『房事養生鑑』の翻字
基礎講座で行った翻字をテキスト化しました。
第一弾(第二弾が有るのかは不明)は、かの有名な『房事養生鑑』です。
花魁の絵が特徴的なあれです。
有名なのに翻字のテキストがないので、基礎講座でみんなでがんばってみました。
自信のないところがありますので、間違いを見つけた方は談話室へどしどしコメントしてください。
房事養生鑑
凡人の無病長寿は飮食と房事のみだりなるにあり。其飮食につき疾病おこり五蔵六腑のはらたきしわけはさきにいでし、男の図飮食養生鑑くわしければ、ここにしるさず。今図するところの女は房事にて男女ともに有病短命の人多し。よりて男の図にもれし、房事をみたりにこのむ人のこころえなるためとしめすことしかり

乳麋はのみくひせし、しなのよくこなれなるものにて、乳麋嚢のふくろより乳麋管のくだにおくり、ちふさにたまりいづるもののもとは、おとこをんなともにからだをやなふだいじのものなり。ゆへにちのみごなれば、ははののみくひ、こなきときよりおほきは、子のからたをやしなふためなれば、ははの飲くひわけてにらむも、からだにさわらず、またとしたけし、おとこもちくびをしぼりしぼりすればちしるのでるものにて、おとこもをんなもおなじちしるなれど、こをはらむかはらまぬにありて、ちしるをあたへるとあたへぬのわかち也

乳麋嚢は腎とならびありて、ちしるをいれるちいさきふくろなり。しもはあまたの乳麋脈のちすぢよりあつまりて、ひみつのふくろとなり。かみは乳麋管のくだとなる。そのくだより、をんなはちしるをちぶさにおくりこをやしなひ、またおとこをんなともにちしるを心肺へおくり血にまじり、血となりてからだをやしなふなり。

経水は精動脈のちすぢ。腎のしたよりこつぼのうちへわたりて、めくりをおくるも年十四五になれば、血のあまりでけるころにてはらめば、そのちのみ子を、そのあまりのちにてそだつるためゆへ。はらめばめぐりなく、はらまざればめぐりあり。よりておとこより血のおほいわけは、このいわれなり。ここにめぐりのおほいひとと、すくなきひととあるは、血のでけるをおほきとすくなきとによる。またこのはらにゐるうち、めくりのあるは、血のもつともおほきひとにして、病なければめぐりのなきもおほいも、そのまますておきて、さはりなし。およそこをうみしのち、ちちのでるにて、血となるあまりのちしるなきゆへ、めぐりのなきは、あたりまへなれど、こをうみてほどなくめぐりのあるひとは、血のおほきなり。またちのみ子ありとも、三年か四年こゆれば、ちちのでることすくなになる。其のゆへちしる、血となりてめぐりとなるなり。すべてめぐりのあるとき、したばらよりこしのいたむことあり。またからだほめき、かしらいたみ、あしだるきことあるは、めぐりの血さわるところやむなり。

子宮は膀胱と直腸とて大腸のしも、すくなるところのあいだにありて、おほきさにはとりのたまこほどのものにて、しもにちいさきよこくちあり。はらめばつきのかさなるにしたがひ、はりのびて、おほきになるなり。そのみぎひだりに喇叭管のくだあり。そのくだのはしに卵巣とて、はとのたまごほどのものあり。そのうちにくろまめほどのもの二十ばかりあり。そのうちのきよきねばりのあるみづは、精液とてこだねなる。この卵巣おとこのきんだまあるとおなしく、としよればしはみ、わかきはやわらかにして、ともにちいさし。之に房事をみだりにこのみ、たましいおとろへ、からだやせてつやなくすは、いろいろのあやうきやまひをおこすは、その精液のみづをへらしすごすにて、もと精液は血よりなるものゆへ。その血のからだをやしなふに、たらぬことをなればなり。おそれつつしむべし。