、PA++程度のもので充分です。また、もし日焼けをしてしまった場合は、すぐに冷やすことで皮膚の受けたダメージを最小限に食い止めることができます。

まとめとなりますが、美肌を守るポイントは肌の潤いを保つこと。そして、紫外線刺激から肌を守ること。この二本柱が基本です。この他にも禁煙をするなどいくつかの方法がありますが、これらはあくまでも二本柱がしっかり守られてこそなのです。しっかりとした保湿と紫外線防止で美肌を保ちましょう。

   

「皮膚科でできるシミ・シワの最新治療」
近畿大学医学部皮膚科 教授 川田 暁先生

   
 
   

始めに、シミ・シワの原因には、「老化」と「光老化」があることを認識いただきたいと思います。「老化」は加齢によって生じてくる現象で、重力なども関係してくるので、ある程度はいたしかたないものです。「光老化」は、紫外線に多くさらされることによって生じる現象で、顔・手の甲などに深いシワ、シミ、などとして現れてきます。シミの種類としては、日光黒子、雀卵斑などよく見受けられるものから、肝班、太田母斑や悪性黒色腫など、皮膚科専門医でないと識別がしにくいものも多々あります。同じようにシワにも様々な種類が存在し、額・眉間・目尻・背中など、シワの深さと大きさによって分類されています。

このようにシミやシワには様々な種類があり、もちろん種類によって治療法も異なるため、まずは皮膚科医による正しい診断を受ける必要があります。そのためにもシミ・シワの問題はまず、皮膚科専門医に相談して下さい。

次に治療方法についての説明です。レーザー治療は、雀卵斑 (そばかす) 、日光黒子、光線性花弁性色素斑、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青などに有効です。ただ、必ずしも100%治るとは言い切れず、やはり個人差が存在します。次にレーザー以外の光を当てるIPLですが、これはすぐに化粧ができるのが特長です。シミやシワ、赤ら顔などに有効で、お肌が若返ると言われています。次に、塗り薬(ハイドロキノン)・内服薬(トラネキサム酸)です。これはメラニンを作る酵素チロシナーゼの働きを抑えて、シミを薄くしようとする時に用いられます。効果はレーザーに比べれば弱いですが、代わりに副作用も少ないのが特徴です。特にハイドロキノンなどは肝斑に大変効果があるといわれています。一方、化粧品ですが、最近ではビタミンC誘導体、カモミラETなどの美白有効成分が入ったものがありますので、毎日のお手入れの中では化粧品を活用することも良いでしょう。

また、シワの治療にもレーザーを使用しますが、安全面を考慮すると化粧品を使用するのも良いでしょう。特にセラミドの入った保湿剤などは、小ジワに高い効果が期待できます。

   
総合討論
   
 
   

Q皮膚の調子と女性ホルモンは関係あるでしょうか?

   
 
   

須賀先生

あります。生理前後に発症する月経疹などが代表的です。性ホルモンのバランスの乱れは皮膚にも影響し、場合によっては紅斑や色々な疾患を発症することがあります。また、加齢による性ホルモンの衰えで、肌が乾燥しやすくなる場合もあり、やはりスキンケアが大切になります。
   

Q皮膚を強くすることはできますか?

   
 
   

加藤先生

できません。逆に弱くしないことが大切です。皮膚は、角質細胞とその間にあるセラミドなどの細胞間脂質、表面の皮脂膜の三要素で守られているのですが、これらを失わないように気をつけたいものです。皮膚を守るためには、バリア機能をしっかり保つことが最も大切です。
   

Q乾燥肌で毎年冬になると肌荒れをします。スキンケアのコツを教えて下さい。

   
 
   

川田先生
部屋で加湿器を使う、肌をあまり露出しないなど、生活環境にも気をつけて下さい。次に、身体を洗う洗浄料は低刺激性のものや、保湿成分の入ったものを使うことが大切です。最後は、やはり保湿のスキンケア品を使うことです。皮膚科で保湿剤の処方を受けたり、セラミドなど、肌の保水機能を補う成分が配合されたスキンケア製品を購入するなどして、絶えず保湿を心がけることが大事です。

   

Qメイクを落とすためのクレンジングはどのようにすればよいですか?

   
 
   

小林先生
洗顔は、1日1、2回程度で十分です。メイクをした時や、サンスクリーン、特にウォータープルーフタイプを使用している時は、しっかりクレンジングをしましょう。その時に大事なのは、皮膚をこすらないことです。強く擦ることは、色素沈着の原因になります。クレンジングはお化粧になじませて洗い流すタイプを使うと良いでしょう。また、コットンに染み込ませてあるタイプを使用する時は、メイクとなじませながらそっと拭くといったように、使用方法に注意して下さい。

   

Q先生方が実践しているスキンケアはなんですか?

   
 
   

川田先生
散歩やゴルフのときは、必ず紫外線防止剤を使用します。よく紫外線防止剤を一生懸命塗りこんでいる方がいますが、ある程度の厚みを残しながら、ムラなくのばすように塗るのが上手な塗り方です。

須賀先生
我が家は私を含め、両親・子ども共に乾燥肌ですので、お風呂あがりには必ず保湿剤を使用しています。乾燥する季節には、1度化粧水や乳液タイプのローションなどを塗った後、クリームを重ねて使用する方法が効果的です。また、海水浴やハイキングなど、レジャーに出掛けるときは必ず紫外線防止剤を使用します。

加藤先生
紫外線防御は念入りにしています。最近は洗いっぱなしだと顔がつっぱったり、足のすねがとても乾燥したりするようになってきましたので、洗顔や入浴後は、保湿剤を使用しています。

小林先生
私は本当に肌が弱いため、肌を守る努力をしてきました。紫外線防御も徹底的に行ってきました。皮膚への刺激を最小限にするように努めています。手をかけすぎない、基本的で適切なスキンケアを心がけることが、何よりも大切なのです。