Newhouse引用論文など
N1. Rabinowitz HK. Evaluation of a selective medical school admissions policy
to increase the number of family physicians in rural and underserved areas. N
Engl J Med 1988;319:480-486.
ジェファソン大学で地方出身者を多く医学部に入学させたら家庭医や地方で診療する医師がどう変化したかを解析。1978年から1985年の卒業生を対象。
・1978年〜1981年の入学者はこのプラグラム以外の入学生より5倍(59.6%対12.6%)家庭医を専攻。
・3倍(37.8〜42.2%対10.0〜11.8%)地方で働いている
・2〜4倍(26.7〜40.0%対9.2〜11.2%)医師不足の地域で働いている。
・7〜10倍(24.4〜31.1%対3.1〜3.9%)地方や医師不足の地域で家庭医を専攻している。
N2. Tanihara S, Kobayashi Y, Une H, Kawachi I. Urbanization and physician
maldistribution: a longitudinal study in Japan. BMC Health Serv Res. 2011 Oct
8;11:260. doi: 10.1186/1472-6963-11-260. PubMed PMID: 21982582; PubMed Central
PMCID: PMC3204230.
日本の349の二次医療圏における医師数と人口当たりの医師数の比較(1998年〜2008年)。
・98〜08年で人口は0.95%、医師数は13.6%増加。人口あたりの医師数は二次医療圏の人口規模にかかわらず増加。
・しかし、二次医療圏間の人口の偏在は進み、小規模二次医療圏での人口当たりの医師数の増加は、人口減少によるものであった。
日本の医師の偏在は改善していない。
(読後感:診療する医師数は、患者数に対応すべきであり、悪いことではないのでは?)
N3. Shinjo D, Aramaki T. Geographic distribution of healthcare resources,
healthcare service provision, and patient flow in Japan: A cross sectional
study. Soc Sci Med 2012;75:1954-1963.
・2008年の二次医療圏の病院および診療所の医師数の偏在をジニ係数で比較。病院医師のジニ係数は0.209、診療所医師のジニ係数は0.165であった。
・入院患者の流入比率は、病院医師の密度、高齢化率、病院病床数の密度と関連。
N4. Kashima S, Matsumoto M, Ogawa T, Eboshida A, Takeuchi K. The impact of
travel time on geographic distrubution of dialysis patients. PLoS ONE
2012;7(10):e47753. doi:10.1371/journal.pone.0047753.
広島県の1867地区または、35市町における透析患者7374人(2011年)の近隣の98透析施設までのアクセス時間と透析疾患の罹患率との解析。アクセス時間が10分のびると、透析が必要な疾患の罹患率は5.2%減少する。
N5 松本正俊。医師の偏在に関する国際比較研究。医療と社会 2011;21(1):97-107.
・日米英の医師の偏在に関する検討。
・イギリスに比べて、日本の医師は偏在が著しかった。
・日米では、1980年から2005年にかけて医師数は増加したが、医師の地域偏在は変化していなかった。
・アメリカではへき地で医師が減少したが、日本ではへき地の医師は増える傾向。
N6 Cullson S, Reid C, Colwill JM. Medical school admissions, specialty
selection, and distribution of physicians. JAMA 1976;235:502-505.
・ミズーリとコロンビアの医学校および他の2校の卒業生の観察。
・故郷の規模と診療科の選択とは関連性がある。
・地方出身者は、都会出身者と比べて2から3倍地方勤務をする。
・家庭医や他のプライマリケアの分野を選択した医師は、そうでない医師と比べて3倍の地方勤務をしている。
・地方出身者で家庭医を選択した医師は、3分の2が地方勤務をしていた。
・しかし、都会出身の家庭医選択者や地方出身者で他の診療科を選択した医師は、地方勤務の比率が上昇しなかった。
N7 Cooper JK, Johnson TP. Physician distribution - Will it get worse instead
of better? Am J Med 1983;75:4-6.
・アメリカでは医師数は増えており、小さな町でも医師がいるようになった。しかし、これは地方で人口の増加が都会よりも多かったことによる。
・ケンタッキーでは、人口の地方への分散があったにもかかわらず、1969年から1979年に都市部への医師の集中が見られた。
N8 Schwartz WB, Newhouse JP, Bennete BW, Williams AP. The changing geographic
distribution of board-certified physicians. N Engl J Med 1980;303:1032-1038.
・8つの専門医の1960年から1977年の分布の検討(米国)。
・診療科は、内科、外科、小児科、産婦人科、放射線科、泌尿器科、脳神経外科、皮膚科の専門診療科と家庭医。。
・60年から77年にかけて専門医は増加し、増加率は都市部よりも小さな町の方が大きかった。
・しかし、人口あたりの専門医の数は、都会の方が多かった。
・(需要の大きさの違いで、脳外科、皮膚科は内科、小児科よりも人口規模が大との記述あり)
N9 Bible BL. Physicians' views of medical practice in nonmetropolitan
communities. Public Health Rep 1970;85(1):11-17.
・1967年の都市部以外の地域(人口1人〜5万人)の医師1853人にアンケートを実施。
・診療場所の人口規模は、生まれ育った地域の人口規模と関連性がある。
N10 Cordes SM, Eisele TW. Changes in Pennsylvania's physician supply. Pa Med.
1985;88(2):55-8.
・1970年から1980年のペンシルベニアでの医師数の変化の解析。
・医師数の増加は人口ほど増えていなかったが、小規模の大都市部以外の地域で医師および人口対医師数が増加。医師数増加率は、都市部よりも小規模の大都市部以外の地域で早かった。
・非都市部と都市部の人口あたりの医師数の格差は拡大。理由は、都市部で人口が減り、少雨規模の大都市以外の地域では人口が増加したため。
・しかし、数人しかいない小規模な地域では医師の増加な見られなかった。
N11 Budetti PP. The 'trickle-down' theory - Is that any way to nake policy?
Am J Public Health 1984;74(12):1303-1304.
・医師数の増加で地域的、専門分野別の不足を解決できるのではないかとの議論がある。・しかし、一方で医師数を増やしても一部の地域では医師が増えないとの報告もある。
・医師の偏在解決は、市場原理だけでは解決しない。都市部であふれた医師が地方に赴任するという「trickle down」説で説明される。
N12 Hicks LL. Social policy implications of physician shortage areas in
Missouri. Am J Public Health 1984;74:1316-1321.
・1976年から81年の間に34%の医師が増えたが、ミズーリ州の115郡のうち24郡では減少。・24郡のうち、23郡は人口25,000人未満、12郡は10,000万人未満。
・医師減少地域は、高齢医師の多い地域であった。
N13 Kindig DA, Movassaghi H. The adequacy of physicians supply in small rural
counties. Health Affairs 1989;8(2):63-76.
・1975年と85年の1万人未満の田舎の医師の供給を解析(アメリカ)。
・全米平均りよ田舎の方が医師の増加率が早かった。
・しかし、trickle down説は速度が遅く、否定的。
N14 Fruen MA, Cantwell JR. Geographic distribution of physicians: Past trends
and future influences. Inquiry 1982;19(1):44-50.
・50年から78年のアメリカの医師の分布の解析。
・医師数が増えても、地方と都市部の中心に医師が増えるとは言い切れない。
・人口あたりの医師数が増えても、地方の医師の増加はゆっくりしか見られない。
・地方にいかない理由に、過密地域でも医師誘発需要を喚起できると述べている。
N15 Schmittling G, Black RR, Stern TL, Clinton C. Pactice location of family
practice residency graduates. J Med Educ 1981;56:709-716.
・1970年から78年のアメリカ家庭医レジンデントの1979年時の調査。
・大西洋中部、北西部では減少、山間部、太平洋沿岸、ニューイングランドでは増加。
・多くの医師は、レジデントを受けた地域よりも100マイル以上離れた地域で診療していた。
・地方で診療していた医師は、レンジデントを受けた地域よりも100マイル以上離れており、都市部で診療している医師はレジデントを受けた地域よりも100マイル以内の地域で働いていた。
・医師が地方で勤務するかどうかは、育った地域とリンク。
N16 Moscovice I. Policy approaches for improving the distribution of
physicians. Health Serveces Res 1983;18(2):270-274.
・医師の診療市場は競合的な市場ではなく、trickle down説は小さなコミュニティーでは働かない。
・政策的な偏在改善の方法としては、診療報酬によるもの、医学校への入学によるもの、医学教育によるものなどがある。
N17 Cooper JK, Heald K, Samuels M. The decision for rural practice. J Med Educ
1972;47:939-944.
・アメリカのへき地では医師不足が深刻。1971年にComprehensive Health Manpower
Actが制定され、学生をへき地に赴任するよう支援する基金が設けられた。へき地赴任の因子としては、個人的なもの(医師の出身地が地方かどうかなど、医師の配偶者が地方の生活を満足しているか、研修を受けた地域など)、専門職(グループ診療は都市部中心、都市部は経済的、転送においても有利、専門職としての孤立の恐怖、へき地医療の労働の過酷さ)としてのもの、地域の因子(余暇を楽しめるか、地域の経済的なゆとり、が挙げられた。
N18 Newhouse JP, Williams AP, Bennett BW(重要). Does the geographical distribution
of physicians reflect market failure? Bell J Econ 1982;13(2):493-505.
・医師の診療に関しては、医師誘発需要を生じるので市場は失敗するといわれている。
・しかし、市場は失敗しないとの仮説で医師の診療地について予測を行った。医師の効用を最大化するとの前提を用いている。つまり、医師がふえれば、地方で診療を行う医師が現れるとしている。
・都市部だけで医師が増えることを医師誘発需要で説明することは不必要だし、不十分である。
(医師が存在するcriticalな人口規模があると言及、また需要にばらつきがあり下限にばらつきがあることも
・医師がいるかどうかにおいて、人口をF(x)=e^x/(1+e^x)として、医師数が0である確率をx>b0+b1 人口(xはlogistic
distribution;正規分布と同様に対称なS字(シグモイド)型の分布関数、釣鐘型の確率密度関数を持ち一見して両者は類似しているが、ロジスティック分布の方が裾が長く密度関数は平均から離れても下がりにくい)の条件下で、
P(Y=0)=P(x<b0+b1 人口)=exp(b0+b1 人口)/ (1+exp(b0+b1 人口))としている。
・診療科同士では、補完はないと仮定している。
・1979年のデータでは、generalと家庭医は人口規模1万未満から500万以上まで人口あたりの医師数に大きな差異はない。一方、専門医は人口規模が大きいほど増加する。
・地方への医師派遣は、市場が機能しているところに市場の破壊をもたらすものである。・地方派遣により、もとからいる医師を追い出したり、少数の患者を診療することにつながりかねない。
N19 Matsumoto M, Inoue K, Bowman R, Noguchi S, Toyokawa S, kajii E.
Geographical distribution of physicians in Japan and US: Impact of healthdare
system on physician dispersal pattern. Health Policy 2010;96:255-261.
・日本の市町村、米国の郡における医師の分布を解析(1980年と2005年)。
・医師数は、この25年で日本55、米国47%増加。
・しかし、日米共に医師数のジニ係数は不変。
・収入に関するジニ係数は米国の方が日本より低い。つまり、アメリカでは収入の高い方に医師が流れる傾向。
・人口対医師数と地域の収入との関連は米国の方が高い。
・医師の専門は無視して解析している。
N20 谷原真一、張拓紅、尾島俊之、中村好一、柳川洋、小林雅與。二次医療圏毎にみた医療供給と受療行動の関連および地域格差。日本公衆衛生学会雑誌
1997;44(9):688-693.
・二次医療圏ごとの入院患者数の比較(年齢構成をSMRのように補正している)
・平成5年患者調査、平成5年医療施設調査・病院報告、平成6年医師歯科医師薬剤師調査を使用。
・患者住所地による入院患者数、医師数、一般病床数、人口あたりの医師数、人口構成との関連を解析。
・入院患者数を65歳以上人口割合、人口あたりの一般病床数、人口あたりの医師数で重回帰。
・二次医療圏の入院患者数は年齢調整後でも最大値と最小値で4倍の格差(北海道、四国、九州で多い)。
・重回帰では、65歳以上人口割合、人口あたりの一般病床数で入院患者数の6割が説明付く。
N21 宮城島一明、川口毅。一般病床数と全身用X線CT数からみた二次医療圏間格差の変遷に関する分析。日本公衆衛生学会雑誌 2006;61:407-413.
・二次医療圏の一般病床数、CTの1988年から2000年の変化の解析。
・人口密度が1000人/km2以上、300から1000人/km2、300人/km2以下で解析。
・一般病床は、1000人/km2以上では不変、1000人/km2未満では増加。
・CT数は、3つの人口密度で増加。
統計は
面積:国土地理院全国都道府県市町村別面積調
人口:総務省住民基本台帳人口
を使用。
N22 Nomura K, Inoue S, Yano E. The shortage of pedicatrician workforce in
rural areas of Japan. Tohoku J Exp Med 2009;217:299-395.
・地方の小児科医の労働力の調査。小児人口あたりの小児科医師数(主たる診療科が小児科)と小児を診療する医師数(重複回答−主たる)で解析。
・95〜04年で小児10万あたりの小児科医師数は69から84に増加。
・小児科医のジニ係数は96年の0.337から0.321に低下。
・小児を診療する小児科以外の医師のジニ係数は0.264から0.278に上昇。
・田舎(都市を人口5万う以上、否かを人口5万未満としている)に限定すると、小児科医のジニ係数は0.723から0.703に低下、小児を診療する小児科以外の医師のジニ係数は0.419から0.482に上昇。田舎では、小児の診療を小児科医師以外が行っている。
・96年から04年で小児科医は増えたが、田舎では偏在がある。
(Ding の1995年論文:Tohoku J Exp Medが田舎の方が小児科医の仕事がきついことを引用)
(また、へき地医師は地方政府と仲が悪いとしたPathmanの1996年J Rural Healthや松本の2004年のAust J Rural
Healthを紹介)
N23 小林廉毅。一県一医大制と医師の地理的分布。日本公衆衛生学会雑誌 1993;40特別付録:555.
・首都圏と近畿圏以外で医大が1つしかない28県の1980年から1990年の医師の偏在をジニ係数で追跡。県内の医師の分布をジニ係数で解析。
・非新設医大の県では多くの県で偏在の改善(ジニ係数の低下)が見られたが、1970年以降の新設医大では80年から90年の間に偏在は悪化。医大所在地への医師の集中が見られたものと思われる。
N24 中島俊隆、宮城島一明、針田哲。人口と面積からみた2次医療圏の現状。厚生の指標 1994;41(13):3-8.
・二次医療圏の人口と面積の解析。二次医療圏は、病床数設定の対する配慮のもとに作られたため、都道府県間で統一的な2次医療圏のイメージが形成されていない。
N25 Matsumoto M, Inoue K, Kajii E. A contract-based training system for rural
physicians: follow-up of Jichi Medical University graduates (1978-2006).
・1978年から2006年の自治医大卒業生の2988人の00年、04年、06年の勤務地の解析。
・自治医大卒業生は他の大学卒業生と比べて、義務年限後も4倍田舎で働く傾向があった。
・田舎で育ったこと、プライマリケア医師はへき地医療の傾向が高い。私立高校卒業は、田舎勤務と逆相関。
・田舎の定義:医師が5名以下の市町村、医師対人口比が50/10万以下、人口が2万未満で医師対人口比が100/10万未満と定義。
・プライマリケア医師を内科、全科、外科、小児科の医師としている。
N26 Busato A, Kunzi B. Primary care physician supply and other key
determinants of health care utilization: the case of Switzerland. BMC Health
Services Research 2008:8:8.
・スイス2004の保険者、2140万件の外来受診、6564人のプライマリケア医の調査(2004年)。
・人口3754人の初期医療圏1018地区では、1人あたり年間2.95件の外来受診があった。
・人口あたりの医師数が多いと外来受診数は増加し、1万人当たり1人の医師が増えると、外来受診数は0.10件増加した。
N27 長谷川敏彦。地域医療計画の効果と課題。社会保障研究 1998;33(4):382-391.
(総説)
・1950年代に基幹病院整備計画といった計画が策定されたが、財源不足で実現しなかった。
・二次医療圏の圏域にばらつきが大きい。
・人口の最大/最小は104倍、面積の最大/最小は172倍。
・地域医療計画があっても、医療界は指摘セクターが多く市場原理で動いているために行政権限は及びにくい。
・病床規制も裁判で医療機関が勝って病床の開設ができる事例が出てきた。
N28 古井祐司、大江和彦。地域における医療機能の把握および整備のあり方に関する研究。民族衛生 2000;66(2):81-91.
・神奈川県の二次医療圏の解析(平成8年神奈川県病院実態調査)。
・圏内受診率は圏内医療資源の充足度を反映。
・人口当たりの病院数と受診率がr=0.44、人口当たりの医師数と受診率がr=0.46
と弱い相関があるので、病床数病床規制が二次医療圏の適正配置と住民ニーズの充足にある程度寄与と考えられる。
・比較的弱い相関であるから、病床数や医師数のみでは圏内のニーズを充足させることは困難。
・医療資源の充足度を反映する圏内受診率と手術・治療の実施状況に高い相関。
N29 福井次矢、杉田聡、山岡和枝、新野直明、山門實、西崎統、緒方剛、瀬上清貴、矢野英二。2年次研修医の臨床知識・技術の習得状況。日本公衆衛生雑誌
1990;37(9):793-802.
・大学病院128、臨床研修指定病院216の2年目研修医の臨床知識、技能の習得状況の検討。(新臨床研修制度前:S61には大学8割、臨床研修指定病院2割)。研修医2年目を各病院で5名ずつ抽出。
・「独立して確実にできる」比率は、基礎的な分野17項目中8項目はメディアンが30%以下、やや専門化した分野9項目中8項目は10%以下、行動科学・社会医学的側面12項目すべてで30%以下、臨床研究の分野3項目中2項目は6~7%。
・習得の有無は大学病院・研修指定病院といった病院の種類よりも、内科・外科別の影響のほうが大であった。
N30 田中哲郎、市川光太郎、山田至康。二次医療圏別にみたわが国の小児救急医療体制の現状。日本医事新報 2002;4071:59-62.
・休日・夜間急患センターは、360の二次医療圏のうち238医療圏で整備。
・在宅当番制度は、360の二次医療圏のうち220医療圏で整備。
・急患センターも在宅当番制度もない医療圏は45医療圏。
・急患センター利用者の半数が小児。
・二次救急医療では、24時間365日小児科当直または輪番体制のある医療圏は140のみで、220医療圏では未整備であった。
N31 張拓紅、谷原真一、柳川洋。二次医療圏単位で観察した国保老人保健医療給付対象者医療費の地域格差に関する研究。日本公衆衛生雑誌
1998;45(6):526-535.
・1994年の国保の老人保健医療給付費を二次医療圏ごとに再集計。
・医療費への影響を、社会経済因子、医療供給因子、100人当たりの受診件数、1件あたりの日数、1日当たりの費用を説明関数として分析。
・入院医療費は、66万2100円と17万0200円で約4倍の格差。入院外医療費は、43万5900円と16万8000円で約2.6倍の格差。
・入院医療費と10万対一般病床数、医師数、3次産業就業人口割合は正の相関。入院医療費と1人あたりの所得、平均世帯人員は負の相関。
・入院外医療費と一般病床数は正の相関、入院外医療費と一次産業就業人口割合、平均世帯人員は負の相関。
・入院費は、北海道、近畿、四国、九州で高い。入院外医療費は、東海、近畿、中国、四国で高い。
N32 星旦二、府川哲夫、中原俊隆、石井敏弘、林正幸、高林孝司、郡司篤晃。県内二次医療圏での高齢者入院医療費格差の規定要因。日本公衆衛生雑誌
1994;41(8):724-740.
・218市町村と21二次医療圏を有する県で、208市町村の国保高齢者医療受給資格者の1年間1回以上入院した74572人を対象とした解析(平成2年から3年にかけての1年間のデータ)。
・男性では医療費の最大・最小は188万円と119万円。女性では、197万円と119万円。
・1人あたりの年間入院医療費と高齢化率、70歳以上人口、1000人あたり病院病床数、70歳以上死亡率が正の相関。
N33 稲垣誠一。都道府県別医療費について。厚生の指標 1989;36(15):36-42.
・都道府県別の医療費の推計。国保だけではなく、すべての医療費を推計。
**公費負担:社会福祉行政業務報告
**被用者保険:医療施設別の集計(基金年報)を都道府県別に集計し、県間移動の調整係数をかける。
**国保:市町村の国民健康保険事業年報、国保組合は市町村国保の医療費比率で按分。**老人保健制度:老人医療事業報告
**全額自費:患者調査を都道府県別に按分。
**その他
・1人あたりの医療費は、最高高知21万9000円、最低千葉の10万9100円で1.9倍。
N34 石井敏弘、清水弘之、西村周三、梅村貞子。入院・入院外別老人医療費と社会・経済、医療供給、福祉・保健事業との関連性。日本公衆衛生雑誌
1993;40(3):159-170.
・岐阜県内市町村の老人医療費(平成元年の入院医療費、入院外医療費)の解析。
・1人あたりの入院医療費は受診率との相関が大きい。
・1人あたり入院外医療費は1件あたりの診療費との相関が大きかった。
・1人あたりの総医療費は、人口密度、人口1人あたり市町村民所得、老年人口あたりの医師数が多いこと、老年者1人あたりの高齢者在宅福祉事業費補助金の総額が少ないことが重要な要因。
N35 畝博。福岡県における老人医療費とその地域格差の規定要因に関する研究。日本公衆衛生雑誌 1996;43(1):28-36.
・福岡県97市町村における平成4年度の国保老人医療費の解析。
・老人1人あたりの入院医療費は全国よりも43%高かった。理由は、入院受療率が高いためである。
・老人1人あたり入院医療費に有意に関連ある項目は、人口当たりの病床数(病床が多いほど医療費は高い)と1世帯あたりの人員(家族が多いほど医療費安い)であった。
・老人1人あたりの入院外医療費に有意に関連ある項目は、70歳以上の全死因死亡率(正の相関)と基本健康診査受診率(負の相関)であった。
N36 松尾宣武、竹村和子、John Takayama、鴨下重彦。都道府県別、二次医療圏別にみた小児科標榜医のworkforce。日本医師会雑誌
2004;131(9):1453-1474.
・15歳未満の小児人口当たりの小児科標榜医(主たる)が少ない県は、茨城、埼玉、鹿児島。多いのは、東京、京都、鳥取。
・小児人口10万あたりの小児科医師数は、363二次医療圏で0(大分県竹田直入)から438.4(東京都区中央部)まで分布。
・小児科標榜1病院あたりの小児科標榜医は、徳島1.3人、高知・佐賀1.4人で少なく、東京4.4人、静岡3.5人、滋賀・京都3.4人で多かった。
・小児科医は絶対数の不足よりも、小児科医師の分散配置が問題。
N37 Birkmeyer JD, Siewers AE, Marth NJ, Goodman DC. regionalization of high-risk
surgery and implications for patient travel times. JAMA 2003;290:2703-2708.
・1994~99年のメディケアとアメリカの道路地図から、アメリカ48州の食道摘出、膵切除の実施施設への患者の通院距離を推計(患者住所の郵便番号 と直近の病院の郵便番号から)。
・アメリカでは手術を行うためには、年間症例数が一定基準以上でないとできないことになっていた。
・基準を1例の膵切除、2例の食道全摘とすると、15%の患者が通院距離が長くなる。しかし、その時間は30分未満がほとんど。
・基準を膵切除16件よりも多く、食道全摘を19件よりも多くすると、80%の患者が通院距離が長くなる。そして、半数以上が通院時間が60分を超える。
N38 Pathman DE, Konrad TR, Ricketts TC. The National Health Service Corps
experience for rural physicians in the late 1980s. JAMA 1994;272:1341-1348.
・1987〜90年に僻地診療に携わった医師対象に調査、675人はNHSCの奨学金(僻地への派遣義務付け)を受けた医師、1000人はそれ以外で僻地医療をしている医師を対象。
・奨学金を受けた医師の51%は、初めは10年以上僻地医療をする気があったが、14%しか5年以上の勤務を望んでいなかった。奨学金を受けていなかった医師と比べて、僻地としての勤務を受け入れる場所がないこと、都会が好きなこと、初期研修の地と異なっていたこと、配偶者や子供が僻地を好んでいなかったことがあげられる。(奨学生は非奨学生よりも僻地勤務を義務としてとらえてる?)
・奨学金を受けた医師は、赴任後3年を経過すると赴任地を離れる比率が非奨学生よりも高くなる。
・地域に不満があったりすると、僻地への残留率は奨学金を受けた医師の間では低かった。
N39 Matsumoto M, Okayama M, Inoue K, Kajii E. Factors associated with rural
doctor's intention to continue a rural career: a survey of 3072 doctors in
Japan. Aust J Rural Health 2005;13:219-225.
・全国828の僻地公立病院・診療所に勤務する医師4896人へのアンケート調査。回答率64%(2000年):僻地にとどまるとする因子を調査。3072人回答。
・26%が今後も僻地勤務をすると回答。
・卒後に、一般内科、一般外科、麻酔科、小児科、消化器科を研修した医師は僻地にいる確率がたかい。
・田舎育ち、卒前に地域医療に関与。各科のローテート研修、現在管理職であることは僻地勤務と正の相関。
・大学医局に属することは負の相関。
N40 前田信雄。高齢者の入院費用の高低に関する研究。厚生 1984;39:64-67.
・昭和55年の国保医療給付実態調査、国保事業年報、医療施設調査、病院報告を用いて、都道府県間の高齢者医療費の高低を解析。
・西南の県(高知など)と北海道は入院日数が長くて医療費が高い。
・京都や大阪は入院日数は長くないが、1日あたりの医療費が高いために、高齢者医療費が高くなる。
N41 Matsumoto M, Okayama M, Kajii E. Rural doctor's satisfaction in Japan: a
nationwide survey. Aust J Rural Health 2004;12:40-48.
・へき地医療者の満足度調査。へき地診療所、へき地病院の1362施設勤務の4896人を対象。仕事関連19項目、生活関連10項目を4段階評価で。回答率64%。
・概して、仕事や生活に対する満足度は高いが、定年後にへき地に継続して勤務するとの回答は27%にすぎなかった。
・満足度が低いのは、医学教育の機会と市町村役場との関係であった。
・生活関連では、休日の期間と仕事量に関する満足度が低かった。
・男性は満足度が高く、50歳以上の医師も満足度が高かった。
・居続けたい気持ちと、役所との関係、給与、仕事の充実が関連があった。
(結論)役所と医師との関係が重要。
N42 宇田淳、小松正和、浦良一。地域医療計画における圏域に関する研究ー香川県大川郡を事例としてー。病院管理 1996;33:33-43.
・香川県大川郡の二次医療圏の医療需要、医療施設利用状況を平成6年5月の国保レセプトから解析。
・圏域全体では入院での施設利用率は50%。
・圏域全体では外来の施設利用率は82%。
N43
松野喜六、林恭平、土井渉、川合啓市。保健医療に関する研究、京都府における保健医療圏別国保医療費と医療・社会指標。京府医大誌 1988;97(12):1569-1576.
・1980年から84年の京都府内の国保医療費給付を解析。二次医療圏毎で京都・乙訓は京都市と乙訓を2つの医療圏として解析。
・10万人あたりの医師数、歯科医師数、病床数は増加したが、その比率は地域で異なる。・医療費はどの地区も増加だが、老人医療費の格差は拡大。老人の入院外受診比率は減少する地域も。
・医療費と医療史表とは相関。1人あたり入院医療費は、病院数、病床数と正の相関。入院外費は、診療所数と正の相関。
N44 星旦、中原俊隆、府側哲夫、高林孝司、郡司篤晃。全国12県81第二次医療圏における高齢者入院医療費の構造分析。日本公衆誌
1995;42:869-877.
・1991年の70歳以上の入院医療費を12県81二次医療圏で比較。777市町村があるが、うち763市町村の老人医療費(1,647,187人中389,456人が入院)を解析。平成1年3月から平成2年2月のデータ。
・91年に1回でも入院した男性は32%、女性は29.7%。しかし、12県で高齢者医療費に格差。
・1年間の入院医療費は、1人あたりの1年間の入院日数、入院レセプト1件あたりの入院日数、入院レセプト1件あたりの医療費、1人あたりの入院レセプト件数と正の相関。
・1人1日あたりの入院医療費は、入院レセプト1件あたりの入院日数、1人当たりの入院レセプト件数、1人あたりの1年間の入院日数と負の相関。
N45 Ding H, Koinuma N, Ito M, Nakamura T. Starategies for improving pediatric
services in Japan. Tohoku J Exp Med 2005;206:195-202.
・小児科医不足の検討。2002年人口は人口問題研の資料、その他の人口は国勢調査、医師数は2002年医師歯科医師薬剤師調査、2002年国民医療費、2002年患者調査、2002年医療施設調査等を使用。
・小児の外来患者の80%は診療所でみているが、95%以上が祝日、日曜、土曜の夜には閉じている。理由は、診療報酬が安いためと考えられる(1回の外来受診の診療報酬は全年齢の4分の3程度の5000円から6000円、入院の1日あたりの単価は子供と全年齢で変わらないが入院期間がこどもは半分)。
・こどもの受診疾患の57.2%は呼吸器疾患。
・改善には、体制として医師が交代して夜間に診療すること、診療報酬を上げることを提言する。
N46 Chang RKR, Halfon NH. Geographic distribution of pediatricians in the
United States: an analysis of the fifity states and Washington, DC. Pediatrics
1997;100:172-179.
・アメリカの小児科医の地理的な分布の解析。1982年と92年を比較し、18歳未満10万人あたりの小児科医師数を指標としている。資料は、アメリカ医師会医師マスターファイルなどを使用。
・10年間で18歳未満の小児人口は5.4%、小児科医は46.1%増加。小児10万人あたりの小児科医師数は、35.1から48.6へと増加。しかし、小児10万あたりの小児科医師数には、4倍以上の格差がある。
・ジニ係数は、全医師では10年間で9.8%、小児循環器科医は10.2%減少したが、小児科医は1.9%の減少にとどまった。
・小児人口あたりの小児科医が多いところと、レジデントが多いところ、収入の多いところと相関が高かった(R=0.93)。
(結論)82年から92年に小児科医の数は5割増しになったが、その分布は平準化しなかった。
N47 Budetti PP, Kletke PR, Connelly JP. Current distribution and trends in
the location pattern of pediatricians, family physicians, and general
practitioners between 1976 and 1979. Pediatrics 1982;70:780-789.
・1976年と79年の小児科医、家庭医、一般医の分布の検討。(75年には、全米の64.1%の郡で小児科医がいない)
・小児科医は都市部に、家庭医・一般医は地方に分布する傾向。(小児診療は地方では小児科医以外か?)
・郡間で医師数の格差がある。
・小児科医は大都市の不足した地域では増える傾向があるが、地方ではその傾向がない。・考察では、小児科医でもサブスペシャリティを有する医師は都会に多いことを言及。
N48 Newhouse JP, Williams AP, Schawartz WB, Burnett BW> The geographic
distribution of physicians: Is the conventional wisdom cirrect? Santa Monica,
CA: RAND; 1982.
・アメリカでは、医師数が増えることで小さな町にも医師はふえることをしめす(診療科でコントロールして医師数がちいさな町でも増えていることを示している)
・60〜70年代に一般医が減少して小さな町での人口あたりの医師数が減少したことがあったが、80年代には一般医の増加があたたために小さな町でも人口あたりの医師数は増えている。
・表D2で地方の方が、都会よりも勤務時間が長いことを示している。
・Standard location theoryで、各診療科毎に診療科が存在するための最小の自治体の人口規模が存在することを議論している。
・特殊な診療科は、患者の需要が少なく、医師数も少ないので大都市に存在することを言及。
・一般医は内科、小児科、産科とは代替可能だが、外科、放射線科とは代替が難しいと言及。
・1970年と比べて、79年には多くの専門科の医師が小さな町にまで診療をするようにはなっている。
・各診療科の診療が50%存在する人口規模を診療科、地域ごとに比較している。
・収入と労働時間は、地方の方が長く、高い。
N49 Goodman DC. Twenty-year trends in regional variations in the U.S.
physician workforce. Health Aff (Millwood). 2004;Suppl Variation:VAR90-7.
・過去20年(1979~1999)のアメリカの人口あたりの医師の労働力の推移を解析。
・50%以上人口あたりの医師数が増加(1979年10万あたり132.4人から1999年10万あたり199.9人、しかし、診療科ごとのばらつきあり)し、人口あたりの医師数は若干改善。
・しかし、多くの医師はすでに医師の多い地域に勤務していた。
N50 Inoue K, Matsumoto M, Toyokawa S, Kobayashi Y. Transition of physician
distribution (1980-2002) in Japan and factors predicting future rural practice.
Rural Remote Health 2009;9:1070(online).
・1980年と2002年の医師の分散の解析。
・1980年と2002年の医師の統計に記載がある93,077人を対象。
・1980年には、88.5%の医師が都会に、11.5%が田舎にいた。そのうち、1980年に都会にいた医師の92.7%は都会にいた。一方、田舎にいた医師の55.9%が田舎にいたにすぎなかった。
・田舎に居続けることに正の相関をする因子は、プライマリケア医であること、1980年に田舎にいたことであった。府の相関をする因子は、女性であること、年齢であった。
・1980年と2002年では、医師の分布に大きな変化はなかった。
N51 Yamashita T, Kunkel SR. The association between heart disease
mortality and geographic access to hospitals: county level comparisons in Ohio,
USA. Soc Sci Med 2010;70:1211-1218.
・アメリカ・オハイオ州88郡の年齢補正心疾患死亡率と病院までの距離(GIS)や社会経済的な因子(田舎の人口、黒人比率、学歴、失業率、貧困率、無保険率、乗り物を使えないなど)との相関の検討。しかし、距離と死亡率は相関で有意差ありだが、多変量解析で社会的な因子を入れると相関に有意差なし。
・資料は、2000年のセンサスのサマリーから。死亡率と病院の所在地はオハイオ州から。・距離は各ラスターセルと病院との直線距離。
N52 Rosenblatt RA, Saunders G, Shreffler J, Pirani MJ, Larson EH, Hart LG.
Beyond retention: National Health Service Corps participation and subsequent
practice locations of a cohort of rural family physicians. J Am Board fam Pract
1996;9:23-30.
・1980年から83年に医学部を卒業し、へき地奨学金をうけた家庭医258人(対象者の76%)の追跡調査(アンケート)。
・へき地義務の年限明け平均6.1年が経過。
・4分の1は、NHSC(奨学団体)の指定したへき地で診療を続け、他の27%は別の地方で勤務。都会の私的医療機関やマネージドケアに勤務する医師は40%未満であった。
・奨学金を受けた医師の多くは、年限明け後もへき地医療に従事している。
N53 Kagamimori S, Gaina A, Nasermoaddeli. Socioeconomic status and gealth in
the Japanese population. Soc Sci Med 2009;68:2152-2160.
・1990年から2007年の文献を検索し、日本の社会経済的な要因と健康との関連の解析。英語と日本語で738文献がヒットし、日本を対象とした45文献を解析。
・社会経済的な違いは、諸外国と同様に、程度は少ないが、死亡率、罹患率、生物学的・行動学的なリスクに関連する。
・しかし、職業の高さと低い死亡率、高学歴と死亡率や罹患率とは強い相関はなかった。
N54 Burney IL, Schieber GJ, Blaxall MO, Gabal JR. JAMa 1978;240:1368-1371.
・メディケア、メディケイド(1965年設立、年間60ドル以下の免責と20%以下の自己負担金あり、また、メディケイドでは差額の徴収はほとんどないが、メディケアでは医師の報酬とメディケアの支払いの差額を受益者の請求することも可能)による医師への報酬を1975年度において全米、各州、各郡などで比較。
・資料は、メディケアキャリア(保険会社)での1975年度資料と50州でのメディケイドデータ。38の医学的な手技(各群は29手技)についての解析。
・メディケアは全米で報酬は一律だが、メディケイドは各州で報酬が異なる。
・全米では、メディケイドでの専門医の報酬はメディケアの73%。
・メディケアでは、都市部の報酬は非都市部よりも23%高いが、メディケイドでは差がない。
・各州のメディケアでの専門医の報酬は、全米のメディケア値の73%から132%であった。
・各州のメディケイドでの専門医の報酬は、全米のメディケイド値の49%から179%であり、全米のメディケアの39%から100%であった。
N55 Wennberg J, Gittelson A. Small area variations in health care delivery.
Science 1973;182:1102-1108.
・バーモント州でのpopulation-based health data(1969年)を用いた解析。各町村が最も利用する病院によって定義したHospital
service areaを用いている。
・隣接するコミュニティーで医療資源の投入、医療サービスの利用、支出に大きなばらつきが見られた。
・エリアごとに、人口あたりのベッド数、医師数、入院数、手術数などおよび医療への支出は異なるが、医療への支出と年齢補正した死亡率や周産期死亡率との間に相関はなかった。
・医師数と外科手術との相関は正で相関係数は0.64であった。
N56 Mayer ML. Are we there yet? Distance to care and relative supply among
pediatric medical subspecialties. Pediatrics 2006;1118:2313-2321.
・16の小児の専門科について、直近の専門医(2003年小児専門医のデータ)と各ZIPコードとの直線距離を計測し、各病院のhospital refferal
regionの比率と医師・人口比をもちいて解析。
・人口で加重平均して出した専門医への距離は、新生児科医の15マイルから小児スポーツ医学医の78マイルまでばらつきがあった。
・多くの専門医までの距離は、半数が10マイル未満、3分の2以上の小児が40マイル未満であった。
・距離のばらつき(CV)は、新生児科医では76%と小さく、スポーツ医学医は287%と大きかった。各専門医が存在する小児の人口の下限は診療科ごとにばらつきがあった。
・16の専門科のうち7の専門科では、hospital refferal regionの半数未満で専門医がいない。
・小児の専門科の医師の分布は、小児の分布とパラレルである。しかし、多くのhospital refferal regionは専門医がいない。
・小児専門医は不足しており、その分布も不均一である。
・小児専門医のマーケットは病院のそれよりも大きい。
・小児専門医の存在するための人口の下限は大きい。手技系(救急科など)の専門科では小児人口の下限は18万未満だが、認識系(リウマチ科など)では、さらに多くの人口を要する。しかし、1人から2人に医師を増やすための人口は初めの人口の下限よりも小さい。人口の下限が大きいことは、疾患の罹患率の低さによるのか、報酬が少ないのかは不明である。
(なお、アメリカでは、Graduate medical Education National Academy
Committeeが、95%の小児が医療を30分以内で受けられるべきだと1980年に勧告したことに言及)。
(医師のマーケット地域を出入りが最小になる圏域としている。なお、hospital refferal regionはお互いに除外しあう圏域)
N57 American Academy of Pediatrics, Committee on Pediatric Workforce.
Pediatrician workforce statement. Pediatrics 2005;116:263-269.
・アメリカの小児科医の労働力に関する総論。
・小児人口に比べて小児科医の数の増加があること。
・女性医師が増えていること。
・外国医学校卒の役割。
・小児科以外の医師(内科・小児科医など)が小児医療に関与していることについて。
・医師の分布について
などの解説。
N58 Takayashiki A, Inoue K, Okayama M, Nakamura Y, Matsumoto M, Otaki J,
Kajii E. Primary care education in Japan: is it enough to increase student
interest in a career in primary care? Education for Primary Care 207;18:156-164.
・2002年に医学部6年生へのアンケート調査。62医学部6185人を対象とし、4521人(73%)から回答を得る。
・78%が地域医療に関心を持ったが、34%しかプライマリケアに従事したいとは思わなかった。
・3199人・50大学の卒前の地域医療実習をしている学生への質問では、地域医療実習で地域医療への関心は高まったが(オッヅ比の信頼区間1.0-1.9)、将来地域医療に従事したいとする医師の比率(オッズ比の信頼区間0.8-1.3)は増えなかった。
・女子医学生(オッヅ比の信頼区間1.3-1.7)、学卒の医学生(オッヅ比の信頼区間1.2-1.8)、親がプライマリケア医(オッヅ比の信頼区間1.3-2.3)、私立医大生(オッヅ比の信頼区間1.5-2.2)、地方の医大生(オッヅ比の信頼区間2.2-6.5)は、地域医療に従事しようとする比率が高かった。
N59 Kehrer BH, Sloan FA, Wooldridge. Change in primary medical care delivery,
1975-1979: finding from the physician capacity utilization surveys. Soc Sci Med
1984;18(8);653-660.
・アメリカでのプライマリケアに関する1975年と79年の変化に関するプライマリケア医師への電話調査。診療科は、一般医、家庭医、内科医、小児科医。
・人口あたりの医師数は、非都市部では増えず、都市部では増加。
・どの地域でも週当たりの受診数は減少。
・診療代は上昇。診療拒否の比率は減少。
・非都市部では、専門医もプライマリケアを提供。
・プライマリケア医で週末の診療をする医師の比率は低下。
N60 Rabinowitz HK. Recruitment, retention, and follow-up of graduates of a
program to increase the number of family physicians in rural and underserved
areas. New Engl J Med 1993;328:934-939.
・ジェファソン大学の地域枠での1991年における卒後動向調査。
・1978年から81年の47人の地域枠医師(10年以上経過)は、ほとんど田舎や都市部の医師不足地域での家庭医を継続していたが、それ以外の家庭医は、田舎では32%、都市部の医師不足地域では40%減少した。
・1982年から86年の地域枠医師101人も同様の傾向を示した。
・1978年から86年の地域枠医師は、そうでない医師と比較して、家庭医は4倍(55%対13%)、田舎での診療は39%対11%、医師不足地域では33%対8%と多かった。また、田舎での家庭医は10倍(26%対3%)、医師不足地域での家庭医は23%対2%であった。
・地域枠医師の85%はプライマリケアに従事。
N61 Kobayashi Y, Takaki H. Geographic distribution of physicians in Japan.
Lancet 1992;340:1391-1393.
・1970年代の新設医大による医師の分布の変化の解析。
・医大新設で、毎年生まれる医師数は4000人から8000人に増加した。
・1980年と90年を比較すると、3268市町村の解析の結果、3万人以上の自治体では医師数の増加が見られるが、1万人未満の自治体では医師数の増加はほとんどなかった。
・医師数の自治体間のジニ係数は変化なし。
N62 Laven G, Wilkinson D. Rural doctors and rural backgrounds: how strong is
the evidence? a systematic review. Aust J Rural Health 2003;11:277-284.
・地方出身者が地方の医療に携わっているかどうかを文献的(1973年から2001年10月分)に考察。システマティックレビュー。題名と要約で選別し、全文を後で詳読。
・地方出身者が地域医療をするオッヅ比は2-2.5倍。
・地方の医大卒者が地域医療をするオッヅ比は2.0倍。
・地方出身者の配偶者を有する医師が地域医療をするオッヅ比は3.0倍。
・地方での卒然教育を受けた医師が地域医療をするオッヅ比は2.0倍。
・地方での卒後教育を受けた医師が地域医療をするオッヅ比は2.5倍。
N63 Matsumoto M, Inoue K, farmer J, Inada H, Kajii E. Geographic distribution
of primary care physicians in japan and Britain. Heath Place 2010;16(1):164-166.
・プライマリケア医の地理的分布の日英比較。日本は二次医療圏単位で解析。イギリスは、primary care trust(Englanl)、Local
Health Board(Wales)、Community Health Partnership(Scotland)で解析。
・日本では、診療所医師(有床・無床)をプライマリケア医、イギリスでは、GPをプライマリケア医とした。
・人口あたりのプライマリケア医の分布のばらつきは、イギリスよりも日本の方が大きい。
・人口あたりのプライマリケア医のジニ係数は、日本では0.1755、イギリスは0.0837と日本の方が大きい。
N64 Brown MC. Do physicians locate as spatial competition models predict?
Evidence from Alberta. Can Med Assoc J 1993;148(8):1301-1307.(良い論文)
・空間的な競合モデルで医師の分布が予測できるか解析。1990年のアルバータ州19センサス地域を対象。
・空間競合でモデルで医師の配置をある程度は説明できるが、都会の1人の患者は田舎の2.3人の患者と同等であった。
・このため、田舎に医師を配置するには、金銭的なインセンティブが必要である。
・コストが高ければ、田舎の患者を都市部の医療センターに搬送するネットワークを整備することも必要。
・診療科ごとの医師数と人口比を出して、小さな町に専門医がいないことを指摘。
・地方の医師不足が、一面で専門医不足であることを指摘。
N65 Roos NP, Gaumont M, Horne JM. The impact of the physician surplus on the
distribution of physicians across Canada. Canadian Public Policy
1976;2(2):169-191.
(総説)
・医師の偏在に関して、医師誘発需要に言及。
・専門医の市場は限度がない(医師誘発需要で)とコメント。
・1951年から1974年にかけて、人口あたりの医師数のばらつきは小さくはなっている。しかし、州間の格差はかわらず。
・新たな医師は、医師数の多い州に多く勤務する。少ないところには、少なくしか勤務しない。
・医師の増加は、都会と田舎を比較すると、田舎の方が増加率が高い。しかし、絶対値では、都会の数がとても大きい。
・医師数の増加は、カナダの医学校卒業生と外国の医学校卒業生の両者が関与。
・オンタリオ州では、外国医学校卒の流入が僻地の医師不足をカナダ医学校卒よりも緩和したとは言えなかった。
・半数のカナダ医学校卒は、都市部で一般診療を行う。
・マニトバおよびアルバータ以外は、外国医学校卒は一般医療よりも専門医療を選択する医師が多い。
(結論)
・医師数を増やしても都会と田舎の医師数の格差を改善することはできない(1968年から74年)。
・皆保険制度も医師の偏在を改善しない。
N66 Frenzen PD. The imcreasing supply of physicians in US urban and rural
areas, 1975 to 1988. Am J Public Health 1991;81:1141-1147.
・1975年から88年の医師の偏在に関する調査。医師数は増えたが、田舎への医師の増加がどうなったかを調査。群ごとにプライマリケア医、専門医、オステオパスの数を調査。
・都市部および田舎の医師数は増えたが、都市部の医師数の増加の方が激しく、都市と田舎の格差は増大している。
N67 Hicks LL. Social policy implications of physician shortage areas in
Missouri. Am J Public Health 1984;74:1316-1321.
・1976年と81年のミズーリ州での郡ごとの人口あたりの医師数の検討。
・医療資源ギャップ=外来受診数÷年齢・性別から割り出した予想される外来受診数の比率で算出し、そのギャップを外戚。
・115郡の24郡で人口あたりの提供される医療資源が減少。24郡のうち23郡は人口2万5千未満で、12郡は1万未満。
・1976年には24郡の医師のうち60歳以上は34%であったが、81年には47%と、地域医療医師の高齢化が著しい。
N68 Randolph GD, Pathman DE.Trends in the rural-urban distribution of general
pediatrcians. Pediatrics 2001;107;e18.
・田舎の一般小児科医が充足しているかどうかの解析。
・1981から1996年の一般小児科医の変化を追跡。クロス・セクショナル。アメリカ医師会のマスターファイルを用いて一般小児科医のファイルを解析。10万人の18歳未満の子供あたりの一般小児科医数をアメリカの郡ごとに解析。
・女性医師は0.8FTE、医学教師、レジデント、医学研究者は0.35FTEとして算定。第2専門が、generalではない場合は除外。
・一般小児科医は1981年の19739人から1996年の34100人に増加したが、人口当たりの一般小児科医師数は都市部のほうが高く、小児人口25000人以上の郡が人口当たりの一般小児科医師数の増加が見られただけだった。1人の一般小児科医を養うのに25000人程度必要と考察している。
・一般小児科医の増加は、小児人口10万あたり都市部で14.0、田舎で4.1であった。
・田舎には、男性、外国医学校卒よりも米国医学校卒、新人医師が多い。
N69 Baker LC. Differences in earning between male and famale physicians. New
Engl J Med 1996;334:960-964.
・1991年に45歳未満で医師歴が2から9年の若手医師の働き方に対する全米調査(9745人対象で解析可能となったのは4568人(男性3425人、女性1143人))。1987年と比較する。アメリカ医師会の社会経済的モニタリング資料を利用。
・働く時間は、男性週62時間を47週、女性州51時間46週。
・男の医師の稼ぎは、女性医師よりも41%多い(CI:1.34~1.41)。
・時給も、男性医師は女性医師よりも14%たかい(CI:1.09~1.20)。
・しかし、診療形態や専門科等を補正すると差はない(CI:0.96~1.04)。
・家庭医では女性の方が稼ぎが良く、内科や救急科では男性の方が稼ぐ。
・10年目超の医師では、男性の方が稼ぎが良い。
N70 Pathman DE, Konrad TR, Ricketts TC. The comparative retention of National
Health Service Corps and other rural physicians. Results of a 9-year follow-up
suty. JAMA 1992;268(12):1552-1558.
・1981年178の補助金を受けたへき地診療所の医師412人の9年後の残存率の調査。1990年調査。田舎は、最低25000人の町から遠く離れた(高速から24km以上、州間道から16km以上、州境をまたぐなど)地域。奨学生の平均年齢30.0歳、非奨学生34.8歳と有意差はある。
・はじめに勤務した診療所、町、いずれかのへき地への残存率は、National Health Service
Corpsの奨学生はそうでないへき地勤務医よりも低かった。
N71 Newhouse JP. Geographic access to physician services. Annu Rev Public
Health 1990;11:207-230.
・都市部と地方との医師の偏在に関する総説。この指標は、人口当たりの医師数で比較される。需要が多いために医師は都会での診療を好む傾向がある。
・それまでは、医師の診療場所は利益を最大化するように決定されるとしていた。需要が多ければ値段を上げることも興味ある症例も得られるので需要の多いところに診療場所を考えるであろう。
・実証的に総合医的な医師は小さな町でも診療できるが、専門的な診療科では大きな町でないとマーケットがない。したがって、一般医よりも内科医のほうが診療圏が広くなる。
・診療科ごとに成立するための最小の人口がある。この規模未満ではその診療科の医師はいない。
・地方の医師数を増やす方法としては、医師を地方に行かせるインセンティブ(地域枠など)を提示するか、地方の需要を増やす(住民に安価な医療費で受診できるよう補助金等を与える)がある。
・しかし、地域枠をつくっても地域の医師が増えて収入が下がれば、地域枠以外の医師が大きな町に移ってしまう。
・医師数が増えると都会から地域に医師が流れてくるのではなく、都会の医師数が増えるだけのようである。医師が増えるには一定の人口規模がないと無理である。
N72 American Academy of Pediatrics, Committee on Career and Oppotunities.
Committee report: population-to-pediatrician ratio estimates: a subject review.
Pediatrics 199697(4):597-600.
・Graduate Medical Education National Advisory Committee(GMENAC)は、1980年に理想的な小児人口:小児科医師の比率を2033:1と予測した。
・1991年にUS Bureau of Health Professionsと契約したAbs
Associateは、小児科医師:小児人口を2430:1とすべきとした。
・HMOのデータでは実際には、1400:1付近でばらついている。
・小児の受診は、HMOでは年4から5回、出来高では年3回。
・HicksとGlennは、小児の受診頻度と小児科医の週当たりの受診者数、年間の診療週数から小児科医を支える全人口を算出。年間1人の小児科医に全人口で0.31回受診すると仮定して算出。受診者数は、週あたり中央値で110人、年間47週診療と仮定。
・この結果、16677人の人口が小児科医FTE1人を支えるのに必要としている。
・22歳未満人口を全人口の32%として小児人口を算出。したがって、小児は年間0.99回の受診、小児人口5337人が小児科医1人を支えていることになる。
・田舎では、人口あたり都市部に比べて12%小児科医が少ない。したがって、医師を増やすには多くの人口を要する。
・こどもの約40%は小児科医、60%は一般医や家庭医に受診している。
・Millerらは、医師への外来受診は、受診率に各年齢の人口をかけて算出している。そして、小児科医の受診と家庭医の受診(小児全体の受診の約2割は一般医、家庭医受診)を推定。
・Universal heakth insuranceで小児科への受診が5から15%増加することを紹介。
N73 Rosenthal MB, Zaslavsky A, Newhouse JP. The geographic distribution of
physicians revised. Health Serv Educ Trust 2005;40(pt1):1931-1952.
・地域の医療機関へのアクセスを、FTE医師数を予測される患者数で割って推定。
・アメリカの医師数の少ない州におけるクロスセクショナル解析(1979から99年)。
・医師の所在地は、1999年AMAマスターファイル、または、診療所のZIPコード。
・各地域の人口とZIPコードは2002年センサスから。
・住民と直近の医師との距離は、両者のZIPの緯度、経度で求め、人口で加重平均。
・79年から99年で医師数は倍となり、多くの診療科の医師が小さい町にもいきわたったが、小さい診療科(専門性が高い科)は小さな町までいきわたっていなかった。GPやFPは人口規模に関係なく、人口あたりの医師数がほぼ一定。
・人口当たりの医師数、直近の医師までの距離、医師当たりの患者数から、都市部の住民は医師へのアクセスが良いことが判明した。
・人口あたりの医師数は地域でばらつきが大きく、田舎でも都市部と接している地域は接していない地域よりも人口当たりの医師数が少なかった。
・直近の医師までの最短距離や医師当たりの患者数は大きな違いがなく、孤立した田舎では都市部よりも医師へのアクセスが悪いことがわかった。
N74 Goodman DC, Fisher ES, Little GA, Stuckel TA, Chang CH. The uneven
landscape of newborn intensive care services: variation in the neonatology
workforce. Eff Clin Pract 2001;4(4):143-149.
・1996年米医師会マスターファイル、99年米国集中治療室調査、95年米病院協会調査、95年出生登録を用いた出生あたりの新生児科医のばらつきの調査(246の市場による地域対象)。
・出生1万あたりの新生児科医は、1.2から25.6までばらつき(20パセンタイルは3.5、80パーセンタイルは8.5)
・研修医fellow)の比率は、20パーセンタルで14%、80パーセンタイルで16%と差がない。・研究、教育、管理に関する比率は、20パーセンタイル、80パーセンタイルともに14%であった。
N75 Eisenberg JM. If trickle-down physician workforce policy failed, is the
choice now between the market and government regulation? Inquiry
1994;31:241-249.
・医師養成数が多ければ、都市の中心部や田舎へ医師が流出していくだろうとするtricke downが期待されるとの説がある。(アメリカの事例)
・しかし、80年代と比べても90年代に都市部の中心や田舎への医師の流出はない。若い医師は、専門科を選択して田舎にはいかない。
・偏在については、医師誘発需要に関しても言及。
・著者は、市場原理による医師の田舎への配置を提言。しかし、行政の管理(レジデント枠の規制など)も必要と。医療には、規制の入ったregurated
competitionが必要と。
N76 Guagliardo MF, Jablonski KA, Joseph JG, Goodman DC. Do pediatric
hospitalization have a unique geography? BMC Health Serv Res 2004;4:2.
・新生児以外の0から17歳と高齢者のカリフォルニアの退院をクロスセクショナルに解析。HSA(hospital service
areas)の入院者の何パーセントが自分のHSAに入院したかとの指標(index of localization)を使用。219HSAを対象。
・小児の退院は、メヂケアのHSAよりもindex of localizationが20%低い。
・高齢者と小児は、メディケアのHSAと必ずしも一致しない。
N77 Goodman DC, Fisher ES, Little GA, Stukel TA, Chang CH. Are neonatal
intensive care resources located according to need? Regional variation in
neonatologists, beds, and low birth weght newborns. pediatrics 2001;108:426-431.
・96年の米医師会、米足医マスターファイル、99年米小児科学会周産期サーベイを用いて、246のNICUの管轄地域の比較。
・新生児科医あたりの出生数は、390から8197(中央値1722)
・NICUベッドあたりの出生数、72から1319(中央値317)。
・上位20%のキャパシティ(新生児医あたりの出生が863人)での極小未熟児の比率は1.5%、下位20%のキャパシティ(新生児医あたりの出生が3718人)での極小未熟児の比率は1.3%と差異がなかった。
・出生数の多いところにNICUの収容能力が大きいわけではなかった。
N78 Guagliado MF. Spatial accessibility of primary care: concepts, methods
and challenges. 2004;3:3.(総説)
・アメリカでのプライマリケアのアクセスに関する地理的な検討の総説。
・こうした医療提供の分布は、おもに田舎の病院に限られていた。
・アクセスで問題となっているのは大都市の中心部である。
・さらに、医療機関への距離だけではなく、医療サービスを購入できるかも問題となる。
・70年代には田舎と都会では、医療施設へのアクセスが異なることが科学的に明らかにされた。それまでは、直観的なものであった。
・プライマリケア医が多いと、必要のない入院を避けることができる。
・空間的なアクセスの最適な指標が何かは不明である。
・アクセスの指標としては。医療提供者(医師、診療所、ベッド)と人口比、直近の医療施設までの距離、医療機関までの平均距離、医師の影響の重心を見るものがある。
・医療提供者と人口比では、地域を越境して受診する数が把握されない傾向がある。
・直近の医療機関までの距離は、直線距離、道路や鉄道を用いた距離などが使われる。
・昨今は、floating catchment
area法をつかう。まず、医療提供者のZIPを調べ、プライマリケアの場合には、そこから車で30分以内の人口を対象として、人口あたりの医療提供者を求める。また、住民のZIPをもとめ、住民からみた複数の医師数をもとめる。これだと、州境をこえる受診も反映される。
・また、compound gravity modelやKernel density
method(小さな面積での医療提供者を解析するものらしい?)もある(内容はよく理解できず)
。
・研究数として最も多いのは、直近の医療提供者への距離、または、人口あたりの医療提供者数の研究である。
N79 Goodman DC, Fisher ES, Little GA, Stukel TA, Chang CH, Schoendorf KS. The
relation between the availability of neonatal intensive care and nepnatal
mortality. N Engl J Med 2002;346:1538-1544.
・1996年の米医師会、米足医会のマスターファイル、98、99年の246NICU管轄地域に関する調査、95年のbirth cohortによる出生数を用いた解析。
・500グラム以上の出生児3,892,208人における新生児死亡率は3.4.
・新生児科医が1万の出生あたり4.3人の地域は、2.7人の地域よりも新生児死亡率(500から999グラム)が低かった(オッズ比0.93、信頼区間0.88から0.99)。しかし、4.3人をこえても新生児死亡率は下がらず。
N80 Stoddard JJ, Cull WL, Jewett EAB, Brotherton SE, Mulvey HJ, Alden ER.
providing pediatric subspecialty care: a workforce analysis. Pediatrics
2000;106:1325-1333.
・1997年および98年のAAP主導のサブスペシャリティに関するアンケート調査。サブスペシャリスト18274人中11938人(65%)が回答。
・大学病院では、13のサブスペシャリティに関して、直接の雇用をしている。
・複雑な症例の紹介が増えたとの回答は、循環器の20%からクリティカルケアの44%まであり、平均33%。
・多くのサブスペシャリティでは競争があるが(全体では70%、各専門で55%から90%)、多くは競争の結果診療形態を変えていない(診療形態を変えたのは、4分の1から3分の1)。
・17のサブスペシャリティのうち、15では3から5年のうちに当該地域ではさらなるサブスペシャリストの必要性がなくなるだろうと過半数が答えている。また、回答者およびその雇用者は、さらなるサブスペシャリストを3から5年のうちにさらに雇用することはないだろうと回答者の42%が答えていた。
・小児科のサブスペシャリティは、市場の面から飽和状態にある。
N81 Goodman DC, Fisher ES, Bubolz TA, Mohr JE, Poage JF, Wennberg JE.
Benchmarking the US physician workforce. An alternative to needs-based or
demand-based planning. JAMA 1996;276:1811-1817.
・93年の米医師会・整骨医会のマスターファイルを用いて、306のHRR(hospital referral regions)のワークフォースをベンチマーキング。
・4つの地区(HMO、HMOが多いミネアポリス、出来高が多いウィチタ、一般医が50%の仮想的な地域)と比較。
・アメリカの住民のうち、96%がHMOより、60%がウィチタより、27%がミネアポリスよりも住民あたりの一般医の数が多かった。
・HMO、ウィチタ、ミネアポリスよりも74%の住民が多くの住民あたりの専門医の数があった。
・住民当たりの一般医の数は、HRRの一般医に比率とは関係なかった。
N82 Stoddard JJ, Brotherton SE, Tang SS. General pediatricians, pediatric
subspecialists, and pediatric primary care. Arch Pediatr Adolesc Med
1998;152:768-773.
・米小児科学会の認定医と認定申請できる研修医に関するアンケート調査。1616人対象として1145人(70.9%)が回答。
・回答者は527人の一般小児科医と213人の小児専門医に分け、さらにプライマリケアの有無についても解析。518人の一般小児科医と98人の小児専門医がプライマリケアを提供していた。
・一般小児科医は、「自らは自分の患者の93%にプライマリケアを提供し、小児専門医は自分の患者の2%にプライマリケアを提供している」と回答していた。一方、小児専門医は、「一般小児科医は患者の53%にプライマリケアを提供し、自らは患者の32%にプライマリケアを提供している」と回答した。
・プライマリケアを提供する小児科医は、「一般小児科医は患者の88%にプライマリケアを提供し、小児専門医は患者の74%にプライマリケア%を提供する」と回答していた。
・プライマリケアの提供率の自己認識は、一般小児科医と小児専門医で異なっていた。
N83 DeAngelis C, feigin R, DeWitt T, First LR, Jewett Kelch R. Final report
of the FOPE II pediatric workforce workgroup. Pediatrics
2000;106(suppl):1245-1255.
・FOPE II(Future of Pediatric Education)の最終報告書
・7つの総括
‐個人での診療はまれとなり、グループ診療が主体となるだろう。
‐家庭医や医師以外の医療従事者(NPやPA)との連携が重要となるだろう。
‐女性医師や外国医学校卒医師の問題が重要となるだろう。
‐FOPE Iでは、小児科レジデント数の維持はうたわれたが、一般小児科医と小児科サブスペシャリストの数の問題が議論されていなかった。
‐医師や人口の地理的な分布を議論すると、サブスペシャリティの研修には大きな人口の圏域が必要となる。
‐マネージドケアの導入がワークフォースに大きな影響を与える。
‐テレメディシンに言及。
・地方の医師は都会の医師よりも労働時間が長い。
・医師不足の地域には、レジデント制度がない。
・小児人口に比して小児科医が多い地域は、都市部である。
・人口あたりの医師数の多い地域は、平均年収が高い地域である。
・黒人やヒスパニックの医師は、少数民族の地域で診療する比率が高い。
・米国では、小児科医の45%が女性、研修医の60%以上が女性。
・女性医師は、男性医師の82%の時間働く。
・女性医師は、サブスペシャリティよりも一般診療を望む。
・小児の入院の必要性は低下してきている。
・小児科医の需要は横ばいか低下するだろう。
・必要医師数の予測は、罹病率等から算出するneeds-based model(demand-based model)とbenchimarkingがある。
・個人経営より、雇用された小児科医の方が、労働時間が短い。
N84 Newhouse JP, Williams AP, Bennett BW, Schwartz. Where have all the
doctors gone? JAMA 1982;247:2392-2396.
・AMAのマスターファイルを用いた調査。
・70年代に内科系および外科系の専門医が増加し、小さな町でも診療を行う医師が出現した。
・1979年には、2500人以上の町村で医師へのアクセスが可能となっている。
・医師数の増加という競合モデルは、医師の不足地域の解決に有用な方策である。
・50%の町で診療科のある人口を求めると、グループ2(内科、外科、小児科、産婦人科など)では、2000から3000人で、グループ3(麻酔科、整形、眼科、皮膚科など)では5000人よりも大きかった。
・各診療科には、一定の規模の町以上でしか診療が行われないというクリティカルな町の規模がある。
・しかし、内科では一般医や家庭医との競合があるので、小さな町への流出は少ない。
・医師は、医師誘発需要も惹起できるし、働く時間を短くも長くもできるので、競争には強い。
・一方で、2500から5000人の町の40%、5000から1万人の町の20%で病院がないことも示している。
N85 Reames HR,Jr, Dunstone DC. Professional satisfaction of physicians. Arch
Intern Med 1989;149:1951-1956.
・19人の医師に対して、職業上の問題を解決に関するインタビューを実施。
・問題とは、社会的な制約の中で生じる問題で、医学的な判断ができないこと、搬送が判断ができないこと、医療訴訟の心配、HMOにおける倫理的な問題、所得の減少などである。
・職業に満足している人とそうでない人とで、態度や問題解決方法の違いを検討。
・医療における幸福は、医療という仕事の成功よりもさまざまな社会的な制約に適応できるか(患者との人間関係が良いか、訴訟防止にモンスター患者の排除ができるか)といった態度に関連していた。
N86 Phibbs CS, Luft HS. Correlation of travel time on roads versus straight
line distance. Med Care Res Rev 1995;52(4):532-542.
・NY州のNY市とロングアイランドを除く地域の直線距離と高速道路での所要時間との相関の検討。1166のZIP地域と直近の160の病院への距離とNY州の高速道路の所要時間との関連を調査。
・全体では、相関係数0.987、15マイル未満の場合には相関係数0.826.
N87 Ramsbottom-Lucier MT, Caudill TS, Johnson MMS, Rich EC. Interactions with
colleagues and their effects on the satisfaction of rural primary care
physicians. J Rural Health 1995;11(3):185-191.
・ケンタッキーでプライマリケアを実施している医師へのアンケート調査(1991/92年冬)。
・医師の職業的な満足度は、多変量解析の結果、診療を行う地域、診療形態(単独かグループ診療か)、卒後年数、地域にいる同業者の数、同業者との医学的な相互作用に関連していた。
・多くは職業に満足しているが、満足度は小さな町よりも大きな町で高い。
N88 Phelps CE, Newhouse JP. Coinsurance, the price of time, and the demand
for medical services. Reviws of Economics and Statistics
1974;3:334-342.(経済モデル:よくわからず)
・自己負担率と受診数との関連を概観。
・時間のかかる外来受診は、価格弾力性は低いが、時間弾力性は大きい。
・値段の張る往診は、価格弾力性が大きい。
・一部の患者は、自己負担があることを受診にとって不適切だと思っている。自己負担は、さまざまな医療サービスを購入することに影響を与える。
N89 Matsumoto M, Ogawa T, kashima S, Takeuchi K. The impact of rural hospital
closures on equity of commuting time for haemodialysis patients: simulation
analysis using the capacity-distance model. Int J Health Geographics 2012;11:28.
・距離モデル、距離・外来容量モデルによって、へき地の透析施設が閉鎖された場合の患者の移動時間をシミュレート。GISソフト使用。
・2011年8月の広島県の7374人の透析患者の郵便番号と98の透析施設の郵便番号と外来対応人数を資料に使用。1876センサスブロックに患者は住む。
・車での移動でシミュレートすると、田舎の患者は都会の患者の倍以上(15分:7分)の通院時間(中央値)がかかる。
・5つの田舎の病院が閉鎖となると、通院時間のGini係数は16%増加し、90分以上の通院時間を要する患者が1人から72人に72倍増加する。
N90 Brooks RG, Walsh M, Mardon RE, Lewis M, Clawson A. The roles of nature
and nurture in the recruitment and retention of primary care physicians in rural
areas: a review of the literature. Acad Med 2002;77:790-798.
・地方にプライマリケア医を採用・定着させる因子の解析。
・90年から00年の間にPubMedとMedlineに掲載のあった21論文のシステマティックレビュー。
(田舎への定着を促進する因子)
・卒前の因子:地方で育ったこと、診療科(家庭医)の好む傾向
・卒後の因子:地方でのカリキュラムやローテーション(とくにレジデント時)
・僻地勤務のための学生奨学金を受けても、義務年限が来ると地方から去る。
N91 関根道和、立瀬剛志、鏡森定信。人口10万人対研修医新規採用数の都道府県間格差の推移。医学教育 2009;40(4):265-269。
・平成15年度から20年度の都道府県別研修医採用実績と平成17年国勢調査から、都道府県別の10万人あたりの研修医新規採用数とそのジニ係数を算出。
・人口対採用比の最大値/最小値は、平成15年は9.3、平成16年以降は3.6-4.7と縮小。
・ジニ係数は、平成15年度は0.21、平成16年度移行は0.17-0.19と低下。
・都道府県内格差が問題。
N92 青木昭子、古川政樹、後藤英司。医学部学生が研修病院を選択時に重視している項目 新臨床研修制度開始後3年間の傾向。横浜医学
2006;57:123-126。
・平成15年から17年の研修先が決まった医学部6年生へのアンケート調査(横浜市大)。
・研修病院を選択する際に重視した項目は、研修プログラム(研修プログラム、指導医の臨床能力、救急研修の充実)と待遇(病院の所在地、通勤の利便性、給与・待遇、宿舎)などがあげられた。
N93 川村顕。新卒医師の研修先決定要因。病院 2009;68(12):1005-1009.
・マッチング協議会、臨床研修プログラム検索サイトから公開されている資料を用いて、研修医の研修先決定要因を探る。
・大学病院で決定に際して有意な因子は待遇(給与)であった。
・市中病院では、指導医数、単独型臨床研修病院であるか、診療科数、病床数、病床当たりの臨床患者数が有意(正の相関)であった。また、地域医療(負の相関)と選択の研修期間(正の相関)も有意。給与は有意ではない。
・市中病院を志す研修医は、給与の多寡よりも指導体制や豊富な症例に接する機会を重視する。研修プログラムは、地域医療を好まず、新卒医師の選択が担保されることを好む。
N94 Wennberg J, Gittelsohn A. Small area variations in health care delivery.
A population-based health information system can guide planning and regulatory
decision-making. Science 1973;182:1102-1108.
・バーモント州での医療資源の利用や支出のコミュニティー間でのばらつきを示す。1969年にバーモント州の251の町(人口の中央値は825人)で調査。13のHSA(Hospital
Service Area)がある。バーモント州の人口は、1970年に444,000人。
・医療資源の投入のばらつきは、支出の少ない地域から多い地域への所得移転を反映。
・医療資源の利用のばらつきは、ヘルスサービスの不確実性を示す。
・小さな区域での医療資源の情報が得られれば、病院の拡張に際して病床規模や病床利用率のランキングが分かる。
・小さな区域での健康情報体制は、合理性のある公衆衛生政策に重要である。
N95 Assessing spatial and nonspatial factors for healthcare access: towards
an integrated approach to defining health professional shrtage areas. Health
Place 2005;11:131-146.(Not int)
・イリノイ州について、2000年のセンサス(人口の位置:人口と社会経済的な因子を引用)と米医師会のデータ(プライマリケア医のZIPコードデータ)を用いてアクセスに関する空間的な因子と非空間的な因子を解析。イリノイ州は、2952のセンサス地域と1269のZIPコードがある。
・受診の移動距離は15マイル(約24キロ)として居住地から15マイルの円を受診する範囲としている。その後、医師からの実際には時間を30分として再検討。
・空間的な因子は、患者と医療機関までの移動時間がある。移動時間は高速道路の有無や人口密度で9つに時速を分類。
・非空間的な因子は、年齢、性熱、民族、収入、社会階級、教育、言葉の問題などがある。
・社会経済的な要因が40%のばらつきを説明し、社会文化的な要因(言語の問題など)が21%のばらつき、高度医療の要求度(収入の多さなど)が13%のばらつきを説明。
・空間的な因子と非空間的な因子を組み合わせて受診を説明しようとしたが、高度医療の要求度と空間的な距離は関係あり、医師不足地域と社会経済的、社会文化的も関連あり、その程度は同定不能。
・医師不足地域では、地理的な因子、人口の因子がある。
N96 Cooper RA. Perspectives on the pyhysician workforce to the year 2020.
JAMA 1995;274:1534-1543.(総説)
・アメリカの医師のワークフォースを推定。
・見通しは、グループとHMOでの医師の利用状況、医師の分布、医師以外の供給に基づいている。
・供給が増えて、31000人が2000年、62000人が2010年に余るとしている。
・しかし、医師の分布は一様ではなく、医師以外の職種も増加する。
・地域の医師過剰は、その分布に影響される。
・将来の医師余剰は、医師以外の医療者によって代替できるサービスについて、住民がどの程度医師によって提供されたいかによる。
・1993年には、米国の10万あたりの医師数は全体では208人、都市部では226人、都会以外では118人。14%の国民は、10万あたり28人の地域ですみ、0.2%は無医地区に住む。
N97 Morrisey MA, Slaoan FA, Valvona J. Defining geographic markets for
hospital care. Law Contemp Probl 1988;51(2):165-194.
・値段が上がると、搬送コストの高い周辺部から需要が減る。
・LIFO(外からの受診がほとんどない)、LOFI(中からの受診のための外に行くことがほとんどない)受療圏を75%(ないしは85%、89%)で解析。
・解析地域は、アラバマ州バーミンガム、ネブラスカ州オマハ、ペンシルバニア州フィラデルフィア、アリゾナ州フェニックス。
・病院のマーケットの適切な定義は、病院の集約化に顕著な影響を及ぼす。しかし、実際には集約化は不十分である。独占禁止的な関心があるためであると思われる。
・地方の方が、マーケットの範囲が広い。
N98 Biewen M. Bootrap influence for inequlity, mobility and poverty
measurement. J Econometrics 2002;108(2):317-342.
・ブートストラップ法(モンテカルロ法の一種)で不平等、流動性、貧困の計測を行う。
(ブートストラップ法)
ブートストラップ法は母集団の推定量の性質(分散など)を、近似分布にしたがって標本化したときの性質を計算することで推定する手法である。近似分布としては、測定値から求められる経験分布を用いるのが標準的である。また仮説検定に使う場合もある。仮定される分布が疑わしい場合や、パラメトリックな仮定が不可能ないし非常に複雑な計算を必要とするような場合に、パラメトリックな仮定に基づく推計の代わりに用いられる。
ブートストラップ法の利点は解析的な手法と比べて非常に単純なことである。母集団分布の複雑なパラメータ(パーセンタイル点、割合、オッズ比、相関係数など)の複雑な推定関数に対して標準誤差や信頼区間を求めるために、単にブートストラップ標本を適用するだけで済む。
一方ブートストラップ法の欠点として、漸近的に一致する場合には有限標本が保証されず、楽観的になる傾向がある。
N99 Weiner JP. Forecasting the effects of health reform on US physician
workforce requirement. Evidence from HMO staffing patterns. JAMA
1994;272:222-230.
・HMO導入により、米国の医師のワークフォースがどう変化するを検討。
・米国民の40から50%は、HMOを利用すると推計。
・165000人の医師が2000年に余ると予想。
・2000年には、プライマリケア医は需要と供給がバランスが取れているが、専門医は需要を60%上回る。
N100 Lohr KN, Brook RH, Kamberg CJ, Goldberg GA, Leibowitz A, Keesey J,
Reboussin D, Newhouse JP. Use of medical care in the Rand Health Insurance
Experiment. Diagnosis- and service-specific analysis in a randomized cotrolled
trial. Med Care 1986;9(suppl):S1-S87.
・自己負担を徴収するときの受診行動の検討。7700人が参加したRCT(1974年11月から1982年1月)。
・自己負担を導入すると、受診回数はへる。
・しかし、その抑制作用は効果のあある治療(大けが、重症の呼吸器および泌尿器感染症など)と効果の乏しい治療(かぜなど)と両方に対してある。
・不要不急の受診を減らすが、自己負担なしで受診できたことによる良い効果を減じてしまう。
N101 Williams AP, Schwartz WB, Newhouse JP, Bennett B. How many miles to the
doctor? N Engl J Med 1983;309:958-963.
・70〜79年における医師とへき地住民との距離の解析。
・アメリカの25000人以下の町を対象。距離は、ZIPの中心相互の直線距離。実際に高速道路での移動を400か所について実施すると、直線距離よりも20から25%長いことが示されている。
・直線距離を自動車の移動距離に換算したところ、この時代に、へき地住民の80%は自動車で10マイル圏内に医師が所在、98%は25マイル圏内に所在。しかし、2%は医師にアクセスできない。
・医師の数と直線距離20マイル圏内に医師がいる比率は相関する。
・80年代に医師と小都市住民との距離は改善したが、地理的に孤立した地域の住民のアクセスの改善は十分ではなかった。
N102 Dennis T. Change in the distribution of physicians in rural area of
Minnesota, 1965-85. Am J Public Health 1988;78:1577-1579.
・ミネソタ州における1965年から85年の人口対医師数の変化の解析。
・都市部ではない地域では、人口あたりのプライマリケア医は2%減少し、家庭医は11%減少した。
・医師数は増加したが、ミネソタの田舎ではプライマリケア医の増加にはつながらなかった。
N103 Leibowitz A, Manning WG, Jr, Keeler EB, Duan N, Lohr KN, Noewhouse JP.
Effect of cost-sharing on the use of medical services by children: interim
results from a randomized controlled trial. Pedicatrics 1985;75:942-951.
・ランド研究に参加した1136人の受診行動の解析。
・自己負担金がない子供は、95%の受診回数の子供よりも、医療費が3分の1多かった。
・外来受診回数は、自己負担のない子は、95%負担の子よりも22%多かった。
・入院回数も、自己負担のない子は、95%負担の子よりも34%多かった。
・自己負担により、外来受診に関しては、受診の確率、年間の支出、年間の受診回数、外来治療の回数、が減少する。
・しかし、入院に関する費用には変化がない。
・予防医療、急性期医療、慢性期医療ともに自己負担導入で受診回数の減少が見られる。
N104 Burnett RD, Bell LS. Projecting pediatric practice pattern. A survey by
the American Academy of Pediatrics, Committee on Manpower. Pediatrics
1978;62(4):625-680.
・AAPのワークフォース調査。対象は、AAP会員のうちの一部2000人。そのうち、解析は921人に絞られる。
・小児科医はプライマリケア医として、社会経済的な各層に医療を提供しているが、すべての需要にこたえられていない。
・NPも含めてグループ診療の傾向が進んでいるが、専門科のみの診療を行っている事例は少ない。
・小児科医は報酬のない社会貢献をしている。
・80%以上の医師がメディケイドの診療を行っている。
・小児専門医が増えてプライマリケアを行う小児科医が減ることは控えなければならない。
・専門のサブスペシャリティは、大学では新生児科医、一般ではアレルギー科医が多い。・小児科医1人あたりの小児人口は、都会および都会周辺では2575人、田舎では6347人。
・田舎に小児科医の10%がおり、小児人口の19%が田舎にいる。
・収入は、大学医師が36,812ドル、一般診療医が45,760ドル。
・AAPのサーベイでは、小児科医は週58時間はたらき、時給は15.8ドル。
・平日に診療する患者数は、一般小児科医が32.4人、大学小児科医が14.1人。
・オンコールの夜に、一般小児科医は3.2人、大学小児科医は2.4人の患者を診療している。
・89%の小児科医がオンコールをしており、12%は週に7日間オンコールがある。
・オンコールのときに。15%の一般小児科医は15回以上の電話照会がある。また。オンコール時に電話照会がない一般小児科医は5%に過ぎない。オンコール時の電話照会の中央値は、一般小児科医8回、大学小児科医3回。しかし、実際に診療する患者数の中央値は小児科医全体で1夜に1人である。
・NPやPAの概念は肯定しているが、雇用している臨床医は14%。
・診療場所を選らぶもっとも多い因子は、天気と地理的因子(20%)、ついで収入の可能性(13%)であったが、田舎で診療している小児科医では、1位は天気と地理的因子(23%)であったが、2位は医師不足の地域(18%)であった。
・診療の形態として、学校関連とアレルギーが増加し、急性期や健診、入院、新生児の診療が減少。
N105 Murata A, Matsuda S, Kuwabara K, Fujino Y, Kubo T, Fujimori K, Horiguchi
H. An observational study using a national administrative database to determine
the impact of hospital vomule on compliance with clinical practice guidelines.
Med Care 2011;40(3):313-320.
・患者数と臨床診療ガイドライン(肝胆膵外科の東京ガイドライン)の順守の解析(DPCのJapan Administrative
databaseを利用)。疾患は胆管炎を対象
・2008年4月〜12月に患者数をLVH(80症例未満)、MVH(80から120例)、HVH(120例超)に分けたところ、ガイドラインの順守率(スコアを0-10とする)、HVHはMVHやLVHよりも優位に高く、症例数の多い施設がガイドライン順守率が高いことが判明した。
N106 Norheim OF, Asada Y. The idea of equal health revisited: definition and
measures of inequity in health should be better integrated with the theories of
sidtributive justice. Int J Equity Health 2009;8:40.
・健康の不平等に対する新たな概念(Weak principle of health equarity and the principle of fair
trade)の提供。
・平等やトレードについては、誰かが不健康になることで平等が達成されたり、一部の人が犠牲になることで平等が達成されてはならないと主張。
N107 McCrindle BW, Starfield B, DeAngelis C. Subspecialization within
pediatric practice: a broader spectrum. Pediatrics 1992;90:573-581.
・1978年の小児科医の労働力調査。
・アメリカ医師会マスターファイルで小児診療を行う医師のうちランダムに1620人にアンケート。回答率63%。
・回収した小児を診療する医師の内訳は、一般小児科医70%、一般小児科だが専門医療もする医師17%、専門医療に特化した小児科医13%であった。
N108 Rivo ML, Mays HL, Katzoff J, Kindig DA. Managed health care.
Implications for the physician workforce and medical education. JAMA
1995;274:712-715.
・COGME(The Council on Graduate Medical Education)の6回目の報告書の要約。
・知見1:マネージドケアが急速に増えている。
・知見2:マネージドケアの進行により、専門医の過剰と一般医の不足が顕在化している。
・知見3:マネージドケアの進行により、医学教育の体制に変更が生じている。研修病院は、コストが高く、専門医や研究偏重であるため、医学教育に対する助成も減る恐れがある。
・知見4:マネージドケアの増加は、医学教育の欠点を明らかにし、改善の機会を与えている。
HMO自体がレジデント教育に乗り出している。
・知見5;現時点では、医学校、レジデント制度、研修病院、マネージドケアが医療者のマンパワーや医学教育の優先順序を改善する取り組みに対してインセンティブが少なく、障害も多い。
N109 Estes EH. The dispersion of physicians. JAMA 1982;247:2406.
・SchawartzらのNEJM(1980)へのコメント。医師が地方へ拡散するモデルはプライマリケアの研修の強化に役立たない。なぜなら、一般医や家庭医は高齢医師が多く、NEJMでの解析は、2500人未満の医師不足の地域を解析対象としていないからだ。
N110 Matsuda S, Ishikawa KB, Kuwabata K, Fujimori K, Fushimi K, Hashimoto H.
Development and use of the Japanese case-mix system. Eurohealth
2008;14(3):25-30.
・2003年に急性期病院にDPCが導入されて2007年には1426病院45万ベッドがDPC下にある。・これにより、肺がんや乳がんに対する化学療法に対する臨床研究が可能になる。
N111 Shapiro MF, Ware JE,Jr, Sherbourne CD. Effects of cost sharing on seeking
care for serious and minor symptoms. Results of a randomized controlled trical.
・ランド研究で、自己負担が医療機関への受診にどんな影響を与えるかを検討。アンケートを書いてもらう。
。地方の健康保険加入者で17から61歳の3539人を対象とし、自己負担がない人と自己負担のある人の1年間の受診に関する比較。
・重症か軽症かは委員会(panel)の医師が判断。
・軽症である時に、自己負担群は外来受診する比率が3分の1減少(6.3%対9.0%、P<0.04)・しかし、重症時には、自己負担群と無料群で受診の比率は変わらない(22.3%対17.9%、P=0.095)
・一方、社会実験開始時に不健康であった社会的身分の低い人は、自己負担がある人の方が重症な症状を有する比率が高かった(29.1%対23.8%、P<0.004)。
N112 Weiskotten HG, Wiggins WS, Altenderfer ME, Gooch M, Tipner A. Trends in
medical practice. An analysis of the sistribution and characteristics of medical
college graduates, 1915-1950. J Med Educ 1960;35:1071-1121.
・米国医学校卒の診療傾向の調査。1915、20、25、30、35、40、45、50年の卒業生にアンケート。全て卒後6年目に調査することとして設計したが、年数はずれはある。
・1950年卒で私的診療を行っているものの3分の1は、グループ診療をしている。
・1935年卒に比べて1950年卒で教育や研究に携わる医師は倍増している。
・専門医への関心は上昇。一般医の専攻は低下。
・専門科を選んだ医師の多くは内科か外科を専攻している。
・公立大学は、卒後に同じ州に残る傾向が高い。また、自宅が大学の所在する州と同じ場合には、同じ州に残る確率が高い。
・1950年の卒業生では、レジデント研修を受けた州がその後の診療先の所在地にもっとも大きな影響を与えていた。
・50万人以上の市で診療する医師が減り、5千人以上2万5千人未満の町で診療する医師が増えた。
・一般医は小さな町で診療する傾向があり、1950年卒では最も小さな町以外では専門医の診療があった。
・限られた専門科だけが、50万以上の市で増えた。
・1950年卒の5分の2が医学部に入る前に住んでいた町で診療していた。
・
N113 O'Grady KF, Manning WG, Newhouse JP, Brook RH. The impact of cost sharing
on emergency department use. N Engl J Med 1985;313:484-490.
・ランド研究での自己負担率を変えた介入研究。62歳未満の3973人を対象。
・自己負担率を0%、25%、50%、95%に分ける。
・自己負担のない人は、95%の自己負担の人よりも救急外来の受診率が42%高い。
・自己負担がないと、重症疾患の受診増加よりも軽症疾患の受診増加率が3倍高い。
・自己負担のない低所得者(低3分の1)の救急外来受診率は、高所得者(高3分の1)よりも64%医療費が高い。
・自己負担がないと救急外来の利用が多い。
N114 Keeler EB, Rolph JE. How cost sharing reduced medical spending of
participants in the health insurance experiment. JAMA 1983;249:2220-2222.
・ランド研究での自己負担率の変化と外来受診、入院の際のコストの比較。
・自己負担があると、受診行動は減少するが、1入院あたり、もしくは、1外来受診あたりの医療費は自己負担率の変化で変わらない。
N115 Newhouse JP, Manning WG, Morris CN, Orr LL, Duan N, Keeler EB, Leibowitz
A, Marquis KH, Marquis MS, Phelps CE, Brook RH. Some interim results from a
controlled trial of cost sharing in health insurance. N Engl J Med
1981;305:1501-1507.
・ランド研究対象7706人の受診行動の中間報告。
・自己負担率は、0%、25%、50%、95%で、上限は所得の5%、10%、15%で最高額は1000ドル。
・自己負担がない人は、ある人よりも50%医療サービスの利用(外来も入院も、多くの人が多くの医療サービスを利用)が多かった。
・しかし、入院1回あたりの費用は保険プランで変わりがなかった。
・さらに、子供の入院は保険プランで差がなかった。
・しかし、自己負担がない人は過剰な利用をしているのか、自己負担がある人が必要な利用をためらっているのかは不明である。
N116 漆博雄。わが国における医師の地域分布について。季刊社会保障研究 1986;22:51-63.
・偏在の指標は10万人あたりの医師数の変動係数で検討。この際には、すべての地域で罹病率および受診率が等しい、専門分野の違いを無視することが前提。
・昭和38年以降、医学校の定員は増えている。
・昭和38年から44年は医学部定員増による。
・昭和45年から56年は、医学部定員増と新設医大による。
・これにより、医大の定員は昭和36年の2840人から昭和44年の4040人を経て昭和56年には8360人となった。
・しかし、定員が増えても開業医は横ばいで、勤務医、特に医育機関の医師が増えている。昭和50年ころから開業医は横ばいなのに、勤務医が急増し、昭和57年ころには勤務医と開業医の数がほとんど同じになっているが、その増加分は医育機関によるところが大。。・各県の10万人あたりの医育機関の勤務医は新設医大のために偏在化は改善。
・しかし、開業医、勤務医は偏在化が進んでいる。特に、大都市(政令指定都市)、市部、町村部の間の10万人あたりの医師数は偏在化が進む(都道府県分布と大都市・市部・町村部間の分布を解析)。
・新設医大の効果は、地域医療にでるまでに卒後時間がかかるので、この論文の執筆時期には現れていない。
・僻地は公的病院が医療を行っているが、独立採算のため、僻地に病院が新設されず、医師が増えても、僻地の医療は改善しない。
N117 Newhouse JP, Garber AM. Geographic variation in Medicare services. N
Engl J Med March 23, 2013DOI: 10.1056/NEJMp1302981.
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1302981
・議会の要請により、IOMがMedicare支出の地理的なばらつきを解析。
・Hospital refferal region(HRR)では、medicareの医療費の90パーセンタイル値は、10パーセンタイル値のHRRの1.43倍であった。
・ばらつきの一つに治療のagressiveさも関連あるかもしれない。
・IOMはばらつきの原因をあげており、亜急性期の治療の有無のばらつきと入院医療のばらつきに帰している。
・HRRには、平均11のHSA(Hospital Service Area)がある。
・中間報告では、ばらつきを小さくするための勧告内容はなかった。
N118 Brown MC. Some effects of @hysician licensing requirements on medical
manpower flows in Canada. Indust Rel 1975;30:436-451.(記述のみで解析とは言いにくい)
・カナダでの医師免許の制限による医療現場の人手不足への効果を解析。
・参入制限としては、訓練期間を延長したり、国家試験合格率を下げたり、外国人医師への差別することがあげられる。カナダは、訓練期間の延長と移民医師への差別といった方法を取った。
・しかし、厳格な医師免許の基準を作ると医師不足が悪化する。
・県間で医師免許取得のレベルが変わると県間移動で問題も。
・カナダの医師は生まれた地域と研修を受けた地域にとどまる傾向が強い。
(結論)カナダでは、医師たちは外国人医師の勤務地に関して規制を行っていた。
・州間の流出・流入のクロス表を提示。
N119 Valdez RB, Brook RH, Rogers WH, Ware JE, Keeler EB, Sherbourne CA, Lohr
KN, Goldberg GA, Camp P, Newhouse JP. Consequences of cost-sharing for
children's health. Pediatrics 1985;75:952-961.
・RAND研究での自己負担なしから95%(上限1000ドル)の自己負担での子供の外来受診における解析。自己負担増が子供の健康を損なうかどうかの解析。しかし、これまでの報告では、貧困層以外は医療費を増やしても健康状態が良くなったとは言えないとの報告がある。
・0から13歳の1844人を対象。1974年から1982年で出来高対象。
・自己負担がある場合は、無料に比べて利用率が最高3分の1減少するが、子供に関する保護者の健康度の認識(通学などの役割、精神状態、その他一般)や医学的な健康状態(貧血、枯草熱、近視、中耳の滲出液、難聴)に差異は見られなかった(軽症の重心が減ったということか?)。
N120 Matsuda S. Casemix as a tool for transparency of medical services. Jpn J
Soc Secur Policy 2008;6:43-53.
・DPCによって質の高い透明性がある医療が提供できると主張。
・国は、公的な医療と医療の質の間でバランスをとる必要がある。
・国民に医陽のコストと質に関する必要な情報を提供しなければ、産婦人科、小児科、一般外科で生じているように無制限の要求で継続性を担保できなくなる。、
N121 Valdez RB, Leibowitz A, Ware JE, Jr, Duan N, Goldberg GA, Keeler EB,Lohr KN,
Manning WG,Jr, Rogers WH,Camp P,Sherbourne CA,Brook RH,Newhouse JP.
Pediatrics 1986; 77: 124-128.
・Pediatrics 1985;75:942-951のLeibowitzとPediatrics
1985;75:952-961のValdezの論文への反論への回答。
・やはり、自己負担なしでも、子供の健康が改善しないことを強調・
N122 Rowlansd D, Lyons B. Triple jeopardy: rural, poor, and uninsured. Health
Serv res 1989;23:975-1004.
・アメリカでは、無保険者の3分の1は貧困で、4分の1は田舎暮らし(人口5万未満)。
・Medicaidも都会に比べて地方では貧困者にいきわたっていない。
・雇用者が負担する保険制度を誘導すれば、地方の無保険は解決されるかもしれない。また、地方での貧困者へのMedicaidの普及も重要である。
N123
緒方昭、西川美紀、山本和子、河野公一、出口洋二、景平圭子。医育機関別臨床医師の就業地分布-北海道・東北偏- 病院管理 1984;21:233-244。
・1982年までの同窓会名簿を用いて北海道・東北の医学校9校(北大医、北大専、樺太専、札医大、弘大医、岩医大、東北医、東北専、福島医)の卒業生の臨床診療の場所の検討で対象は18420人。
・母校の所在する道県で診療する比率は、北海道の3校卒では69.8%〜84.1%、東北地方の医大卒では31.6%〜55.4%であった。
・東北大医学部卒では、出身地に帰省して診療する割合は、46.2%。
N124 西川美紀、緒方昭、山本和子、河野公一、出口洋二、景平圭子。医育機関別臨床医師の就業地分布-関東偏- 病院管理 1984;21:317-328.
・1982年までの同窓会名簿を用いて関東の医学校19校(群大医、千葉医、千葉専、慈医大、慈医専、順大医、慶大医、慶大専、日大医、日医大、日医専、昭大医、東邦医、東大医、東大専、東女医、東医大、東医歯、横市医)の卒業生の臨床診療の場所の検討で対象は49456人。
・母校の所在する都県で診療する比率は、平均で44.3%で横市医の72.5%から昭大医の26.6%まで差が見られた。
N125
緒方昭、河野公一、西川美紀、出口洋二、山本和子、今井真一郎、景平圭子。医育機関別臨床医師の就業地分布(近畿編)。 病院管理 1983;20:103-112.
・1979年までの同窓会名簿を用いて近畿の医学校13校(三大医、京大医、京医専、京府医、京女医、阪大医、阪医専、関医大、阪医大、阪市医、神大医、奈医大、和医大)の卒業生の臨床診療の場所の検討で対象は25,382人。
・母校の所在する府県で診療する比率は、35%程度から80%程度まで。京大医、京医専、関医大で低く、阪市医が最も高かった。
・三大医、神大医、阪市医では、地元県に60%以上が集中。阪大医も58%が地元。
・有賀ら(日公衛誌 1980;27:145-150)が10の医育機関の同窓会誌から開業医の診療地の過半数が母校の所在する県であることを示したと言及。
N126 西川美紀、緒方昭、山本和子、景平圭子。医育機関別臨床医師の就業地分布-中部、中国・四国、九州編- 病院管理 1985;22:209-219.
・1982年までの同窓会名簿を用いて中部9校(新大医、新大専、金大医、金大専、信大医、岐大医、名大医、名大専、名市医)、中国・四国6校(鳥大医、岡大医、岡大専、広大医、山大医、徳大医)、九州8校(久大医、九大医、九大専、長大医、長大専、熊大医、熊大専、鹿大医)の卒業生の臨床診療の場所の検討で対象は48,429人。
・地元県での診療比率は、全平均で47.5%、中部49.2%(23.4%〜74.5%)、中国・四国43.2%(30.0%〜66.8%)、九州48.6%(43.5%〜58.0%)であった。もっとも低い医育機関は金大専の23.4%、もっとも高い医育機関は名大専の74.5%であった。
・中部では、名大専74.5%、名市医71.8%、名大医65.0%が地元率が高く、金大専23.4%、金大医35.3%が低い。
・中国・四国では、広大医66.8%が高く、岡大専30.0%、鳥大医32.9%、岡大医39.8%が低い。
・九州では、地元率に大きな変化はない。長大医47.3%、長大専45.6%、熊大医43.5%、熊大専44.6%、鹿大医48.2%と差が少ない。
N127 Schuurman N, Fiedler RS, Grzybowski SCW, Grund D. Defining rational
hospital catchments for non-urban areas based on travel-time. Int J Health
Geographics 2006;5:43.
・コストを減らすには、規模の経済性があるために、集約化が進む。そこで、地域の病院の通院時間により求めた診療圏の設定を試みる。
・ベクトルに基づくGISでカナダのブリティッシュ・コロンビア州における地方の通院時間を調査し、診療圏設定のモデルを示す。
N128 White HA, O'Connor PA. Use of the emergency room in a community
hospital. Public Health Rep 1970;85:163-168.
・救急医療の過剰利用について議論されるので、中都市での救急外来利用を調査。
・1966年6月、10月、1967年1月、4月に人口98265人のSaginau市のSaginau総合病院救急外来の受診者3957人を調査。
・入院率は14.8%。
・日勤、準夜、深夜の非緊急の受診率は変わらず。終日では、緊急(emergency)は3.3%、準緊急(urgent)は57.1%、非緊急(non-urgent)は35.9%。
・結論では、この病院では救急外来の過剰利用はないと結論。
N129 Gifford MJ, Springs C, Franaszek JB, Gibson G. Emergency physicians' and
patients' assessments: urgency of need for medical care. Ann Emerency Med
1980;9:502-507.
・1980年の2月25日から3月3日に24のアメリカの救急センター24施設に受診した10253例の医師と患者の緊急性の認識度調査。
・医師は、初診で12.6%が緊急、26.3%が準緊急、28.1%が非緊急と認識した。
・患者は、44.4%が緊急、28.5%が準緊急、15.6%が非緊急と認識した。
N130 Schneider KC, Dove HG. High users of VA emergency room facilities: Are
outpatients abusing the system or is the system abusing them? INquiry
1983;20:57-64.
・VAメディカルセンターでの救急外来患者の調査。335人を対象。
・1979年4月1日から1980年3月31日におけるアメリカの5つのERでの解析。
・うち、23%の患者がERの受診の73%を占めていた。
・慢性疾患を有し、救急外来の近くに住む少数の患者が救急外来を無駄遣いしている。
N131 Torrens PR, Yedvab DG. Variation among emergency room populations: A
comparison of four hospitals in New York City. Med Care 1970;8:60-75.
・NY市での4つのER、1113人の患者の解析。1964年から1965年にかけての18か月のインタビュー調査。
・ERには、3つの役割があり、外傷の治療、私的なかかりつけ医師の代用、都会の貧民の家庭医としての役割である。
N132 Weinerman ER, Ratner RS, Robbins A, Lavenhar MA. Yale studies in ambulatory
medical care. V. determinants of the use of hospital emergency services. Am J
Public Health 1966;56:1037-1056.
・1964年6月の2週間の間にエールのニューヘブン病院救急外来2028人の調査。20%の402人を対象にインタビュー。一般人口と救急受診者を比較。
・社会経済的に恵まれない人が付近の病院を非緊急で利用するという仮説。
・35歳未満の患者が多い傾向。
・非白人の比率が高い。
・非婚者の比率が高い。
・失業者の比率が高い。
・社会経済的に低い階層の利用が多い。
・半数の患者は、年5000ドル未満の収入。
・非緊急性の受診は、市中心部の住民に多い。
・ERは、貧者の基礎的な医療資源となり、自立的な社会層で私的な医療が受けられない際のバックアップとなっている。
N133 Newhouse JP. A design for a health insurance experiment. Inquiry
1974;11:5-27.
・価格の医療重要との関連の概説。RAND研究の実施内容の広報的論文。
・医療費削減には、免責や自己負担という方法もある。
・待ち時間やアポの問題など、医師のワークロードにも言及。
・1973年11月と12月に50家族を対象にパイロット研究を実施。
N134 Goris LG. Effectiveness of comprehensive-care programs in preventing
rhematic fever. N Engl J Med 1973;289:331-335.
・ボルチモア市内4か所で1968-70年に行われたリウマチ熱予防包括プログラム(詳細は不明だが、咽頭培養を盛んにして抗生物質投与をすることらしい)の結果の解析。1960-64年と比較。対象は5-14歳の35068人。
・上気道感染時の予防により。60-64年と比べてRFは60%発生率が低下したが、市内の他の地域ではRFの発生率の低下はなかった。
・市内部でのRFの発生予防には、予防包括プログラムが効果的。
N135 Dutton DB, Silber RS. Children's health outcomes in six different
ambulatory care delicery systems. Med care 1980;18:693-713.
・ある人口規模下の6つの医療提供体制(出来高の個人診療所、出来高のグループ診療所、定額払い制度、病院小児科外来、ER、公的な診療所)での子供の罹患率と外来受診との検討。これまでは、個人診療所のレベルが低いといわれていた。
・疾患は、貧血、急性および慢性の中耳疾患、難聴、視力障害
・年齢は、6か月から11歳の1149人。1970-71年のワシントンDC。
・結果としては、一般診療所(Solo Pactitioners)に通う患者の罹患率は、予測された率よりも高く、定額払い(HMOなど)や病院外来受診者では予測された率よりも低い傾向があった。
・しかし、罹患率は経済的な問題や医師を選択する際の違いによるものではなく、定額払いと一般診療所では排他的でそれ以外は受診しない患者によるところが大であった。
N136 Irwin PH, Conroy-Hughes R. EPSDT impact on health status: Estimates based
on secondary analysis of administratively generated data. Med Care
1982;20:216-234.
・EPSDT(早期の定期的な健診、早期診断、早期治療のプログラム)の効果の検討。
・ペンシルバニアでは、1歳半までは3カ月毎、それ以後は20歳まで1年ごとに健診あり。
・1831人の行政データでは、こうしたプログラムを受けたこどもは、再健診児の異常率が30%程度低かった。
N137 Gordis L, Markowitz M. Evaluation of the effectiveness of comprehensive
and continous pediatric care. 1971;48:766-776.
・包括ケア(治療、予防、入院等)と一般的なケア(ERや外来診療)との比較。
・1例目は、10代思春期の母から生まれた初産児に関して、包括ケアと一般的なケアとについて、母親にインタビューしたり、こどものカルテの調査を行った。しかし、受診頻度や予防接種率に差はない。
・2例目は、77人のペニシリンの経口投与でのリウマチ熱の予防を観察。包括ケアと一般的なケアでコンプライアンスに差はない。
・2つの検討ともに、包括ケアと一般的なケアで予後の差はなかった。
N138 Moore GT, Frank K. Compregensive health services for children: An
exploratory study of benefit. Pediatrics 1973;51:17-21.
・マサチューセッツ州のBunker保健センターによる包括的な医療が学校の欠席に与える影響を調査。991人。
・包括ケアを行ったら、平均欠席日数は10.4日(1968年から69年)から13.7日(1970年から71年)に有意に伸びた。しかし、保健センターの利用の頻度によって欠席日数の伸びに有意差なし。
N139 Klein M, Roghmann K, Woodward K, Charney E. The impact of the Rochester
Neighborhood Health center on hospitalization of children, 1968 to 1970.
pediatrics 1973;51:833-839.
・保健センター(9時から17時まで、月曜から金曜に診療)による子供の入院に対する影響を調査。病院の入院データを使用して解析。
・入院率は、保健センター利用者は1000人あたり33人、非利用者は67人。
・保健センター利用者は在院日数も短い(利用者は平均5.6日、同地域の非利用者は7.6日)ので、非利用者の1000人あたりの平均在院日数は利用者の2.5倍。
・保健センター利用者は、呼吸器感染の入院比率が少なく、外科的な再建手術の入院率が多い。
N140 McDermott W, Deuchle KW, Barnett CR. Health care experiment at many
farms. A technological misfit of health care and disease pattern existed in this
Navajo community. Science 1972;175:23-31.
・Navajo-Cornell Field Health research Project(コーネル大学のインディアンの部族の健康調査)
・1956年5月から62年7月までの部族地区での保健センター設置での調査。
・しかし、保健センターを中心とした包括ケアの存在でも肺炎、下痢、中耳炎、麻疹、膿痂疹の頻度は中耳炎の一部の年を除いて頻度に変化なし。
・結核の罹患率は、一般の2から3倍だが、減少傾向。
・粗死亡率は低下。
・プライマリケアの提供は、この部族の住居地においてはあまり影響を及ぼさなかった。
N141 Alpert JJ, Robertson LS, Kosa J, Heagarty MC, Haggerty RJ. Delivery of
health care for children: Report of an experiment. Pediatrics 1976;57:917-930.
・米国のボストン市内中心部の貧困層への家族に焦点を当てた包括ケア(看護師がトリアージを実施)の提供の影響を検討。面接で調査。
・1964年中盤に931家族を対象。3年間追跡。
・入院率、手術率、外来受診率、アポの約束を破ることは低下。一方、健診受診率、予防接種などの予防実施率や患者の満足度は向上。
N142 Yasunaga H. The catastrophic collapse of morale among hospital physicians
in Japan. Risk Management Healthcare Policy 2008;1:1-6.
・日本の病院勤務医が疲弊していることを解説。
・疲弊の原因は、予算の制約、過剰な要求、医師不足、偏在、長時間労働、敵対的な報道、訴訟の増加、患者からの暴力による。
・医師は、医療の不確実性、限界、現代医学の危険性を社会に示すべきだ。
N143 Toyabe S. Trend in geographic distribution of physicians in Japan. Int J
Equity Health 2009;8:5.
・1996年と2006年の医師数とその分布を比較する目的。ジニ係数、アトキンソン係数、テイル係数を使用。また、分布をGISで表示。2004年以降は、分布の格差が拡大した。病院勤務医は都市部では増えたが、地方では増えなかった。しかし、研修医を除くとその分布は改善した。臨床研修制度が医師の分布格差を悪化させたかもしれない。
・医師数は市町村ごと(1996年は3370、2006年は1973)。
・02年と06年の都市の人口規模別で10万人あたりの医師数の変化を論じているが、二次医療圏での議論はない。また、人口規模10-30万の都市が04年までは30万人規模の都市よりも人口当たりの医師数のメジアンが多いが、これが06年では30万人以上の都市のほうが人口当たりの医師数のメジアンが増えている。
・(しかし、人口の増加の著しい増加地区と医師の増加の著しい地区が地図上では一致しており、患者対医師の関係をみるうえで問題はないように思われるが)。
・(また、都市部で人口当たりの医師数が激増して、地方で不変であれば格差は開いても地方の医療が悪化したとは言えないのではないか)
・偏在の理由として、病院やベッド数の減少、新臨床研修制度による若手医師の都市部への集中、医局制度が力を失って都市部と地方との格差是正ができない。
N144 Kindig DA. Policy priorities for rural physician supply. Acad Med
1990;65:S15-S17.
・地方の医師不足解消には、教育の改革は主たる解決策ではなく、支払い制度により地方で医療を行うよう誘導することが不可欠であるとの主張。
N145 Yamamoto K, Fushimi K. Travel of patients to distant hospitals for
elective surgery in Japan: A cross-sectional analysis of a nationally
representative sample. Surg Today 2009;39:758-763.
・日本の520,976の退院患者資料(1999年9月の患者調査の資料)解析による住居地と手術先との距離の検討。
・距離は病院の所在地と患者の居住地は市町村役所の所在地で代用。
・距離はマンハッタン距離(各座標の差の絶対値の総和を2点間の距離とする)で計測。
・心臓手術や整形外科手術は他の手術よりも、患者の居住地と手術場所との距離が1.7倍遠い。
・老人やけがや胃腸の手術では、近くの病院で手術を受ける比率が高い。
N146 Theodorakis PN, Mantzavinis GD. Inequalities in the distribution of
rural primary care physicians in two remote neiboring prefectures of Greece and
Albania. Rural Remote Health 2005;5:457(online).
・2001年のギリシャとアルバニアのへき地の州での一般医(GP、内科医、専門を持たない医師)の偏在の調査。
・ギリシャのIoannina州での1人の一般医あたりの人口は1222人で県毎では205から8166人。
・アルバニアのGjirokaster州での1人の一般医あたりの人口は2367人で県毎では1323人から4546人。
・ジニ係数はIoannina州では0.489、Gjirokaster州では0.186でギリシャの方が偏在が著しい。
N147 Matter-Walstra K, Widmer M, Busato A. Analysis of patient flows for
orthopedic procedures using small area analysis in Switzerland. BMC Health
Services Res 2006;6:119(online).
・整形外科領域におけるスイスの診療圏の構築。郵便番号で分けられた612地域を基礎として、病院を有する地域240地域を中心として構築。
・2000年から02年のスイスの473217の退院データを利用。
・地域指数(地域住民が地域の病院から退院する比率)、連携指数(地域住民でない人が地域の病院から退院する比率)、市場占有率(地域病院群における退院患者全体に対する地域住民の比率)
・85の整形外科診療圏における地域指数は中央値が60.8%、市場占有率は中央値が75.1%。・連携指数は30%の整形外科診療圏で正の値を示す。
・高齢者や救急患者は、若者や待機的な患者よりも地域で治療を受けている。
N148 Williams RFG, Doessel DP. Measuring inequality: tools and illustration.
Int J Equity Heaalth 2006;5:5(0nline).
・医療資源偏在を示すツールの解説。
・標準偏差、変動係数、相対的な平均の散らばり、ジニ係数等がある。
・他には、Theilのエントロピー係数、Atkinsonの計測、ローレンツ曲線がある。
・アトキンソン尺度:所得が完全に平等に分配されたとするときに、社会があきらめなければならない総所得の比率。
・Teilのエントロピー指数:最大に可能性があるエントロピーと観察されたエントロピーとの差。
N149 Asada Y. Assessment of the health of Americans: the average health-related
quality of life and its inequality across individuals and groups. population
Health Metrics 2005;3:7(0nline).
・1990年と95年の全米健康面接調査の結果を用いて健康に関する生活の質に不平等があるかどうかを検討。HALex(健康関連制限係数)のジニ係数を比較。
・90年と95年ではHALexの平均値は不変。しかし、ばらつき(Gini係数)は95年の方が大きい。
・人種間の不平等は、95年では90年より少ない。
N150 Council on long Planning and Development in Cooperative With the
American Academy of Pediatrics. The future of pediatrics. JAMA 1987;258:240-245.
・将来のアメリカの小児科の予測。人口構成、第3者機関の決定(カウンセリングなどに保険きかないこと)、国民の態度などから。
・1人の小児科医あたりの小児の数は、2000年には1970年の半分になる。さらに、HMOでは必要小児科医の数は減る。さらに、NPなどとの競合も。
・女性医師と外国医学校卒の小児科医が増加。
・1981年には非都市部には全米の小児の29%が住んでいるが小児科医は11%、都市部には症には37%だが小児科医は57%。田舎では小児科医ではなくGPが診療。
・1983年には、小児科医の87.3%は診療所で診療。
・個人開業医は4分の1で、3分の1以上の小児科医はグループ診療。大きなグループ診療ではオンコール制度をしいている。
・小児科医の1日あたりのオンコール時間は、個人開業医は6.7時間、2人開業医は4.4時間、グループ診療では2.4時間。
・病院への入院率が低下し、在院日数も短縮し、自宅やコミュニティでの小児科医の診療へとシフト。
・1981年の急患センター全国調査では、受診の53.7%が再診で、37.6%が常連の新患。
・小児科医の診療対象が生命の危険に関する疾患ではなく、成長や発達に関するものとなっている。
・多くの小児科医が認識に関するサービス(カウンセリングなど)やメディケイド感染の貧困層の小児の診療に従事することになろう。しかし、カウンセリングは保険がきかない。
・したがって、機材の進歩から小児科医の生産性が向上することは少なく、収入も少ない。
・これからの診療対象は、事故予防、育児が不十分な子供の保護、障害児の療育などである。
・自己負担や免責により、小児の受診需要は減少する(RAND研究を引用)。
N151 Rivo ML, Satcher D. Improving access to health care through physician
workforce reform. Direction for the 21st century. JAMA 1993;270:1074-1078.
・アメリカでの診療科と地域の偏在に関する解説。
・アメリカでは、医師不足、医学教育制度、公共政策によって全国民に医療がいきわたっていない。
(7つの所見)
・アメリカでは一般医が少なく、専門医が多い。
・地方と市内中心部の医療へのアクセスが悪い。
・人種や民族の人口に比例して各人種・民族の医師がいるわけではない。
・一般外科、精神科、予防医学、老人医学研修を積んだ一般医が不足。
・医師対人口比は現時点でちょうどよい。
・医学教育は、総合医を増やして地方と市内中心部へ医師を誘導すべきだ。
・国家の政策(財政およびぞの他)の欠如が医療体制の改革にとって障害となっている。
N152 Federation of pediatric organizations, Task Force on Graduate Medical
Education Reform. Graduate medical educatoin and pediatric workforce issues and
principles. Pediatrics 1994;93:1018-1020.
(提言など)
・小児科のサブスペシャリストも不足している。
・必要医師数と研修枠は別物にしないと質の担保ができない。
・プライマリケアの小児科医も増やすべきである。
・研修枠は、外国医学校卒も勘案して、アメリカの医学生の110%とすべきである。
・研修基金は、プライマリケアの医師を増やすように配分されるべき。
N153 American Academy of Pediatrics, Committee on Careers and Oppotunities.
Pediatric workforce statement. Pediatrics 1993;92:725-730.
・小児科のワークフォースの予測。アメリカの卒後教育諮問委員会(GMENAC)は90年までに小児科医が4950人余ると予測した。
・しかし、87年のAAPの予測では小児科医は不足すると結論した。
・1992年には、専門医・非専門医合わせて小児科を標榜する医師は44881人いる。
・1992年には、28%の小児科医が35歳未満、35%が35から44歳。
・1992年には、40%の小児科医が女性。29%が外国医学校卒。
・小児科レジデントは6200名。1000人以上がサブスペシャリティの研修中。
・他の予測よりも実際の出生数が増えており、小児科医の市場は拡大している。
・ワークフォースでは、約6000人の小児NPや家庭医の存在がある。
・サブスペシャリティーの半数以上は、アレルギーと新生児科医である。
・少数民族や少数の人種の医師は、小児のそれらの構成比よりも少ない。
・学生時代の借金が給与の多い診療科に向かわせることになる。小児科医の収入は、医師全体と比較して25%安い。無保険者やメディケイドの患者の診療が原因。
・小児科医総数は増えているが、地方での小児科医は不足している。
(提言)
・プライマリケアへの医学校での誘導。
・小児科を専攻するよう、医学校に促進。
・適切な収入を得られるよう、社会に働きかける。
・少数民族や人種の学生を医学部に入れる。
・すべてのプライマリケアプログラムに小児科を入れる。
・学生ローンの再構築。
・医師不足地域に行く医師の学生ローンの減免。
など。
N154 Brotherton SE. Pediatric subspecialty training, certification, and
practice: who's doing what? Pediatrics 1994;94:83-89.
・1991年アメリカ医師会マスターファイルを用いて小児科を標榜する医師4000人を対象とした調査。回収率70%で、AAPが実施。
・66.3%はサブスペシャリティはなし。
・15.1%は研修を受けて専門医資格を有する。
・11.3%は研修を受けたが専門医資格なし。
・7.3%は研修を受けたが、専門医試験のない分野であった。
・19%の医師がサブスペシャリティの研修を受けずになんらかの専門領域の診療を行い、13%のサブスぺシャリストがプライマリケアを実施していた。
・サブスペシャリティの研修を受けたが専門医となっていない医師の4分の1はプライマリケアに従事。
・サブスペシャリティの診療への従事時間は、専門医の認証と研修の継続性に関連。
・専門医の認証を受けた医師は週58時間はたらき、他の医師の50時間よりも長い。
N155 Seifer SD, Vranizan K, Grumbach K. Graduate medical education and
physician practice location. JAMA 1995;274:685-691.
・1980年から92年に医学校を卒業した医師82871人、足骨医15076人の調査。1993年にクロスセクショナル調査。
・51%(6%のネバダから71%のカリフォルニア)の医師が卒後教育を受けた州で診療を行っていた。
・専門医よりも総合医の方が研修を受けた州への定着率がよい。
・人口あたりの研修医の数とその後の定着率との間には弱いが負の相関。
・医学校と同じ州でレジデントを行う比率高い。
N156 Hays RB, Veitch PC, Cheeers B, Crossland L. Why doctors lease rural
practice. Aust J Rural Health 1997;5:198-203.
・1995年に豪クイーンズランドでへき地から医師が離れた理由を解析。17人の面接調査。
・へき地勤務は激務である。
・住民との心理的な距離が近すぎる。
・休暇が取れない。
・職業的、個人的な孤立感。
・子供の教育は小学校は問題ないが、それ以上では十分でない。
・職業訓練の機会に乏しい。
・管理業務が多い。
・へき地を去る医師は、都会ではなく、少し大きな地方ないしは都会に近い地方の中心地に勤務する。
N157 Fritz NE, lantons JD. Pediatrician's parctice choices: differences between
part-time and full-time practice. Pediatrics 1991;88:764-769.
・パート小児科医とフルタイム小児科医のキャリアや家庭生活の調査。375人に対してアンケート。1989年10月調査。(パートとフルタイムの定義はせず、回答者まかせ)
・パートとフルタイムの女性医師の平均年齢は40歳、フルタイムの男性医師の平均年齢は46歳。
・回収率67%。
・女性医師の37%は医師生活のどこかでパート生活を経験している。
・21%の女性医師は現在、パート医師。
・フルタイムの女性医師の70%が既婚、パートタイムの女性医師の97%が既婚。フルタイムの男性医師の95%が既婚。
・フルタイムの女性医師の子供の数(1.27人)は、パートの女性医師の子供の数(2.39人)よりも少ない。
・パート医師は、フルタイム医師よりも研究や管理業務はすくないが、教育活動に多く従事。
・パートの女性医師はオンコール以外で週平均32時間(4-40時間)、フルタイムの女性医師は週48時間、フルタイムの男性医師は週52時間勤務。
・オンコールは、パート女医が月6.9回、フルタイム女医が9.0回、フルタイム男医が8.7回。
N158 Pastor WH, Huset RA, Lee MC. Job and life satisfaction among rural
physicians. Results of a survey. Minn Med. 1989;72(4):215-23.
・ミネソタのへき地医師の半数に対するアンケート調査(1988年2月)。ミネソタは医師の配分がうまくいっている方。回収率66.9%、325例。
・地域医療には満足している。
・仕事の満足は、患者の多様性、他の医師とのコンタクト、患者の治療からの満足がある。
・給与は不満足の原因とほとんどならない。
・昇進、知識の維持、組織と管理の仕事が不満足の原因となる。
・仕事や職場の人間関係は問題とならないが、診療における時間(余暇、電話相談など)と財政上の問題がストレスとなる。
・不満足の分野は社会との接点、余暇が少ないこと、財政上の問題がある。
・女性と若い医師に不満足の傾向が高い。
・週に10時間以上の管理業務があると不満足。
。週に100人以上の患者を診療する医師は社会との接点で不満足となりやすい。
N159 Haggerty RJ. The RAND Health Experiment for children. Pediatrics
1985;75:969-971.
・Pediatrics 1985;75:942-951のLeibowitzの論文へのコメント。
・小児の外来受診がコスト増で控えることは当然。しかし、入院が必要な場合は病院への重心は変わらない。したがって、自己負担増で入院医療費の削減はできない。
・また、この論文は受診回数が減って子供の健康状態がどうなったかの検討が不十分である。
・1歳未満など特別な年齢層やその他の詳細な資料がLeibowitzの論文にはない。
・したがって、自己負担の増加があっても健康を損なわないとのLeibowitzの結論は受け入れられない。
N160 van de Voorde C, van Doorslaer E, Schokkaert E. Effects of cost sharing
on physician utilization under favorite conditions for supplier-induced demand.
Health Economics 2001;10:457-471.
・RAND研究で実験的には自己負担が増えると外来受診が減ることが示されたが、実際には医師誘発需要もあるので、実際面での受診傾向を探索。
・1994年のベルギーでの自己負担率の増加による価格の変動の医療機関の利用への効果を調査(ベルギーでは、1994年1月に自己負担率が上げられた。出来高)。
・GP往診での価格弾力性は-0.39から-0.28、GPの外来受診での価格弾力性は-0.16から-0.12、専門医受診での価格弾力性は-0.10.しかし、自己負担額が低い貧困弱者の医療機関の利用低下は著しくない。
・価格と医療機関の利用との関連は強く、自己負担と医療機関の利用との関係はランド研究と結論が一致した。
・現場では、医師誘発需要があったとしても、自己負担の増加は受診を減少させる。
N161 Budetti PP. The impending pediatric 'surplus': Causes, implications, and
alternatives. Pediatrics 1981;67:597-606.
・1978年から90年の間に小児科医は26,000人から45,000〜50,000人にまで増える。
・しかし、子供の数はそう増えない。
・したがって、需要を供給が上回る可能性がある。
・90年には、小児科医の8人に1人が不要となる。
・小児科医の必要数を解析する必要がある。
N162 Wright FH. Survey of pediatricians certified by the American Board of
Pedicatrics up to 1975. J Pediatr 1980;97:1021-1031.
・アメリカの小児科専門医(1933年〜75年)17622人へのアンケート調査。
・1961年から76年の間に、小児科標榜医師における小児科専門医の比率は48%から62%へと増加。研修医以外で専門医の資格がない小児科標榜医は、37%から16%に減少した。
・外国人医師は、インド、フィリピン、イラン、韓国などの低開発国出身が多い。
・女性医師比率は11.3%(?)。
・開業は60.7%で単独診療は22.6%、二人診療は11.3%、グループ診療は16.0%。大学勤務は20.3%。
・約60%は人口10万人以上の都市部にいる。14%が田舎や都市部周辺にいる。
N163 Matsumoto M, Inoue K, Bowman R, Noguchi S, Kajii E. Physician scarcity
is a predictor of further scarcity in US, and a predictor of concentration in
Japan. Health Policy 2010;95:129-136.
・日本とアメリカの医師の過剰地域から不足地域への地理的な分散の検討。
・1980年から2005年の市町村(日本)、郡(アメリカ)の医師数の変化を検討。
・10万人あたりの医師数は、日本では130〜203人、アメリカは158〜234人へと増加。
・人口比が最も低い5分の1位で比較すると、アメリカでは30.1%が人口当たりの医師数を減らし、日本では21.6%が人口当たりの医師数を減らしていた。
・多変量解析をすると、人口当たりの医師数が少ないことは、アメリカではさらに減ることを推定させる因子となり、日本では増加することを推定させる因子となる。
N164 Lawlor AC, Reid JT. Hierarchical patterns in the location of physician
specialists among counties. Inquiry 1981;18:79-90.
・地域経済的説(regional economic theory)で異なった専門の医師の分布を解析。
(説の内容)
・この説では、transfer cost,scale economics, density of market demandが関与。
・transfer costは医師が生産者であり、小売人でもあるので、移転コストはかからない。旅費のみである。
・scale economicsは、医師は同僚が多いこと、医療資源が多いところの方が仕事がしやすい。また、グループ診療も生産性が向上する。
・density of market demandは、医療の需要。需要は、価格、医療機関への距離、収入等に影響を受ける。
(予想される事象)
・一般医はあまねく存在するが、専門医は需要が少ないので都市部といった需要の多い所にしか存在しない。
(方法)
・各郡の人口と専門との関連を解析。
・1975年AMAマスターファイルを使用。
<専門>
・・basic medical specialist:GPと家庭医、外科、内科、産婦人科、小児科の医師
・・secondary medical specialist:皮膚科、循環器科、アレルギー科、胃腸科、呼吸器科、小児科アレルギー科、小児循環器科の医師
・・surgical specialist:眼科、泌尿器科、整形外科、耳鼻科、形成外科、消化器外科の医師
(結果)
・専門性の低い医師がいない地域では、専門性の高い医師はいない。
・175郡は無医村、約800郡は家庭医・一般医のみ、約70%の郡では家庭医・一般医以外の専門を持つ医師がいる。700以上の郡で、基礎的な7つの診療科の医師がいる。
・無医村の人口は平均4300人、一般医・家庭医のみがいる郡の人口は平均11000人、
・7つの基礎的な専門医がいる都市の人口は25000人異常。
・高度な専門医と低位な専門医は補完する関係になると思われる。
N165 Black PR, II, Schmittling G, Stern TL. Characteristics and practice
patterns of family practice residency graduates in the United States. J Fam
Pract 1980;11:767-778.
・1979年夏に、米家庭医学会による家庭医レジデント修了者の現況調査(アンケート)。・対象は、1970〜79年の家庭医研修の修了者4295人。回収は3302人、回収率76.9%。
・回収した3302人中3021人、91.5%が家庭医をしている。
・平均年齢32.7歳、7.1%が女性(AMAでは1979年には9.4%が女性)
・ヒスパニック以外の白人が92.4%で人種・民族的マイノリティは6.9%。
・86.8%が既婚。既婚の家庭医の76.3%に子供がいて、その数は平均1.97人。
・配偶者の36.1%は働いており、もっとも比率の高い分野は福祉関連。
・プライマリケアを志した時期は、21.3%が医学部入学前、18.2%が医学部入学後臨床教育前、39.0%が臨床教育中、21.2%が卒後であった。
・6.5%が外国医学校卒。
・家庭医の研修期間は3年間が最多で72.0%。
・6.1%が郡全体が医師不足の郡で、47.1%が郡の一部が医師不足の郡で診療を行っている。
・58.0%が都市部(人口5万以上の郡)で診療を行い、38.1%が地方(人口5万未満)で診療を行っていた。
・35.2%が家庭医のグループ診療をしていた。個人で家庭医をしていたのは23.4%に過ぎなかった。18.3%は2人で家庭医(パートナーシップ)。
・1978年の給与の中央値は、1971年研修終了者は60000ドル、1978年の研修終了者は32208ドル。
・家庭医研修の修了者が病院での治療に関与する比率は、小児科では92.5%、ICUなどの特殊な環境では88.8%、家庭医は93.2%、内科では93.5%。
・家庭医研修の修了者が外科系の病院医療に関与している比率は、通常の産婦人科診療が64.3%、複雑な産婦人科診療が37.6%、帝王切開が13.9%、外科の第一助手が62.2%、小手術の実施が40.1%。大手術が7.4%であった。
N166 Newhouse JP. Consumer-directed health plans and the RAND Health
Insurance Experiment. Health Affairs 2004;23:107-113.(joseph_newhouse@harvard.edu)
・自己負担率を高くすることで、コスト削減をすることが可能であることをRAND研究が示した。
・RAND研究の結果と今日の免責額の高いconsumer-directed health planとは関連がある。
・RAND研究では、95%自己負担のプランでは自己負担なしのプランよりも医療サービスの利用率が25-30%低かった。
・RAND研究のあとに、自己負担率の高い入院サービスが増えて、入院が減少した。
・しかし、入院あたりの医療費が増加したので、入院が減っても医療費の現象は現実にはあまり起きなかった、
・マネージドケアでは、RANDのように自己負担をかえるのではなく、医師に利益上のインセンティブや利用の評価をすることでコストの削減を図っている。
N167 Watson CJ. The relationship between physician practice location and
medical school area: an empiracal model. Soc Sci Med 1980;14D:63-69.
・アメリカ・ユタ州立大学医学部の卒業生の州内・州外への医師の移動のモデルの策定。・医師の診療場所を医学校の州と同じとするか、あるいは、医学校の所在地と診療場所が異なる州とするかについて、医学校の入学、研修、診療に関するデータを用いて線形判別関数で解析(多変量のロジスティック解析でP<0.05未満の因子を同定)。
・1964−69年のユタ州立大学卒の272人を対象。
・医学校と同じ州で診療している医師は、ユタ州で育ち、インターンもユタ州で行っていることが多かった。
・レジデント研修を受けた場所がユタ州であること、宗教(モルモン教)的な結びつきがユタ州での診療と関連が強い。
・傾向はひくいが、人口密度の高い州に住んでいた医師が科学に関する医学部入学試験の点数が高い医師では、州外に出て診療を行う医師が多かった。
N168 Fabbri D, Robone S. The geography of hospital admission in a national
helath service with patient choice. Health Economics 2010:19:1029-1047.
(背景)
・イタリアでは、入院の約20%が居住地のLocal Health Authority以外の病院に入院する。
・Local Health Authrityは、人頭割のかけ金を徴収し、入院医療に医療費を病院に支払う、
・病院の一部はLocal Health Authrityが経営し、その他は私的な病院が公的な医療を行う。)
・患者は、入院する病院を選ぶことができ、Local Health Authrity内外を問わない。
・イタリアでは、25%のLocal Health Authorityは加入者15万人未満、20%は40万人以上の加入者(二次医療圏ないしは国保相当か?)。
・1995年からLocal Health Authrityへの予算の配分はDRGに基づき、配分される。そして、患者の流出・流入に応じて増額・減額される。
・医療費の入院時の患者支払いはなく、Local Health Authorityから医療者へ払い戻し。イタリアのNHSは、スペイン、ノルウェー、イギリスに似た地方分権の税による基金。
・病院医療を重力方程式(重力モデル:貿易額は、GDPの大きい国同士では大きくなる一方、互いの距離が遠いと小さくなると考える。これは、天体と天体の引力が天体の重量に比例し、天体間の距離に反比例することに似ている)をポワソンモデルを用いて評価。
(方法)
・2001年のイタリア各Local Health Authrityの入院の解析。
(結果)
・重力方程式は、患者の入院行動をよく説明できる。
・加入者が増えると、域外への流出の弾力性が低下する。
・とても大きなLocal Health Authority以外は、加入者の規模がすべてのLocal Health
Authorityで大きくなると流入の弾力性が負から低下し、上位20%のLocal Health
Authorityでは、加入者のプールが増えると流入の弾力性が正となる。
N169 Phelps CE. Physician location decisions. pp186-192, Health Economics, first
ed., HarperCollins, 1992.
・教科書的に、売り手は客の数が等しくなるよう店を分布させることをアイスクリーム店の例で示す。
・同様に、医師の診療場所の分布を1人の医師が診療する患者数によってきまるとするNewhouseの説を紹介。
N170 Kleinman JC, Makuc D. Travel for ambulatory medical care. Med Care
1983;21:543-557.
・1978年のアメリカのNational Health Intervew Surveyによる外来患者の通院パターンの解析。
・20%の通院は、患者の居住地以外への郡に向かう。
・都市部以外における他の郡への通院は、都市部の2倍である。
・郡の人口が減ると、郡外への外来受診の比率が増える。
・郡のタイプにより配置医師数を補正した人口対医師数で評価するとばらつきが小さくなる。
N171 Roos NP, Gaumont M, Horne JM. Yhe impact of the physician surplus on the
distribution of physicians across Canada. Can Public Policy 1976;2:169-191.
・カナダにおいて、医師の過剰によって医師の偏在が改善するかの解析。
・県間の医師あたりの人口は、1951年と比べて1974年には最大と最小の格差は小さくなっている。これは、人口の田舎から都市部へのシフトも関与。
・しかし、1968年〜74年の絶対値でみると医師の多い県で医師数の増加が著しく、医師の少ない県では増えが少ない。
・県間よりも県内の都市部と田舎の医師の偏在の方が問題となる。
・全国的な資料はないが、サチュカチュワン、マニトバ、アルバータの調査では、1968年〜74年に都市部と田舎の医師の増加率は田舎で高く、医師あたりの人口の減少率も田舎で高かった。
・しかし、絶対数でみると、都会の医師の多い地域が医師数の増加数は多かった。
・1968年〜74年の一般医と専門医の増加率は、カナダ全土でほぼ同じ率。
・1968年〜74年の医師数の増加に多くの県で外国医学校卒が関与。
・カナダ医学校卒は都市部、外国医学校卒は田舎で診療する傾向がある。
・外国医学校卒でも、1968年〜74年の間に専門診療科を選ぶ医師が増えている。
(結論)
・医師が増えても、医師の増加率は医師の多い県で高く、医師数の増加は偏在の解消につながらない。
N172 Weiner JP. The demand for physician services in a changing health care
system: a synthesis. Med Care Rev 1993;50:411-449.
・1960年代は医師不足、1970年以降は医師過剰がアメリカでは議論された。
・1990年代には、無保険者への保険の整備と不変的なカバーが模索された。
・民間保険は、予防へのカバーと自己負担率の上昇でコスト削減を模索した。
・無保険者は、メヂケアや民間保険加入者よりも受診回数が少ない。
・10万人あたりの医師数はHMOでは少ない。
・HMOでは民間保険加入時の出来高と比べて入院が少なく、外来が多い。
・HMOの普及が30%まで達し、医療サービスの需要は増えたが、医師の需要は10%減少した。
・医師需要には、NPなどの非医師の医療サービス者の存在もある。
(まとめ)
・医療サービスのレビューでは医療サービスの利用が減る。
・ゲートキーパーの存在は、家庭医や内科系の外来受診を増やし、産婦人科、外科、精神科の受診を減らす。
・民間保険の予防医学のカバーで、多くの診療科の外来受診が増える。
・自己負担導入で、外来受診は減る。
・無保険者のカバーで、外来受診は各診療科で増える。
N173 今田隆一。医師不足を地域分布から考察する。社会保険旬報 2007;2319:16-21
.・日本の医師数、病院数を人口割と面積割で算出。
・人口10万あたりの医師数は西高東低。
・面積あたりの医師数は東京が最高で北海道が最低。
・人口10万当たりの病院数は西高東低。
・面積あたりの病院数は東京が最高で秋田・岩手が最低。
・100km2を通院の限度としてとらえている。
N174
南園佐知子、加瀬川仁志、蓮沼直子、金子善博、本橋豊。秋田大学医学部医学科卒業生の進路傾向ー新臨床研修制度からー 秋田県公衆衛生学雑誌 2010;8:26-30.
・平成15~21年の秋田大の卒業生の秋田県を初期研修受講者の特性の研究。
・多重ロジスティック回帰分析では、男性(1.30〜2.66)、出身地が関東でなく秋田(5.68〜15.75)、留年あり(1.04〜3.77)が有意に秋田での初期研修を多く受けていた。
・関東と比較して他の地域、年度ごとの変化には有意差なし。
・実家に近いことを研修を選ぶ一因と厚労省の「臨床研修に関する調査」2007で触れている。
N175 福田吉治、原田唯成、星野晋。医学生・研修医の研修病院選択理由等に関するフォーカスグループインタビュー。山口医学 2009;58:247-253.
・山口大の学生11名と山口県内の臨床研修病院の初期研修医10名を対象としたグループインタビュー。
・選択時に重視する要因は、「プライマリケア・技術の習得」「縛りのないこと」「研修医の活気と指導医の熱意」「出身地嗜好」が挙げられた。
・後期研修はほとんどがどこかの大学病院での研修を希望した。
N176
今井重信、青木昭子、大久保吉修、馬嶋正剛、菊岡正和、中村治彦、後藤英司。神奈川県内で働く臨床研修医の出身地・出身大学・修了後の進路希望について。神奈川医学会雑誌 2012;39:18-20.
・平成17〜21年度の神奈川県内の研修医へのアンケート。
・神奈川出身が3分の1、東京が18~23%、関東が71〜76%。
・卒業大学は、3分の1が神奈川、7割が関東。
・後期研修を大学が受けたいとする研修医が新制度開始後の2年間と最近2年間では、53%から66%へと増加。
・研修終了後には、60%が神奈川で働きたく、25%が神奈川以外の関東での勤務を希望。
N177
武田裕子、大滝純司、高橋都、森尾邦正、高田未里、稲福徹也、安井浩樹、高屋敷明由美、甲斐一郎。医師偏在の背景因子に関する調査研究 第1報−医学生、初期研修医の進路選択の現状と診療科・診療地選択の影響要因− 日本医事新報 2010;4471:101-107.
・医学生4年生3089名、6年生1370名:全国80の医学部に資料を送付して協力を得た49校の学生(4年生49校、6年生41校)
・研修医2740名:臨床研修病院849施設中回答を得た342施設も解析。
・2008年12月から2009年2月の調査。
・初期研修医の重視する項目は、「協力し合える医師が身近にいる」「子供の教育環境」「自分のライフスタイル」「配偶者の意向」「自分の出身地」が挙げられた。
・医学生の重視する項目は、「協力が得られる医療機関が身近にあるか」が4、6年生ともにあげられ、6年生では「土地柄」「自分の出身地」「配偶者の意向」が挙げられた。
N178 安武亨、分部哲秋、福島千鶴、大曲勝久。長崎県における出身地別、卒業大学別、初期・後期研修医の動向。医学教育 2007;38sippl:65.
・大学生、初期研修医、後期研修医で長崎大と関連のあった3年目医師137名、4年目医師108名への調査。
・3年目医師で長崎大卒101名の出身地は、長崎40名、福岡17名、九州他県23名、九州外21名。
・初期研修を長崎大で行った医師は70名で24名は他大学卒で20名が長崎県出身。46名は長崎大卒。
・後期研修を行っている65名のうち、45名が長崎大で初期研修、12名が長崎県内の研修病院で初期研修。
N179 Newhouse JP. Medical care costs: how much welfare loss? J Econ Perspect 1992;6(3):3-21.
医療費の増加に技術革新があることを総論で少し触れている。