おしらせ

日本におけるFATCOD-FormB-Jを利用した論文を追加しました。

FATCOD-FormB-Jの概要

FATCOD(Frommelt Attitude Toward Care Of Dying scale)は米国Clark Collegeの Frommelt博士によって開発された、死にゆく患者に対する、医療者のケア態度を測定する尺度です。当初は、看護師用として開発されましたが、医師やコメディカルでも用いることができるように、Form Bという形で改訂されました。日本語版はこのForm Bをもとにしておりますので、死にゆく患者のケアに関わる全ての医療者で使用することが可能です。

日本語化の作業はバックトランスレーションという標準的な翻訳手順によって行われ、信頼性・妥当性を検討する研究を行いました。その結果、日本語版(FATCOD-Form B-J)は十分な信頼性・妥当性を有することが既に示されております。 オリジナルのFATCODは30項目で1因子で使用するものですが、わが国では信頼性・妥当性研究による計量心理学的検討によって、2つの下位尺度を用いて計算することも可能となっております。この2つの下位尺度は「I. 死にゆく患者へのケアの前向きさ」「II. 患者・家族を中心とするケアの認識」と命名いたしました。われわれは、わが国による使用にあたっては、下位尺度ごとの計算を推奨しております。得点の計算方法については本稿の「2.スコアリングの方法について」をご参照ください。この日本における下位尺度での利用は原作者の許可を得ております。

また、本尺度では利用する際の簡便さから、短縮版を準備しました。原則としては、フルバージョンの使用を推奨しますが、質問紙の量の制限や、説明変数として用いる場合などに短縮版をお使いいただければと存じます。短縮版では、若干信頼性が劣ることにご注意ください。

日本語版作成のプロセスと信頼性・妥当性研究の結果については、以下の論文に詳細に記載してあります。使用にあたりましては、ご参照いただければ幸いです。

中井裕子, 宮下光令, 笹原朋代, 小山友里江, 清水陽一, 河正子. Frommeltのターミナルケア態度尺度 日本語版(FATCOD- B-J)の因子構造と信頼性の検討 ─ 尺度翻訳から一般病院での看護師調査、短縮版の作成まで─. がん看護. 2006; 11(6): 723-9.

FATCOD-FormB-Jダウンロード

■ FATCOD-FormB-J (PDF) (MS-Word)
■ FATCOD-FormB-J短縮版 (PDF) (MS-Word)

FATCOD-FormB-J使用マニュアル

■ FATCOD-FormB-J使用マニュアル (PDF)

参考文献

FATCOD-From B-Jを使用した研究では以下の論文を引用してください。

中井裕子, 宮下光令, 笹原朋代, 小山友里江, 清水陽一, 河正子. Frommeltのターミナルケア態度尺度 日本語版(FATCOD- B-J)の因子構造と信頼性の検討 ─ 尺度翻訳から一般病院での看護師調査、短縮版の作成まで─. がん看護. 2006; 11(6): 723-9.

Factor Structure and Reliability of the Japanese Version of the Frommelt attitudes toward care of the dying scale(FATCOD-B-J) , Japanese Journal of Cancer Nursing. 2006; 11(6): 723-9. (in Japanese)

FATCODのオリジナルの論文は以下です。

Frommelt KH. The effects of death education on nurses' attitudes toward caring for terminally ill persons and their families. Am J Hosp Palliat Care. 1991;8(5):37-43.

FATCOD-Form Bのオリジナルの論文は以下です。

Frommelt KH. Attitudes toward care of the terminally ill: an educational intervention. Am J Hosp Palliat Care. 2003;20(1):13-22.

以下は海外におけるFATCODを利用した論文です。

Rooda LA, Clements R, Jordan ML. Nurses' attitudes toward death and caring for dying patients. Oncol Nurs Forum. 1999;26(10):1683-1687.

Dunn KS, Otten C, Stephens E. Nursing experience and the care of dying patients. Oncol Nurs Forum. 2005;32(1):97-104.

以下は日本におけるFATCOD-FormB-Jを利用した論文です。

Miyashita M, Nakai Y, Sasahara T, et al.Nursing autonomy plays an important role in nurses' attitudes towards caring for dying patients. Am J Hosp Palliat Med. 2007; 24(3): 202-10.

清水みどり, 柳原清子. 特別養護老人ホーム職員の死の見取りに対する意識 -介護保険改定直前のN県での調査-. 新潟青陵大学紀要. 2007;7:51-62.

織本貴子, 三木明子, 西ユリエ, 内川春美, 大滝典子, 鈴木明美. 看護師と看護助手のターミナルケア態度の比較 -FATCOD-B-J尺度を用いた実態調査-. 第39回日本看護学会論文集 看護管理. 2009: 324-6.

問い合わせ先

FATCOD-FormB-Jの翻訳、信頼性・妥当性の検討は中井裕子、宮下光令によって行われました。

本ホームページについてご質問、ご意見がある方は以下までご連絡頂けると幸いです

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宮下光令 (Mitsunori Miyashita) 東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
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