手、指の先天異常

手足の先天異常には、指が少し短かいような軽度のものから、指が全く欠損してしまったような重度のものまでさまざまです。指の数が多い(多指症)ものから、指の数が少ないもの(欠指症)、さらに指の長さが短かい(短指症)もの、大きい(巨指症)ものなどがあります。

手術時期について


手足の先天異常の種類、状態によって手術時期は異なります。
手術手技の発達、麻酔の進歩などによって、生後8ヶ月から1歳くらいには手術ができるようになっています。先天性絞扼輪で指先がくっついているような場合は、状態によって早く手術しなければなりません。また反対に1年以上待った方が良い場合もあります。
手足の先天異常はほとんどが育成医療制度の対象となります。この制度により、公費助成で経済的負担が少なくて済みます。

合指症


隣り合った指がくっついているもので、皮膚性合指症と骨性合指症があります。頻度は多指症についで多いものです。中指−環指間の合指がよく見られます。
手術は生後8ヶ月過ぎくらい以降に可能で指を分離します。隣接する3本以上の指の合指症では分離手術は2回以上に分けて行います。ただ分離するだけでなく、あとで指が変形しないような細かい技術をほどこします。具体的には、皮弁による指間形成、ジグザグ皮切による指の分離、皮膚欠損を植皮により被覆します。

多指症


手足先大異常のうちでもっとも多いものです。手では母指側に圧倒的に多く発生します。これは「重複母指」ともよばれます。一本指が多いと言うよりは、発生の途中で一本になるはずのものが分離して2本になったものです。そのため、様々な部位で、わかれることになりますし、指は正常の大きさより多少小さいことがほとんどです。

過剰の指が痕跡的に突き出るものから、細い茎でぶらぶらする指がつながっているもの(浮遊型)、完全な指の形を示すものまであります。本来の母指が正常に近い大きさであり、過剰の指が小さければ単に切り取ってしまうだけの簡単な手術ですみますが、本来の指が小さい時は、過剰の指の1部をあわせて、なるべく正常の母指の大きさになるようにします。また、筋肉の移行や、曲がった骨の矯正骨切りを行うこともあります。

屈指症


指が屈曲した状態で、伸ばすことができない異常をいい、小指に多く発生します。軽度のものは治療の必要はありません。原因は皮膚の短縮や屈筋腱の短縮・異常などで、皮膚性のものは皮膚移植が必要となり、腱の短縮や異常による場合はこれを切離します。
斜指症

指が横へまがっているもので、小指の第1関節(遠位指関節)が母指の側へ屈曲しているものが多いようです。機能的にはほとんど支障はありませんが、外観上まっすぐにしたい場合はまがっている中節骨を切って矯正します。

合短指症--横軸欠損


合指症をともなった短指症を合短指症といいます。男子に多く、ほとんど散発性で遺伝性は見られません。
一側性に現われ、また同側の胸筋の欠損をともなうことが多くポーランド症侯群といわれます。1才前後に手術をします。つまみ、握り機能の獲得のために母指 −示指間の指間を深くする方法、指の骨を延長する方法、自分の足からの指節骨を移植する方法、及び血管をつけて自分の足指を手に移植する方法等があります。これらの方法を単独、あるいは組み合わせて行うことによりつまみ動作を可能にします。手の形成障害により選択される術式は異なります。手関節の高位の欠損では特に外科的処置を行わずに経過を見ます。

先天性絞厄輪症候群---羊膜破裂シークエンス


何本かの指が切り株状に切断されているもので、多くの場合、深くくびれた溝(絞扼輪)をともないます。女子に多く、遺伝性はありません。これの重度のものは、手がなくなってしまう無手症または前腕切断の型となります。絞扼輪より手足の先の方が浮腫を起して太くなる場合には、この溝をなくす手術(Z形成術)を行います。また指先のみがくっついている場合(開窓型の合指)は生後できるだけ早く切り離し、必要に応じて皮膚移植をすると指の発育を促します。

欠指症


指の数が少なくなるもので、母指側に発生するものがもっとも多く、母指形成不全症といわれます。母指が細く、よく動かない軽度のものから、母指の完全欠損までいろいろな段階があります。

母指が完全に欠損する場合は、示指を母指の部に移動する母指化術や足の指を微少血管手技によって移植する手術を行います。軽度のものでは母指の機能改善をはかるための腱移植術、骨移植術などを行います。

巨指症


手足の数本の指が巨大化してくるものです。一側性で、手では第2・3指に多く発生し、遺伝性は見られません。指の巨大が軽い場合は皮膚や脂肪組織を切除します。骨発育線を固定して発育の抑制をはかることもあります。指の巨大がひどい場合は、指の短縮、縮小術を行いますが、数回の手術でも健側と同じ大きさにするのが困難な場合があります。

裂手(足)症


手足の中央部分の指が欠損するまれな異常で、男子に多く、優性遺伝が認められる場合があります。典型的なものは、中指が欠損し、指間の切れ込みが深く、手が裂けたような外観です。裂手症は機能的には一般に良好です。

示指を含む中央指列の欠損では深い裂部を閉鎖することによりつまみ動作が障害されるため指間閉鎖は行わないこともあります。また、合併した母指示指間の合指症と偏位を伴った三指節母指の治療は機能改善のために行われます。