AHAガイドライン2010 (G2010)について

1. Chain of Survival(救命の連鎖)




これまでの救命の連鎖は、

  1. 早期の通報
  2. 早期のCPR開始
  3. 早期の除細動(AED)
  4. 早期の二次救命処置

の4つの輪で構成されていましたが、AHAは5番目の輪として心停止後の処置を加えました。これは心拍再開後に、適応があれば低体温療法や冠動脈インターベンションを積極的に行うことを指しています。せっかく心拍が再開したとしても生存退院できなかったり(つまり入院中に死亡してしまう)、神経学的予後の改善につながらなかったり(つまり意識が回復しなかったり、マヒや言葉の障害などの後遺症を残す)する現実があるからです。心停止を起こした患者が社会復帰するために、より強化された救命の連鎖となりました。

2. A-B-CからC-A-Bへ

現在の蘇生法が提唱されてから50年の間、蘇生の手順は、

  • A.Airway(気道確保)
  • B.Breathing(人工呼吸)
  • C.Circulation(胸骨圧迫<心臓マッサージ>)
  • の順番で教えられてきました。これはABCにそって手順を覚えやすくさせる一つの方法として大変有用なものでした。しかし気道確保や人工呼吸の手技は意外と難しく、また見知らぬ傷病者にマウストゥマウス(口対口)で人工呼吸を行う心理的抵抗感から、実際には蘇生の開始が遅れたり、蘇生そのものが行われなかったりするケースが多いことが指摘されるようになってきました。このため蘇生にとってより重要な胸骨圧迫(心臓マッサージ)を優先させるため、G2010からはC-A-Bの手順が推奨されることとなりました。一般市民向けには人工呼吸を省略したハンズオンリーCPR(Hands-only CPR)という手技も推奨されています。

    3. High Quality CPR(質の高い心肺蘇生)

    G2005でもG2010でも、質の高いCPR(心肺蘇生)を行うことが救命にとって重要であるとには違いありません。質の高いCPRの内容は、以下の4項目に集約されています。

    1. 強く、速く胸骨を圧迫する
    2. 胸骨を圧迫した後は胸壁を完全に元に戻す
    3. 胸骨圧迫の中断時間を最小限にする
    4. 過換気を避ける

    G2010では<1.強く、速く胸骨を圧迫する>の中身が変わりました。

    • 胸骨圧迫の深さは、少なくとも5cm(成人の場合)
      • G2005では4~5cm
      胸骨圧迫の速さは、少なくとも100回/分
      • G2005ではおよそ100回/分

    これによって、より強く、速く、有効な胸骨圧迫が期待できます。これまでの救急の現場での胸骨圧迫手技が、実際には浅く遅かったことが種々の研究によって明らかとなったことが改訂の背景にあります。

    ※本ページのイラストはAHA G2010ハイライトおよびAHA Insutructor Networkのコンテンツより引用しています。