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日本皮膚病理組織学会事務局

〒 683-8504
鳥取県米子市西町36-1
鳥取大学医学部皮膚科
事務局長 山田七子
■TEL:0859-38-6597
■FAX:0859-38-6599
■e-mail: jdhpa@med.tottori-u.ac.jp



ま行

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まい】マイクロフィラメントmicrofilaments:電顕像。細胞骨格をつくる。細胞質内で5nm径程の細い線維で束をつくる。生化学的にはアクチンから構成され、すべての細胞に含まれるが、立毛筋、平滑筋、筋線維芽細胞の胞体内には大量に観察される。


まく】膜嚢胞性(まくのうほうせい)変化membranocystic change:脂肪組織が高度に変性したときの所見。脂肪組織に大小種々の空隙が生じ、辺縁部に折り重なるように膜様物が生じる。同義語:膜様脂肪壊死。


まく】膜様脂肪壊死membranous fat necrosis → 膜嚢胞性変化


まく】マクロファージmacrophage:組織に存在する貪食能、遊走能のある大型の単核細胞で組織球のこと。血液中の単球はマクロファージの前駆的な細胞。大型の組織球は上皮細胞に似るため類上皮細胞という。肉芽腫形成にも関与する。特徴のあるマクロファージには脂肪が沈着した泡沫細胞、黄色腫細胞、ツートン型巨細胞、細網組織球症での大型のすりガラス様の細胞がある。ランゲルハンス細胞組織球症では腎臓型の核に特徴がある。リーシュマニア症ではparasitized macrophageとよばれる2~3μmの小顆粒状物質がマクロファージに含まれる。同義語:貪食細胞、組織球。関連語:類上皮細胞、メラノファージ。


ます】マスト細胞mast cell → 肥満細胞


まち】マチュレーションmaturation → 母斑細胞の小型化


まつ】マッソン・トリクローム染色Masson's trichrome stain:染色法の一つ。筋線維は赤染し、膠原線維は青染する。


まる】マルピギー層stratum malpighii:表皮基底細胞層と有棘細胞層とを合せた部分。


まん】マンロー微小膿瘍Munro's microabscess → ムンロー微小膿瘍

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みー】ミーシャー放射状小結節Miescher's nodules、pseudo-microcyst:結節性紅斑に特徴的な所見。中隔結合織にある肉芽腫性小結節。中心は空隙で周囲を組織球が取り囲む。


みさ】岬状(みさきじょう)徴候promontory sign:大きく開いた空隙内に岬のように小血管が突き出した状態をいう。血管肉腫にみることが多い。


みっ】密着接合tight junction → 接着装置


みぶ】未分化undifferentiated cell:どのような性質/形質を発現している細胞か判断できないほど特徴のない細胞。癌細胞は未分化になるという言い方があるが、癌細胞はすべて未分化を意味するわけではない。白人にできる悪性黒色腫は本来のメラノサイトのメラニン産生能力以上の黒色の色素を産生する。一方、日本人の悪性黒色腫にも無色素性悪性黒色腫がある。分化の程度の定まらないことが悪性黒色腫の特徴である。


みゃ】脈管vascular system:血管とリンパ管を合せて脈管という。血管は1層の内皮細胞とその周囲を取り巻く平滑筋細胞から構成される。真皮網状層のリンパ管は1層の内皮細胞で包まれるが通常平滑筋を欠く。血管は内圧のため丸みをおびているが、リンパ管はむしろ組織液を陰圧にして吸い込むため多角形をしている。

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むき】無菌性膿疱aseptic pustule:概念。膿疱、膿瘍の多くは細菌感染、真菌感染などの感染症で生じるが、感染症以外でも多核白血球の集積は生じうる。例:掌蹠膿疱症。膿疱性乾癬。


むこ】無構造物質:電顕像。ヒアリンコロイド、真皮の間質を構成する物質は微細点状ないしは細線維状の物質で特定の形状を指摘できないため無構造物質とよぶ。


むこ】ムコ多糖mucopolysaccharide → ムチン


むち】ムチンmucin:腺細胞(粘液細胞)内の分泌顆粒内にある上皮性ムチンと、膠原線維間に沈着し、HE染色標本では空隙fenestration としてみえる真皮ムチンとがある。電顕では微細な小滴状、線維状ないしは膜状物質である。酸性ムコ多糖はコロイド鉄染色、アルシャン・ブルー染色(pH2.5)で青く染まる。トルイジン・ブルー染色では異染性を示し赤紫色に染まる。PAS染色でも赤紫色に染色され、アミラーゼ(ジアスターゼ)消化試験抵抗性である。酸性ムコ多糖の多くはヒアルロン酸のためヒアルロニダーゼで消化される。一方、上皮性ムチンはPAS染色で胞体が赤紫色に染まり、アミラーゼ(ジアスターゼ)消化試験抵抗性である。例:成年性浮腫性硬化症、粘液水腫、ムチン沈着の証明が診断に役立つ腫瘍にはsignet-ring cell carcinoma、皮膚粘液癌mucinous carcinoma、cutaneous mucinoma、粘表皮癌mucoepidermoid carcinoma、神経鞘粘液腫nerve sheath myxoma、neurothekeoma、粘液型脂肪肉腫、転移性皮膚癌がある。同義語:ムコ多糖。


むん】ムンロー微小膿瘍Munro's microabscess:角層内に浸潤した多核白血球が小集塊をつくる様。例:尋常性乾癬。同義語:マンロー微小膿瘍。

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めい】明調細胞clear cell → 澄明細胞


めた】メタクロマジアmetachromasia → 異染性


めら】メラニン色素melanin pigment:光顕レベルで使用する用語。メラノサイトが産生する褐色ないしは黒色の色素。メラノサイトに存在するメラニン色素、角化細胞にあるメラニン色素、マクロファージに貪食されたメラニン色素がある。フォンタナ・マッソン染色で黒色顆粒として分布を知ることができる。一方、メラノサイトの同定にはチロシナーゼ活性を調べるドーパ反応を施行する。同義語:メラノソーム。


めら】メラノサイトmelanocyte:色素形成能のある細胞。メラニン色素の成熟段階にあるプレメラノソーム(stage I~III)を含有する。無色素性悪性黒色腫、明細胞肉腫の診断ではプレメラノソームの証明が必須。同義語:色素細胞。


めら】メラノソームmelanosome:チロジナーゼを含む類円形ないし楕円形の顆粒。メラニン色素の電顕レベルでの呼称。成熟段階の初期にあるメラノソームは形態的特徴から区別してプレメラノソーム(stage I~III)とよぶ。メラノサイトにある樹枝状突起dendriteを介して周囲にある角化細胞に分配される。同義語:メラニン色素。


めら】メラノソーム複合体melanosome complex:電顕像。メラノサイトから表皮角化細胞に渡されたメラノソームはいくつかが集まった状態でファゴソームに存在するのでメラノソーム複合体という。核帽を形成し紫外線から核を保護している。関連語:メラニン色素。


めら】メラノファージmelanophage:メラニン色素を貪食したマクロファージ。取り込まれたメラニン色素の多くは成熟したメラノソーム(stage IV)で、消化されにくいため真皮内に長く留まる。同義語:担色細胞。対比語:真皮メラノサイト。


める】メルケル細胞Merkel cell:触覚に関係する細胞。表皮基底細胞層にあって神経終末と密接に接する。毛包には多数が分布する。電顕像では約100nm径の有芯顆粒がある。他に渦巻状の線維構造、アンテナ状の細長い突起、線維状核内封入体を観察することができる。


める】メルケル細胞顆粒Melker cell granule → 有芯顆粒、メルケル細胞

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もう】毛芽hair germ:胎生期に表皮から生じる一次毛芽(原始的上皮芽)と毛周期過程で毛包下端から生じる二次毛芽とを区別する。毛乳頭の誘導で毛芽は毛器官を発達させる。毛器官は毛包・脂腺・アポクリン汗腺から構成され、部位により年齢により脂腺・アポクリン汗腺の関与が異なる。腫瘍性病変においてもこの3種類は一体となって存在することが多いが、良性附属器腫瘍では、毛包、脂腺、アポクリン汗腺のうちの際立つ特徴のある所見に診断名を付与することが多い。ただし、エクリン汗腺系腫瘍はエクリン汗腺芽への分化を示す腫瘍で、毛包、脂腺、アポクリン汗腺と並存することはない。同義語:毛原基。上皮胚原基、原始的上皮芽。


もう】毛孔性角栓follicular plugging → 角栓


もう】毛細血管capillary:真皮乳頭の毛細血管の径は7μm程度である。通常は無窓の血管であるが、毛包、エクリン汗腺、乾癬の乳頭部の毛細血管には小孔があり有窓血管である。動脈側は圧によって血液成分が組織液内に押し出され、静脈側では浸透圧によって血液内に回収される。


もう】網状層dermal reticular layer, reticular dermis → 真皮網状層


もう】網状変性reticular degeneration of epidermal cells → ウイルス性水疱


もう】毛包hair follicle:厳密には毛包は外毛根鞘と内毛根鞘をさす。毛包に加え、毛母、毛乳頭、毛幹、硝子膜など全体を含めて毛器官という。生理的、病的状態では、原始的上皮芽から発生する脂腺、アポクリン汗腺などの毛以外の組織の種々の程度の関与がある。毛器官の炎症、腫瘍性増殖では厳密には毛包を病変の主座とするものではなくても、毛包は目立つことが多い。そのため慣用的には毛母を含め毛乳頭、外毛根鞘、内毛根鞘、硝子膜などの全体を毛包(毛嚢)とよぶことが多い。例:毛包炎、毛包腫瘍。


もう】毛包炎folliculitis:毛包およびその周囲への好中球、リンパ球の浸潤。細菌、真菌感染症のことが多いが、エリテマトーデス、扁平苔癬でも毛包へのリンパ球浸潤があり、類似の組織像を示す。また好酸球の目立つ好酸球性膿疱性毛包炎などの例がある。


もう】毛包角化 → 外毛根鞘角化


もう】毛包腫瘍hair follicle tumors:概念。毛器官の腫瘍性変化では毛母を含め毛乳頭、外毛根鞘、内毛根鞘、硝子膜などに加え、種々の程度に脂腺、アポクリン汗腺の関与がある。厳密な意味での毛包(毛根鞘)だけの腫瘍ではないが、毛包部分が目立つことが多いため慣用的に毛器官の腫瘍性病変を毛包腫瘍とよぶ。また毛包を含めた組織増殖があっても脂腺、アポクリン汗腺に特徴がある場合はそれぞれ脂腺腫瘍、アポクリン汗腺腫瘍とよぶ。


もう】毛包性ムチン沈着症follicular mucinosis:外毛根鞘に酸性ムコ多糖類が溜まり嚢胞状になる。菌状息肉症の部分症状のことがあるため、リンパ球に異型性がないかを調べることが重要である。例:菌状息肉症、狭義の毛包性ムチン沈着症。


もう】毛漏斗infundibulum:脂腺開口部より上の外毛根鞘で、表皮と類似した角化を特徴とする。


もん】モンスター細胞monster cells:著しく大型の細胞で、多くは多核巨細胞として観察される。皮膚線維腫の特殊型dermatofibroma with monster cellsで出現する。関連語:多核巨細胞