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ごあいさつ

理事長 佐々木 秀美

 2019年、新たな年の始まりに際し、一言、ご挨拶申し上げます。今はまだ、平成ですが、4月、新しい天皇の即位と共に新しい年号がスタートします。歴史を辿れば、平成という文字には深い意味があるようです。内外共に平和であるという事は私たちの願いですが、この平成の時代にも思いがけない自然災害が起きました。次なる年号に思いを寄せますが、私たちの日常は、幸多かれと願いつつ、多事多難にも遭遇します。そうした時代に有って看護は何ができるのでしょうか?西洋の文明を受けつつ、慈悲深き東洋の一国家として歴史を刻んできた私たち日本国民一人一人が地域の中で、近隣との交流を成しながら特有な繋がりを通したケアリングがあるということも日本文化の歴史の一つとして忘れてはならないでしょう。私たち、看護専門職者は、そうした文化を継承しつつ、看護の本質探求を実践していく必要があります。

 日本看護歴史学会(Japan Society of Nursing History)は、看護に関する歴史の新たな方向性と可能性を求め、広く看護歴史を考究すること を目的としています。学術(Academic)の持つ意味を考えた場合、看護が学問であるかどうかの議論がなされた歴史的事実(Historical facts)も見逃せない問題でもありましょう。学術の中心である大学の教育目的は「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」であります。それは、ナイチンゲールが、「その知性(intellect)、倫理(moral activity)、実践(practice)において最上のものを患者に惜しみなく与える」看護師像とも一致しています。ナイチンゲールは、「看護師として訓練する教育において、その教育の主眼とするところは人格の問題であり、それは単に技術的な教育を施せば良いと言うものではありません」(Ever Yours Florence Nightingale Selected Letters,p426)と述べています。 現在、圧倒的多数の病院附属の専門学校と平成に入って着実にその数を増やしてきた看護系大学が看護師になるための教育を施しています。

 現実社会を見渡せば看護界で起きている問題は山積しています。歴史を振り返るのは人間の主体的な行為であり、各人の問題意識に従って課題が設定され、研究が実践されます。看護における歴史研究は科学的な実証研究であり、現地点に立ちながら過去を検証し、将来の展望を示唆することも可能となります。現実の持つ様々な局面を思想的に受け止め、その受け止めたものを自己の検討の対象とし、さらにあらゆる異論と突合せていくことが歴史研究であると考えます。制度には思想が反映されると申しますが、准看護師制度も含め、私たちの法律もその時代の個人・集団の思想が反映されてのことであり、現実にある社会の状況、文化的な慣習、風土によって影響されるということになり、それが制度に反映されたとも言えるのではないでしょうか。

 日本看護歴史学会会員の皆様におかれましては、それぞれのお立場で看護における課題発見とその解決の為の糸口として歴史研究に邁進され、その研究成果が日本看護歴史学会学術集会で花開きますことを祈念し、又、昨年度、呉市に設置されております本学に対しての支援に心より御礼申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。