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日本皮膚病理組織学会事務局

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8. 病理組織を前にして

鶴田 弾正少弼 大輔 先生
大阪市立大皮膚科

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 物事を3つの言葉で表すと頭が整理しやすいとは良く言われることである。例えば大学の責務は「教育・臨床・研究」である。皮膚科医が見逃しやすい疾患3つは「ピルツ・シフィリス・スカビエス」である(これは友人である慶応の先生に教えてもらった格言であり、本当に良くできていると思う)。皮膚診断の3つは、「肉眼・ダーモ・皮膚病理」であろう。このどれを疎かにしても誤診に繋がることを日々肝に銘じて置かなければならないと思う。皮膚病理組織学はつまり、皮膚科医としてマスターすべき基本中の基本だと考えられる。私が皮膚科医になってすぐに近畿皮膚科集談会という学会に参加した。ほぼ全ての発表に病理があったのだが、私の中では宇宙語以外の何物でもなかった。それが20年以上たった今はうんちくを垂れることもできたりする。これは一重にこれまで私がお世話になった学内外の諸先輩方・同僚・後輩のおかげであろう。私が育った時代とは異なり、教科書はカラーになり、立体的な視覚的効果まで向上し、しかもアルゴリズムまであるというわかりやすいものとなった。きっとこれから勉強を始める方々はラッキーであると思う。非常にイージーに理解できることであろう。しかしながら、本質的に学問を理解する上では幾分の苦労が必要ではないかとも思う。白黒でしかも英語版しかない教科書から学んで血となり肉となった知識はやはりあるのだと思う。この苦労は今になって振り返れば私の財産である。学習が難しい時代ではあったがこのことは逆に感謝したい。若い世代の方々は逆に、楽に学べるようになったのであるから、その裏にある「何か」を自分で掴み取る努力、これを忘れないでほしい。そしてそれこそが20年後の財産になると考える。そして若い世代がわれわれの世代になった時にその時代の学問的進歩を逆にわれわれに教えてほしいと思っている。

 最後に私が常に思い出す言葉をここに述べる。それは組織学実習の時に私の恩師の一人が学生に言った言葉である。実習に際して学生の態度が問題であった時に、「医学生たる君は、神聖な人体を前にして何を考えているのだ」とおっしゃった。病理組織標本を観察するときに常に神聖な気持ちでこの言葉を思い出したいと常々思っている。