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日本皮膚病理組織学会事務局

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9. HMB-45 染色の有用性

新井栄一(埼玉医大総合医療センター・病理部)


 HMB-45は悪性黒色腫やメラノサイト由来の他の腫瘍に存在するプレメラノソームの糖蛋白に対する抗体であり、HMBはhuman melanin blackの略です。現在、悪性黒色腫に加えて、明細胞肉腫、血管脂肪肉腫、PEComaなどの診断に用いられており、その陽性像は細胞質にみられます。

 Leverの教本には、HMB-45はspindle cell melanomaやdesmoplastic melanomaでは陰性で、Spitz nevus、dysplastic nevusや色素性母斑には陽性となり、悪性黒色腫と良性色素性疾患との鑑別には使用できないと記載されています1)

 HMB-45は、現在ではSpitz nevus、dysplastic nevusや色素性母斑の陽性は表層にとどまり、病変の下方は陰性となる層状化“stratified staining”を示すことが明らかになってきました。この所見はいわゆるmaturationに合致すると推定されます。このHMB-45染色の層状化は良性病変の診断に際し役に立つことがあり、特に他科においてSpitz nevusと臨床的に考慮されず、完全切除されなかったSpitz nevusにおいて診断の補助となり得ます。しかしながら、この際に注意しなければならないのは、上方の細胞より深部の細胞が小型化しているようにみえながら、深部の細胞にHE形態で、明らかな異型性の存在するSpitzoid melanomaです2)

診断の基本はHE形態学であることを再認識する事象を述べましたが、例外をよく認識しておけばHMB-45染色は色素性病変の診断に有用であると思われます。

1. Elder DE, Elenitsas A, Jhonson BLJr, et al (eds): Lever’s Histopathology of the Skin. 10th ed, Wolters Kluwer, Loppincott, Williams & Wilkins, 2009, pp77.

2. 新井栄一:病理組織学的検査―最新の免疫染色―. 皮膚科日常診療 レベルアップエッセンス. 皮膚科の臨床 55巻11号(10月臨時増刊号)掲載予定