抗血小板剤の種類



    覚えておくべき重要事項:血小板の寿命は約10日。ITPなどでは2〜3日に短縮。
     


抗凝固剤・抗血小板剤投与時に外科的手術を行う場合の処置について

抗凝固剤・抗血小板剤 作用機序 抗血小板作用 休薬時点 その他
バイアスピリン
(アセチルサリチル酸)
Cox抑制,血小板で トロンボキサンA2 生成を抑制 不可逆的 7〜10日前 不可逆的に血小板抑制する,つまり血小板に一度結合したら離れないため,作用は血小板の寿命と共に消失。4時間で抗血小板作用出現,10時間目で効果最高に。完全に切れるのは7〜10日後。
塩酸チクロピジン
(パナルジン)
Glycoprotein IIb / IIIa 阻害 不可逆的 7〜10日前 作用は血小板の寿命と共に消失。内服後,血中濃度のピークは2時間後であるが血小板凝集抑制作用は投与後24時間で最大に達する。(血中濃度のピークと効果との間にずれがある。不可逆的に血小板作用する他の薬剤でも同様のことがある。)
ジピリダモール
(ペルサンチン・アンギナール)
PDE阻害 可逆的 1〜2日前 半減期1〜2時間,半減期30分。臨床用量では,抗血小板作用は弱いともいわれているが,実際に抗血小板薬として使われているのをあまりみない。尿タンパク減少作用を期待して300mg3Xで処方すると,特に若年者は強い頭痛が認められることが多く,コメリアン300mg3Xの方が処方されることが多い。
シロスタゾール
(プレタール)
PDE阻害 可逆的 2〜3日前 経口後3時間で最高血中濃度,半減期α相2時間/β相18時間,投与中止後48時間で血中から消失。頻脈傾向になる副作用があるが,逆にそれを利用してSSS初期に使うことも多い。可逆的に作用する他の薬剤と同様に,血小板に対する効果は概ね薬物の血中濃度の推移と一致する。
ADP・Epi・コラーゲン・アラキドン酸凝集に対し用量依存的に凝集抑制作用を示す。
ベラプロストNa
(ドルナー,プロサイリン)
経口可能なPGI2製剤。Adenyl cyclase 活性化による血小板 cyclicAMP 増加 可逆的 1〜2日前 経口後90分で最高血中濃度,半減期1時間,投与後6時間で作用消失。保険病名は慢性動脈閉塞症と原発性肺高血圧。3錠からはじめて最高9錠まで増量できる。
血小板凝集抑制作用は PGI2 の50%と弱い
リマプロストアルファテクス
(オパルモン,プロレナール)
経口可能なPGE1製剤。Adenyl cyclase 活性化による血小板 cyclicAMP 増加 可逆的 1〜2日前 経口投与後1時間で血中濃度最高になる。半減期7時間。保険病名は閉塞性血栓血管炎と腰部脊柱管狭窄症で,前者には6錠,後者には3錠処方。個人的にはPGI2よりもPGE1を先に処方している。
イコサペントエン酸エチル:EPA
(エパデール)
トロンボキサンA2 のかわりにトロンボキサンA3 を生成 (アラキドン酸から TBX A2,エパデールから TBX A3 を生成,エパデールはアラキドン酸と競合) 不可逆的 7〜10日前 経口投与後6時間で最高血中濃度,24時間で消失
血小板凝集抑制作用は弱く,ADP凝集は抑制しない。動脈硬化防止に使っている程度。IgA腎症などで尿タンパクを減少させるといわれ,海外では治療薬となっているが,大量に使っている。
塩酸サルボグレラート
(アンプラーグ)
血小板,平滑筋の 5-HT レセプターに対する選択的拮抗 可逆的 1〜2日前 経口後1〜2時間で最高血中濃度,投与中止後24時間で血中から消失。抗血小板薬の中では最もはやく効き,最もはやく切れる。循環器内科でPCI前に抗血小板薬を内服させるのを忘れていたら,治療後にこれを内服させる。
トラピジル
(ロコルナール・エステリノール)
トロンボキサンA2合成阻害 可逆的 1〜2日前 経口後2時間で最高血中濃度,半減期6時間,投与中止後24時間で血中から消失。300mg3Xが常用量。
ワルファリンカリウム
(ワーファリン)
循環血液中の血液凝固因子に直接作用せず,肝臓でビタミンK依存性凝固因子の第U・第Z・第\・第]因子の合成を阻害することにより抗凝固作用・抗血栓作用を示す なし 大手術の場合→ 5〜7日前に内服中止し,ヘパリンNaの持続点滴に変更。10000単位/dayくらいで投与。 緊急の場合→ 直ちに本剤の服用を中止し,ビタミンK2を20〜40mg静注し2時間後にPTチェック。だいたい20mgで十分。効果不十分時はFFPを投与と教科書的には書いてあるが,必要になったことはない。