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一般演題:小児臨床
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新生児低酸素性虚血性脳症における尿中lactate、biopyrrin、8-OHdGの臨床的意義について
Clinical Significance of Urinary Lactate, Biopyrrin and 8-OHdG (8-hydroxydeoxyguanosine) in Neonates with Hypoxic-Ischemic Encephalopathy

埼玉県立小児医療センター 未熟児新生児科 
野澤政代、大野 勉、鬼本博文、金田朋冶

 新生児の低酸素性虚血性脳症(HIE)における脳障害の病因にNOが関連すると言われており、ShiらはHIEにおいて血清NOxが増加することを報告している。今回、HIEで脳低温療法を施行した症例とコントロールで血清NOxを測定し検討したので報告する。

【目的】

biopyrrinはbilirubinが活性酸素と反応して生成された酸化生成物質でありまた8-OHdGはDNAの酸化損傷物質である。新生児低酸素性虚血性脳症に対する脳低温療法施行例において、lactate、biopyrrin、8-OHdG(8-hydroxydeoxyguanosine)の尿中排泄量を経時的に測定し、その臨床的意義について検討した。

【対象と方法】

対象は重症低酸素性虚血性脳症に対して脳低温療法を施行した症例のうち、経時的に尿中排出物質を測定できた7例で、平均在胎週数40.1±1.5週、平均出生体重2719±340g、Apgar score(1分/5分)1.0±0.8/2.6±1.4、Sarnatが3例、。が4例であった。尿中lactateはlactate-oxydase法で、biopyrrinと8-OHdGはELIZA法で測定した。

【結果】

1)脳低温療法施行例での尿中lactate濃度は、初回排尿時に最大値42.8±20.8mmol/Lを認め以降は利尿と共に漸減し、日齢2には1.27±1.52mmol/Lまで低下した。これは、成熟児の一過性多呼吸やSarnat氓フ新生児仮死10例(在胎38.4±1.5週、出生体重2671±328g)の初回尿での尿中lactate濃度3.01±2.06mmol/Lと比較して有意に上昇していた。脳低温療法を施行しても脳軟化等の画像上異常所見を認め神経学的後障害を残した予後不良3例では、尿中lactate高値が遷延する傾向が認められた。2)尿中biopyrrin排泄量は18例の正常分娩で出生した成熟児(在胎39.5±1.0週、出生体重3188±365g、Apgar score≧8)においては、日齢0〜1では14.2±8.4unit/gCr、日齢4では49.2±20unit/gCrであった。一方、脳低温療法施行例では、日齢0〜1では70.6±71.0unit/gCr、日齢4〜5では31.1±14.2unit/gCrで、正常例と比較して日齢0〜1では有意に高値であり日齢4〜5では逆に減少する傾向が認められた。3)尿中8-OHdG排泄量は脳低温療法施行例では日齢0〜1では34.0±13.8μmol/Crmol、日齢4〜5では50.7±34.0μmol/Crmolであり、同方法で測定した正常新生児の8-OHdG値に比較して著明に上昇しており、またbiopyrrinと相反して8-OHdGは経時的に上昇する傾向を示した。4)尿中の各排泄物質はいずれも、予後不良例でより高値となる傾向が認められた。

【結語】

biopyrrin、8-OhdGの尿中排泄量は重症仮死例で著明に上昇していることが認められた。これらの経時的変化は尿中lactateと共に低酸素性虚血性脳症における脳障害の重要な指標となる可能性が示唆された。

Key words:neonate、hypoxic-ischemic encephalopathy、lactate、biopyrrin、8-OhdG