Cirrhosis of liver
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慢性肝疾患の終末像 肝炎やアルコールなどによる肝障害作用が長期に持続すると、それに対する修復機転として線維化が進行し、小葉構造の改変が生ずる。その段階に達すると、たとえ障害作用が消失して肝再生しても元の構造に戻ることはない。それが肝硬変である。よって肝硬変の病理学的定義は、@肉眼的結節の形成、線維性隔壁(portal-central、portal-portal結合)の形成、B肝小葉構造の結果として偽小葉の形成、Cび慢性病変の4点に集約される。肝障害作用に対する反応としての炎症、線維化、再生は多くの原因に対し共通するので、多くの疾患が肝硬変の原因になる。最もポピュラーな原因はウイルス肝炎で約70%(B型30%、非A非B型40%)を占める。我が国には全人口の約2%がHBVキャリアだが、慢性肝炎となる患者は40万人、肝硬変は5〜6万人とされる。非A非B型のキャリアはそれよりも多く、また、成人の初感染でも慢性化し、肝硬変の原因ともなるので、B型肝炎同様重要である。最近我が国のアルコール消費量は昭和30年当時の約6倍に増加しており、アルコール性肝硬変も着実に増加し、肝硬変の原因の25%を占めるとされる。欧米では大量飲酒を契機とするアルコール性肝炎を繰り返すことにより肝硬変に進展するが、我が国ではアルコール性線維症から緩徐に肝硬変となる例が多いとされる。それ以外の原因による肝硬変の頻度は低く、すべてを合計しても5%に過ぎない。主なものでは、山梨県に特徴的にみられる日本住血吸虫症、我が国には少ないが、中年女性では自己免疫性肝炎およびその類縁疾患やPBC、まれにはoxyphenacetin、methyldopaなどの薬剤性肝障害によるものがある。長期間持続する鬱血肝、胆汁鬱滞もときに肝硬変まで進展する。その他、先天性疾患としてWilson病、ヘモクロマトーシス、糖尿病、α1ーアンチトリプシン欠損症がある。