インターネット上の医学古典文献リンク(米谷和輝 提供)

 古典籍は、人類共通の財産である。それらが大いに読まれ、研究されれば、人類に有益であるはずだ。しかしながら私たちは、まずその存在を知らない、知ったとしてどこにあるかが分からない、わかっても手に入らない、手に入っても読めない、という様々な障害に阻まれ、せっかくある人類の財産が、まさしく宝のもちぐされになっている。
 近年大学図書館を中心に、所蔵する貴重資料の画像をweb上に公表する動きが出てきている。「日本学術振興会科学研究費補助金(研究成果公開促進費)で公開」と書いてあったので、詳しくは分からないがそういう動きなのであろう。非常に喜ばしいのだが、困ったことにそこに「ある」ことが知られていなければ「ない」のと同じである。せっかく国の税金(日本学術振興会は独立行政法人)が使われているのにもったいない。ということで8月現在私が見つけた医古籍関係のサイトを挙げてみた。中には海外サイトや、すでに閉鎖されたサイトもある。
 ここでは、画像系・テキスト系に分けて並べた。
○画像系:原文のまま読めるし身元が割れているが、検索をかけられないし、撮影の状態によっては判読しづらい。
○テキスト系:Ctrl+Fでテキスト内検索をかけられる。例えば「素問で痰はどう使われているか」など検索できる(答えは…やってみればわかる)。但し、身元不十分だったり校正不十分だったりして、正確性・信頼性に欠ける(特に海外)。検索してから最善本にあたっておく必要があるだろう。

一、画像系
京都大学電子図書館
トップ→さがす→内容から探す(医学のプルダウンメニュー)で医学系の古典文献にアクセスできる。
プルダウンメニュー最下部の「富士川文庫」に大量にアップされているが、「和漢医学」にもある。
「和漢医学」:『医学入門』『黄帝内経素問註証発微』『黄帝内経霊枢註証発微』 など
「富士川文庫」:曲直瀬道三、岡本一抱、吉益東洞など多数の江戸系著作
古典籍総合データベース
早稲田大学図書館所蔵古典籍の画像ファイル。pdfなので、長所・短所がある。 「医学」で検索をかければ医学系の古書籍にあたる。
『体雅』『刺絡編』『内景備覧』『儒門事親』『徂徠先生素問評』『類経』『経穴纂要』『薬雅』『脉経』『神応経』など
河村文庫
滋賀医科大学。カテゴリー分けされていて便利。
『格致余論』『漢洋病名対照録』『蕉窓雑話』『病名彙解』『脾胃論』『腹証奇覧』『腹証奇覧翼』『経穴彙解』など
新潟大学附属図書館 貴重資料データベース
収録資料紹介→森田文庫目録
主に産科の古典籍
大分大学附属図書館
電子図書館→佐野家文書
主に蘭学書、お雇い外国人医書の翻訳
近代デジタルライブラリ
国立国会図書館。分類で検索する。明治・大正の資料。
龍谷大学図書館貴重書画像データベース
仏教書に混じって医学書がある。
⑧その他
 大阪府立中之島図書館
2007年8月14日現在、貴重書画像データベースにアクセスできなくなっている。

二、テキスト系
素問・霊枢・難経・傷寒・金匱については東亜医学協会
北京堂鍼灸院
淺野周氏。
『鍼灸大成』『鍼灸大全』『鍼灸聚英』『鍼灸問対』など
靈蘭之室
左合昌美氏。要登録。
『鍼灸甲乙経』『脈経』『太素』『諸病源候論』など
鍼灸重宝記
The Qi
中國醫學常識→歷代名著選
台湾サイト、Big5
『景岳全書』『諸病源候論』『丹溪心法』『儒門事親』『古今醫統大全』『奇經八脈考』『瀕湖脈學』『外台秘要』『針灸大成』『針灸甲乙經』『太平惠民和劑局方』『千金翼方』『太平聖惠方』『三因極一病証方論』など
中医瑰宝苑
大陸サイト、GB2312
『類経』『中蔵経』『脾胃論』『景岳全書』『蘭室秘蔵』『外台秘要』『審視瑤函』『千金』『万病回春』『太平恵民和剤局方』『瀕湖脈學』『診家枢要』など多数。
近代中医の論文も多い。よくサーバーがダウンする。

 今後より多くの古典籍がwebなどの媒体を通じて、より利用しやすい形で公開されることを期待している。