Q&A
Q1:たんぱく尿が出ていますが、元気で何ともないので、様子をみてもいいですか?
  • すぐに医療機関を受診してください。慢性腎臓病が強く疑われます
  • 腎臓は予備力があるので、病状がかなり進行しないと自覚症状が出ません。
    初期のうちはとりたてて症状はなく、静かに進行していきます。
    むくみ、だるさや貧血、頭痛などの症状が出るのは、病状がかなり進行してからです。
  • 慢性腎臓病は早期発見・早期治療が重要です。
    早期であれば、たんぱく尿が治ることもあります
    しかし、いったんあるレベルまで悪くなってしまうと、自然には治りません。
    ですから、腎臓の異常に気づいた今、是非とも医療機関を受診して
    体の状態をしっかり確認しておきましょう。
  • 詳しくは右のボタンから「腎臓を守ろう!」へ
Q2:受診しようと思いますが、オススメの病院を教えてください。泌尿器科ですか?
  • たんぱく尿や腎機能の低下(血清クレアチニン(Cr)の上昇、
    または糸球体ろ過値(eGFR)の低下)を指摘された場合は、
    まず
    内科のかかりつけ医を受診してください。
    その際、健診などの検査結果をお持ちいただくと、よいと思います。
  • 目で見ただけでわかる赤い尿(血尿)の時は泌尿器科がよいと思います。
    泌尿器科で問題ないと言われたら内科を受診してください。
Q3:水をたくさん飲んで尿を出すようにしたら、慢性腎臓病は治りますか?
  • 水をたくさん飲んでも、慢性腎臓病は治りません
    しかし、脱水状態になると腎機能は低下しますので、適度な水分補給は必要です。
  • 水分をとる目安は「自然な喉の渇きに応じて行う」ことですが、
    高齢の人は喉の渇きを自覚しないことが多いので、夏など汗をよくかく時は、
    小まめに水分を補給するようにしましょう。
  • 心不全やむくみのある人、慢性腎臓病ステージG5の人は、水をたくさん飲むことは避けましょう
    詳しくは、かかりつけの医師にご相談ください。
Q4:健診でたんぱく尿が出たので受診しましたが、特に薬が処方されたわけでもなく、
  「定期的に検査をして、様子をみていきましょう」と言われただけでした。
   …これって、どういうことですか?
  • 早期の慢性腎臓病の治療法の一つは、薬を内服することですが、もう一つの治療法は食事、
    運動、喫煙、飲酒の
    生活習慣を見直すことです。よって、薬が処方されなかった
    あなたに必要な治療法は、生活習慣の見直しを行うこととなります。
    このeラーニングを活用し、実践する方法やコツを学んでみましょう。
  • これと並行し、たんぱく尿の変化を検査で継続確認していくことが必要です。
    なぜならば、慢性腎臓病の初期はとりたてて症状がないので、
    症状から病気の経過を判断できないから
    です。
    是非とも健診を毎回受けたり、外来受診を続けていきましょう。
  • これらの話をまとめると、今回あなたは早期にたんぱく尿が発見できたので、
    食事、運動、喫煙、飲酒の生活習慣の見直しをして、健診や外来受診も継続し、
    たんぱく尿が悪化しないように、病状の変化を早期に把握できるよう、
    過ごしていきましょう
    、ということになります。
Q5:どうして尿にたんぱくが混じるのか、もう少し詳しく教えてください。
  • 腎臓の中には、糸球体という毛細血管のかたまりがたくさん(腎臓1つに約100万個)あります。
    糸球体は、血液をろ過して尿をもとを作る「フィルター」のような働きをしています。
  • 正常な糸球体は、老廃物や水分を尿としてこし出します。しかし、糸球体のフィルター機能が故障すると、
    体にとって必要なたんぱくも、尿に出てしまいます
  • 慢性腎臓病は、糸球体のフィルター機能が故障した状態なので、尿にたんぱくが混じるのです。
  • また、糸球体のフィルターが詰まってしまうと、本来、体の外に出すべき老廃物や不要な水分が出せなくなり、
    尿毒症のさまざまな症状を引き起こします。
  • 糸球体が1分間にろ過する血液量(血しょう量)を糸球体ろ過量(GFR)といいます。
  • 下の図は、尿が作られ体の外に排泄される過程を説明しています。
Q6:「むくみ」はどうやって確認したらいいですか?
  • 「むくみ」とは、体の中に余分な水分がたまった状態のことです。
  • 腎障害による早期のむくみは、まぶた足の甲やスネの前面などでみられます。
  • 足の甲やスネの前面では、指で10秒程度圧迫し、
    指を離した後のくぼみ加減とその戻り具合
    で確認します。
Q7:スイカは腎臓に良い、と聞いたことがありますが、本当ですか?
  • スイカには水分やカリウムが多く含まれているので、腎機能が保たれている場合は利尿作用があり、
    腎臓に良いと言われてきたと思います。しかし、腎機能が高度に低下している場合(ステージG4、G5)は、
    スイカに含まれるカリウムが蓄積し、危険な不整脈が生じる恐れがあります
    ので、控えましょう。
Q8:腎機能が良ければ、グレープフルーツジュースやグレープフルーツを食べても大丈夫ですか?
  • 薬を飲んでいる人は、医師に確認してください。
  • グレープフルーツにはフラノマクリン誘導体というものが含まれているため、
    飲んでいる薬の種類によっては、薬の作用が増強したりすることがあります。
Q9:糖尿病の人は、どうして慢性腎臓病になりやすいのですか?
  • 腎臓の中には、糸球体という毛細血管のかたまりがたくさん(腎臓1つに約100万個)あります。
    糸球体は、血液から老廃物や不要な水分をろ過して、尿をもとを作る
    「フィルター」のような働きをしています。
  • 糖尿病は、血液中のブドウ糖の量を調節するホルモン(インスリン)の不足や、
    作用が不十分なことが原因で、高血糖 (血液中に糖が過剰に含まれる) になる病気です。
  • 高血糖が長年続くと腎臓のフィルター機能が障害され、尿にたんぱくが混じるようになります。
    腎機能が障害される悪循環を図にまとめましたので、ご覧ください。
  • 高血糖に伴い糸球体でろ過が過剰に行われるようになり、この状態が持続すると、
    アルブミンというたんぱくの一種が混じった尿がみられます。これは、微量アルブミン尿検査で
    早期に発見できます
    。この時点ではまだ自覚症状はありませんが、血糖コントロールを
    厳格に行えば、病状の悪化が食い止められます。
Q10:透析や腎移植について、もっと詳しく知りたいのですが…。
  • 腎臓病に関する4学会(日本腎臓学会、日本透析医学会、日本移植学会、日本臨床腎移植学会)では、
    腎不全の治療法を紹介したガイドブック「腎不全治療選択とその実際」を以下のアドレスで公開しています。
    是非、ご参照ください。
    https://jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/2023allpage.pdf
Q11:慢性腎臓病で利用できる社会保障制度は、ありますか?
●身体障害者手帳   
  • 以下の検査値が主な目安となり、障害の程度が身体障害者福祉法の認定基準を満たす場合、
    市町村役場に申請すると身体障害者手帳が交付されます。身体障害者手帳は、
    各種福祉制度を利用する際に必要となります。
     4級   血清クレアチニン値 3.0 ~ 5.0mg/dL未満、eGFR (単位はmL/分/1.73m 2)10以上20未満 
     3級   血清クレアチニン値 5.0 ~ 8.0mg/dL未満、eGFR (単位はmL/分/1.73m 2)10未満 
     1級   血清クレアチニン値 8.0mg/dL以上 
  • 障害の級に応じて、 医療費の助成各種手当ての支給、所得税や住民税などの税金や公共料金の減免
    公共交通機関やタクシーなどの運賃割引日常生活用具の給付などのサービスが受けられます。
    詳しくはソーシャルワーカー、市町村役場の窓口などにお尋ねください。
●指定難病への医療費助成
  • 令和元年7月現在、慢性腎臓病に関連する指定難病には、IgA腎症多発性嚢胞腎
    一次性ネフローゼ症候群急速進行性糸球体腎炎抗糸球体基底膜腎炎
    一次性膜性増殖性糸球体腎炎紫斑病性腎炎などがあります。
  • この制度によって、医療費の自己負担が軽減されますが、交付にあたっては診断基準や重症度、
    高額医療継続の必要性などをふまえて、審査が行われます。 
  • 医療費助成を受けるには、先ず、指定医を受診して診断書を作成します。その後、必要書類と共に、
    お住まいの都道府県の窓口(保健福祉担当課や保健所など)に申請します。審査で認定されると、
    「医療受給者証」が交付されます。
  • 詳しくは、お住まいの都道府県の窓口にお問い合わせください。
Q12:今まで何度も食習慣の改善に挑戦しましたが、長続きしません。…困った。
  • 今まで慣れ親しんできた習慣を変えるのは、容易なことではありません。
    まずは、今まで何度も生活習慣の改善に取り組まれたご自身をほめてあげましょう。
  • しかし、長続きしないのには、きっと何らかの理由や原因があるはずです。
    ご自身の行動や考えを振り返ってみましょう。
    理由や原因は1つだけとは限りません、複数あることのほうが多いですよ。
    あなたを取り巻くさまざまな環境や、サポーター
    (ご家族やわれわれ医療者も含みます)の状況は、どうだったでしょう…か。
  • 振り返ってみて、食習慣の改善が長続きしない理由や原因は、思い浮かびましたか?
    また、その解決策はいかがでしょう …。
  • われわれ医療者でお力になれることは、どうぞ、お話しください
    あなたのそばにいらっしゃる医療者の方々は、
    必ずやあなたのお力になってくださると思います。
  • 「セルフEASEプログラム®はいかがだったでしょうか。
    “やらなくてはいけないのに、できない”と思っていることを達成するのに
    有効なプログラム
    が掲載されています。
    もしよろしかったら、あなたの解決策の一つとしてお役立てくだされば、幸いです。
    詳しくは右のボタンから「セルフEASEプログラム®」へ
     
Q13:食事がとれない時の内服は、どうすればいいですか?
  • 基本的に、食事が食べられなくても薬は飲んでください。
  • ただし、血糖を下げる糖尿病治療薬は、低血糖を起こす危険性があります。
    また、リン吸着薬は、食事をせずに薬を飲んでも効果はありません。
  • 薬によって対応が異なりますので、事前に医師に確認しておきましょう。
Q14:インフルエンザのワクチンを接種しても大丈夫ですか?
  • ぜひ、12月中旬までにワクチンを接種してください。
    自治体によっては、費用が補助される場合もあります。
  • 慢性腎臓病の人は、抵抗力が低くなりがちで、感染しやすく、重症になりやすかったり、
    合併症を起こしやすいとされています。
*肺炎球菌ワクチンも接種してみましょう
  • 肺炎球菌は、肺炎、気管支炎、中耳炎、髄膜炎などを引き起こします。
  • 平成26年10月から高齢者を対象に、費用の一部を公費で負担する定期接種が始まりました。
  • 定期接種の対象者は毎年異なるため、接種の機会を逃さないようにご注意ください。
    詳しくは、お住いの市区町村にお尋ねください。
  • 65歳以上の人、腎機能が低下した人、糖尿病のある人、ステロイドや免疫抑制薬を
    使用している人などは、特に接種が勧められます。