熱傷を負った後に仕事に復帰する従業員をあなたはどう受け入れますか? この質問に対する回答は、いくつかの要因に応じて異なります: すなわち、熱傷の範囲、影響を受けた総体表面積、残った瘢痕組織の量、結果として生じた制限です。 熱傷は3つの方法で分類されます: 1度、2度、3度。
1度の熱傷は、最も一般的な型の熱傷です。 これは皮膚の最上層のみに関係し、痛み、赤み、腫れを特徴とします。 日焼けは一般的な1度の熱傷です。
2度の熱傷は、皮膚の第1層と第2層に関係します。 皮膚の水脹れ、赤み、腫れを特徴とし、強い痛みを特徴とします。
3度の熱傷は、最も重篤で、しばしば広範な瘢痕組織を残します。 回復には長い時間がかかかり、重い制限を伴うこともあります。
熱傷を負った個人は運動障害や温度過敏症を抱え、心理社会的問題と付き合うことになる可能性もあります。
考慮すべき問題点
1. 熱傷を負った個人はどんな制限を経験しているか
2. 機能制限は患者ないし患者の職務遂行にどの程度影響を与えているのか?
3. こうした機能的制約がある結果どういう職務が特に問題になりますか?
4. 環境整備の必要性について、患者本人と相談したか?
5. 問題を避けるために、どのような環境整備が利用可能か? JANなど、すべての資源が可能な環境整備を特定するために利用されているか
6. 熱傷を負った人は、既存の環境整備の有効性を評価し、他のものが必要かどうかを決定するために上司と面談したことがあるか
7. 感受性トレーニングといった形で、管理職の職員に教育を施したことがあるか
運動障害
運動障害はしばしば拘縮(contracture)と呼ばれる一種の瘢痕から起こる。 拘縮瘢痕は筋肉や腱に影響を与え、可動性を制限する皮膚の永久堅化です。
足や脚の重い熱傷は、立つことや歩行の困難につながる恐れがある。 手や腕の熱傷は、握ることや書くといった細かい運動行為のみならず、手を伸ばす、持ち上げる、運ぶことの困難につながる恐れがある。 粗大動作障害または精密動作障害をもつ個人のために、様々な環境整備が存在している。
粗大動作障害:
職場をアクセス可能な場所に変える
職場に近い駐車場を提供する
アクセス可能な入り口を設ける
自動開閉装置のついたドア-を設置する
アクセス可能なトイレと休憩室を提供する
他の仕事場所までの通路を、移動しやすいようにしておく
アクセス可能な仕事場になるようにする
車椅子やスクーター使用の場合は机の高さを調節する
資料、備品等は手の届く所に置くようにする
他の作業場所、オフィス機器、休憩室などの近くに座席を移動する
材料リフトを提供する
立つ/寄りかかり用のスツールを提供する
疲労防止マットを提供する
精密動作障害:
人間工学的な職場設計を行う
コンピュータの操作方法を変更する
電話機の操作方法の変更
ひじ掛けの導入
書字補助具、握り補助具の導入
ページめくり機や書見台を用意する
筆記助手を手配する
振動防止手袋を提供する
ツールバランサーを提供する
温度過敏症
重度の熱傷は体温を効果的に調節する身体の能力を阻害することがります。 血液を循環させる能力が損傷される結果、冷たい温度に順応する身体能力が影響を受けます。 また、瘢痕粗引きが広範囲に及ぶと、人は効果的に汗をかくことができなくなり、容易に過度の体温上昇を引き起こします。
熱過敏症:
職場の温度を下げる
冷却ベストや冷却用装身具を使う
職場でファン/エアコンを使う
フレキシブルな勤務体制や退社時間のフレキシブルな使用を認める
熱い気候の間、自宅での仕事を認める
低温過敏症:
職場環境の温度を上げる
ポータブルの室内暖房具を使う
保温性の良い素材やフリースを使って重ね着する
手袋をつける
熱した装身具を提供する
寒い気候の間、自宅での仕事を認める
心理社会的問題
熱傷から回復しつつある従業員は、悲嘆、憂鬱、不安、外傷後ストレス障害(PTSD)など、さまざまな感情的問題に対処することになります。
悲嘆や憂鬱感は、身体イメージの喪失と、他者とやりとりする不安の結果です。 熱傷が業務上の傷害の結果であるなら、個人は事故現場に戻ることに不安を感じるかもしれません。 また、これまでのように仕事を遂行することを阻む制限についても不安を覚えるかもしれません。 衝撃的な事件から回復した後に、PTSDに移行する可能性もあります。 熱傷とPTSDを負った人は事故に関連した場所や人を避けることが多々あります。 悪夢や集中困難、フラッシュバックを経験することもあります。
上司との協調:
誉めたり、肯定的な情報を与える
指示を書面で与える
合意した環境整備を含め、業務協定書を作成する
責任の明確な期待と、業績基準を満たさない場合の結果を委譲する
上司とのコミュニケーションをオープンにする
長期目標と短期目標をそれぞれ書面にしておく
事前に問題解決計画を立てておく
環境整備の効果を評価する手順を定めておく
同僚との付き合い:
環境整備を受ける権利について、全従業員を教育する
同僚や上司の意識向上のための講習を行う
業務上の社交的催しに参加することを従業員に命令しない
全労働者に職場の外では仕事以外の話をするように勧める
ストレスや感情の制御の困難:
誉めたり、肯定的な情報を与える
カウンセリングや労働者支援プログラムに相談する
医師などに電話して支援を求めることを認める
介助動物の存在を認める
必要に応じて休憩をとることを認める
睡眠障害:
柔軟なスケジュールを認める
頻繁な休憩を認める
在宅勤務を認める
熱傷を負った人のための環境整備の具体例
注: 熱傷を負った人はこうした制限のいくつかを発症する可能性があるが、すべてを発症することは稀です。 また、制限の程度も個人差がある。 必ずしもすべての人が仕事を遂行するために環境整備を必要とするわけでなく、ごく僅かしか必要としない人もいる。 以下は考えられる可能性のほんの一例です。 この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。
製図技師が身体の80%に3度の熱傷を負った。 長時間座っていることに制限が生じた。 JANは立ったり座ったりが容易な作業台に関して情報を提供した。
両手に熱傷を負った学校教師は、特に頭の上に手を伸ばして板書しなければならないときに問題を抱えている。 JANは、ペン/鉛筆グリップなどの筆記支援用具や、ペン/鉛筆を保持することを簡単にする用具に関して情報を提供した。 ペン/タブレット・コンピュータ・システムを使い、教室前面のスクリーンに投影する卓上型タブレット(書き板)が、従来式の板書を可能にした。
グランド管理要員として採用された人が、頭、首、背中に負った重度の熱傷から回復した。 彼の仕事は一日の大半を戸外で働かねばならなかった。 瘢痕組織のために、彼は汗をかいて体温を下げることができなかくなったため、日焼けが心配だった。 雇用主は帽子、長袖の軽い綿シャツとクールベストを提供した。 また、日陰を作るために携帯型のビーチパラソルを与えられ、必要なだけ休息をとるよう勧められた。 雇用主は彼が主に午前中に働くことができるように、開始時間を早めるよう勤務時間を変更した。
連邦機関に採用されたコンサルタントが、両手に熱傷を負った結果、細かい運動機能に重い制限が残った。 彼女は書くことと、タイプを打つことが困難になった。 仕事上、コンピュータにデータを入力して、ファイルを管理しなければならない。 彼女はキーボードを身体に近づけることを可能にする連接型キーボード・トレイを設置するという環境整備を提供された。 また、二つに分かれたキーボードと、指を使ってカーソルを動かしタイプする方式のトラックボール・マウスを与えられたため、親指を使う必要がなくなった。 彼女はこれらの用具を音声言語認識と組み合わせた。
熱傷を負った人に可能な環境整備に関する議論については、下記までご連絡ください:
Job Accommodation Network
800-536-7234 (音声とテレタイプライター)
800-ADA-WORK(音声とテレタイプライター)
http://www.jan.wvu.edu
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