小児がんの臨床研究プロトコル治療

開 催 日 :2006年 2月 14日
1.神経芽腫、横紋筋肉腫
成育医療センター  正木 英一先生
2.ユーイング肉腫
国立がんセンター中央病院  角 美奈子先生

 甲状腺がん(悪性リンパ腫を除く)の治療は、可能な限り腫瘍を摘出することが基本であり、外照射は術後の残存病巣に対して行われる。乳頭癌、濾胞癌ではヨード内用療法での取り込みが乏しい場合に外照射が行われる。照射範囲は、リンパ節が陰性であれば、原発巣から2cmを目安にし、陽性であれば、全頚部と上縦隔リンパ節領域をターゲットとする。線量は60~70Gyを必要とし、線量分布を見ながら、X線、電子線を選択し、場合によってはIMRTなども考慮される。
  分化型甲状腺がんの治療方針に関する日本および国際甲状腺外科学会でのアンケート調査についての解説がなされた。海外では原発巣に対する手術が積極的に行われ、腫瘍径の大小にかかわらず全摘術が好まれる。一方、日本では、経過観察もしくは部分切除、腺葉切除など、なるべく縮小した手術が好まれる。リンパ節郭清の適応についての考え方に差はないが、日本では郭清の範囲が海外にくらべ広範囲に行われる傾向がある。ヨード内用療法前に全摘術は必須であるが、日本はヨード内用療法が施行できる施設が限られており、それが治療方針の違いに現れているのかもしれない。

 ヨード内用療法は、半減期8日であるI-131から放出されるβ線606KeVを用い、これが甲状腺濾胞細胞、濾胞腔に取り込まれることを利用した究極のターゲット療法である。骨転移の疼痛緩和に対するSr-89、悪性リンパ腫に対するI-131標識モノクローナル抗体療法などの走りである。
  ヨード内用療法の実際の治療手順は、前処置、入院中、経過観察時に分かれる。前処置ではいかにヨード制限を行うかが重要である。特に食事のヨード制限を徹底させることは、なかなか難しいことである。通販などで糖尿病食が販売されているように、今後、学会でヨード制限食を発売することも考えているとのことである。治療後はI-131シンチの所見、Tg値の推移を見ながら、初回は6ヶ月、以後1年に1回ほどの間隔で、I-131の集積がなくなるまで繰り返していく。この間隔で行っていけば、肺線維症などの重篤な有害事象は回避できる。
  若年者の肺転移は粟粒状が多い。治療に対する反応は良好で積極的に治療するべきである。一方、中高齢者は粗大結節状肺転移が多く、治療に対する反応は悪い。『初診時にすでに肺転移のある高齢患者の場合、治療をするべきか』という質問には、ヨード内用治療療法の適応はなく、原発巣の手術もしなくてよいということであった。
  乳頭癌の骨転移に対する反応は不良、一方、濾胞癌に対する効果は高く、濾胞癌の骨転移には外照射を含めた集学的治療を行うとさらによい。ヨード治療と外照射のタイミングは特に気にしなくていいということであった。最後に患者、家族、医療スタッフに対する被曝管理の徹底について付け加えられた。