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1月16日

女性医師 働き続けられる環境を
 産科や小児科を中心に医師不足が深刻だ。さまざまな対策が必要だが、とりわけ女性医師が働き続けられる環境を急いで整えたい。
 医師全体で女性は16・5%を占める。最近の医師国家試験では合格者の約3割に上り、女性医師は増えている。
 特に産婦人科は、20代後半の医師の7割近くが女性である。小児科は半数近い。いずれも同性としての視点を患者や家族と共有しやすい診療科で、女性医師が増えているのは当然だ。患者側の要望も高い。
 女性が働き続けられる病院は、男性を含めた労働環境改善につながる。全国的な医師不足の中、人材募集のPRにもなる。これからますます大事になる視点だ。
(信濃毎日新聞)

代理出産の意識調査実施へ 厚労省
 妊娠できない妻の代わりに第3者の女性に出産してもらう「代理出産」などの生殖補助医療について、厚生労働省は国民の現時点での賛否や考え方を探るための意識調査を本年度中にも実施することを決めた。
 代理出産については、厚労省の専門部会が平成15年に「禁止する」との報告書をまとめ、日本産科婦人科学会も指針で禁止している。しかし「認めるべきだとの世論が増えている」との見方もあり、実際に世論が変化しているかどうかを調べる。政府から生殖補助医療の在り方についての検討を要請された日本学術会議は、17日に初会合を開く予定で、調査結果は会議の議論にも影響を与えそうだ。
(産経新聞)

1月15日

[解説]看護師不足、全国の病院で争奪戦

「手厚い配置」で診療報酬アップ 医師会、地域医療崩壊懸念
 全国の病院が看護師の確保に奔走している。昨年4月の診療報酬改定で、入院病棟の看護師配置によって、病院が受け取れる入院基本料が増減する新基準が導入されたためだ。
 看護師集めを派手に展開する大病院に対し、防戦に追われる中小病院。看護師の不足感は強まり、診療報酬を決める厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)でも、混乱を鎮めようと議論が巻き起こっている。

高い離職率、再就職促進が課題
 厚労省によると、2005年の看護職員(看護師、保健師、助産師、准看護師)の就業者数は130万8409人。06年から5年間の需給見通しでは、需要に対し97〜99%の供給が可能とされている。ただ、この見通しには、昨年の診療報酬改定の影響は反映されていない。
 毎年、約5万人が看護学校などを卒業し、新たに看護職員になっているが、1年以内の離職率(病院間の移動も含む)は、9・3%(04年)に上る。背景にあるのは、過酷な労働実態だ。日本看護協会は「労働環境を改善して、離職率を1%減らすだけで、年間8000人を確保できる」と強調する。
 資格を持ちながら、現在は働いていない看護職員は、全国で約55万人といわれる。
(読売新聞)

平川病院が2月から救急指定撤回、医師確保困難、県に申請(青森)
 今月末までに常勤医師の退職で2人体制となり、救急医療の継続が困難になった平川市の国保平川病院が、県に2月1日から救急指定を撤回する手続きを取ったことが、10日分かった。同病院は医師確保のめどがたたず、今後の指定復活も難しいとしている。また、通常医療でも20日からの土曜日休診も決定した。
 同市の救急医療の8割近くは弘前、黒石両市の病院に依存し、平川病院の利用は2割に満たない。しかし、同病院の救急指定撤回によって弘前、黒石両市から遠い地区で救急医療が遠のくのは避けられない。
(陸奥新報)

「今後の労働契約法制の在り方について」及び「今後の労働時間法制の在り方について」についての労働政策審議会からの答申について(厚生労働省発表、平成18年12月27日)
 平成17年9月28日に労働政策審議会(会長 菅野 和夫 明治大学法科大学院教授)に対して諮問した「今後の労働契約法制の在り方について」及び平成18年2月8日に同審議会に対して諮問した「今後の労働時間法制の在り方について」について、本日、同審議会から厚生労働大臣に対して、別添のとおり答申が行われた。

規律厳守の生徒指導、違反たまると退学も 高校で試み
 規律を厳しく守らせる「ゼロトレランス」(寛容度ゼロ指導)という米国の生徒指導法が全国の高校に広がり始めている。違反が一定回数に達すると出席停止などの罰を定め、必ず守らせる「ぶれない指導」が特徴だ。厳しい指導が日本の教育風土にどこまでなじむのか。現場を訪ねた。
 〈ゼロトレランス〉 米国で90年代後半に広がった生徒指導の方法。直訳すると「寛容度ゼロ」だが、「毅然(きぜん)とした対応」などとも訳される。学校での銃乱射事件などを背景に、クリントン大統領が97年に導入を呼びかけて、法制化する州が相次いだ。重大な違反者には、放校処分やオルタナティブスクール(他の特別な教育施設)への転校も定めている。
(朝日新聞)DQNな保護者は今後減るのでは

日本経団連、連合両首脳が15日会談
 日本経団連の御手洗冨士夫会長と連合の高木剛会長の労使トップが15日会談し、07年春闘が正式に始まる。企業の業績回復を受けて労組側は前年以上の賃上げを求める方針。株主への配当や経営者への報酬が増える中で労働者への配分が抑えられてきたとして、「成果の配分構造の見直し」(高木会長)を迫る。一方、経営側は企業の競争力確保を最重要課題とし「賃金水準を一律に引き上げる余地はない」(御手洗会長)と賃上げに慎重な姿勢を崩さない。
 一定条件の会社員が労働時間規制から外れる「ホワイトカラー・エグゼンプション」についても、激しい議論が展開されそうだ。
(朝日新聞)

本音を言い合う「患者学会」を設立、医師との溝埋める
 患者の声を医療に生かすため、患者や医師、研究者らが今月、NPO法人「患者学会(仮称)」を設立する。患者同士が心の内を語り合う患者会活動の普及を手助けするほか、患者の声をまとめてデータベース化し、医療関係者が利用できるようにする予定だ。
 学会設立の中心となっているのは、草の根的に患者会活動を続けてきた、東京大学医科学研究所客員助手の田中祐次さん(36)。東大付属病院で血液内科医として勤務していた2000年4月から、患者や退院した人たちと、数か月に1回、居酒屋などで交流会を重ねてきた。
(読売新聞)

人材各社、医師紹介拡大
 人材サービス各社が医師不足に悩む地方医療機関向けなどに、紹介事業を拡大する。結婚や出産でいったん離職した女性医師の活用や、自治体と組んだ人材の発掘を進める。新人の医師が研修先を自ら選ぶ制度の導入で、従来は研修医の多くを受け入れていた大学病院経由の人材供給の流れが細ってきたためだ。
(日経新聞)

山大医学部:安心して医療に専念 職員専用保育所が開設 /山形
 ◇24時間体制でサポート
 山形市飯田西2の山形大学医学部に、職員の子供を対象にした保育所「すくすく」が開設した。不規則な勤務時間の看護師や医師のため、年中無休で24時間利用できる。
 同学部の付属病院は、月単位で職員の勤務予定を決めるが、入院患者の容体急変などで職員を呼び出すケースや、昼夜を問わない勤務になることも少なくない。既存の保育所では、急な受け入れや夜間のサービスが難しく、子育ての必要な職員は、家族の協力がなければ勤務を続けることが困難だった。
(毎日新聞)

出産可能病院が桧山でゼロに 道立江差、取り扱い休止(北海道)
 【江差】桧山管内で唯一、産科のある道立江差病院は十五日から、産婦人科の出産取り扱いを休止する。医師一人が常勤する体制は変わらないが、安全な出産医療を維持できないと判断した。今後は妊婦検診などに限って対応する。
 同病院は二○○五年度は百五十八件の出産を取り扱った。全道十四支庁で出産できる病院が一つもなくなるのは、桧山管内が初めて。
(北海道新聞)

「医師バンク」苦戦 登録伸びず実績低迷
 医療現場の人手不足を解消するためにつくられた、医師や看護師の「人材バンク」が各地で苦戦している。職場を離れた後、再就職を希望する医師や看護師に、条件が合う病院などを紹介する機関。大阪の医師バンクは再就職の実績が年間ゼロの時もあり、看護職員では就業率2割と低迷している。今月下旬には、医師不足対策の切り札として女性専用の医師バンクが立ち上がる。眠っている女性の力を掘り起こす作戦は、成功するのか。
 〈キーワード:女性医師〉 厚生労働省によると、医師国家試験の合格者に女性が占める割合は増加傾向で、05年は33.7%。04年調査では、医師全体の16.5%が女性で、小児科は31.2%、産婦人科は21.7%と割合が高い。一方、医療現場は長時間労働や当直、深夜の呼び出しが多く、女性医師は出産や育児と両立ができず、働き盛りで一線を退く例が少なくないといわれる。
(朝日新聞)

1月14日

【溶けゆく日本人】救急車をタクシー代わりに
 救急車の出動要請が急増している。平成18年版の消防白書によると、17年中の救急車の出動は527万7936件と過去最多を数えた。わずか5年でおよそ110万件も増えている。これに伴い、平均の現場到着時間もこの間、24秒延びた。
 その実態は−。横浜市が昨年4月に実施した調査では、救急搬送した軽症事案の約半数は「不適切な利用」にあたったという。
 《メモ》東京都の試算によると、救急車の出動には1回あたり約4万5000円のコストがかかる。不要かつ不急の119番通報を含む救急需要の増加に各自治体とも頭を悩ませており、対策を進める動きもある。
 都では救急出動後、現場でトリアージ(傷病の緊急度や重傷度の判断)を行い、搬送の要否の判断を行う仕組みの導入を検討中。横浜市では119番時のトリアージの導入とともに、医師や市民らによる第3者機関を設置したうえで「タクシー代わり」に救急車を要請する悪質な利用者には罰金を科すことを盛りこんだ条例の制定を目指している。
(産経新聞)

県内産科医高齢化 4割が60代以上 (青森)
 県内の産婦人科医のうち六十代以上が全体の約四割を占め、高齢化が進んでいることが十一日、青森市で開かれた産科医療提供体制のあり方に関する検討会(会長・水沼英樹弘大教授)で報告された。産科勤務医の月間の勤務時間は二百−三百時間に達し、中には「休日がない」医師もいるなど、過酷な労働環境が浮き彫りとなっている。今後、“産科離れ”が加速する恐れもあり、県は「産科医療提供体制の将来ビジョン(素案)」を策定し、産科医の集約化、勤務医の待遇改善、助産師活用などを提案した。
(東奥日報)

弘大の医師派遣 5年間で3分の1に
 弘前大学医学部が、県内自治体病院に派遣する常勤医の紹介数が、最近五年間で三分の一に減っていることが、弘大のまとめで分かった。二〇〇一年度は県内の病院に計六十八人派遣していたが、〇五年度は二十三人。各病院から大学への医師の復帰数は毎年三十人前後と、ほぼ一定なのに対し、派遣数は大幅な減少傾向にあり、医師不足に苦悩する同大の現状が、あらためて数値で示された。
(東奥日報)

賃上げめぐり論戦 経団連が労使フォーラム
 一定の条件を満たす会社員を労働時間規制から外すホワイトカラー・エグゼンプションについて、高木会長は「サービス残業がなくなっていない現状を放置したまま導入するのは本末転倒。年収900万円以上といった条件の話ではなく、日本の労働制度に入れること自体が将来に禍根を残す」と批判した。
(朝日新聞)

スーパー大手、深夜営業縮小・人件費上昇で採算悪化
 大手スーパーが相次ぎ深夜営業の縮小に転じ、閉店時間を早めている。イオンは2006年度に開店した総合スーパーの24時間営業を見送った。イトーヨーカ堂も最も遅い午後11時閉店の店を3年で半減させている。パート賃金の上昇に加え、来店客が伸び悩んでいるため。デフレ下で販売の底上げを狙い、急速に広がった深夜営業は曲がり角を迎えている。
(日経新聞)24時間救急医療における人件費は?

1月13日

終末期医療の指針で初会合、方針決定手順に絞り議論へ
 病気で回復の見込みのない終末期の患者の延命治療中止などについて、患者の意思確認方法や医療機関の手続きを定めるガイドライン(指針)を検討するため、厚生労働省が設置した医療関係者や法学者らの検討会(座長・樋口範雄東大大学院教授)が11日、初会合を開いた。
 検討会は、昨年9月に厚労省が公表した原案を基に、医療機関が治療の開始や中止、変更などの方針を決定するまでのプロセスに絞って集中的に検討することを確認。春ごろをめどに議論をまとめ、厚労省は国として初の指針を策定する方針。
(日経新聞)

残業代ゼロ法案、通常国会に提出へ 官房長官が表明
 塩崎官房長官は11日午前の記者会見で、一定の条件を満たした会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入をめぐり、「そういう(提出する)方向でいま、努力をしている」と述べ、通常国会に関連法案を提出する方針を表明した。柳沢厚生労働相は年収900万円以上の会社員に限定する考えを示しており、対象を20万人程度に絞ることで理解を得る考えだ。
 塩崎長官は会見で「いま、柳沢厚労相が精力的に各方面に説明をされている。政府としては、やはり国民の理解を十分得て提出するというのが筋だ」と強調した。
(朝日新聞)

馬の里・遠野市、常勤医確保へ馬のプレゼント作戦(岩手)
 医師不足に悩む岩手県遠野市は2007年度から、同市にある県立遠野病院に勤務する医師に、乗用馬をプレゼントすることを決めた。
 馬産地としての魅力を生かし、医師確保につなげるのが狙いだ。
 遠野病院は産婦人科の常勤医が02年4月から、06年11月からは整形外科の常勤医が不在となっている。
(読売新聞)

医師不足:遠野市が医師確保対策 開業なら2000万円助成 /岩手
 ◇県立病院勤務なら…乗用馬寄贈、家庭菜園も
 深刻化する医師確保対策として遠野市は10日、市内で開業を予定する医師に最高2000万円の一時金を助成するなどの独自の事業を発表した。県立遠野病院に勤務してくれる医師には希望によって乗用馬を寄贈、家庭菜園も無償提供するという至れり尽くせり。市側は「やれることは何でもやりたい」と真剣だ。
(毎日新聞)

市民病院に保育所設置 医師確保に職場改善 中津市が4月から(大分)
 中津市は10日、医師不足で産婦人科の存続が危ぶまれている市民病院に、4月から職員向けの保育所を設置すると発表した。職場環境を整備することで、医師確保に役立てたい考え。
 産婦人科は民間病院への転出などを理由に、3人いる医師が3月末には1人もいなくなる見通し。市は大学に医師の派遣を依頼しているが、確保のめどは立っていない。
 病院は「産婦人科医師には比較的女性が多い。環境を整備することで、確保につなげたい」と話している。
(西日本新聞朝刊)

1月12日

残業代不払い制:次期通常国会に提出方針 厚労省
 「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」(残業代不払い制)をめぐり、厚生労働省は10日、労働時間規制の除外対象者を年収900万円以上とする労働基準法改正案を、次期通常国会に提出する方針を与党に伝えた。同制度には「長時間労働を助長する」「過労死を激増させる」など与野党から強い批判が出ている。
(毎日新聞)

大阪市立総合医療センター:医事部門の課長、民間人から公募 /大阪
 大阪市は、経営改善が急務となっている病院事業の建て直しの一環として4月から、病院経営の根幹を担う部署である市立総合医療センター医事部門の担当課長に民間人を登用することを決め、9日に募集を始めた。
 市内部での人材確保が困難であることなどから公募を決めた。担当課長は医事部門の管理者として病院の増収策の検討に当たるほか、医療事故防止策など安全管理体制の構築などにも携わる。
(毎日新聞)

現場は苦境/産科・助産所アンケート(山口)
 産科を持つ県内の病院や助産所を対象に朝日新聞山口総局が行ったアンケートでは、出産をめぐる医療に対する意見や提言も募った。県内で分娩(ぶんべん)を取り扱う施設が減りつつある現状を反映して、医療現場の苦境を訴える切実な声が数多く寄せられた。
 アンケートに回答した75施設のうち、病院3、診療所14、助産所2の計19施設がこの10年以内に分娩の取り扱いを中止していた。
 この3年以内にやめたと答えた診療所の医師は「(1)60歳になって体力、気力が衰えた(2)手術のときに連携していた近所の産婦人科医が出産の取り扱いをやめた(3)分娩数が10年前と比べて半減し、採算割れの恐れが出てきた」を理由に挙げた。中止の理由としては「医師不足」(公立病院)▽「夜勤者の確保に苦労する」(診療所)▽「助産師がいなくなった」(病院)といった声も上がった。「医療事故を起こしてしまうのが恐ろしい」という診療所もあった。
(朝日新聞)

診療費領収書に広告 奥州市立総合水沢病院(岩手)
 岩手県奥州市立の総合水沢病院は新年度から、経営改善に向けた収入確保策として、診療費の領収書に広告を掲載することを決めた。同病院によると、公立病院が領収書の広告掲載に踏み切るのは珍しく、岩手県内では初めてという。広告スペースは領収書裏面を使う。窓口支払い用が、年間発行実績相当の4万5000枚掲載で6万5000円。機械入金用は9万5000枚掲載で9万2000円。それぞれ一枚に広告2枠を掲載する。
(河北新報)

医師不足で初診受け入れ制限、岡崎市民病院(愛知)
 岡崎市民病院は9日、医師不足に対応して2月1日から「消化器科」と「耳鼻いんこう科」での初診を、原則として医療機関の紹介状のある患者に制限する、と発表した。病院側は「このままでは、緊急を要する重篤な入院患者にリスクを背負わせる。医師不足が解消すれば、すぐにでも撤廃する」とするが、公立病院としての役割に疑問の声が出そうだ。
 消化器科は医師の定員7人に対して医師免許取得後の初期臨床研修を終えた専攻医1人を含む5人態勢、耳鼻いんこう科は医師の定員3人に対して3月末見込みで1人減の2人態勢と、それぞれ医師不足が深刻となっている。
(中日新聞)

女医5割 出産で仕事制約、育休も取得せず(沖縄)
 県内の全94病院に勤務する女性医師へのアンケート結果(219人が回答)で、子どもがいる女性医師61人のうち、出産を機に職場変更(14人)や退職(6人)をするなど、55・9%(33人)が仕事内容に何らかの制限をしていたことが分かった。9日夜、那覇市のオーガストイン久茂地で開かれた第8回県医師確保対策検討委員会専門部会で県医務・国保課が報告。県が女性医師の勤務環境を調査したのは初めて。
(琉球新報)

心臓手術 件数で死亡率に差、年25件未満、100件以上の2倍
 心臓手術を年25件未満しか行っていない病院の死亡率は年100件以上の病院と比べて約2倍高い――。
 日本胸部外科学会は昨年10月、このような調査結果を発表した。手術件数と治療成績が相関することが全国約470施設を対象にした大規模調査で初めて証明された。
(読売新聞)

1月11日

<残業代不払い制>改めて早期の創設要望 経団連会長
 日本経団連の御手洗冨士夫会長は9日、一定の条件を満たすホワイトカラーの会社員を労働時間規制の対象外とする、日本版ホワイトカラー・エグゼンプション制度について「次の通常国会で法案を成立させて導入してほしい」と改めて早期の創設を求めた。労働組合や与党内からは反発や慎重な議論を求める意見が続出している。
(毎日新聞)

労働時間除外制は通常国会で審議を・経団連会長
 日本経団連の御手洗冨士夫会長は9日の記者会見で、一定条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」に関して「仕事の達成度と時間が一致しない職種はたくさんある。審議会の提言を早く実現してもらいたい」と述べ、労働基準法改正案を次期通常国会に提出すべきだとの考えを強調した。
 中小企業金融公庫の新総裁に帝人の安居祥策相談役が決まったことについては「安倍晋三首相の官から民への政治姿勢が明確に表れている」と歓迎する意向を示した。
(日経新聞)

グローバル化 止まらない
 わざわざタイまで海外旅行に出かけて、医者にかかる人が増えているそうだ。
 「メディカル・ツーリズム」と呼ぶ。ホテルのような病院に最新の医療機器がそろい、通訳や日本人職員、日本の大学へ留学した医師もいる。それでいて治療費は格安とか。
 タイは国をあげて外国人患者を誘致している。延べ人数で年間100万人の外国人が治療を受けていると推定される。このうち2割前後が日本人で、国別では最も多いという。
(読売新聞)

県立病院治療費 1億円以上未払い(埼玉)
 県立病院で、1年以上未払いになっている治療費が06年3月末で1億円を超えていることが、県の調査で分かった。県病院局は、クレジットカードによる診療費支払いや、悪質な滞納者に対して裁判所を通じて督促するなどといった対応の強化を検討しており、こうした対策を盛り込んだマニュアルの作成を急いでいる。
(朝日新聞)

減り行く産む場所/産科・助産アンケート(山口)
 「いずれ中止する可能性がある」「続けるが、将来的には不安」――朝日新聞山口総局が、産科を持つ県内の病院や助産所などに分娩(ぶんべん)の取り扱いについてアンケートしたところ、そんな声が相次いだ。回答した75施設のうち、少なくとも19施設がこの10年以内に分娩の取り扱いをやめていた。全国的に産科医不足が指摘される中、県内でも「産む場所」が減りつつある現状が浮き彫りになった。
(朝日新聞)

ハイリスク妊婦緊急受け入れ枠確保へ…大阪の基幹病院
 医師不足で産科の閉鎖が相次ぐ中、妊婦が集中する大阪府内の10基幹病院で、分娩(ぶんべん)予約を制限し、出産間近の胎児や母体の危険が迫っているハイリスクの妊婦の緊急受け入れ枠を確保しようとする動きが広がっている。すでに4病院が制限を始め、6病院の中には制限を検討する医療機関も。背景には、奈良県・大淀病院で意識不明になった妊婦が、奈良、大阪の19病院で転院を断られて死亡したケースなど、周産期医療体制の〈ほころび〉に対する危機感があり、関係者は「肝心な時に妊婦を受け入れてこそ基幹病院の役割が果たせる」としている。
(読売新聞)

出産時事故の「無過失補償」 創設へ向け来月から論議
 出産時の医療事故で、赤ちゃんが脳性麻痺(まひ)になった場合、医師に過失がなくても補償する「無過失補償制度」について、厚生労働省などは補償の対象や金額、事故原因の究明のあり方など制度の詳細をまとめる運営委員会を2月上旬に立ち上げることが8日、分かった。同制度は医療紛争の早期解決を図って患者や家族の負担を減らし、訴訟が多く、敬遠されがちな産科医不足を解消するのが狙い。来年度中の運用開始を目指し、厚労省はようやく重い腰を上げたが、出産事故はお金で解決できるものではなく、課題は多い。
(産経新聞)

生活保護の厳格支給へ判定会議 新年度から自治体に順次設置 就労能力を審査
 生活保護費の増加が全国の自治体財政を圧迫しているのを受け、厚生労働省は八日、生活保護費支給を厳密に審査するため、新年度から全国の自治体に複数の医師や就労支援専門員、ケースワーカーなどで構成する「稼働能力判定会議」を順次設置することを決めた。札幌市は「生活保護費は増加の一途。就労を後押しすることで、抑制に結びつけたい」と新年度の会議設置に向け近く検討に入るほか、道も前向きな姿勢を示している。
(北海道新聞)

入院医療費、1回あたり定額に・厚労省検討
 厚生労働省は入院医療を対象に、病気やケガの種類が同じなら検査・投薬の数量や日数にかかわらず医療費を入院1回あたりの定額とする新制度を導入する検討に入った。過剰診療を減らして医療の効率化を促し、欧米より長い入院日数を短縮する狙い。2008年4月の診療報酬改定で導入を目指す。
 現在の医療費は入院・外来にかかわらず投薬や検査など診療行為ごとに決めた報酬単価を積み上げて算定する「出来高払い」が原則。診療行為をすればするほど医療機関が受け取る報酬が増えるため、必要性の低い検査をするなど過剰診療になりやすい面がある。
(日経新聞)

1月10日

伊賀・熊野が関西になる日:道州制への期待/7 亀井利克・名張市長に聞く /三重
 −−今後、どんな広域連携を目指すか。
 県境を越えて、(奈良県の病院と)病院同士の機能分担を考えていく。そうしないと(医師不足で)どんどん病院の機能がやせ細っていくばかりだ。
(毎日新聞)

給食費未納、4万人分20億円超 初の全国調査
 学校給食費の未納問題で、文部科学省が初めて実施した全国調査の結果、平成17年度の未納額が総額20億円を超える見通しであることが分かった。公私立の小中学校全体の未納額が明らかになるのは初めて。20億円は児童・生徒約4万人分の給食費1年分にあたり、前年度以前からの累積額を合わせるとさらに膨らむ。深刻な事態を受け、法的措置を検討する自治体はさらに拡大しそうだ。
 現在は最終集計の段階で、さらに都道府県教委に精査を求めている部分もあるが、総額は20億円を超える見通しとなった。一部の自治体は、既に議会などで調査結果を発表しており、経済的に余裕がありながら給食費を払わない保護者が多い実態が浮かんできている。
(産経新聞)

ホワイトカラーエグゼンプション 中川幹事長が慎重姿勢
 自民党の中川秀直幹事長は7日のNHK番組で、労働時間規制を一部撤廃する「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」について「デフレから脱却した局面で導入するのがふさわしいという感じがする」と述べ、現段階での導入に慎重姿勢を示した。公明党も同制度の導入に反対姿勢を示しており、通常国会への関連法案提出は困難な情勢となった。
 同制度は一定以上の年収がある事務系職員を対象に1日8時間、週40時間の労働時間規制を適用除外とするもの。厚労相の諮問機関「労働政策審議会分科会」が昨年末に導入を求める報告書をまとめ、厚労省はこれに基づき通常国会に法案を提出したい考えだ。
 中川氏は「サラリーマンが家庭にいる時間が長くなる。仕事の成果があがれば短時間労働でもいいという考え方は方向性として理解できる」と述べながらも、「長時間労働による過労死を招いたり、賃金抑制の手段に使われたりするのではないかという懸念がある。経営者側や政府による説明責任は十分ではない」と語った。

「残業代ゼロ」の労基法改正案、通常国会提出見送りか
 一部の事務職らを法定労働時間規制から外し、残業代をゼロとする「日本版ホワイトカラーエグゼンプション」制を導入するための労働基準法改正案は、25日召集予定の通常国会への提出が見送られる公算が大きくなってきた。
 柳沢厚生労働相は提出に前向きだが、与党幹部から慎重意見が相次いでいるためだ。
 自民党の中川幹事長は7日のNHK番組で、「本来歓迎されるはずのサラリーマンやその家族から歓迎されていない。経営者や政府の説明が不十分ではないか」と述べ、改正案の国会提出は時期尚早だとの考えを示した。また、「個人的には、名目成長が実質成長を上回るような安定的な局面で(法案審議を)やるのが一番ふさわしいと思う」と述べ、デフレの完全脱却後の導入が望ましいとの考えを示した。
 公明党の太田代表も7日夜、新制度に反対の意向を改めて表明した。自民党の丹羽総務会長も「賃金の抑制や長時間労働を正当化する危険性をはらんでいる」と難色を示している。
(読売新聞)

呼吸器外し、倫理委が容認 異例の決定、時期尚早と岐阜県
 岐阜県立多治見病院(舟橋啓臣院長)の倫理委員会が2006年10月、回復の見込みがないと判断された患者本人が事前に文書で示した希望に基づき、人工呼吸器の取り外しを含む延命治療の中止を容認する決定をしていたことが7日分かった。しかし岐阜県の「国の指針もなく、時期尚早」との意見で外されないまま患者は死亡した。
(北海道新聞)

1月9日

生きる・福島2007:命の輝きを求めて/5止 減少する産婦人科医 /福島
 ◇医療事故で風当たり 敬遠する学生や研修医−−行政の具体策が不可欠
 県内では、県立大野病院で起きた帝王切開手術中の医療事故で、昨年2月、産婦人科医が業務上過失致死、医師法違反容疑で逮捕、起訴された事件以降、産婦人科医不足問題がさらにクローズアップされた。
 県の産婦人科医会長を務める幡院長は、全国の産婦人科医からの後押しを受けて起訴された医師の支援に取り組み、これまでに保釈金や裁判での弁護士費用などを募金からねん出してきた。
 幡院長は「あの一件以来、学生や研修医の間でますます産婦人科医を、敬遠する向きが強くなったのを肌で感じる」と危機感を募らせる。大野病院をはじめ、県内でも産婦人科の休診が相次いでいるが、「行政は医師の集約化を叫ぶが、民間の医師をどう巻き込むか具体策がない」と指摘する。
 産婦人科医は妊婦の予期しない出産に備え、医師の中でも拘束時間が長い。それに見合った収入があるかと言えば、そうではないという。
(毎日新聞)

残業代の割増率、時間に応じ3段階に・厚生省方針
 厚生労働省は雇用ルール見直しの柱の一つとして検討してきた残業代の割増率引き上げについて、1カ月の残業時間に応じて3段階の割増賃金を支払う新制度を導入する方針を固めた。健康への悪影響が増すとされる月80時間を超す残業については、現行(最低25%)より大幅に高い50%の割増賃金を義務づける方向で労使と調整する。長時間労働を是正する狙い。ただ、規制強化だけが先行する形になれば、経済界の反発も強まりそうだ。
 厚労省は新制度を盛り込んだ労働基準法改正案を通常国会に提出。具体的な割増率は政省令で定め、早ければ2008年にも実施する。時間外労働の賃金体系を見直すのは休日労働の割増率を決めた1994年以来。
(日経新聞)

残業代なしの労基法改正案提出、公明代表が難色
 公明党の太田代表は6日のNHK番組の収録で、「日本版ホワイトカラーエグゼンプション」制を導入する労働基準法改正案の通常国会提出について、「基本的には賛成できない」と語った。
 一部の事務職らを法定労働時間規制から外す同制度について、太田氏は「残業代が生活に組み込まれる現実があったり、職種によって残業の形態が違ったりしている」と述べ、慎重な検討が必要だと指摘した。
 また、今夏の参院選に合わせた衆参同日選の可能性について、「『100%ない』と断言したい。理屈も理由も全くない」と語り、党として反対する考えを強調した。
(読売新聞)

残業代ゼロ見送り論、与党に強まる 厚労省に戸惑い
 一定の条件で会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入する労働基準法改正について、今年の通常国会では見送るべきだとの声が与党内で強まっている。労働界が猛反対しており、「サラリーマンを敵に回しては、夏の参院選は戦えない」との懸念からだ。だが、この制度導入は安倍首相が掲げる成長戦略の支えであるほか、ほかの労働法制見直しともからんでおり、簡単には見送れない事情もある。
 この制度では、労働時間を1日原則8時間などと定めている労基法を見直し、一定年収以上のホワイトカラーを対象に規制を除外する。厚生労働相の諮問機関の労働政策審議会では導入に積極的な経済界と、反対の労働側が対立。先月27日に同審議会は「導入は適当」としつつも、労使の主張を併記し、年収条件も明記しない玉虫色の報告書を公表した。厚労省は25日からの通常国会に関連法案を提出する方針だ。
 与党幹部の発言に、厚労省幹部は戸惑いを隠さない。今回の労働法制の見直しでは、残業代ゼロのほかにも、最低賃金の引き上げやパートの正社員化を促すパート労働法改正など、さまざまな課題がある。「最低賃金引き上げなどで労働側の顔を立て、エグゼンプションは経営側の主張を採り入れる。寄せ木細工のように双方の利害を調整したのに、これだけ認めないとなれば、全体が崩れかねない」と懸念する。
(朝日新聞)

1月8日

大学生「夢」の診療所設立、会社・学校帰り気軽に受診
 会社や学校帰りに気軽に寄れるコンビニエンスストアのようなクリニックが欲しい――。そんな願いを大学生たちが実現した。
 東京のJR新宿駅前に昨年11月、オープンした「コラボクリニック新宿」の診察時間は午後6時から3時間。リピーターも増加しており、学生たちの発想は利用者の心をつかんだようだ。
 クリニックを考案したのは、東京大学、東京芸術大学などの学生約20人。東大1年の城口(きぐち)洋平さん(19)が受験生時代、かぜを引いても、昼間は学校があって病院に行きにくかった経験から、“コンビニクリニック”を思い描いていたのがきっかけだった。
(読売新聞)

労働時間規制は慎重検討、首相、政府・与党で調整
 安倍晋三首相は5日夜、労働時間規制を一部撤廃するホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)の導入について「いろいろな観点から、与党と議論を深める必要がある」と述べ、慎重に検討を進める姿勢を示した。
 柳沢伯夫厚生労働相が制度導入に向け通常国会への法案提出に意欲を示す一方で、自民党の丹羽雄哉総務会長や公明党の太田昭宏代表らから参院選を意識して慎重論が浮上していることを踏まえ、政府・与党間の調整を十分に行う必要があると判断したとみられる。
 首相は、日本人の労働実態について「家族と過ごす時間は少子化対策にとっても必要だ。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)も見直していくべきだ。日本人は少し働きすぎではないかと思っている人も多い」と指摘。
 柳沢厚労相は5日の記者会見で「日本のホワイトカラーの生産性を高めるために必要」との認識を示している。
(共同通信)

厚労省、社員の健康確保義務付け・労働時間規制除外制度
 厚生労働省は与党内から導入に異論が出ている、一定条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度について、企業に社員の健康確保措置を義務付けることを前面に出し理解を得たい考えだ。与党や労働界の「賃金を抑制し長時間労働を正当化する」との批判に応え、 1月開会の通常国会での労働基準法改正案の提出を目指す方針だ。
 新制度は企画など時間で成果を計りにくい業務に携わる、年収が一定以上ある会社員が自分の裁量で労働時間を決められる。ただ、「労働時間に歯止めがかからなくなる」との批判は根強い。残業代という概念がないため「残業代ゼロ法案」と指摘する声もある。
(日経新聞)

1月7日

入院を全面再開、名張市立病院小児科(三重)
 医師不足で小児科の入院、救急を休止していた名張市立病院は4日、関西医科大から2人目となる常勤医の派遣を受けて小児科の入院を全面再開、救急を部分再開した。
 市立病院小児科は常勤医2人体制になったことで入院治療を再開。救急は入院が必要な重症患者や、市内医療機関からの紹介患者を対象に、時間内救急(午前8時半−午後5時)は平日毎日、時間外救急(午後5時−翌日午前8時半)は毎週火曜日と木曜日に限って受け付ける。
(中日新聞)

女医さん復帰、たった1人、小児科医不足解消へ…厚労省“目玉事業”
 全国の病院で小児科医不足が進む中、出産や育児で現場を離れた女性医師らに戻ってきてもらおうと、厚生労働省が昨年度から始めた研修事業が、完全に空振りの形になっている。
 研修事業は、離職した医師に指導医のもとで研修を受けてもらい、現場復帰を促そうというもので、都道府県への補助事業として昨年4月にスタートさせた。研修対象は限定していないが、「出産や育児で離職した女性医師が主なターゲット」(厚労省)という。
 ところが、昨年1年間に、この予算で研修を受けたのは、兵庫県の女性医師1人だけ。他の地方の利用者はゼロで、今年度も実施のめどは立っていない。
(読売新聞)

平成18年度家族計画・母体保護法指導者講習会、「産婦人科医療をめぐる法的諸問題」をテーマに
 日医と厚生労働省共催の平成十八年度家族計画・母体保護法指導者講習会が,昨年十二月二日,日医会館大講堂で開催された.
 今村定臣常任理事の司会で開会.唐澤人会長はあいさつで,「医師の偏在,特定の地域,診療科での医師不足は大きな社会問題となっている.特に産婦人科医療については,医療訴訟や過重労働のため医師が減少し,産科をやめる医療機関が増加しており,安心してお産ができる体制が維持できない危機的状況にある.福島県で医師が逮捕された問題は,妊婦の救命に尽力した医師を犯罪者と同様に扱うという,医療の本質を理解していない許しがたい事態である」との考えを示した.
(日医ニュース)

残業代ゼロ法案「次期通常国会に提出」 厚労相が強調
 柳沢厚生労働相は5日の閣議後の記者会見で、一定年収以上の会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入に与党内から慎重論が出ていることについて、「次期通常国会に法案を提出する方針を変えるつもりはない」と改めて強調した。
 柳沢厚労相は「与党内で十分な理解がいただけていない」と認めつつ、「企画・立案を担当するホワイトカラーの生産性を上げるためにも、労働時間ではなく、どんないいアイデアを出し、制度化したかで成果をはかるべきだ」と述べた。
(朝日新聞)

文科省:がん専門医を養成 拠点の14大学公募
 がん専門医師などがん治療に特化した人材の育成を、文部科学省が来年度から始める。全国14大学を地域の人材養成拠点とし、抗がん剤や放射線などによる治療にとどまらず、痛みを和らげる治療(緩和ケア)への正しい知識を持つ医師を育てることも想定している。
 「がんのプロフェッショナル養成プラン」として、来年度予算案に14億円が盛り込まれた。公募で14大学を選定し、数年間、補助金を出すなど継続的に支援する。
 計画によると、若手医師向けには、大学院の博士課程4年間で臨床と研究をバランスよく経験させ、専門的な能力を身につけるコース▽学会の認定医や専門医向けに高度な知識や技術を習得させるコース▽医師とのチーム医療が求められる看護師、薬剤師、放射線技師などを対象に、臨床現場に即した教育を行うコース−−と、人材別に三つのコースを設ける。また、大学院と大学病院が協力して育成に取り組むための調整役となる、コーディネーターも配置する。
(毎日新聞)

残業代不払い制:通常国会提出見送り論強まる
 個人が働く時間を自らの裁量で決められる一方、残業代は一切支払われないという「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度の導入を盛り込んだ労働基準法など労働法制改正案について通常国会(25日召集)への提出見送り論が4日、与党内で強まった。「残業代を取り上げ、働き過ぎを助長する」など労働側からの批判が極めて強く、4月の統一地方選や7月の参院選への悪影響は避けられないとの判断からだ。厚生労働省は今国会提出を目指す構えだが、協議会を設置することで「時間切れ」を狙う案も与党内には浮上している。
 同制度は管理職一歩手前の事務職の会社員(ホワイトカラー)を対象に、労働基準法に基づく労働時間規制(1日8時間)を除外し、成果などを基に賃金を支払うもの。厚労相の諮問機関「労働政策審議会」の分科会が先月27日にまとめた最終報告は、具体的な条件として(1)労働時間では成果を適切に評価できない(2)重要な権限と責任を伴う(3)年収が相当程度高い−−などを挙げた。
(毎日新聞)

山形大、退職医師を地域医療に――最長1年かけ再教育
 【山形】山形大学医学部は2007年度から、公立病院の退職医師などを再教育し、医師不足に悩む地域の病院などで勤務してもらう事業を始める。最長1年をかけて医療全般を担える医師に再生し、地域医療に貢献させる。東北、北海道を中心に当面、15人を目標に希望者を募る。今月から担当教員らが公立病院を訪問し、現実的な医師のニーズを探る。
(日経産業新聞)

1月6日

山陰両県で看護師争奪戦
 山陰両県で看護師の争奪戦が起こっている。昨年四月から看護師を多く配置すれば、病院の収入源となる診療報酬が増えるようになったためだ。競争は全国に広がり、大病院が大量募集に走る一方で、中山間地域の中小病院は確保に苦労している。地方の看護師不足に拍車がかかる懸念もあり、看護体制充実をうたった制度改定は「もろ刃の剣」となって、地方の医療を脅かしている。
(山陰中央新報)

新生児医療に地域格差 厚労省研究班が初調査
 リスクの高い妊婦と赤ちゃんをケアする全国各地の「総合周産期母子医療センター」など周産期医療の中核施設で、2003年に入院した出生体重1500グラム以下の赤ちゃんの治療結果を比較すると、救命率が100%から78%まで施設間で格差のあることが4日、厚生労働省研究班が行った初の調査で分かった。
(北海道新聞)

伊賀・熊野が関西になる日:道州制への期待/3 医療 /三重
 医師不足問題で、名張市立病院も05年7月から小児救急と入院を停止した。小児科医不足を解消するため、亀井利克市長は関西へ活路を求めた。
 「名張の住民意識は大阪に向いています」。独自に小児科医を確保するため亀井市長や家里英夫・市立病院事務局長らは05年10月、関西医科大に金子一成教授(小児科)を訪ね、小児科医の派遣を依頼した。金子教授は承諾し、06年4月から小児科医の派遣を始めた。「名張が関西圏だというのは派遣を決める材料の一つになった」と金子教授は振り返る。
 今月4日から同病院の小児科医師が増員され、救急も一部再開される。「救急や専門的な治療では今後、関西医科大の付属病院(大阪府枚方市)で受診するケースが出てくる。その時、同じ関西圏なら患者(や家族)も病院の雰囲気になじみやすい」。金子教授と家里事務局長は口をそろえる。
(毎日新聞)

長浜の公立2診療所 3月末廃止、地域医療の役割終え
 長浜市内の公立診療所2施設が2007年3月末で廃止される。長浜市営のびわ診療所(益田町)と、湖北広域行政事務センターが運営する休日急患診療所(宮司町)で、いずれも地域医療を支えてきたが近年、利用者数が減ったため大病院や民間医療機関にバトンタッチすることになった。
(京都新聞)

63市町村で分娩不能(中国地方:5県の全114市町村の55.3%)
 離島や中山間地域で産科医師の不足が深刻さを増す中、分娩(ぶんべん)できる医療機関のない自治体が中国地方では63市町村に上ることが、中国新聞の調べで分かった。2006年に井原市や山口県周防大島町でも、お産ができなくなるなど、5県の全114市町村の55.3%にも達している。過酷な勤務実態に加え、訴訟が多いなど高いリスクが医師不足に拍車を掛けている。広島県では3市6町で病院や診療所がない。
(中国新聞)

1月5日

<いのちの樹> 第1部−芽生える
(2)産婦人科医の現場、女性進出の環境づくりが課題

 過酷な勤務から、産婦人科医のなり手は少ない。センターは定員7人だが、現在は三重大から派遣される5人だけ。前川さんも月5回の当直と12回の自宅待機。遠出はできない。当直を挟んで2日間に及ぶ36時間もの勤務を終えて帰宅すると夜9時近く。体力勝負だ。
 日本産科婦人科学会によると、年代別の医師数は30代は男女ほぼ半々だが、30歳未満は女性が7割を占め、女性の進出が目覚ましい。
 だが、結婚や出産で辞めたり、開業医やパート医に転じるケースは少なくない。産婦人科医不足の背景に、女性医師の増加が指摘されるのはこのためだ。三重大の産婦人科医局にも2003年に女性医師は14人いたが、今では8人。
 女性産婦人科医が思い通りに働き続けられる環境づくりが求められる。
(中日新聞)

残業代ゼロは時期尚早 公明・太田代表が強調
 公明党の太田代表は2日、東京都内で街頭演説し、一定条件を満たした会社員を労働時間規制から外し、残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、「一気にそんな制度をつくったら大変だという声がちまたにあふれている。慎重の中にも慎重にやっていかなければならない」と語り、今年の通常国会での法制化は時期尚早だとの考えを示した。
(朝日新聞)

1月4日

産婦人科医の減少、地域の不安解消を急げ(岩手)

 労働過重の勤務状況
 本県でも、ここ数年、5カ所の病院で分娩を休止した。来年4月から盛岡市立病院の産婦人科も休診する方針だ。
 厚生労働省調査で、2004年末現在の全国の医師数は着実に増加している。一方、産婦人科医数は徐々に減少している。本県の場合も医師数は増減を繰り返しながら微増傾向にあるが、産婦人科医は減少している。
 産婦人科医減少の背景には、過重労働と医療訴訟の多発などが挙げられる。長い拘束時間は、体調不良を招き、医療過誤の原因にもなろう。
 過酷な勤務状況を裏付けている気掛かりな結果がある。それは今年6月に県産婦人科医会がまとめた、県内で分娩を取り扱う病院施設に勤務する産婦人科医対象の調査結果だ。
 1カ月の夜間呼び出しが平均で14回。20−30回に及ぶ医師も26%いる。また、1カ月の超過勤務時間は平均61時間である。肉体的、精神的労働過重の中で、使命感を持ちひたむきに仕事に打ち込んでいることがうかがわれたが、現状のままでは、医師は減り、さらに過酷な勤務となり悪循環に陥るだろう。
(岩手日報)

呼吸器外し、14%が経験 延命中止依頼受けた79%
 回復の見込みがなく死期が迫った救急患者の終末期医療について、全国の救命救急センターすべてを対象に共同通信が2日までに行った調査で、回答した95施設(回答率48%)のうち「人工呼吸器の取り外しを経験したことがある」施設が14%に上ることが分かった。「患者や家族から呼吸器を含む延命中止を求められたことがある」は79%に達した。
(北海道新聞)

産科医不足で県が「院内助産所」研究へ(栃木)
 分娩(ぶんべん)に対応しない産科医が増えている現状を踏まえ、県は31日までに、中核病院内で産科医ではなく助産師が中心になって分娩を介助する「院内助産所」を設けることができないか検討を始めた。助産師は独立して分娩を取り扱える国家資格者だが、これまで病院内では産科医の補佐と位置付けられることが多かった。
(下野新聞)

1月3日

命を巡る現場から:第1部/1(その1) 命守る 小児科医療 /広島
 ◇夜間診療求める声
 県内で365日24時間対応している小児救急医療拠点病院は、広島市立舟入病院▽市立三次中央病院▽厚生連尾道総合病院と福山市内4病院で輪番対応している福山地区−−の4カ所。そのほか、命にかかわる重篤な患者の治療をする救命救急センターが広大病院や県立広島病院など5カ所ある。
 ◇地域差
 県内で、小児科を主な診療科とする医師は349人(県まとめ、04年現在)。98年の330人から微増傾向にはあるが、安芸太田、大崎上島、神石高原の3町では、1人もいない。
 ◇ねじれ現象
 県医療対策室によると、15歳未満人口が減少する一方で、小児救急患者が増加するねじれ現象が起きているという。表は舟入病院を訪れた夜間小児救急患者と救急で同病院の医療圏域とされる15歳未満人口を示している。患者数が99年度の2万7764人から徐々に増加を始め、05年度には3万7321人まで達している。15歳未満人口は99年度の22万8531人から05年度には20万7506人に減少している。
(毎日新聞)

女性の復帰を支援 Uターン働きかけ、滋賀県 医師確保へ本腰
 深刻化する医師不足の解消を目指し、滋賀県は新年度、本格的に動き始める。出産や介護を理由に長期間、医療現場を離れた女性が職場復帰できるよう再研修の場をあっせんし、県外の病院で働く県出身の医師にUターンを勧誘する。
(京都新聞)

1月2日

妊婦緊急搬入4割拒否 昨年 福岡市のNICU備えた3施設 満床、人手不足理由に
 切迫早産などで生命の危険が迫った妊婦を、一般の産婦人科病院・医院から受け入れる役割を担う福岡市内の大学病院など主要3施設が昨年1ー11月、新生児集中治療室(NICU)の満床などを理由に、要請のあった約4割の受け入れを断っていたことが31日、分かった。昨年8月には奈良県で妊婦が分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥り、県境を越えた計19病院に搬入を断られた末に死亡する悲劇が起きたが、九州で最も産婦人科施設が充実している福岡市でも安心できない実態が浮き彫りになった。
(西日本新聞)

少子化対策で重点戦略、来月中旬にも検討会議…政府方針
 政府は、人口減少が急速に進むとの将来推計人口を受け、出生率の低下に歯止めをかけるための「少子化対策重点戦略」を策定する方針だ。
 重点戦略は、これまでの少子化対策で重視してきた育児サービスの充実だけでなく、総合的な施策とする。具体的には、働き方の改革、経済的支援、地域・家族の再生、若者の自立支援などのテーマを設け、それぞれ作業部会を設ける予定だ。
 政府内にはすでに閣僚による少子化社会対策会議などが置かれているが、経済界なども巻き込んで対策を講じる必要があると判断した。
(読売新聞)

宮城県こども休日夜間コール事業 小児科医も電話応対
 子どもの急病の相談に応じる「宮城県こども休日夜間安心コール」について、県は2007年度から、現在の看護師2人に加え、小児科医も電話応対できる体制にする方向で調整を進めている。的確な指示とともに、専門医の“存在”によって急病で動揺する親の安心感を高めたい考えだ。
 安心コール事業は、県が県医師会に委託。県の単独事業で、06年度予算は498万円。小児科医が応対できる場合には、国が費用の半額を補助する。
 06年度(11月現在)の相談件数は812件で、05年度の521件を大きく上回っている。91%が未就学児の相談。内訳は発熱(287件)、せき(72件)、発しん(59件)と続く。
(河北新報)

1月1日

産婦人科医に特殊勤務手当支給、市立長浜病院 人材確保へ(滋賀)
 長浜市は来年1月から、市立長浜病院(滋賀県長浜市大戌亥町)に勤務する産婦人科医に、勤務した日数や分娩(ぶんべん)業務に従事した回数に応じて特殊勤務手当を支給する。全国的に産婦人科医が不足しており、同病院は報酬面で優遇措置を講じて医師を確保したい、としている。
 同病院によると、全国の産婦人科医は1994年からの10年間で8・6%、約900人減少した。医療訴訟が起こされるリスクが高く、当直勤務が多いなど過酷な勤務を強いられる傾向が強いため志望する医師が減っているという。
 同病院の産婦人科でも今年2月まで、常勤医3人の態勢だったが、現在では2人に減っている。大学医学部に医師派遣を要請しているが、思うに任せないのが実情だ。
 このため長浜市は来年1月から、産婦人科医に2種類の特殊勤務手当を支給することにした。当面、勤務した日1日につき5000円を支給し、分娩1件あたり3000円を支払う。
(京都新聞)

ヘリで離島巡回診療 厚労省が新事業 鹿児島など想定 医療空白地解消へ
 厚生労働省は来年度から、巡回診療が難しい離島にヘリコプターで医師を定期的に派遣し、日常医療の充実を図る新事業に乗りだす。離島を中心になお全国で1000カ所以上にのぼる「医療空白地帯」の解消に向けた取り組み。当面、長崎、鹿児島両県と東京都の3都県での実施を想定している。
 全国では、地域の中心から半径4キロ以内に医療機関がない「無医地区」や、これに近い「準無医地区」が計1100カ所以上あるといわれる。中でも離島は最も医療不安が高く、抜本的な改善策が必要と判断した。
(西日本新聞)

12月31日

深刻な分娩の実態調査へ 県が来年早々(栃木)
 県内で子どもを産む場所を見つけられない「お産難民」の発生が懸念される中、県は年明け早々、県内医療機関の分娩(ぶんべん)取り扱い状況の実態調査に乗り出す。統計上、県内の産婦人科医数はほぼ横ばいで推移してきたが、分娩を中止する医療機関が後を絶たず、医師数だけでは分娩の取り扱い実態が把握し切れないためだ。分娩を手掛ける医療機関が、今後どれだけの分娩を受け入れられるかの「余力」なども調査し、施策の基礎データとする考え。
(下野新聞)

会員医師が時間外診療 加賀市医師会、市民病院で2月から(石川)
 加賀市医師会は来年二月四日から毎日曜・祝日の午前中、同市民病院に医師を派遣し時間外診療に当たることを決めた。曜日や時間的制約はあるものの、既存病院を活用した新しい形のミニ救急センターと言え、地域医療を担う医師会への信頼向上とともに、市民病院当直医の負担を軽減することで、市内の救急医療充実につなげる計画である。
(北国新聞)

土曜・祝日も夜間小児救急、広島市の安佐市民病院
 広島市は、安佐北区可部南の安佐市民病院で日曜夜に実施している小児科救急診療を、土曜と祝日にも拡大する方針を決めた。来年二月の実施を目標に調整している。安佐地区は小児科が少なく、住民から夜間救急充実を求める声が強かった。
(中国新聞)

75歳以上の外来医療、「定額制」を導入へ 厚労省
 厚生労働省は28日、75歳以上のお年寄りの外来診療について、医師の治療を1カ月に何回受けても医療機関に支払われる診療報酬を一定にする「定額制」を導入する方針を固めた。寝たきりの在宅患者への往診など、高齢者向け医療の一部ではすでに定額制が導入されている。厚労省はこれを外来医療へと拡大して医療費の抑制を図る考えだ。高齢者に対して、必要度の高くない医療が過剰に行われているとされる現状を改善する狙いだが、患者の受診機会の制限につながる可能性や、医療機関がコストを下げようと必要な医療まで行わなくなる危険もあり、今後、適用する疾病の範囲や条件を慎重に検討する。
(朝日新聞)

「お産ピンチ」首都圏でも 中核病院縮小相次ぐ
 東京都心の都立病院などが、お産を扱うのを休止したり、縮小したりしている。それも、生命が危険な出産前の母と胎児の治療から、出生直後の新生児の治療までを一貫して担う「周産期母子医療センター」で目立つ。大学病院の医師引きあげなど地方で深刻化していた問題が、ついに都心にまで波及してきた形だ。病院も医師も多く、埼玉や千葉などからも患者が集まる東京。中核病院のお産縮小の影響は、首都圏に及びそうだ。
(朝日新聞)

『入院機能 存続を』、飯能市立病院(埼玉)
 飯能市立病院(同市虎秀)をめぐって、市の諮問機関が入院機能を廃止する報告書をまとめたことを受け、地元住民らは二十七日、約二万人の署名を添え「入院施設廃止に反対し、整備・充実を求める陳情書」を同市に提出した。
 同病院は市街地から約十キロ離れた山間部にあり、有識者でつくる「市の保健・福祉の将来を考える懇談会」は入院部門を廃止する内容の最終報告を今月まとめている。
 陳情したのは、周辺自治会中心の「地域医療を守る会」、市民団体「市立病院を良くする会」で、ともに「高齢化する地域の現状に逆行する」などと訴えている。
(中日新聞)

12月30日

労働ビッグバン「共通ルールを」 専門調査会が初会合
 労働市場改革(労働ビッグバン)について、経済財政諮問会議の専門調査会(会長・八代尚宏国際基督教大教授)の初会合が28日、開かれた。正社員と非正社員の格差是正など、10年後を見据えた中長期的な改革の戦略を議論し、来年の骨太の方針に反映させることを確認した。
 会議では、現行の労働法制は、労働者派遣法やパート労働法など個別に定められ、雇用形態が多様化する中、請負労働者など現行法で対応しきれない人がいるとの認識で一致。「雇用形態にかかわらない共通のルール作り」を検討するという。
 会見した八代会長は、正社員、非正社員を問わず、同じ仕事なら同じ賃金が受け取れる均等待遇を実現し、「職種別労働市場」に近づけていくことが格差問題の解決につながると強調。正社員の年功賃金や雇用保障のあり方の見直しを進める考えだ。
 労働ビッグバンに対して、与党などから「企業の論理を優先している」との批判が出ていることについて、八代会長は「適切な改革なら、企業と労働者の利益は一致する。批判は心外だ」と話した。
(朝日新聞)

「医療崩壊」から「医療再生」へ勤務医が声を上げる、【特集】2007年トレンド(1)「医療編」
 「医療崩壊」が医師たちの間で大きな話題となった2006年の医療界。2007年は、医療の崩壊を招いた原因を分析し、しかるべき対策が打たれる「医療再生」の始まりの年とならなければならない。どこから手を付けるべきか?
 「日本の医療はおかしな方向に進んでいるのではないか?」。多くの医師が漠然と感じていた異常感を、虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹氏は、2006年5月に上梓した自著の書名で明確な言葉にした。
 『医療崩壊』――。同書が呼び水となって、これまでいわばサイレント・マジョリティーだった勤務医たちはインターネットなどを通じ声を上げ始める。それが大きなうねりとなり、「医療崩壊」は今日の医療を取り巻く空気を的確に表すキーワードとして瞬く間に医療界に定着した。
 「医療崩壊」が国民に影響を及ぼしているのは言うまでもない。例えば、小児科、産婦人科など、特に就労環境が悲惨とされる診療科の医師は、その地域の基幹病院に一人もいないという市もある。その市の住民は、それらの科の高度医療を受けるには、周辺地域に行かねばならないのだ。
(日経BP)

5病院赤字、累積欠損6病院 05年度自治体経営病院決算(佐賀)
 県内9市町の自治体病院の2005年度の決算概要がまとまった。赤字だったのは5つの病院で、その総額は4億2500万円。累積欠損金を抱える6病院の総額は35億円に上り、この10年で最高になった。各病院とも支出節減に努めているが、医業収益の減少などで厳しい経営状況が続いている。
 厳しい経営が続く要因の一つに、収入の柱となる医業収益の減少が挙げられる。05年度の9病院の医業収益は103億円で、前年度より5億3000万円減少。臨床研修制度変更のあおりを受け、大学病院が自治体病院に派遣していた医師を引き揚げるなど「医師不足」の影響も出てきている。
 地域の中核病院としての機能と経営の健全化をどう両立させるか。地方財政が厳しさを増す中、他県では自治体病院の再編が進む。県内も伊万里、有田共立、社会保険浦之崎の3病院の統合計画が浮上し、今後の行方が注目される。
(佐賀新聞)

医療費助成 小3まで(兵庫)
 県は26日、少子化対策で、乳幼児医療費の助成対象を従来の小学校就学前までから小学3年までに引き上げる、と発表した。県は実際に助成している市町に対し、半額分を出す形で制度を支えている。助成の対象年齢は市町によってまちまちで、県は今後、小学3年まで拡大するよう求めていく。小学3年まで助成するのは、都道府県では最も手厚い部類に入るという。
(朝日新聞)

勤務医労働、「週59時間以上」4割・埼玉県医師会調査
 病院に勤務する医師の約4割が、週平均59時間以上働いていることが28日、埼玉県医師会の「勤務医現況調査」でわかった。約1割は79時間以上と回答。月平均4回以上の泊まり勤務をしている医師も全体の約3割を占めた。病院勤務医不足の一因とされる過酷な労働環境が改めて浮き彫りになった形だ。
 地域が限定されているが、勤務医の労働実態に関する詳細な調査は珍しいという。調査には県内の病院に勤務する医師1084人が回答。(日経新聞)

働きやすい環境審議 県産科医療検討会が発足(沖縄)
 医師不足が深刻化している産科医療の対策について県は27日、「県産科医療連携等検討会」を設置した。那覇市のオーガストイン久茂地で第1回会合が開かれ、産婦人科医ら9人の委員が参加。国が進める集約・重点化策については「県では既に集約化されている」として、産婦人科医の養成・確保について審議。研修システムの充実や女性医師が働き続けられる環境整備、待遇改善による医師の誘導策、助産師や超音波を扱う技師など医師をサポートする人材を早急に養成する必要性が指摘された。
(琉球新報)

女性医師復帰支援、空振り 応募ゼロ 青森県
 出産などで離職した女性産科医の現場復帰を促すため、青森県が募集している臨床研修の応募が不調だ。受講者のキャリアに応じた個別の研修プログラムを作るなど、きめ細かい内容だが、27日現在、応募はゼロ。県は「個人に情報が伝わりづらかったかもしれない」とみている。
(河北新報)

医師の再教育制度創設 山形大 定年、子育て後など対象
 定年退職後の医師らを再教育し、地域医療を担う人材として派遣する山形大医学部の「メディカルスタッフの再チャレンジ推進事業」が、文科省の2007年度特別教育研究事業に盛り込まれ、年8100万円の予算が認められた。同学部は来月から東北、北海道のベッド数の多い総合病院や自治体病院を回り、定年退職を迎える勤務医らに事業の活用を呼び掛ける。
(河北新報)

「患者のための制度設計を」=無過失補償で弁護士団体
 分娩(ぶんべん)時の事故で医師の過失が明らかでない場合、補償金を支払う「無過失補償制度」について、医療過誤訴訟に取り組む弁護士らによる「医療事故情報センター」(柴田義朗理事長)は27日、患者のための制度として明確に位置付けるよう求める意見書を公表した。制度の枠組みをつくった自民党あてに同日までに郵送、日本医師会や厚生労働省にも提出する予定
(時事通信)

12月29日

懇談会:相馬、双葉地方の首長と知事 /福島
 佐藤雄平知事と相馬、双葉地方の首長といわき市長らの懇談会が26日、開かれた。
 南相馬市原町区の南相馬合同庁舎で行われた相馬地方4市町村長との懇談会では、医師不足や道路整備、雇用問題などをテーマに活発な意見が交わされた。南相馬市の渡辺一成市長は東京出張のため、助役が代理出席した。
 相馬市の立谷秀清市長は小児科医不足の問題を取り上げ、開業医と協力して夜間救急医療態勢を整備をしたという実情を説明した。また相馬港を一層活用するため、相馬市と中通りを結ぶ道路整備を訴えた。
(毎日新聞)

ホワイトカラー・エグゼンプション:労政審報告に盛る
 労働法制の改正に関する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労働条件分科会は27日、最終報告をまとめた。報告には、一定の年収などを条件に労働者の労働時間規制(1日8時間など)を除外し残業代を支払わない「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」が盛り込まれたが、労働側は最後まで納得せず、同制度の導入は認めないとの意見が記された。「認めない」との強い表現が使われるのは極めて異例。報告を受け、厚労省は今後、法案要綱の作成に入り、来年の通常国会に提出を目指すが、労働側の反発を押し切る形でこのまま作業が進むのか、注目される。
(毎日新聞)

ホワイトカラーの労働時間規制除外、労基法改正案へ
 管理職一歩手前のホワイトカラー(事務職)のサラリーマンについて、厚生労働省は27日、1日8時間、週40時間の法定労働時間規制から除外する「自由度の高い労働時間制」(日本版ホワイトカラーエグゼンプション)を、労働基準法改正案に盛り込むことを決めた。
 同日開かれた同省の労働政策審議会労働条件分科会が、導入を求める最終報告をまとめ、柳沢厚労相に提出。報告書には「長時間労働となる恐れがあり、認められない」とする労働側の意見も併記されたが、同省は「議論は尽くされた」として、今後、来年の通常国会提出に向けて、法案作成に着手する。
 新制度が導入されると、労働者は自分の判断で、出社・退社時刻など、1日の労働時間を調整できるようになる一方で、残業手当は支給されず、成果で給料が決まる。企業が新制度を導入しようとする場合は、事前に労使で協議し、労働者側の同意を得なければならない。新制度の対象者については、週休2日に相当する年104日の休日確保を企業側に義務付け、違反した場合は罰則を科す。
(読売新聞)

夜間診療所を開設へ 周東病院小児科休止(山口)
 山口県厚生連周東総合病院(柳井市)の小児科が休止になる可能性が高まったのを受け、柳井圏域の医師会や行政などでつくる休日・夜間診療体制整備の作業部会は二十五日夜、柳井市で会合を開き、柳井市、平生、田布施、上関町が共同で、二〇〇九年四月までに夜間診療所を開設する方針を固めた。
(中国新聞)

島根大の来年度運営費交付金は108億円
 産科など医師不足が著しい診療科の医師や看護師のスキルアップを図る「医師不足分野等教育指導推進経費」も新設。付属病院を持つ大学に規模などに応じて配分され、同大は六千二百万円。同大は来年一月にも実施計画を策定する。
(山陰中央新報)

医師不足 他病院に余波、成東病院問題(千葉)
 三月初め、内科医の大半が辞職して受け入れ患者の制限を明らかにした成東町(現・山武市)の組合立「国保成東病院」が、輪番制で担当する二次救急の受け入れができないと他の五病院に通告していたことが分かった。各病院も医師不足を理由に肩代わりはできないとして、地域の二次救急が宙に浮く異常事態に。その後、一時は九人いた内科医全員が辞職。県内で最も医師が少ない「医療過疎地域」の救急医療体制が揺らぎ、住民らに大きな不安を与えた。
(中日新聞)

臨床検査事故23件 取り違えが最多 医療機能評価機構
 検体検査や病理検査など臨床検査にかかわる医療事故が、今年9月末までの2年間に23件あったことがわかった。患者の取り違えが多く、大半の患者に障害が残ったという。財団法人「日本医療機能評価機構」(東京都)が全国約570(約20万床)の医療機関からの報告をまとめた。
(朝日新聞)

ヘルメット姿で医師ら警戒 中国、患者死亡で騒ぎに
 【香港27日共同】香港紙、東方日報などは27日までに、中国広東省深☆の病院で、患者の死亡をめぐって「親族」約100人が押しかけて損害賠償を求める騒ぎがあり、支払わなければ病院を破壊すると脅された医師らは、ヘルメットやバットで“武装”しながら診療に当たっていると伝えた。
 報道によると、12月初め、事故で大けがを負った男性が病院に搬送されてきた後、呼吸不全で亡くなった。病院側は死因などを説明したが遺族は納得せず、20日に約100人が病院に押し掛け、ラッパや爆竹を鳴らしたり、大声で病院側をののしるなどした。
 病院側は警察や地元行政当局に届けたが、取り合ってもらえなかったため、医師や看護師ら病院スタッフ約400人が防衛策を取り始めたという。
(注)☆は土ヘンに川
(北海道新聞)

労働時間規制、除外制度を明記・労政審が27日最終報告
 厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)労働条件分科会が27日にまとめる雇用ルール改革の最終報告が明らかになった。一定の条件を満たす会社員を労働時間規制から除外する制度の導入を明記。調整が難航した残業代の割増率の引き上げも明記する。厚労省は年明けの通常国会に労働基準法改正案などを提出する。
 最終報告は「就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加、長時間労働の割合の高止まり」への対応が必要と強調。労基法改正の柱に、労働時間規制の除外制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入や残業代の割増率引き上げなどを盛り込んだ。労働紛争を予防する「労働契約法」の新設も掲げた。
(日経新聞)

12月28日

子どもが発熱、あわてて病院その前に まずネット救急
 夜中に子どもが熱を出した。すぐに病院に連れて行くべきかどうか――。そんな時、インターネットのホームページ(HP)で情報を求める人は少なくない。日本小児科学会の「こどもの救急」には1日2千件のアクセスがあり、スタートした今年1月からの累積は80万件にのぼる。東京都が運営する「東京都こども医療ガイド」へのアクセスも年間12万件。HPの内容は、あくまで判断材料の一つだが、休診が多くなる年末年始の緊急時や普段の育児の参考にもなりそうだ。
(朝日新聞)

入院病床、来年1月から休床へ、南丹・美山診療所が看護師不足(京都)
 京都府南丹市美山町安掛の美山診療所が、医療入院用の病床(12床)を来年1月から休床することになった。看護師2人の退職に伴う措置。療養型の7床は継続する。
 公設民営の同診療所は医療法人財団・美山健康会が運営し、同町の医療の中核的存在。医療入院は、最近は常に数人の患者を受け入れていた。休床に伴い、同市内の他病院への転院などで対応する。
 美山健康会は休床の要因を看護師不足としている。同会は、恒常的な医師不足などについても今後、府や関係機関と改善への協議を重ねることにしている。
(京都新聞)

産科診療の休診についてのお知らせ(東京逓信病院)
 日ごろ、当院をご利用いただき誠にありがとうございます。
 さて、当院では平成18年12月28日(木)をもって産科診療を休診いたします。
 このため、分娩予定日が12月14日(木)までの妊婦様には、当院産科のご利用を承りますが、同日より後の分娩予定の方には他の病院産婦人科又は産科クリニックをご利用いただくか当院にてご紹介いたしますので、何とぞご理解とご協力をお願い申し上げます。
 なお、婦人科診療は、これまでどおり継続いたしますので、引き続きご利用いただきますよう重ねてお願い申し上げます。

「残業代ゼロ」 早期法制化に公明が慎重姿勢
 公明党の太田代表は26日、安倍首相と首相官邸で会談し、年収など一定条件を満たした会社員を労働時間規制から外し、残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、「働いている方たちの感情、心情もあるし、直ちに法制化を急ぐというような拙速にあってはならない」と述べ、法制化に慎重な姿勢を示した。首相からの明確な回答はなかったという。
(朝日新聞)

小児科診療所数1年で15ヵ所減 県、連携検討委を設置(沖縄)
 県内の小児科を掲げる診療所数が2005年末で229カ所と、同前年末の244カ所に比べ15カ所減っていたことが分かった。小児科医の過重労働や医師不足の解消を目指し、県は25日、「小児医療連携等検討委員会」を立ち上げた。県医務・国保課が診療機関の状況を報告。病院数は04年末は48カ所だったが、ことし4月現在で小児科医が配置されている病院は34件となっている現状も示された。委員から、各医療機関の役割分担の明確化や連携強化などを求める意見が出た。
(琉球新報)

医師派遣など連携 青森・三戸、田子2自治体病院
 青森県の三戸町立三戸中央病院と田子町立田子病院は25日、医療連携の協定を結び、県庁で調印式を行った。田子病院が2007年4月に無床診療所と介護老人保健施設へ転換するため、救急患者受け入れや医師の相互派遣で協力し合うことになった。慢性的な医師不足の中、青森県内初となる自治体病院の連携で、医師の負担軽減を目指す。
 田子病院は医師不足などを理由に診療所化が決まり、来年4月から常勤医が4人から2人に減る。救急車搬送による急患は年間約100件を受け入れている。
 協定は、三戸側が救急や入院の患者を受け入れる。医師1人を週2回各4時間派遣して診療を支援し、田子側医師の休暇や学会参加時も派遣する。田子側は医師1人が平日夜間や休日などに週1回、三戸側の日・当直勤務をする。三戸町と田子町は隣接し、両病院は車で約15分の距離。
(河北新報)

医師個人への刑事訴追 3分の1「病院に問題」 医療過誤事件で東大研究班
 平成12年から18年3月までに刑事判決のあった医療過誤事件の3分の1は、医師など個人の刑事訴追の妥当性に疑問があったとの研究結果を、東京大学医療政策人材養成講座の研究班(筆頭研究者・神谷恵子弁護士)がまとめ、25日公表した。研究班は、刑事訴追が妥当でない医療過誤事件は、行政が責任を果たす規定を設けるよう、厚生労働省に提言した。
 研究班は、判決文を入手できた18事件について、非難に値する事件か、処罰が適切かなど大きく5項目で評価。各事件ごとに、医療側、患者側などさまざまな立場に立つ研究班のメンバー7〜13人が出した評価点を平均化した。
 その結果、6件が、刑事事件として非難すること、医療従事者個人を処罰対象とすることの双方に、否定的結果が出た。これらは病院の医療安全体制に問題のある事件だった。逆に大半の評価者が双方とも肯定的だったのは2件だった。
(産経新聞)

治療費不払い85億円、290公立病院で3年間に
 都道府県や県庁所在市など自治体が経営する全国290の病院で、患者が支払わない治療費(未収金)が2002年度からの3年間で85億円を超え、1病院平均で約2940万円になることが読売新聞の調べでわかった。
 低所得者の増加や、医療制度改革に伴う自己負担の拡大などが背景にあるとみられる。290の公立病院の大半を含み、国内の6割以上の公立、民間の医療機関でつくる「四病院団体協議会」(四病協)は、加盟5570病院の未収金総額は、02年度以降の3年間で853億円を超えると推計。来春にもまず、国民健康保険の保険者である市町村に対し、未収金の肩代わりを請求することを検討している。
(読売新聞)

12月27日

山大医学部が医師不足に新計画
 山形大医学部では定年退職した勤務医に地域医療を担ってもらおうと専門分野以外の総合的な一次救急全般に関する知識、技能を再教育する「メディカルスタッフ再チャレンジ推進事業」を計画し、来年の国の予算に8100万円が盛り込まれた。嘉山医学部長は「医師不足に即効性があり質の高さも保証していて安心できる地域医療に貢献できる」と話している。東北地方には年間80人の勤務医が定年退職している。
(山形テレビ)

市民病院の債務処理本格化へ 釜石市(岩手)
 釜石市は、医師不足や多額の累積赤字により2007年3月末で廃止する市民病院の債務処理を06年度から本格化させる。一般会計の12月補正予算に病院建物購入費などを盛り込み、当初予算と合わせて06年度に約14億円を処理。07年度は当初予算で約20億円を処理する予定で、病院事業会計の収支を均衡させ、07年度末に清算する。債務処理の総額は40億円程度に上る見込み。財源に借換債や庁舎建設基金からの借り入れを充て、一般会計で10年程度かけて償還する計画だ。
(岩手日報)

新たに2億円資金不足、深谷病院「民設民営」債務負担 協議機関の設置検討/宮城
 石巻、東松島両市が企業団方式で運営する石巻市広渕の公立深谷病院(企業長・岡山昭彦院長)が、二〇〇七年四月の「民設民営」化までに新たに二億円の資金不足になることが、二十五日開かれた病院企業団議会で分かった。
 病院は民間企業で言えば、経営破たん状況にあり、十月以降、金融機関からの融資がストップしている。このため、職員のボーナス資金不足が表面化し、企業団は先ごろ両市に一億円の資金融資を要請している。
 職員(百六十九人)の期末手当・勤勉手当は、満額の30パーセントをカットして一億円を石巻市から借り入れすることになり、予算を計上した二〇〇六年度病院事業会計補正予算案を全会一致で可決した。
(三陸河北新報)

産婦人科7名体制について
 中津市民病院では、”地域周産期母子医療センター”機能を果たすために現在の3名体制を7名体制とします。
 現在、助産師13名、小児科医8名、小児外科医2名、麻酔科医2名、放射線科医2名、病理医1名体制であり、放射線治療や術中迅速診断も可能です。
 また、平成18年度の予算で産婦人科外来と病棟のアメニティを向上させます。
 院内保育所も整備します。病院新築計画中。

山梨大学:07年度運営費交付金、2.5%増の101億8200万円 /山梨
 医師らの育成事業は、産婦人科や小児科などの勤務状況がハードな診療科で、全国的に医師や看護師が人材不足となっている問題を受けた。また、社会人の再教育事業では育児を終えて社会復帰を目指す主婦や職を持たないニートと呼ばれる若者たちを支援する。
(毎日新聞)

産科医療の拠点へ 紀南病院を認定 県(和歌山)
 田辺市新庄町の紀南病院が来年1月から、出産前後の母子に高度な治療を行う県内で初めての「地域周産期母子医療センター」に認定される。県が25日、発表した。同センターでは、産科と小児科が連携し、高齢や疾患など危険性の高い妊婦の出産、新生児の介護などを行う。
(紀伊民報)

広島市民病院で大人向け24時間診療開始
 広島市の広島市民病院が大人向けに25日から24時間体制の診療を始めました。これにより舟入病院の24時間診療は小児科だけとなります。
 広島市中区の広島市民病院では、新築した東病棟で25日から歯科と歯科口腔外科をのぞく24時間診療をはじめました。
 これは現在夜間の救急診療をしている市立舟入病院で受診者が増えたことや内科医師の確保が難しくなったことによるものです。これにより市民病院の24時間診療は大人向けに、舟入病院の24時間診療は小児科だけとなります。
 舟入病院の内科の夜間診療は午後6時から8時までの2時間となりますが、昼間に通院が難しいサラリーマンや学生など救急ではない患者にも対応します。
(中国放送)

苫小牧市立病院 土曜休診へ(北海道)
 苫小牧市の市立病院(378床)が来年4月から、救急などを除く土曜日の外来診療を中止する。一昨年4月に施行された「新医師臨床研修制度」の影響で地域の医師不足が加速する中、土曜休診で勤務条件を整えることで、救急医療などにあてる医師確保に結びつけたいとの思惑がある。
 同病院の1日平均の外来患者は約950人。医師1人あたりの毎月の当直は平均1・1〜1・3回。このほか、勤務時間外に自宅などから呼び出される「緊急出動」が平均で月7・3回ある。1年で268回も緊急出動した産婦人科の医師もいる。
 本波裕樹事務局長は「医師が休める態勢をどうつくるかが最大の課題。土曜日を休診にして、その勤務時間を救急医療に振り向ければ救急態勢も充実できる」と説明する。
 だが、市民は医師の過重労働を理解しつつも、不安をのぞかせる。「慢性病で土曜日にしか休めない人には土曜外来は必要」(50代女性)、「土曜に外来があるだけで安心感がある」(20代主婦)、「やめれば、その分、ほかの病院が込む」(中年男性)などの声がある。
(朝日新聞)

12月26日

徳洲会病院病気腎移植、内科的治療の選択肢も・専門委指摘
 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)が中心となって実施した病気腎移植問題で、同病院は24日、前日に続き専門委員会を開催、ネフローゼの患者からの腎臓摘出について「内科的治療の選択肢もあったのではないか」などの意見が出たことを明らかにした。
(日経新聞)

金木病院救急復活願いコンサート(青森)
 来年一月一日付で救急指定を取り下げ、救急車受け入れを休止する公立金木病院(五所川原市)の問題で、地域住民らでつくる同病院の救急体制を維持する会は二十三日、金木中央公民館でホワイトクリスマスコンサートを開き、救急体制の早期復活を祈った。
(東奥日報)

医師不足:飯山赤十字病院院長ら実態報告 市民団体がシンポジウム /長野
 産婦人科をはじめ医師不足が深刻な問題になっている飯山赤十字病院(飯山市)について、市民グループ「いいやま男女共同参画市民会議」は23日、同市公民館でシンポジウムを開いた。同病院の川村信之院長、県衛生部の渡辺庸子部長、石田正人飯山市長、清水一輝県地域包括医療協議会支部飯水地区協議会長の4人が実態を報告。周辺市町村から訪れた母親や病院関係者ら約300人は熱心に耳を傾けた。
 川村院長は「産婦人科医の月平均の労働時間は110時間(時間外労働の間違いでは?)。小児科も他の科に比べ、日曜・休日の救急が最も多い。地域医療を守っていくにも医師がいなければ守れない」と話し、渡辺県衛生部長は「産婦人科と小児科の供給体制が崩壊する可能性が出てきている。飯田・下伊那では、産科問題懇談会を設立。産婦人科医が1人しかいないところでも、地域が一丸となって外来の負担を減らしている」と述べた。
(毎日新聞)

12月25日

産科休診:妊婦死亡の病院で 奈良県南部分べん施設ゼロに
 今年8月、入院中の妊婦の高崎実香さん(当時32歳)=奈良県五條市=が転送先探しの難航の末、死亡する問題が起きた同県大淀町立大淀病院(原育史=やすひと=院長)が、来年4月から産科を休診することが分かった。県南部(五條市・吉野郡3町8村)で分べんができる医療施設はゼロになる。婦人科は継続する。病院側は「医師が辞めるわけではないが、十分な看護師、助産師を確保できず、リスクが大きいと判断した」と説明している。
(毎日新聞)

奈良・妊婦たらい回し死亡問題 妊婦が入院していた病院が産科を休診へ
 8月、出産中に意識不明となった妊婦がおよそ20の病院で受け入れを断られた末、死亡した問題で、当初、妊婦が入院していた病院が2007年の3月で産科を休診することになった。
 この病院は、奈良県大淀町立大淀病院で、病院は「助産師などの確保が難しくなり、リスクが大きくなるため」としている。
 この結果、奈良県南部で出産を扱う病院がなくなることになった。
 一方、妊婦の遺族は、病院に対する刑事告訴や損害賠償請求の訴訟を検討している。
(関西テレビ)

悪質な給食費未納 12市町村が法的措置、計3000万円 給料差し押さえも
 深刻化する給食費未納問題で、法的措置の導入を表明する自治体が相次いでいる。“強硬策”をとった自治体は少なくとも12市町村あり、請求額は総額約3000万円(約270世帯分)に上ることが23日、産経新聞の取材で分かった。中には保護者の給料を差し押さえて徴収したケースも。今後も悪質な未納者には、厳しい態度で臨むというのが時流になりそうだ。
(産経新聞)小児科医療崩壊の芽はここにもあるのか

飯山できょう、医師不足考えるシンポ(長野)、12月23日(土)
 岳北地方の中核病院、飯山赤十字病院(飯山市)の小児科常勤医(2人)が、医師不足による信大医局への医師引き揚げに伴い、来年度から1人態勢になる予定だ。同病院は産婦人科も今年4月から1減の1人になり、分娩(ぶんべん)を1カ月10人に限定。こうした医師不足問題を考えるシンポジウムを市民団体が23日、市公民館講堂に医療関係者らを招いて開く。
(信濃毎日新聞)

労災補償共済:「会社の丸もうけ」夫亡くした妻憤る
 「これでは会社の『丸もうけ』ではないか」。夫(当時28歳)を作業事故で亡くしたにもかかわらず、公益法人「建設業福祉共済団」(東京都港区)の共済金を会社に“横取り”された妻(25)は憤った。引き渡しを求めた民事裁判の判決は、会社側の対応を厳しく批判したものの、結果は敗訴。共済金を受け取れない現実は変わらない。妻は控訴審にわずかな望みを託している。
(毎日新聞)

保険指定取り消し54施設 診療報酬不正、返還60億円 05年度厚労省まとめ
 二○○五年度に診療報酬の架空請求などで、健康保険法に基づく指定を取り消された医療機関や薬局は道内五施設を含む五十四施設で、登録を取り消された医師、歯科医師、薬剤師は道内四人を含む五十四人に上ることが二十二日、厚生労働省のまとめで分かった。
 不正請求のあった施設から返還を求めた総額は、前年度より約四億八千万円少ない約六十億六千万円で、このうち道内は計十六億七千万円。全国最高は帯広市の帯広脳神経外科病院で十億六百八十九万円だった。同病院に対する返還請求額は、記録がある一九七○年以降四番目に多い。
 厚労省によると、指定を取り消されたのは病院・診療所などが二十五、歯科が二十四、薬局が五で、合わせて前年度より六施設増加。登録を取り消されたのは医師二十一人、歯科医師二十七人、薬剤師六人で前年度より十九人増加した。
 帯広脳神経外科病院は医師数の基準を満たすため、勤務実態のない医師や非常勤の医師を常勤と偽って診療報酬を不正請求する名義借りをしたとして、○五年九月一日に指定を取り消された。
(北海道新聞)

酒田県立・市立病院の統合問題 模索続く経営形態(山形)
 山形県酒田市の県立日本海病院(528床)と市立酒田病院(400床)が、2008年度までに統合する方向で県と市の協議が行われている。医師不足や経営難にあえぐ地方公立病院が増える中、県立と市立の垣根を越え、地方独立行政法人への移行も視野に入れる。ただ、設置者が異なる病院同士の統合だけに、職員の身分問題など難題も横たわる。(河北新報)

求む「納得の医療」/06年記者ノート
 遺族は11月下旬、大淀病院に話し合いの場を設けるよう文書で申し入れた。9月に担当医から説明を受けたが、助産師らが同席していなかった。晋輔さんの父、憲治さん(52)は「実香の死に至るプロセスを正確に知りたい」と語る。12月中旬、病院から寄せられた回答は「応じられない」だったという。
 憲治さんらは「法廷で真実を問いたい」と弁護士に提訴の相談をしている。望むのは病院側の誠実な対応だ。「担当医が懸命に処置したとは思ってないし、納得できる説明もない。もしそうであったなら、『一生懸命やってくださってありがとうございました』と心から言えた」と話す。

 「子癇(しかん)発作でも失神やけいれんはみられる。脳内出血の判断は難しい」「現場の医師は身を粉にして働いている」。一線の産婦人科医からは、一連の報道に反発する声もあった。
 県警が担当医を立件したり、訴訟に発展したりすれば、現場はますます萎縮(いしゅく)する。ただでさえ少ない産婦人科医を目指す人がますますいなくなり、地域の病院の分娩(ぶんべん)が次々と中止に追い込まれてしまうのでは――そんな恐れが現実になった。
 町立大淀病院は22日、院内に「来年4月から産科診療(分娩(ぶんべん)の取り扱い)を休診します」との張り紙を出した。今春、同病院で娘を産んだ大淀町の山田さお里さん(28)は「家で陣痛が始まって5分後に病院に着いた時には子宮が8センチも開いていた。遠くの病院なら間に合わなかった。2人目を産むときにはどこに行けばいいのか」と話す。
 【重体妊婦の転院拒否問題】
 大淀町の町立大淀病院で今年8月、出産中に意識不明の重体となった高崎実香さん(当時32)が奈良、大阪の19病院に「満床」などを理由に受け入れを断られた。意識喪失の約6時間後にようやく大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送され、出産後に脳内出血で死亡。大淀病院は妊娠中毒症患者が起こす「子癇」と診断し、脳を検査しなかった。県警は業務上過失致死容疑で捜査に着手。県は、母子の高度治療ができる「総合周産期母子医療センター」を県立医大付属病院(橿原市)に08年1月、開設することを決めた。同センターは全国8県で未整備で県はその一つだった。
(朝日新聞)

12月24日

診療報酬過払い、05年度は60億円 厚労省発表
 厚生労働省は22日、病院や診療所への指導・監査で判明した05年度の診療報酬の過払いが約60億6000万円あったと発表した。医療機関の請求ミスのほか、水増しなどの悪質なケースもあり、54施設と医師や薬剤師54人が、保険の指定取り消しや登録取り消し処分を受けた。
 総額は04年度よりも4億8000万円減ったが、医療機関の取り消しは6件増えたほか、保険医や薬剤師の取り消しも19人多かった。
(朝日新聞)

医師不足:県内の病院・診療所で230人−−地域医療支援会議 /島根
 県は21日、地域医療の医師確保などについて話し合う「県地域医療支援会議」を松江市内で開催。この中で約100の病院、診療所で計約230人の医師が不足していることが報告された。
 同会議は県や過疎地域の自治体、大規模病院の院長らで構成。過疎地域の医師不足や大規模病院からの医師派遣のあり方などを話し合っている。今回は10月調査の県内の医師不足数を報告した。 報告によると、島根大付属病院を除く約60の病院と約40の診療所には計1150人が必要だが、医師数は919人。充足率は県平均で79・9%だった。松江(85・5%)をはじめ出雲、隠岐圏域は平均を上回ったが、最も少ない雲南(72・8%)や大田、浜田、益田の各圏域で平均を下回った。診療科別の充足率は小児科、麻酔科などで8割に届かず、皮膚科と眼科は50%台だった。
(毎日新聞)

医師不足問題“勤務医の労働条件改善を
 深刻化する医師不足についてきょう県の協議会で対策が話し合われ、病院を辞める医師を減らすために「勤務医の労働環境の改善が必要」とする意見が相次ぎました。
 県庁で開かれた県の地域医療対策協議会は県内の医師らで作るもので委員からは、「勤務医の労働環境の改善なしに医師不足問題は根本的に解決しない」という意見が相次ぎました。
 また、特に医師不足が深刻な産科では若い女性の医師が多く、保育環境の整備など女性医師が働き易い環境作りも必要だとする意見も出されました。
 一方で、「病院経営が厳しく、医師の待遇の改善は難しい」といった声もあり、現場で働く医師は、「現実を県民に知ってもらいたい」と話していました。
(信越放送)

労働時間規制除外制度、休日確保怠れば刑事罰・厚労省方針
 厚生労働省は一定の条件を満たすホワイトカラーの会社員を労働時間規制から除外する制度について、週休2日相当の休日確保を怠った企業の責任者に刑事罰を科す方針を固めた。時間に縛られない自由な働き方に道を開く一方、企業には徹底した健康管理を求めることで労使の歩み寄りを促す。同省は労働基準法の改正案に盛り込む方向で調整を進める。
 労働時間規制の除外制度(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)は、企業側が導入を求めている一方、労働側は強く反対している。この案で妥協できるかはなお微妙な情勢だ。
(日経新聞)

妊婦死亡 町立病院産科休診へ(奈良)
 今年8月、奈良県大淀町の病院で、妊婦の容体が急変し、ほかの病院に次々に受け入れを断られた末、大阪の病院で死亡した問題で、この奈良県の病院が来年3月いっぱいで出産の扱いを取りやめることになり、県南部で出産を扱う病院がなくなることになりました。
 奈良県大淀町の町立大淀病院で、今年8月、高崎実香さん(当時32)が出産中に意識不明になり、ほかの19の病院に受け入れを断られて大阪の病院まで運ばれ、出産後に脳内出血で死亡しました。町立大淀病院では常勤の医師1人とほかの病院から派遣されている非常勤の医師2人の計3人で、年間150件ほどの出産を扱っていますが、関係者によりますと死亡した高崎さんの出産にあたっていた常勤の医師が産科の診療をやめる意向を示したということです。病院は、ほかに産科の常勤の医師を確保するめどが立たないことから、来年3月いっぱいで出産の扱いを取りやめ産科を休診にするということです。
 この常勤の医師は、「産科のスタッフが少なく、肉体的に負担が大きい」と理由を説明しているということですが高崎さんの死亡がきっかけであることも関係者にほのめかしているということです。
 奈良県内には出産を取り扱う病院が26ありますが、県北部に集中しており、これによって県南部で出産を扱う病院がなくなることになります。
(NHK)

小児科産科医師の空白地招く、財務省原案に反発予想(岐阜)
 全国で問題になっている医師不足に対して、2007年度予算の財務省原案には、医師確保対策の推進費として前年度の2倍以上に当たる約92億円が盛り込まれた。国は特に不足する小児科、産科医を拠点病院に集約化する方針。県内でも医師不足が深刻になっているが、国の取り組みが県内の実情に適しているかは微妙な情勢だ。
 産科、小児科医不足の大きな原因は、病院の勤務医の過酷な職場環境にあるとして、国は交代勤務を可能にするため産科、小児科医を地域の拠点病院に集めて、医師一人一人の負担を軽くして定着を図る方針。だが、拠点病院への集約化によって医師がいなくなる地域からは、逆に強い反発が予想される。
(中日新聞)

妊婦転院死の奈良・大淀病院産婦人科、来春から休診
 19病院から転院を断られた末、搬送先の病院で死亡した妊婦(当時32歳)が入院していた奈良県大淀町立大淀病院が、来年4月から産婦人科を休診することがわかった。
 同病院は「医師や看護師の確保が難しく、十分な対応ができなくなったため」と説明している。
 同病院によると、現在の常勤の産科医は1人。通院中の妊婦の多くが、来年3月末までに出産予定のため、町と相談して、同月までは診療を続けることにした。再開のめどは立っていないという。22日に院内に事情を説明する張り紙を掲示した。
 県は「できるだけ早く大淀病院が診療を再開できるようサポートしたい」としている。
(読売新聞)

奈良・大淀病院、分娩対応中止へ 県南部のお産の場消える
 奈良県大淀町の町立大淀病院で8月、重体になった妊婦(当時32)が計19病院に搬送の受け入れを断られた末、大阪府内の病院で死亡した問題で、同病院が来年3月で分娩(ぶんべん)の取り扱いを中止することがわかった。同病院の産婦人科にはこの妊婦を担当した常勤の男性医師(59)しかおらず、長年にわたる激務や妊婦死亡をめぐる対応で心労が重なったほか、別の産科医確保の見通しが立たないことなどが理由とみられる。
 県などによると、同病院は来年3月末で分娩対応を中止し、その後は婦人科外来のみ続ける方針。スタッフの拡充を検討したが、県内の公立病院に産科医を派遣してきた奈良県立医大が医師不足に陥っていることなどから、新たに医師が確保できず、分娩継続ができないと判断した。
 この男性医師は、県立医大から非常勤の医師の応援を得ながら、年間150件以上のお産を扱っていた。宿直勤務は週3回以上で、妊婦が死亡した後、「この病院で20年以上頑張ってきたが、精神的にも体力的にも限界」と周囲に漏らしていたという。
(朝日新聞)

幼稚園教諭ゼロ 救急救命士半減 大量退職、市政を直撃 夕張(北海道)
 【夕張】二○○七年度から財政再建団体となる夕張市の早期退職者募集に対して、九十九人が申請し、定年退職者と合わせ本年度末の退職予定者が百十人に達していることについて二十日、夕張市内に衝撃が広がった。市職員三百九人のうち、三分の一以上が一度に辞める前代未聞の事態。専門職員の不足から、建築確認やダム管理などの市政が困難になることも憂慮される。市民からは生活への影響を心配する声が聞かれた。
 「来年三月の送別会は退職者を送る会ではなく、役所に残る人を励ます会になる」。市が一日に早期退職の募集を始めて以後、市役所内でささやかれていた事態が現実になりつつある。
 再建計画の基本的枠組み案は、本年度の退職者を定年退職を含め八十三人と想定しているが、これを二十七人も上回った。市教委は職員三十五人のうち二十二人が退職。建設水道部も四十六人のうち二十人が退職するなど部署によっては三分の一どころではない。
 中でも深刻なのが、専門職の相次ぐ退職だ。建築確認業務に欠かせない建築主事。市には二人いるが、いずれも退職し、有資格者が完全にいなくなる。「道に業務を返上することになる。来年四月以降、受け付けはするが、確認済証は岩見沢の空知支庁まで取りに行ってもらうことになると思う」(建設水道部)。
 市内に三基あり、水道水を供給している市営ダムの管理主任技術者(一人)、水道技術管理者(二人)などの有資格者も退職を申請した。来春以降の対応は決まっていない。市立幼稚園の教諭二人も、ともに退職を申請。市は臨時教諭を雇い、幼稚園を続ける考えだ。
 市消防本部は、四十七人のうち十二人が退職。救急救命士でみると、十人のうち四人がいなくなる。同本部には救急車が二台あるが、二台体制が維持できるかは微妙。市内唯一の救急医療機関である市立総合病院の医師不足で、急患の市外搬送の必要性が高まる中、市民生活に影響が出そうだ。
(北海道新聞)

医師確保に知恵を絞れ(沖縄)
 医師不足とその解決は、有人離島の多い沖縄が抱える最重要課題だ。
 宮古圏域、八重山圏域にとどまらず、他の離島や山間へき地でも医者が足りないのは言うまでもない。
 厳しい目で見れば充足されたことがなく、それほど医師不足は深刻と言っていい。
 もちろん医師が足りないのは全国も同じだ。が、それにしても出生率が全国一なのに地域によっては恒常的に産科医がいない、という沖縄の状況は改善されてしかるべきだろう。
 地元で安心して出産する環境をどう整えていくか。また島にいて、心臓病や脳神経外科の治療を受けられるようにするにはどうすればいいのか。私たちは知恵を出していく必要がある。
 盛り込まれた事業では、全国の民間医療機関から専門医を公的医療機関に短期で受け入れ、持続的な医師確保を目指すことになっている。
 だが、この事業だけで問題が解決するとはとうてい思えない。
 私たちに求められているのは、この事業を永続的な医師確保にどうつなげるかであり、医師が長期スパンで離島地域に住める環境をどう整えていくか。行政任せにしてはならず、地域が一体となって考えていくことが大切だ。
(沖縄タイムス)