日本内経医学会談話室2010


北京大学新収 前漢竹簡 投稿者 : 天野陽介 投稿日 : 2010/03/23(Tue) 15:00 No.160

中国南方の鍼 投稿者 : 闖薗| 投稿日 : 2010/03/09(Tue) 10:22 No.156
[宋]周去非『嶺外代答』瘴 挑草子附
「……間有南人熱瘴,挑草子而愈者。南人熱瘴發一二日,以針刺其上 下脣。其法:捲脣之裏,刺其正中,以手捻去脣血,又以楮葉擦舌,又令病人並足而立,刺兩足後腕橫縫中靑脈,血出如注,乃以靑蒿和水服之,應手而愈。冷瘴與 雜病,不可刺矣。熱瘴乃太陽傷寒證,刺出其血,是亦得汗法耳。人之上下脣,是陽明胃脈之所經。足後腕,是太陽膀胱脈之所經。太陽受病三日而陽明受病,南人 之針,可謂暗合矣[注]。有發瘴過經,病已入裏而濱死,刺病人陰莖而愈。竊意其内通五臟,故或可以愈也。然施於壯健尚可,施於怯弱者,豈不危哉!」
  [注] 可謂暗合矣,各本作「可以暗合矣」,據《白山司志》九引文改。

清・汪昂『醫方集解』中の刺絡の記述 投稿者 : 闖薗| 投稿日 : 2010/03/08(Mon) 10:37 No.155
救急良方第二十二
乳蛾喉痺「喉閉者,取山豆根汁含嚥即開;有藥不能進者,急取病人兩臂,謐享ノ十次,使血聚大 指上,以髮繩紮住指拇,針刺指甲,縫邊出血,如放逞ァ一般,左右手皆然,其喉即寬。」
 (藥有るも進〔の〕むこと能わざる者は,急ぎて病人の兩臂を 取り,謐求kしご〕くこと數十次,血をして大指の上に聚まらしめ,髮の繩を以て指の拇を紮住〔くくりと〕め,針もて指甲の縫邊を刺し,血を出だす。)
謐求F 手で握りしごいて,別の所に移動する[hold sth.long and rub one’s palm along it]。

霍亂絞 腸逞ァ「以針刺其手指近甲處一分半許,出血即安,仍先自兩臂謐級コ,令惡血聚於指頭後刺之。 」
 (針を以て其の手指の甲に近き處一分半許〔ばか〕り を刺す。血を出だせば即ち安〔やすん〕ず。仍りて先ず兩臂自り謐級コ〔しごきくだ〕し,惡血をして指頭に聚めしめ,後に之を刺す。)

張子和の鍼手技 投稿者 : 闖薗| 投稿日 : 2010/03/06(Sat) 10:06 No.154
張從政『儒門事親』卷七 十形三療 ◎燥形 臂麻不便八十九。
驛セ城梁賈人,年六十餘。忽曉起梳髮,覺左手指 麻,斯須半臂麻,又一臂麻;斯須頭一半麻,比及梳畢,從脇至足皆麻,大便二、三日不通。往問他醫,皆云風也。或藥或鍼,皆不解。求治於戴人。戴人曰:「左 手三部脈皆伏,比右手小三倍,此枯澀逞ケ也。不可純歸之風,亦有火燥相兼。」乃命一涌一泄一汗,其麻立已。後以辛涼之劑調之,潤燥之劑濡之,惟小指、次指尚 麻。戴人曰:「病根已去,此餘烈也,方可鍼谿谷。」谿谷者,骨空也。一日晴和,往鍼之,用『靈樞』中髮梠ォ法。向上臥鍼,三進三引訖,復卓鍼起,向下臥鍼, 送入指間皆然。手熱如火,其麻全去。昔劉河間作『原病式』,常以麻與澀同歸燥門中,真知病機者也。

上に向けて鍼を臥(ふ)せ,三進三引が 訖(お)わったら,復(ま)た鍼を卓(た)てて起こし,下に向けて鍼を臥せて指間に送り入れる。これは『霊枢』にもとづく刺法であるという。

『霊 枢』官針第七「四曰合谷刺。合谷刺者,左右髮梠ォ針于分肉之間,以取肌痺。此脾之應也。」

自慢の談話室 投稿者 : 管理者 投稿日 : 2010/02/20(Sat) 08:07 No.153
この談話室の自慢は,誰かが何かについて質問を書き込めば,きっと誰かが応対するということだと思う。そしてそれに さらに反応するものが,多分いる。
云爾さんの質問に対しては,闖薗|さんが応答してくれた。かなり豊富なアドバイスが有るけれど,云爾さんはそのう ちの「校勘学、校讐学というタイトルを持つ書籍を片端から渉猟すれば」というのに先ず反応した様子だし,神麹斎は「多数ある写本と格闘して,どのようにし て本文を校訂したのか」を探るというのに反応して,中国伝統医学の抄本を扱うんだったら『馬王堆古医書考釈』の苦労話あたりが参考になるのでは,と思った ようだし,北望さんは「専門家の方々に,直接簡単におうかがい」に反応したみたいですね。
それぞれが,得るところをここに書き込んで,さらに侃々 諤々ということになれば,談話室の値うちもさらに高まろうというものです。

No.147 の問いに関連して 投稿者 : 闖薗| 投稿日 : 2010/02/16(Tue) 01:45 No.149
No.147 に対する直接的な回答を持ち合わせていないので、関連することをつらつら述べます。

一 般に、中国では、印刷本が出回ると、それまであった写本は淘汰されて残らないとされていますが、情理として、版本を入手できないひとは、ひとから拝借し て、写本を作らないはずはないので、当然多くの写本は存在した/していると思われます。ただ、「版本学」という名称からも察せられるように、中国の学術界 では、写本の価値を軽視してきた傾向があり、そのため写本に関する校勘についての記述が少ないのではないでしょうか。その反省が『校勘学大綱』の日本語版 前書きにあるようなことにつながっているのではないかと思います。

目を日本に転じれば、中国とは状況は大きく異なり、古典文学の世界で は、写本の多さに苦労していて、多くのノウハウが蓄積していると思われるので、そちらの方面に資料などを求めた方がよいかと思います。
たとえば、 源氏物語をWikipediaで調べてみれば、「5 本文」を読むと、多数の写本が存在したことがわかります。そんななかで、池田亀鑑さんは、多数ある写本と格闘して、どのようにして源氏物語の本文を校訂し たのかなど、日本古典文学関連から探っていけば、お探しの「抄本を扱う際のための校勘学」に関する論文にたどりつけるのではないでしょうか。(日本人の性 格からして、こういうことを大上段に論ずる論文は多くないとは思いますが)

鍼灸書でいえば、江戸時代の多数の写本があります。その中に は、多くの芸事と同様に、短歌の形式で覚えるものがあります。たとえば、主治症についてのものは、だいたい順番が決まっていて、第一首は「脳おもく、頭痛 目まわし、力なく、肛門いでば、百会灸せよ」というものですが,写本(本のタイトルは同一とは限らない)によって微妙に異なります。これらは、オリエント 出版社『臨床鍼灸古典全書』にいくつも収録されていますから、これを比較し校訂するなどの実践から、自分なりに「抄本を扱う際のための校勘学」を構築して いくのもひとつの手ではないでしょうか。

中国語の書籍が理解できるのでしたら、「校勘学」「校讐(讎)学」というタイトルを持つ書籍を片 端から渉猟すれば、それぞれの本で1頁ぐらいは、見つかるかも知れません。
定かではありませんが、程千凡『校讎廣義』の校勘編
http://findbook.tw/book/9787533304027/basic
に 何頁か、言及があったように記憶します。

なお、わたくしは本を読んで疑問を持った場合、今回の場合でしたら翻訳者の橋本秀美先生に直接尋 ねてしてみたり(東洋文化研究所http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/の 教員&スタッフのところにメールアドレスあり)、専家(たとえば、黄虎洞先生http://www.daito.ac.jp/~oukodou/situmon.html) に尋ねたりしています。

専門家の方々に、直接簡単におうかがいができる便利な時代になりました。
先生方にとっては、面倒が増えて 困る面もあるとは存じますが。

Re: No.147 の問いに関連して - 云爾 2010/02/16(Tue) 07:38 No.150
ありがとうございます。とりあえず、程千凡『校讎廣義』あたりを さがしてみようかと思います。

Re: No.147 の問いに関連して - 神麹斎 2010/02/16(Tue) 08:31 No.151
闖薗|さんの書き込みをみて気づいたんですが,馬継興さんに『馬王堆古医書考釈』という本が有りますね。出土医書を活字 化しようとしているわけですが,考えてみればその作業の基準とか苦労話が載っているじゃなかろうか。そう思って,先ほど開いてみたら,44ページから86 ページに,導論の第四篇として「馬王堆漢墓医書的古文字」という記事が有りました。大半は表だけれど,結構なページ数です。参考になるんじゃなかろうか。
と, ここまで書いて,中国の本を扱ってくれる本屋さんで検索したら,『馬王堆古医書考釈』はひっかかってきません。もう入手不能なのかも知れない。やんぬるか な。


Re: No.147 の問いに関連して - 北望 2010/02/18(Thu) 10:40 No.152
ひとまずといわず、まず専門家にメールを出すのが手っ取り早いと 思うけどなあ。
それはともかく云爾さんには結果報告をお願いしたい。


Re: No.147 の問いに関連して - 闖薗| 2010/03/09(Tue) 10:39 No.157
『簡帛薬名研究』の著書もある張顕成先生の『簡帛文献学通論』中華書局,2004年の 第一章緒論・第一節 伝世文献と出土文献 に『傷寒論』を例に挙げた記述があります。末章は「簡帛整理研究およびその回顧と展望」。

訃報 投稿者 : 尾乙闌 投稿日 : 2010/02/11(Thu) 00:43 No.148
昨日幡井勉先生が亡くなりました。

抄本の校勘 投稿者 : 云爾 投稿日 : 2010/02/10(Wed) 09:20 No.147
倪其心『校勘学大綱』の日本語版前書きに、

 二〇〇二年の夏、《校勘学大綱》の翻訳出版権を獲得した ことをご報告したのが、倪先生にお会いする最後となった。《校勘学大綱》については、条件が許せば、抄本の校勘について新たに章を設けて整理したい、と 言っておられた。これは近年《郭店楚簡》を始めとして大量の先秦・漢代の文献が出土し、先秦文献に関する研究が画期的進展を遂げつつあることを背景に、抄 本を扱う際には、従来刻本を中心に考えられてきた版本系統や異文についての概念とは異なる発想が必要であることを感じておられたためである。この問題はや や複雑であり、先秦・漢代の出土文献にも適用できる校勘学の形成には、今後まだ時間がかかるだろうと思われる。

云々とあります。「出土文 献にも適用できる」はともかくとして、「抄本を扱う際のための校勘学」に関する書物とか記事とはまだ無いのでしょうか。どなたか御存じありませんか。

新年研究発表会の資料 投稿者 : 管理者 投稿日 : 2010/01/27(Wed) 15:15 No.146 ホームページ
2010年1月10日(日)新年研究発表会の資料をアップロードしました。

記事削除に関して 投稿者 : 管理者 投稿日 : 2010/01/12(Tue) 07:14 No.144
No.131~132およびNo.136~143の書き込みは全く意味不明です。
削除しました。勿論,応答の 書き込みもあわせて削除しました。
ご不審,ご不満の場合は,管理者に連絡してください。

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