受験に影響を与える機能障害には、さまざまなものがあります。
就職試験、資格試験、学校での試験などを受ける際には、環境整備が必要になる場合があります。関係法規 (アメリカ障害者法やリハビリテーション法) の保護
を受ける機能障害患者は、受験のための環境整備を要請し、得ることができます。
JANには、以下の条件、診断結果、障害について、試験における環境整備に関する問い合わせがなされています。
このリストは、アメリカ障害者法の適用障害を網羅してはいませんし、試験実施者が環境整備をしなくてはならない障害条件を網羅したものでもありません。
切断:
手足の指の切断
手足の指の不全
四肢の切断
四肢の不全
義肢の使用
注
意欠陥障害:
注意欠陥障害/注意欠陥
多動性障害
時間管理障害
多動性
集中力障害
肩・
背・腰疾患
視
覚障害
が
ん
脳
性麻痺 (CP)
慢
性疲労 (CFS)
循
環器障害
蓄
積性外傷疾患 (CTDs)
手根管症候群
腱炎
外上顆炎 (テニス肘等)
亜急性肉芽腫性甲状腺炎 (デ・ケルバン症)
聴
覚障害
て
んかん
線
維筋 (肉) 痛
消
化器疾患
過敏性腸管症候群
大腸炎
クローン病
憩室炎
頭
部の外傷 (内部/外部)
学
習障害:
読障害の著しい学習障害
書字障害の著しい学習障害
計算障害の著しい学習障害
失読症
失算症
書字障害
表現的書字障害
表現的言語障害
聴覚情報処理障害
小
児
膠
原病等
片
頭痛
筋
ジストロフィー (MD)
多
発性硬化症 (MS)
化
学物質複合刺激反応
筋
無力症
肥
満症
対
麻痺
ポ
リオ
精
神障害:
うつ
双極性障害
不安障害もしくはパニック発作
強迫性障害
外傷性ストレス障害 (PTSD)
人格障害
四肢麻痺
外傷性脳損傷
受験における環境整備: 質問と回答
以下の質問は、JANの国際無料ホットラインが受けつけた受験における環境整備のうちの、代表的
なものです。 さまざまな機能障害や、アメリカ障害者法をはじめとする障害者関連法に精通したJANのコンサルタントが回答を作成しました。
以下の回答は、雇用均等委員会による指導ではありませんし、法律的な助言を目的としたものでもありません。
就職試験についてのさらに詳しい情報については、http:
//www.jan.wvu.edu/links/ADAtam1.html#Vからオンラインで利用できる、雇用均等委員会のタイトル1,技術
的支援マニュアル5.6章を参照してください。
試験や学習課程についてのさらに詳しい情報については、http:
//www.usdoj.gov/crt/ada/taman3.htmlからオンラインで利用できる、司法省のタイトル3,技術的支援マニュア
ル4.6章を参照してください。
代
替形式とは?
代替形式とは、通常の試験と異なるあらゆる形式をいいます。 代替形式の例:
拡大印刷、点字、テキストの色分け、音声 (読み上げ補助者、テープもしくはCD、コンピュータ) などがあります。
延
長時間とは?
延長時間とは、答案完成のための時間を余分に認めることをいいます。
延長する時間の長さは、受験者の障害に応じたものである必要があります。 一般的な延長時間の例:
試験時間の5割増、試験時間の2倍、試験時間の整数倍などがあります。
読
み上げ補助者とは?
読み上げ補助者とは、受験者のために問題用紙を読み上げる人をいいます。
読み上げ補助者は、試験分野の専門用語あるいは試験における言葉の用法に精通している必要があります。
読み上げ補助者はテスト問題の解釈、言い換え、説明などは行いません。 読み上げ補助者は試験の指示、問題、解答の選択肢を読み上げます。
書
字補助者とは?
書字補助者は受験者の回答を筆記その他の手段で記録する人をいいます。
回答の作成や選択の補助を行うものではありません。 書字補助者は受験者の解答を答案用紙に書きこむだけです。
ど
のような試験で環境整備が必要になるのか?
機能障害を持つ人は、いかなる試験においても環境整備を要請することができます。
試験の一例: 教員免許試験、運転免許試験、入試試験、学校などにおける試験、就職試験、適性試験などがあります。
環
境整備を請求できるのはどういう人か?
受験を妨げる機能障害を持つ人は、環境整備を請求することができます。
環
境整備は、どうやって請求するのか?
受験の願書を出す際に請求することができます。
多くの場合、試験を実施する団体が環境整備申請書類を用意しています。 その他にも、口頭もしくは書面で請求することができます。
申請者には機能障害の証明書類を提出する義務があり、必要な環境整備の種類を書き添えることができます。
受
験における環境整備で、受験者に費用がかかることはあるか?
いいえ。 環境整備を必要とする受験者は、他の受験者と同じ受験料のみを支払います。
機
能障害をもつ受験者に対して、試験の得点もしくは合格基準が変更もしくは修正されることはあるか?
一般的にはありません。
すべての受験者が一定の「合格点」をとらなくては合格できない以上、機能障害を持つ受験者も例外であってはなりません。
合格基準を満たすための環境整備をする必要はあっても、合格基準を変更する必要はありません。
例外として、試験の合格基準に明確な根拠がない場合や、教育や雇用の必要条件に関係がない場合が
あげられます。
たとえば、就職試験に合格するには1分間に40ワードのタイピングができなくてはならないという場合、タイピングは職務上の必須事項とはいえません。
環
境整備として「試験免除」を望むことはできるか?
一般的にはありません。
試験が、申請手続き、就職、入学、免許、資格などの必要条件ならば、機能障害を持つ受験者も試験を受けなければならないのが普通です。
機能障害を持つ受験者は、そのかわり、受験の手助けとして環境整備を請求できるのです。
受験における環境整備
注意:
機能障害を持つ人には、受験環境に影響を与える、認知能力、運動能力、感覚能力などに障害がある場合があります。
障害には、一例として以下がありえます。 機能障害の度合いは受験者によってそれぞれ異なるので、それに応じて、提供する環境整備もそれぞれ異なります。
認知あるいは神経機能の障害
以下の環境整備を必要とする人の例:
外傷性脳損傷、多発性硬化症、知的障害、繊維素血、学習障害、注意欠陥障害もしくは注意欠陥多動性障害、がん、心理的障害。
記憶: 受験者は受験日の予定を記憶しておくのが困難な場合があります。
書
面:
念押しの通知
試験場の位置
手洗いの位置
時刻の確認
試験中に机の上に出しておくものとしまっておくもの
試験期間中の、試験日一日当たりの試験の量
時間の延長ないし調整を認める (たとえば、数学の試験を土曜日、読み取りの試験を月曜日、書き取りの試験を火曜日
に行う)
集中力の欠如もしくは精神不安定:受験中に注意がそれたり精神が不安定になる場合
があります。 環境整備の一例:
試
験を個室で行う
試
験時間を余分に与える
読
み上げ補助者を手配する
テー
プの音声での試験を行う
注
意を引くものを遠ざけておく
途
中休憩を許可する
扉、
窓など注意を引くものから遠い席にする
時間管理および作業の実行と完了:受験者は所定の時間で作業を完了することができ
ない、もしくは時間割を守ることができない場合があります。 環境整備の可能性としては以下のものがある:
試
験を個室で行う
試
験時間を余分に与える
試
験と試験の合間に試験官が指示をする
時
計を利用する
作
業の一覧を書いた紙を携帯することを認める
一
定間隔でアラームもしくはバイブレーターを作動させる時計やタイマーの使用を認める
印刷物の読み取り: 受験者は、試験に用いる印刷物を読むことができない場合が
あります。 環境整備の可能性としては以下のものがある:
読
み上げ補助者を手配する
テー
プまたはCDによる試験を実施する
試
験時間を余分に与える
試
験を個室で行う
鮮
明な印刷物を使用する
問
題用紙の読んでいる場所や回答用紙の書きこむ場所を忘れないように、定規や線引きを使用することを認める
音
声出力ができるコンピュータで試験を行う
記
号や図を適宜利用する
章
ごとや設問ごとにテキストを色分けする
選
択肢を太字にする
単語、文、段落などの表現: 受験者は試験に必要な文章を構成することができな
い場合があります。 この場合の環境整備には、次のような例があります:
答
案の下書きを作成することを認める
読
み上げ補助者を手配する
筆
記試験を口述を持って代えることを認める
グ
ラフィックオーガナイザーの使用を認める
メ
モ用紙の使用を認める
辞
書や類語辞典の使用を認める
ワー
プロの使用を認める
文
法に関する補助をする
単
語のつづりに関する補助をする
時
間管理に関する補助をする
数学的な計算:受験者は、試験に必要な「数学的思考」ができない場合があります。
環境整備の可能性としては以下のものがある:
計
算機の使用を認める (音声機能つき電卓も含む)
そ
の他の計算道具の使用を認める (指、足指、鉛筆、おはじき、そのほか)
公
式を紙に書いて利用することを認める
メ
モ用紙の使用を認める
フ
ラッシュカードを使用する
九
九表の使用を認める
言
語的な障害がある場合は図表の利用を認める
運動能力の障害
以下の環境整備を必要とする人の例は、TBI (脳損傷) 、多発性硬化症、筋ジストロフィー、繊維
素血、対麻痺、四肢麻痺、四肢切断、がん、脳性麻痺、肩・背・腰疾患、小児、肥満症などの患者です。
着席:受験者は、受験中長時間に渡って着席していることが困難な場合があります。
また、一般的ないすや机に着席することが困難な場合があります。 環境整備の可能性としては以下のものがある:
机
の代わりにテーブルを使用する
頻
繁な休憩を認める
試
験時間を余分に与える
着
席/起立の変更を認める
い
すを変更する、あるいはクッションやフットレストを使用する
書字: 受験者は、試験で必要となる答案の筆記や回答の記録が、肉体的に困難な
場合があります。 環境整備の可能性としては以下のものがある:
筆
記用具を使用する (2号の鉛筆以外の)
試
験時間を余分に与える
口
述での回答を認める
書
字補助者を手配する
書
字補助具を用意する
頻
繁な休憩を認める
ク
リップボードを使用して、筆記するときに用紙を固定する
定
規、ライティングテンプレート、線引きなどを利用する
ページめくり:受験者は、試験に使用する本のページめくりや、本のページを開いて
おくことが困難な場合がある。 この場合の環境整備には、次のような例があります:
試
験官がページめくりをする
ペー
ジめくり装置を用意する
読
み上げ補助者を手配する
テー
プまたはCDによる試験を実施する
開
いたときに本が平らになるような製本法を採用する
机
の代わりにテーブルを使用する
タイピング: 受験者は、タイピングが困難な場合がある。
環境整備の可能性としては以下のものがある:
試
験に使用する機器を用いた練習を認める
音
声認識装置の使用
片
手用キーボードの使用
入
力機器を変更する
代
替キーボード
マ
ウスを変更
感覚能力の機能障害
以下の環境整備を必要とする受験者は、聴覚障害、視覚障害のほか、たとえば、TBI (脳損傷) 、
表現的言語障害、聴覚情報処理障害などの症状がある人。
聴覚:受験者は聴覚に障害がある場合がある。
環境整備の可能性としては以下のものがある:
試
験官にマイクを使用させる (FMループ)
個
室での受験を認める
受
験者の席を前列にする
唇
を読む場合は、正面で話す
時
間経過を文字で知らせる
手
話への翻訳機を用意する
視覚:受験者は、試験用紙、試験に用いる資料、その他試験で用いる映像を見ること
が困難な場合がある。 この場合の環境整備には、次のような例があります:
時
間経過を音声で知らせる
テー
プによる試験を実施する
読
み上げ補助者を手配する
別
形式の試験を実施する
拡
大刷りの試験用紙を用意する
音
声機能つき電卓の使用を認める
試
験用紙ないし印刷文字の配色を変更する
読
み取り機を使用する (音声出力のもの)
試
験場の環境に慣れておくことを認める
盲
導犬の利用を認める (試験中は十分配慮する)
コミュニケーション:受験者はコミュニケーションが困難な場合がある。
環境整備の可能性としては以下のものがある:
手
話への翻訳機を用意する
筆
談によるコミュニケーション
試
験時間を余分に与える
言
葉の代わりに図を用いたコミュニケーション
以
下のような補助器具を利用したコミュニケーション
ス
ピーチボード
コ
ミュニケーションカード
英
数字ポケットベル
テ
レタイプライター
電
子メール
その他の機能障害
パニック発作: 受験者は受験中にパニック発作を起こす場合がある。
以下の環境整備を必要とするのは、たとえば、注意欠陥障害や心理学的障害がある場合。 環境整備の可能性としては以下のものがある:
頻
繁な休憩を認める
試
験時間を余分に与える
個
室での受験を認める
必
要に応じて退出できるように、常に部屋の後ろから出入り可能にする
試
験会場に慣れておくことを認める
受
験者が座席を自分で決めることを認める
試
験官は以下のような非常事態に対応するための計画を用意しておく
失
神、てんかん発作、問題行動
下痢/嘔吐または吐き気: 受験者は、身体機能の維持が困難な場合があります。
以下の環境整備を必要とするのは、たとえば、心理的障害、多発性硬化症、筋ジストロフィー、消化器障害、がんなどがある場合です。
環境整備の可能性としては以下のものがある:
頻
繁な休憩を認める
試
験時間を余分に与える
個
室での受験を認める
必
要に応じて退出できるように、常に部屋の後ろから出入り可能にする
頭痛:受験者は、試験中に頭痛を起こす場合があります。
以下の環境整備を必要とするのは、たとえば、偏頭痛、視覚障害、心理学的障害がある場合です。 この場合の環境整備には、次のような例があります:
頻
繁な休憩を認める
サ
ングラスないし野球帽の使用を認める
個
室での受験の場合、蛍光灯を消す
光
学フィルターを使用する
ち
らつきのないコンピュータモニターを使用する
疲労: 受験者は試験中に疲労を起こす場合があります。
以下の環境整備を必要とするのは、たとえば、繊維素血、慢性疲労、多発性硬化症、がんがある場合です。 環境整備の可能性としては以下のものがある:
頻
繁な休憩を認める
試
験時間を余分に与える
個
室での受験を認める
試
験を一日一科目のペースにする
試
験期間の延長ないし調整を認める
休
憩中に横になれる場所を確保する
気温過敏症:受験者は試験中に暑くなったり寒くなったりする場合があります。
以下の環境整備を必要とするのは、たとえば、繊維素血、がん、多発性硬化症、筋ジストロフィー、血液循環障害がある場合です。
環境整備の可能性としては以下のものがあります。
ブ
ランケットやジャケットの着用を認める
室
温を調節する
クー
ラーベストの着用
扇
風機を使用する
窓
際の席にする
空
調の吹き出し口から遠い席にする
手
袋、靴下などの着用を認める。
化学物質過敏症: 受験者は、化学物質、におい、香水などに過敏症を起こす場合
があります。 以下の環境整備が必要なのは、化学物質複合刺激反応、喘息、偏頭痛などがある場合です。
この場合の環境整備には、次のような例があります:
試
験官に香水を使用させない
試
験を個室で行う
窓
際の席にする
マ
スクの着用
扇
風機を使用する
空
気清浄機を用意し、試験開始前から運転しておく
食事療法の必要:受験者は、試験中に飲食や服薬をする必要がある場合があります。
以下の環境整備を必要とするのは、たとえば、糖尿病、がん、消化器障害、精神障害がある場合です。
試
験時間を余分に与える
個
室での受験を認める
受
験中に食べることを認める
受
験中の水分摂取を認める
服
薬のために時間を取ることを認める
これ以外の受験における環境整備や環境整備用品については、以下に連
絡また参照してください
1-800-526-7234 (V/TTY) もしくは、JANのウエブサイトhttp://www.jan.wvu.edu。