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職場内人間工学: リソースガイド
Job Accommodation Network
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http://www.jan.wvu.edu
米国労働省障害者雇用政策オフィスのサービス
人間工学
職業安全管理局(Occupational Safety and Health Administration、OSHA)によれば、人間工学とは仕事を人に適合させる科学である。 人間工学は身体的能力と制限に関する一群の知識のみならず、職務設計に関連する人間のその他の特徴を包括する。 本質的に、人間工学は働く人と仕事の関係であり、ヒューマン・パフォーマンスの個別的目標を満たすためのシステムの設計を重点的に扱う。 この様なシステムがなければ、労働者は仕事に関連する有害因子が原因で負傷したり、永久的な障害を負いかねない。 1990年代を通じて保険や訴訟費用が急上昇したことから、多くの雇用主は人間工学プログラムを導入した。 連邦機関を導くための連邦基準がなかったため、雇用主は「雇用の場所は、従業員に死や深刻な身体的危害を引き起こしている、あるいは引き起こす恐れのあると認識された危険とは無関係でなければならない」とする職業安全衛生法(Occupational Safety and Health Act、)(1970)の第5(a)1項を引用された 職業安全管理局は以前に「精肉工場の人間工学プログラム管理指針」を発行しており、全米規格協会(National Standards Institute、ANSI)は業務上の筋骨格疾病(MSD)の件数を削減するのを助けるために任意の指針を発表している。 職業安全管理局の人間工学プログラム基準(連邦規則集29§1910)が2000年11月14日に発行され、2001年1月16日に発効した。 しかしながら、2001年3月20日、ブッシュ大統領は職業安全管理局の人間工学基準に反対する議会の共同決議に署名した。 議会は1996年議会審査法(Congressional Review Act)の権限に基づいて行動し、その結果、基準はもはや効果を失くし、雇用主と労働者はその要求事項に縛られることはなくなった。
職業安全管理局によれば、「業務上の[MSD筋骨格疾病]は、現在、毎年雇用主から労働統計局(Bureau of Labor Statistics、BLS)に報告される全労働災害と職業病の3分の1を占める。 これらの疾患は[]は今日アメリカで最大の労働災害と職業病を構成する。 1997年に雇用主が労働統計局に報告したところによれば、MSDにより合計626,000営業日が失われ、この疾病は同年労働災害補償に支払われた3ドルにつき1ドルを占めた。 雇用主は毎年この疾患に150-200億ドル以上を支払っており、MSDに関連するその他の費用はこの総額を年間450-540億ドルに増やしている。 重いMSDを患う労働者は、復職を阻み、髪をとかす、赤ん坊を抱く、ショッピングカートを押すといった単純な日常の課題を妨げる永久的な障害を負う恐れがある
人間工学プログラムを導入する利益は全ての労働者に適用されるが、人間工学は特に障害のある従業員を受け入れるときに重要である。 アメリカ障害者法(Americans with Disabilities Act、ADA)は雇用主に障害のある従業員を受け入れることを命じており; 対象となる障害は手根管症候群、腱炎、坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなど、筋骨格疾病を患う個人を含む。
環境整備(accommodation)とは、障害はあるが資格のある従業員が求職過程に参加し、仕事の基本的機能を遂行し、雇用の利益や特権を享受することを可能にする、職場環境や作業環境への変更や調整をいう。 MSDを患う個人にとって環境整備とは、代替のキーボード、ツール・バランサー、シザー・リフトなど、さまざまである。 どのような環境整備が効果的か決める前に、雇用主は個人がその仕事を遂行する上での制限はもちろんのこと、問題となる仕事の基本的機能も知らなければならない。 アメリカ障害者法では要求されていないが、職務分析(job analysis)はポジションの基本的機能の決定に役立ち、人間工学分析にとって重要な前駆体である。
以下の文書は、職務分析の完成に助言を与えるとともに、特に環境整備を強調した人間工学分析の遂行方法を概観する。 労働者、職場環境、作業現場に対する検討事項が強調される。 文書は特に適切な人間工学的空間、フローリング、ドア、保管場所に注目する。 管理統制も扱う。
職務分析に役立つアドバイス
調査員は仕事をしている個人を観察し、同僚を観察し、個人に面談し、同僚と面談しなければならない。 仕事の課題をビデオテープ、写真、及び/またはスケッチで記録することが絶対に必要である。
1) 目的
その仕事の存在理由は何か その仕事の組織全体の使命に対する特定の貢献を文書で証明すること。
職務遂行能力に必要な職務は何か 職務の数は一般的にその仕事に必要な基本的活動として10以下である。2) 仕事の環境
A) 職場環境
仕事場の物理的配置はどうなっているか
作業環境ではどんな設備が使われているか
課題の完成にはどんな条件が必要とされているか 条件は物理的条件(熱い/寒い、戸外/屋内、騒音レベル、照明、換気など)と社会的条件(一般大衆との仕事、締め切りのある仕事、単独での作業など)を含む。B) 作業環境
職場環境はどのように整えられているか
労働者はどのように設備や材料を入手し、廃棄しているか
仕事はどのように組織されているか
C) 活動
職務課題間の関係はどうなっているか もし課題に順序性があれば、その順番を記録すること。
仕事を完成させるには、どのような労働者の動きが必要であるか
どんな安全対策と品質管理措置がとられているか 潜在的な作業場の危険と、それらを排除するために講じられる対策を記録すること。人間工学分析に役立つアドバス
以下の情報は人間工学分析に役立つアドバイスを数点要約したものである。 移動補助用具を使う個人のために人間工学を導入する場合、移動補助用具とその利用者は1つのユニットとして考えなければならない。 移動補助用具の種類は、「人間工学的」と見做されるものを変えるかもしれない したがって、人間工学分析での第1段階は、対象となる母集団を定義することから始まる。 加えて、障害のある個人のために人間工学の原理を導入する場合は、目標母集団が一人になることがある。 職場の環境整備問題を扱うときは、優れた人間工学を確保するために、場所と支援技術の設定に特に注意を払うべきである。
労働者
アクセシビリティと人間工学に則った適切な位置決め(positioning)に関する一般的指針は、アメリカ障害者法アクセシビリティ指針<http://www.access-board.gov>から入手できる。 一般的に、人体測定データは母集団の最小メンバー(5パーセンタイルの女性)と母集団の最大メンバー(95パーセンタイル男性)に適合する職場環境の設計に使われる。 しかしながら、この範囲の外に置かれた人々の大半が障害をもつ人たちである。 このことは人間工学に則った設計は状況によるところが大きく、個別対応であることを意味する。 よって、移動補助用具を使用する個人に環境整備を図る場合、分析が一般指針に優先しなければならない。
被験者の人体計測データはどのようになっているか 被験者の身長; 目、肩、膝の高さ; 腕の長さ; 足の長さ; ウエストのレベルを記録すること。 人体計測データは、さまざまな母集団について、妥当な到達要件と空間要件を明らかにするために使われる。
どんな心理社会的因子が労働者に影響を与えているか もし個人が一人で働いている、パーティションで区切った小部屋で働いている、孤立して働いている、職場環境に自由を行使できる(すなわち、ラジオの使用、装飾など)ならば、これを文書で記録すること。
どんな種類の個人用保護具(PPE)が使われているか 手袋、保護眼鏡、呼吸用保護具、靴などの種類を記録すること。
作業環境
オフィス
キーボードは、操作者の姿勢が快適だと感じられるほど十分低く設置されているか 手首の中立的な姿勢を維持し、キーボードに軽いタッチを使うことが重要である。 上腕は床と並行な前腕の両側にゆったりと構えるものとする。 キーボードの高さは25から31インチとすべきである。
労働環境の規模はどのくらいあるか コンピュータのモニター画面の上端は操作者の目の高さとし、机の上に快適に見える距離に置くべきである。 調節可能なモニターアームでの位置変えもひとつの選択肢である。 モニターは椅子の正面、作業環境の中央に直接設置すべきである。 スクリーンの高さは33から42インチまでとし、モニタースクリーンの角度は0から7度、見える距離は18から28インチとすべきである。
椅子は適切に調整されるか 従業員のために完全に調節可能なシートと適切な足元の広さが提供されるべきである。 一般的に、座席底面と作業台の底との間の空間距離は約11インチとし、膝と足首にそれぞれ約24から32インチの間隔で水平とする。 シートは大きく(幅は18.2インチ以上)全面的に詰め物を入れるものとする。 シートは多穴性で粗く織った吸湿性の高い素材でカバーする。 背もたれの角度と高さのみのらず、座席底面の高さと深さも調節可能なものとする。 適切に設計された背もたれは、L3からL5脊椎の背骨を支えるものとする。 この支えは一般的に背骨の脊柱前弯症を修復し、椅子が上体の体重を支えるのを助けるため、これによって背中の筋肉が緊張から解放される。 椅子は安定した5本足とし、従業員がワークステーションの端にある品目に近づけるように回転するものとする。 座席面の調節が従業員の足が地面に触れないようならば、調節可能な足載せ台を置くべきである。
ぎらつきはパネル・ディフューザーやグレア・スクリーンで拡散されているか 調光器付きの照明が役に立つはずであり、調節可能なブラインドも過剰な太陽光を漸減することができる。
工場
作業台は利用者に作業台の高さや角度を調整する能力を与えているか 作業台は労働者がバランスを取るために寄りかかれるほど頑丈なもので、作業台の角や端は丸くなければならない。 作業台の高さは座った位置で25から34インチ、立ち位置で33から45インチとする。 作業台の厚さは2インチ以下、膝が入るスペースは幅30インチ、深さ19インチとすべきである。
ペースセッティング(pace setting)はどうなっているか 身体のどの部分が使われておらず、体のどの部分が定常運動の状態にあるか記録すること。
仕事は重力、摩擦力、反作用の力といった力強い激しい活動を伴うか 必要とされる引き上げ、移動、回転、及びこれらの力強い活動は、全身、上肢、下肢と関連するかどうかを記録すること。
仕事に「適した」道具を選択しなければならないか 次の助言が役に立つかもしれない: 手動式工具ではなく、電動工具を提供する; どちらか一方の手で使える道具を提供する; 指一本で起動する道具は避ける; 握りにピストル型のハンドルがついた道具を提供する; 丸い縁、詰め物をしたハンドル、閉じたときのハンドル間のスペース、開けるためのバネを提供することによってピンチ・ポイントを避ける; 詰め物をしたハンドルを提供することによって手のひらのストレスを減らす; 滑りやすいハンドルや6ポンド以上の道具を避けることによって握力の要件を減らす; 回転数を低く設定し、40-60Hzの振動を避ける; 切断面を鋭く保つ; 道具平衡器/保定器(positioner)が入手可能な新しい道具を提供する。
一般
どんな設備が固定され/移動可能であるか、労働者との関連上、設備はどこに設置されているか
一般的環境因子はどうなっているか 騒音レベル、床張り材、照明、空気の質を記録すること。
気温が両極端になることはあるか 労働者が75度以上、50度以下の気温に曝されている場合は、文書に記録すること。
仕事は反復性で持続的な激しい活動を含んでいるか 仕事が長時間の淀んだ姿勢、反復性の動き、全身を使う激しい活動(持ち上げる、押す、引くなど)を伴うかどうかを記録すること。
不自然で苦しい姿勢の持続時間と頻度はどうなっているか 苦しい姿勢とは、手/手首の曲げ(側面から側面)、伸張(上向きの曲げ)、逸脱(外側への曲げ); 肘の90度以上の曲げと回転; 手を頭上、身体の後ろ、肩から背中に伸ばす; 首を30度以上前へ曲げる、伸ばすこと; 胴体を20度以上曲げたり、ねじったりすることを含む。
快適な温度変化や適切な循環のために、職場環境の空気の質を検査しているか
職場環境
スペーシング
電動支援テクノロジーを使う労働者のために、作業スペースを追加し、コンセントを余分に用意しているか
どのくらいの操作スペースが利用可能であるか 職場環境と保管区域に最低30インチ×48インチの操作スペースを提供すること。
職場環境は車いす利用者を収容するほど十分広いか 作業台と作業台の間に48インチ四方の障害物のないスペースを設けるべきである。
入口、作業領域、休憩室、事務機器間の距離は最小限に抑えられているか
通路が閉鎖されていないか つまずきや落下の可能性を排除するために、障害物が置かれた通路はオープンにしなければならない。 最低60インチある2方向に開いたホールや、32インチの通り抜けできる戸口を除き、幅36インチ以上の(階段のない)障害物のない通路を少なくとも1ヶ所設けるべきである。 ドアの前後ろに60インチ以上の障害物のない水平な床面積と、ドアのラッチ側に18インチの余裕をみるものとする。
床から80インチ以下にぶら下がっている物体は除去されたか
壁から4インチ以上突き出している物体は除去されたか
フローリング
滑らないフローリング材が確保されているか
適切な滑り止めのトレッド、手すり、検出可能な警告が設置されているか
カーペットのパイルが0.5インチ以上深いものは避けてあるか、摩擦の急激な変化は排除されているか
壁と床はカラーコントラストがつけられているか
床レベルの変化は視覚的な対照や、構成のコントラストで識別されているか
傾斜路は最小限に抑えられているか、0.25インチ以上上昇している敷居は傾斜が付けられているか
ドア
回転ドアは避けてあるか
クローザーは、70度開いた位置から、ドアの前縁から測定して、ドアがラッチから3インチのポイントまで動くのに3秒以上かかるように調節されているか
レバーやプル・ハンドルなど、ドアのハードウエアが握りやすい形状で、床から36から48インチ上に設置されているか
戸口に32インチ以上の水平で障害物のないスペースがあるか
蹴板が床上12から18インチに設置されているか
ドアの内側と外側に60インチ、ラッチ側に18インチの障害物のないスペースがあるか
必要ならば、自動ドアや電動支援ドアが設置されているか
保管
材料はどこに保管されているか 材料は床上15インチから48インチの間で、利用しやすい区域に保管されるべきである。
引き出しで利用しにくいものはないか 深さが12インチ以上の引き出しは避けること。 深い収納庫には、回転式トレー、引き抜き式の棚、軸受けスライド式の全開引出しを採用すべきである。
手の届きにくい材料にはラベルが貼ってあるか 材料には見やすいラベルとカラーコードを添付すべきである。
電線がぶら下がっていないか 垂れている危険な電線は視界から隠すべきである。
電気のコンセントは利用しやすいか 電気コンセントは床上15インチ以上に設置すべきでる。
保管庫は材料の中間輸送と移送に利用可能であるか
キャスターは床の仕上げ材に見合っているか
品目は可能な限り最も「利用しやすい」場所に置かれているか 収納庫は引くより押す、運ぶより引く、下げるより運ぶ、持ち上げるより下げる形に位置づけること。
その他
利用しやすい救助支援区域が確立されているか
利用しやすい水のみ場が提供されているか
自動販売機の前面または側面通路に障害物のないスペースが設けられているか 自動販売機は利用しやすい手の届く範囲にあるか(側面の通路で最低9インチ、最大54インチ、前面の通路で最低15インチ、最大48インチ) 自動販売機は利用しやすい経路に設置されているか
統制管理
従業員は人間工学の原理について適正な研修を受けているか 訓練は適切な運搬の技術、適正な維持管理、正確な設備の利用、中立的な姿勢を含む。 個人は中立的な作業姿勢を維持し、必要な反復性活動と最小限の力を使うべきである。
従業員は休憩時間をとっているか 眼の負担を和らげるために、いったん作業から目を離して遠く(少なくとも25フィート以上)を見たり、まばたきの運動をすることも必要。 休憩時間には、肩をすくめる、首を回す、足首を回す、足を伸ばす、両手を上に上げて伸びをする、手を振る、指を広げるなど、簡単で手短な運動も含まれる。
個人の課題は変化に富んでいるか 個人は45分ごとに姿勢を変える、すなわち、右手と左手の間で課題を分配する、集約的な細かい運動操作と全体的な運動操作を交互にする、座る姿勢と立ち姿勢を変えるなどの措置を講じるべきである。
語彙解説
以下の情報は、本出版物の情報源の項に掲載した情報源の多くを含め、複数の情報資源から編集したものである。 当該情報は医療面のアドバイスを目的としたものではない。 医学的な助言が必要な場合には、適切な医療専門家に相談してください。
業務上の筋骨格疾病(Musculoskeletal Disorder、MSD): 身体の度重なる激しい活動や動きによって引き起こされ、誘発され、または悪化する筋肉腱-骨-神経系の疾患。 MSDは長時間にわたる連続使用や圧縮によって引き起こされる、腱、筋肉、繊細な神経組織の磨耗と分裂が原因で起こる。 不十分な業務習慣や粗悪な作業環境の設計によって影響を受ける身体の最も一般的な部分は、手首、手、肩、背中、首と目である。 MSDは似た特徴をもつ一群の疾病であり: 蓄積外傷疾患(cumulative trauma disorder)、反復外傷性疾患、反復運動過多損傷(repetitive strain injuries)、超使用症候群、局所筋骨格疾患(regional musculoskeletal disorder)、業務上の疾病とも呼ばれる。
MSDの具体例は次の通りである:
滑液嚢炎(Bursitis): 滑液包炎は、関節の擦れ合う場所にある、滑液包と呼ばれる袋(滑液という液体が入っている)の炎症です。 いろいろな関節で起こり得ますが、肩と膝にもっとも多く見られます。 関節の過度の使用により炎症が起こる場合がある。 関節に関連する腱にたまったカルシウム堆積物の蓄積はしばしば増悪の原因となる。 カルシウム堆積物は付近の嚢に広がり、それを破裂させることもある炎症反応を誘発する。 滑液嚢炎は急性にも、慢性にもなりうる。
手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome、CTS): 手根管症候群(CTS)は手にちくちく刺す痛みとしびれ感を引き起こす疾患である。 灼熱痛や手先の器用さの低下、場合によっては手の麻痺などを引き起こすこともあります。 CTSの原因は、手首、手根管、親指と小指を除く3本の指につながる枝骨に見られる腕輪状の骨格を通って走る正中神経の圧縮である。 手根管の腱が肥大して神経を締め付ける。 神経の圧縮とエントラップメントは、筋電図(EMG)パターンの変化と神経伝導速度の変化を伴い、神経の加圧遮断(pressure block)を示唆する。
肘部管症候群: 尺骨(肘の外側)のあたりをどこかにぶつけたような痛みがあり、肘を通っている尺骨神経に障害が出ます。 尺骨のあたりというのは、もっと正確に言えば、肘の内部を通る尺骨神経が、肘部管と呼ばれる管の中に収まっている部分のことです。
ド・ケルヴァン病(DeQuervain's Disease): ド・ケルヴァン病の痛みは、親指のちょうど上にある手首と前腕の一面で炎症を起こした腱に起因する。
上顆炎(Epicondylitis): 時にテニスエルボーと呼ばれることもある外側上顆炎は、ブラシやローラーでペンキを塗る、チェーンソーを使う、連続して多種類の手持ち式用具を使うといった過剰な活動の結果生じる。 内側上顆炎(medial epicondylitis)は時にゴルファーエルボーとも呼ばれ、かまで木を切る、チェーンソーを動かす、連続して多種類の手持ち式用具を使うといった活動に起因する。ガイヨン管症候群(Guyon's Canal Syndrome): ガイヨン管症候群は一般的な神経圧縮で、ガイヨン管と呼ばれる手首の管を通る尺骨神経に影響を与える。 この問題は手根管症候群と似ているが、全く違う神経が絡んでいる。
ぶつかり症候群: ぶつかり症候群は、ローテーターカフ症候群(回旋腱板症候群)としても知られ、肩さきと肩の回旋腱板との間に隙間がなくなった結果起こる。 腕を上げるときに、肩峰周辺では腱がスムーズに動いているのが普通ですが。; 腕を上げるたびに、腱と肩峰の間にある滑液包と腱の間に、軽い引っ掛かりを生じることがあります。 この摩擦または圧迫する行為は、衝撃と呼ばれる。 腕を上げる作業や物を投げる動作などを反復的に繰り返すことで起こります。
交差症候群(Intersection Synderome): 交差症候群は、2つの筋肉が下に横たわる手首の2つの腱を横断または交差する前腕の親指側に影響を与える。
顔面筋疼痛症候群: 顎関節症(TMJ)とも呼ばれる、下顎骨と側頭骨の関節部分の障害です。 症状の例として、目のかすみや鼻の障害、下顎、頭、首、肩、耳などの痛みが挙げられます。 顎の運動、薬物療法、歯科矯正、場合によっては外科手術など、さまざまな治療法があります。
橈側管症候群(Radial Tunnel Syndrome): 橈側管症候群は肘下すぐの前腕に痛みを引き起こす。 外上顆炎(テニス肘)の症状と混同されることがあります。
腱炎(Tendonitis): 腱が炎症を起こした状態。
腱骨膜炎(Tenosynovitis): 外傷、酷使、感染症などによって起こる、腱鞘の炎症です。
ばね指(Trigger Finger): 腱は指や親指を手のひら側に曲げる働きをするため、ばね指と親指は腱の動きに影響を与える。 この動きは屈曲と呼ばれます。
胸部出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome): 胸部出口症候群(TOS)は肩、腕、手に影響を及ぼす。
一般的語彙
外転(Abduction): 身体の中線から離れる動きで、四肢と矢状面の間の角度を増す。
内転(Adduction): 身体の中線に向かう動きで、四肢と矢状面の間の角度を減らす。
人体測定学(Anthropometry): 大きさ(例、身長)、幅(例、肩幅)、解剖学的ポイント間の距離(例、上腕の長さ)など、人の身体的特徴の範囲を調べる学問。 この情報は人と職場環境を最適に適合させるために適切な大きさを決定する上で重要である。
動力計(Dynamometer): 筋肉の収縮力を測定する装置; 例えば、握力計は握り締める力を測定する。
筋電図法(Electromyography、EMG): 電子機器を使った筋肉動作の研究(例えば、筋肉を収縮させることによる活動電位)。
人間工学: 労働者と職場環境の相互作用、および大気、熱、照明、太陽といった作業場の道具や設備の伝統的環境的側面を扱う学際的な活動。
伸張(Extension): 関節の曲げを伴い、それによって骨同士の角度が増す動き。 屈曲の反対。
屈曲(Flexion): 関節の曲げを伴い、それによって骨同士の角度が減じる動き。 伸張の反対(肩の部分を除く)。
力(Force): 体内組織に対する労作の効果(例、引き上げ時に脊髄板にかかる圧縮、つまみ握りによる筋肉/腱単位内の緊張)または身体の外部にある物と関連する身体的特徴(例、箱の重さ、道具を作動させるために必要な圧力、2つの品をつまむのに必要な圧力)。
角度計(Goniometer): 関節で接続される身体の2つの部分の角度と角度運動の範囲を測定する装置。
握り(Grip): 一般的に物体を操作するために、力の適用を伴う物体と手の一致。
脊柱後弯症(Kyphosis): 一般的に胸部に観察される脊柱の凸状。
脊柱前弯症(Lordosis): 首と腰部に存在する脊柱の凹状の湾曲。
受忍限度(Maximum Permissible Limit、MPL): NIOSH(国立労働安全衛生研究所)のマニュアル・運搬・ガイドによれば、床上76cm(30インチ)、足首正面の異なる位置で、矢状面にて両手で扱う重量の推奨上限。 労働者の15パーセント以下に、筋骨格を損傷するリスクを増やすことなく、この種の運搬を行う能力がある。
モーメント(Moment)(Torque): 力の大きさと、力の作用線から回転軸までの垂直距離の積。
ニュートン(Newton): 力のSIU単位。 1ニュートンは1kgの質量を1m/sec加速するのに要する力の量。
騒音(Noise): 騒音とは好ましからざる音をいう。 産業の場面では、騒音は連続的または断続的で、さまざまな方法で存在する(ライフルのドスンという音、圧縮空気式のレンチ)。
姿勢(Posture): 仕事を遂行するときの身体の位置。
回内(Pronation): 手のひらを下に、手の甲を上にして、両手がうつ向きになるように、矢状面に向かって曲げた前腕を回す行為。
心理社会的(Psychosocial): 心理学的および社会的効果を生み出す要因。
関節可動域(Range of Motion、R.O.M.): それぞれの自由度に応じて、関節が平行移動および回転する範囲。
回復時間(Recovery Time): 休息、ストレスの低い活動の遂行、緊張した体の部位を休息させる活動の遂行の時間数量化。
反復(Repetition): 課題中に遂行された類似努力の時間数量化。
局所振動(Segmental Vibration): 手が振動に接触しつづけると、手/指の血管機能不全を引き起こしうる(レイノー病や白蝋病)。
静的な力の発揮(Static Exertion): 長時間ひとつの姿勢位置から課題を遂行すること。
回外(Supination): 手のひらが上を向いているように、曲げた前腕を外側に回す行為。
全身振動(Whole Body Vibration): 全身を振動に曝すこと。
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