状況: ある工場労働者は知的障害患者で、精密動作障害があり、ピンセットや拡大鏡を使用する職務を担当していた。 ピンセットの扱いが困難だった。
解決法: 大型のピンセットを購入した。 費用: $5.
状況:ある教員は双極性障害で、各家庭への訪問教育プログラムに従事していたが、集中力の低下、短期記憶障害、順序だった職務の遂行ができないなどの問題を抱えていた。
解決法:週に一度のミーティングを利用してチェックリストを作成した。 チェックリストには、その週の授業内容と翌週の進度目標を盛り込まれ、患者以外の職員もこのリストを利用した。 書類の書式を変更して記入を容易にし、順序だった職務手順を定めて1コマの授業が終わるたびに書類の記入ができるようにした。 新任の教員の育成に、週ごとに提出されるチェックリストが役立ち、思わぬ利益となった。 費用: $0.
状況: ある自動車修理工はてんかん患者で、車両の運転ができなかった。
解決法: 工場側は労働組合と交渉して、運転免許のある職員は誰でも、勤務中であるなしに関わらず、患者の作業場所への車両の移動を代行できるという合意を取り付けた。 費用: $0.
状況:ある研究所職員は頚部を負傷しており、首を曲げて顕微鏡を覗くことが困難だった。
解決法: 顕微鏡に潜望鏡のような部品を取り付けた。 費用: $2,400.
状況:あるカタログセールスマンは脊髄損傷患者で、指先の細かな動きに支障があり、カタログを取り扱うことが困難だった。
解決法:マウススティックのみで操作可能な電動のカタログラックを購入し、傾斜のついたコンピュータ用キーボードを用意した。 費用: $1,500.
状況:ある地質学者はろう患者で、遠隔地でフィールド調査を行っていたが、双方向ラジオを利用した研究成果報告ができなかった。
解決法: 文字電話を利用した携帯電話によって連絡を取るようにした。 費用: 400ドルと月々の電話料金。
状況: ある学習障害患者の工員は、インチ数を分数で計算することが困難であった。
解決法: 拡大して描いた1インチの図に寸法が列挙された財布サイズのカードを用意した。 このカードとものさしの目盛りを見比べることで、細かな寸法を正確に把握できるようになった。 費用: $5.
状況:HIVのある会計士は蛍光灯に対して目の過敏症を起こしていた。 そのため、コンピュータの画面や書類がはっきりと見えなかった。
解決法:室内照明のワット数を下げ、手元照明とコンピュータ画面用のちらつき防止フィルタを用意した。 費用: $80.
状況: ある用務員は弱視で、清掃の際カーペットがよく見えなかった。
解決法: 業務用掃除機に蛍光灯を取り付けた。 費用: $240.
状況: ある組立工兼オペレーターは重度の視覚障害患者で、ホースやパイプを種類に合わせて包装することが困難だった。 この作業にはホースやパイプの種類をよく確かめることが必要であった。 この作業の質は非常に重要であった。
解決法:調節可能なスタンドがついた拡大鏡を設置した。 費用: $450.
状況:ある「ファーストフード」店の厨房担当者は重度の学習障害患者で、字を読むことができなかった。 ハンバーガーのオーダーを示す1文字のアルファベット以外は認識することができなかった。
解決法: 調味料のビンに、中身を表すイニシャルを書いて、注文通りの調味料を選択できるようにした。 さらに、頻繁に使う3つのキーワード(「〜だけ」「何もなし」「そのまま」)をカードを使って伝えるようにした。 費用: 25ドル以下。
状況: ある電話通信サービス技師は補聴器を利用していました。 彼は、テスト用の「回線割り込み」携帯電話を利用した電話回線の敷設や修理などを担当していた。 しかし、テスト機材と補聴器が干渉してしまっていた。
解決法: テスト機材にスピーカを取り付けて、機材を耳もとに持って行かなくても回線テストができるようにした。 この装置は補聴器を利用していない場合にも有効なものである。 さらに、アンプつきのトーンロケーターも用意した。 費用: $200.
状況:ある包装工場作業員は注意欠陥障害患者で、仕事に集中したままでいることが困難だった。
解決法:ハンドマイクつきのテープレコーダーと音楽テープを購入して、音楽の合間に何度も仕事に戻るよう促すメッセージが再生されるようにした。 これにより、気が散りにくくなり、仕事への集中を促すこともできるようになった。 費用: 200ドル以下。
状況:ある事務員は手の指が2本少なく、腕の長さも通常より短かった。 このため、電話応対、カスタマーサービス部門に送る情報のチェック(コンピュータへの入力が必要)など、いくつかの業務に支障があった。
解決法: 電話機に外付け式の大型ボタンを取り付けた; 情報の処理とタイピング業務に利用していたペン型スタイラスの代わりにトラックボールを設置した。 タイピングの補助のため、ストラップ式のスタイラスも利用した。 費用は15ドル。
状況:ある製造業職員は統合失調症で、何年もの間治療の成果が出ていたが、最近になって急に暴力的な行動を取るようになった。
解決法: 患者と雇用者だけの間での話し合いでは効果が得られなかったので、精神科医に相談することに決めた。 医師に相談した結果、問題のある行動を抑制するために、処方薬を変更することになった。 雇用者が診察料を負担した。 費用: 200ドル以下。
状況: ある製造会社勤務のコンピュータプログラマは脳性まひ患者で、精密動作障害があった。 車椅子も使用していた。
解決法:トイレを広くして手すりを取り付けた。 机を数インチ高くして車いすのまま利用できるようにし、コンピュータ室を建物の1階に移動して出入りを容易にした。 スロープと自動ドアを設置し、エレベーターの近くに専用の駐車場を確保した。 ビルの所有者が設備の設置を行い、費用も負担した。 ビルの所有者が負担した費用: およそ5000ドル。 雇用主が負担した費用: $0.
状況: ある電話相談員は、脳の損傷のため短期記憶障害と音声識別障害を抱えていた。 電話による相談の受付と相談内容のコンピュータへの入力を担当していた。
解決法: 職場に消音板を設置して雑音を減らし、患者の電話のみ違った呼び出し音が鳴るように電話機を設定した。 コンピュータにちらつき防止フィルタを設置し、めまいや疲労を予防した。 職務についての説明、注意事項、その他スケジュールなどを紙に書いて指示するようにした。 費用: $345.
状況: ある保険会社勤務の上級プログラマは学習障害患者で、記憶障害と正しい言葉の選択に支障があった。
解決法:同僚とのコミュニケーションを電子メールで行い、内容を印刷するようにした。 単語予測と文法チェックのソフトウェアを導入した。 入力した単語を復唱して正確なタイピングを助ける音声出力機器も設置した。 費用: およそ1750ドル。
状況: ある修理工は双極性障害患者で、研修に参加する必要があった。 説明に集中しつつきちんとしたノートを取ることが困難だった。
解決法: 同僚がカーボン紙を利用してノートを取った。 説明だけに集中することができるようになり、十分な理解が可能になった。 費用: $10.
状況: ある菓子店店員は精神遅滞患者で、視覚識別障害のためクッキーの生地を所定の並べ方でシートに置くことが困難だった。
解決法: 生地の並べ方通りに穴をあけた、プラスチックの型を用意した。 費用: 50ドル以下。
状況: ある電子部品組み立て工は手首と手に蓄積性外傷疾患があり、手と指の動きに障害があった。 このため、電子部品を組み立てるための手持ち工具の取り扱いに支障があった。
解決法:充電式の電気ドライバーを購入して手首をひねる動作を減らした。 その後、蓄積性外傷疾患の予防策として、すべての組み立て工に同じ物を配布した。 費用: $65.
状況: ある小売り製造業職員は糖尿病患者で、疲労症であり、勤務中に薬を服用する必要があった。 このため、休みなしでセールス業務を行うことが困難だった。
解決法: 勤務スケジュールを変更し、昼休みを延長するとともに薬を服用するための短い休憩時間を設けた。 費用: $0.
状況: ある大手テレビメーカーの法務部職員は認定視覚障害者で、タイピング、電話応対、ファイリング、コピーとりなどの職務に支障があった。
解決法: パソコン、プリンタ、VTEK(通常のターミナル画面よりも拡大した表示が可能なディスプレイプロセッサ)を配置した特別設計の机を用意した。 コピー機に自動給紙機を設置した。 費用: $ 1,360.
状況: あるデータ入力係は広場恐怖症で、ラッシュアワーに通勤することが困難だった。
解決法: 午前8時30分から午後4時30分までの勤務時間を午前10時0分から午後6時0分までの勤務に変更した。費用: $0.
状況: ある大学講師はAIDS患者で、視覚障害があった。 生徒から提出される印刷物の読み取りがもっとも大きな支障だった。
解決法: ビデオ式拡大装置を購入して書類の読み取りを助けた。 学校のワープロを利用している生徒には提出する印刷物のコピーをディスクで提出するよう呼びかけた。 このため、視覚障害を持つ生徒や職員のために以前から購入してあった合成音声装置を活用できるようになった。費用: $2,600.
状況:あるコンピュータサプライ企業のセールスマネージャは重度の慢性うつ患者だった。 治療を開始してはいたが、ストレスを感じると泣き叫んでしまう発作に襲われていた。
解決法: 雇用者との話し合いの結果、患者専用の小部屋を用意することにした。 この小部屋はもともとオフィス用品を保管するのに利用していた部屋だった。 必要を感じた場合、この部屋で休憩を取って精神状態を持ち直すことが可能になった。 オフィス用品の格納のために、新しい棚を購入した。 費用: $200.
状況:ある大型日用品店では、ダウン症と軽度の聴覚障害を持つ患者を、陳列と在庫管理担当として雇用しようとしていた。 離れた場所から店内呼び出しを行うスピーカの音が聞き取れないのではないかということが問題になった。
解決法: 手首もしくはベルトに取り付けて振動で呼び出しを知らせる、個人用の呼び出し装置を購入した。 呼び出しがあると、すぐに事務所に行って指示を受ける。 これによって、指示がきちんと行き届いていることを確認できるようになった。 費用: $350.
状況: ある事務員は多発性硬化症患者で、高層ビル内のさまざまな場所へ書類を届けることを担当していたが、次第に機敏な動きや重い荷物の持ち運びが困難になっていった。
解決法: 軽量な、かご付きの3輪の電動スクーターを購入した。 費用: $2,000.
状況: ある温室作業員は精神遅滞患者で、職務に集中することと休憩時間に気づくことが困難だった。
解決法: 無料で、ジョブコーチが基本的な訓練を行った。 テープレコーダーを購入して、定期的に仕事に集中するよう促し、休憩時間を知らせるようにした。 遂行する職務を列挙したラミネートカードも携帯するようにした。 費用: $50.
状況:あるラジオ放送のアナウンサーは視覚障害患者だったが、AP Wire Newsの原稿を読む必要があった。
解決法: ニュースサービスからのデータを点字プリンタに送信し、通常の印刷物を点字に変更する変換機も設置した。 費用: $1,500.
状況: ある公共サービス機関の管理職補佐は精神障害患者で、ワープロ操作、ファイリング、電話応対などを担当していたが、職務への集中が困難で短期記憶障害があった。
解決法:片耳イヤホンを利用して沈静音楽を流し集中力の乱れを防止したり、指示をテープレコーダーに録音して書面での指示と併用したりするなどの環境整備を行った。費用: $150.
状況:ある警察官は学習障害患者で、通常の方法で公務員試験を受験することが困難だった。
解決法:試験時間の50%延長を認め、試験中に辞書を使用することも許可した。 費用: $50.
状況: ある研究所の技師は頭と首の動きに障害があったが、職務上顕微鏡の使用が不可欠だった。
解決法:顕微鏡に潜望鏡のような部品を取り付けて、頭を下げずに職務が遂行できるようにした。 費用: $2,400.
状況: ある調理師は対まひ患者で、厨房内を歩き回る必要があった。
解決法:立ち上がり補助機能つきの車いすを用意して姿勢の変更や移動が柔軟に行えるようにした。これにより、職場の設計そのものを見直す必要はなくなった。 費用: およそ3000ドル
状況: ある電子部品会社の熟練技師はAIDS患者で、年間の病欠日数が非常に多かった。
解決法: 柔軟な勤務スケジュールを認め、担当職務の見直しを行った。 AIDSに対する意識向上のための研修も行った。 費用: $0.