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ごあいさつ

理事長 佐々木 秀美

 2020(令和2年)年の新春を迎え、会員の皆様におかれましては健やかな年をお迎えのことと存じます。川嶋みどり理事長の後任として日本看護歴史学会の理事長に就任し、身の引き締まる思いでございましたが早々に三回目の年頭を迎えます。今年は理事改正の年であります。会員の皆様におかれましては、日本看護歴史学会がますます発展しますように理事選挙で適任の方をお選びいただきますようにご協力をよろしくお願い申し上げます。

 日本看護歴史学会(Japan Society of Nursing History)は、看護に関する歴史の新たな方向性と可能性を求め、広く看護歴史を考究することを目的としています。学術(Academic)の持つ意味を考えた場合、看護が学問であるかどうかの議論がなされた歴史的事実(Historical Facts)も見逃せない問題でもありましょう。現実社会を見渡せば看護界で起きている問題は山積みしています。現実の持つ様々な局面を思想的に受け止め、その受け止めたものを自己の検討の対象とし、さらにあらゆる異論と突き合わせていくことが歴史研究であると考えます。

 私も昨年度末に六史学会に参加し、看護以外の学術分野における歴史研究に触れました。違った分野から違った切込みをした研究は誠に興味深く感じましたし、すべてが深いところでつながっていると思いました。その意味で看護歴史研究も広く研究成果を公表し、他分野の方々の意見をお聞きすることもまた、必要であると考えます。

 ナイチンゲールはオーギュスト・コントの「知性は心に問いを抱かせ、心は知性に答えを要求する」という言葉を自身の著作に引用しています。その意味合いから考えますと歴史研究は現実問題を解決するための一つの手法でもあると考えます。西洋の文明を受けつつ、慈悲深き東洋の一国家として歴史を刻んできた私たち日本国民一人一人が地域の中で、近隣との交流を成しながら特有なつながりとケアリングがあるということも日本文化の歴史の一つでしょう。私たち、看護専門職者は、そうした文化を継承しつつ、看護の本質探求を実践していく必要があります。

 時は自然に流れ、止めようもありませんが、自身のその一瞬一瞬が社会の変化とともに、歴史に刻みこまれるということを考えますと、歴史研究も、焦点を当てた事物があった場合、その事物の背後にある事柄と突き合わせますと新たな発見につながっていくものであると思います。個人の歴史を振り返るのと同じように歴史を振り返るのは人間の主体的な行為であり、各人の問題意識に従って課題が設定され、研究が実践されます。看護における歴史研究は科学的な実証研究であり、現地点に立ちながら過去を検証し、将来の展望を示唆することも可能になります。未来は無限大ですし、現代は片時も休まず歩み続け、そして過去を振り返ってみても目が眩むほどかなたです。ですが、先人の知恵は今に息づき、未来を見通すほどに意味深い発見をすることができるかもしれません。それは歴史研究の魅力であると私は考えます。

 日本看護歴史学会会員の皆様におかれましては、それぞれのお立場で看護における課題発見とその解決の為の糸口として歴史研究に邁進され、その研究成果が毎年開催されます日本看護歴史学会学術集会が盛会でありますことを祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。

(2020.1.15 会報73号「年頭所感」より転載)