このページは 米国労働省障害者雇用政策オフィスの支援により運営されているものです (契約番号:#J-9-M-2-0022) 。 本ページの内容は契約者の意見であり、アメリカ労働省の意見を反映しているわけではありません。

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片頭痛をもつ人のための職場における環境整備のアイデア
作成:Mayda LaRosse, M. A.

はじめに

JANは、機能障害を抱えた、潜在的な職務能力のある労働者の、新規雇用や失業の防止を実現するための情報ネットワークであり、相談窓口でもあります。 企業、リハビリテーション専門家、そして機能障害のある人自身が、興味や必要のある事柄をJANの人間工学コンサルタントに問い合わせ、環境整備問題解決のための提案を得ることができます。JAN職員は環境整備法についてのわかりやすい情報を提供します。たとえば、適切な問い合わせ先の名前、住所、電話番号などです。 付加情報については個々に問い合わせをすることが可能です。 情報提供は無料で、電話、郵便、電子メールを利用可能です。

アメリカ障害者法(ADA)の条文ともあいまって、睡眠障害のある人への適切な環境整備についての知識を得ることの必要性が高まってきています。 適切な環境整備についての知識が、企業による新規雇用や失業の防止を促進する可能性があります。
機能障害を持つ人への環境整備は困難であるという誤解を持っている企業もあります。 しかしながら、これは必ずしも真実ではありません。 環境整備は、大抵は、費用が安く実行も簡単です。 JANが収集したデータでは、障害のある人のために環境整備をした企業は、収支面で実質上利益を得ているという結果を示しています。 報告書によると、環境整備全体の3分の2は費用が500ドル以下であり、調査対象企業の半分以上が5000ドルを超える効果を報告しています。

睡眠障害のある人への環境整備を検討する際には、他の機能障害と同様、環境整備のプロセスは個別対応を基本に管理しなければならないということに注意が必要です。 (Technical Assistance Manual of the ADA, Title I, US Department of Justice, 1992)。Title I、セクション3.7では、以下のように述べています。「企業と機能障害をもつ労働者は、適切な環境整備の決定のため、共に努めねばならない」 機能障害や環境整備法は、患者一人一人、職業一つ一つによってさまざまです。 たとえ同じ機能障害のある人であっても、必要な環境整備には違いがあることがあります。 すべての機能障害のある人が職務遂行に環境整備を必要とするわけではなく、必要な場合も、ごく簡単なものが大半であるということに注意します。 また、ADAはすべての機能障害を対象にしているわけではありません。

ADA(Title I、Section 2.2)によると、機能障害のある人とは以下の条件に当てはまる者を言います:

【大きい青い三角形弾丸】 主要な生活活動を有意に制限する身体的または精神的な障害を持つ者で;
【大きい青い三角形弾丸】
前項にあてはまる障害の記録がある; または
【大きい青い三角形弾丸】
そのような障害があると見なされる者。

この法律とEEOC(雇用機会均等委員会)の規則により、企業に要求される適切な環境整備の一般的な類型が示されていますが、状況によっては別の環境整備法が適切である場合もあります。 また、適切な環境整備とは、それが状況に適した成果をあげている限り、必ずしも最大限の環境整備である必要はありません。

以下はADA技術支援マニュアル(Title I、Section 3)からの環境整備例の引用です:

【大きい青い三角形弾丸】 障害を持つ人が利用しやすいように設備を整える;
【大きい青い三角形弾丸】
付随的な職務機能の再分配や再配置を行うことにより、職務内容を再構成する;
【大きい青い三角形弾丸】
主要な職務機能について、職務遂行の時間や方法を変更する;
【大きい青い三角形弾丸】
パートタイム勤務または勤務時間の変更;
【大きい青い三角形弾丸】
機器や装置を導入ないし調節する;
【大きい青い三角形弾丸】
試験、教材、方針の変更する;
【大きい青い三角形弾丸】
資格をもった読み上げ補助者や説明補助者を確保する;
【大きい青い三角形弾丸】
空いているポストへの配置転換;
【大きい青い三角形弾丸】
治療の必要に応じて、未消化の有給ないし無給休暇の使用を認める;
【大きい青い三角形弾丸】
運動障害のある人には、駐車場を確保する;
【大きい青い三角形弾丸】
雇い主が提供する義務のない機器や装置を、患者自身が用意することを認める。

片頭痛に関する一般事項

1千万人以上の米国人が、片頭痛によって肉体的・精神的な障害を負っている可能性があります。 男性よりも女性に多くみられ(1:3)、ピークの年は35歳から45歳ですが、どの年令層の人々にも影響を及ぼすことがあります。

最も一般的なタイプ

【大きい青い三角形弾丸】典型的片頭痛: 症状には、一般に、ジグザグに折れ曲がって走る光、暗点、閃光または複視などの、視覚性前兆(要注意の兆し)が見られます。 通常は10分から30分後に頭痛が続きます。 別の症状では、言語障害、腕や足の脱力、顔や手のしびれ、錯乱症状があります。 こうしたタイプの頭痛からくる痛みは、激しい痛み、ズキズキする、または叩きつけるような痛みとして述べられています; そうした痛みは、こめかみ、耳、顎、目のまわり、または額などで引きおこされます。 頭痛発作は通例、1日から2日続きます。

【大きい青い三角形弾丸】 普通型片頭痛: 一般的な人にみられる共通したタイプ; 閃光を見ることはありませんが、人によっては精神的にボーッとした状態や気分障害、疲労、または頭痛に先立って体液貯留を体験することがあります。 頭痛段階に入ると、吐き気、嘔吐、下痢、排尿の増加が起こる場合があります。

これら2種類の頭痛の発生回数は、週に数回もあれば、数年間のうちに希に起こることもあります。 人によっては、ある特定の期間に体験することがあります。つまり、月経前に起こる女性もいれば、ストレスの多い1週間の仕事を終えた週末にこうした頭痛を体験する女性もいます。 一部の人には、光や音に対する過敏性および臭気困難に直面することもあります。

【大きい青い三角形弾丸】 片麻痺性片頭痛: 身体の片方に一時的な麻痺が生じます。 この種の片頭痛は視覚障害や目眩(部屋が回転しているような感覚)を引き起こします。 これら症状は通常、頭痛発作開始の10〜90分前から始まります。

【大きい青い三角形弾丸】 頭痛の無い片頭痛: 視覚障害、吐き気、嘔吐、便秘または下痢などの症状が現れますが、頭痛はありません。

片頭痛の原因

【大きい青い三角形弾丸】 片頭痛を引き起こす明確な原因はないようです。 一部の学者の間では、脳内の血流の変化が主とした要因だと考えられています。 頭蓋内に向かう血管が収縮したあと拡張し炎症を起こすことが片頭痛の原因ではないかとしています。

【大きい青い三角形弾丸】 片頭痛のきっかけには以下のようなものがあります: 緊張、生理、疲労、避妊薬の使用、飲酒、ダイエット、食事を抜いたり遅らせること(血糖値を下げる原因)、明るい光、直射日光、蛍光灯、コンピュータ画面、テレビ、映画、過剰騒音、および睡眠・覚醒サイクルの変更。

その他の片頭痛についての一般情報

【大きい青い三角形弾丸】 緊張型頭痛: 頭痛のおよそ90%は緊張型頭痛に分類されます。 痛みは通例、頭部全体に放散します。 女性に起こることが多いと思われています。 緊張型頭痛の2つのタイプがあります: 一時的に起こるものと絶えず起こるものです。 慢性的であれば、この種の頭痛は直ちに治療を受け、鎮痛薬への常用癖がつくのを回避しなければなりません。 絶えず起こる頭痛は、うつ状態や他の感情障害が原因で起こることもあります。患者は早朝、目覚めたときにすでに頭痛が始まっていて、頻繁にに睡眠障害に付きまとわれることになります。

【大きい青い三角形弾丸】 群発性頭痛: 米国では推定100万人の患者がいます。 患者のおよそ90%は男性です。 群発性頭痛は、医師が診断しうる最も激しい痛みを引き起こしますが、その後、長い沈静期間に入ります。 この種の頭痛の原因は明らかにされていませんが、多くは適切な治療で抑えることができます。

治療

【大きい青い三角形弾丸】 冷やした布地またはアイスパックを頭痛がする側に当てます。

【大きい青い三角形弾丸】 バイオフィードバック訓練を行う、

【大きい青い三角形弾丸】 ストレス解消に努める。

【大きい青い三角形弾丸】 規則的な運動を行う。 頭痛が起きる前に行うと、片頭痛の発生頻度や重症度を軽減することができます。

【大きい青い三角形弾丸】 頭痛のきっかけになりそうな特定の食べ物を避ける; 例えば、チーズ、チョコレート、ナッツ、ヨーグルト、ならびにアオイマメのようなものです。

【大きい青い三角形弾丸】 適切な薬物治療を検討してください:

- 頭痛開始後の適切な薬物治療: アスピリン(aspirins)、ミドリン(Midrin)、フィオリナル(Fiorinal)またはフィオリセ(Fioricet)、エルゴタミン(ergotamine)、スマトリプタン(sumatriptan)、ジハイドロエルゴタミン(dihydroergotamine-DHE)などのようなアスピリンとカフェインの混合薬剤。
- 予防処置: プロプラノール(propranolol)、ナドロール(nadolol)、およびアテノロール(atenolol)等のベータブロッカー(坑鬱薬)は、高血圧症や心臓病治療に使われるカルシウムチャネルブロッカーや坑痙攣薬剤と同様に一部の患者に有効だということが分かっています。

職場環境整備プロセスにおいて考慮すべき問題

クライアントに関する事柄

1. 患者の担当職務は何か?

2. 問題のある職務は何か?

3. 職務上の問題点は何ですか?
長期欠勤?
締め切りを守れないこと?
職務への集中の困難?

4. どうしたら上記の問題を修正することができますか? (環境整備について検討するのはこの段階です)

職場に関する一般的問題

1. 職場の物理的な配置はどうなっているか?

2. 特に利用する機器は何か?

3. 利用している照明の種類は何か、騒音のレベルはどの程度か?

4. 職場周辺に視覚的にもしくは聴覚的に注意を散漫にするようなものがないか?

5. クライアントが職務を遂行できるようにするためには、職場の物理的な配置をどのように変更すればよいか?

6. クライアントにとってより遂行しやすい職務を担当できるよう、職務を再構成することは可能か?

7. 職務遂行の助けとなる補助機器などにはどのようなものがあるか?

頭痛のある従業員のための職場における具体的な環境整備のアイデア

以下の記述は、片頭痛患者のためのある環境整備についての考え方にすぎません。 ここに載せた環境整備以外に別の見解があるかもしれません。 先に述べたように、環境整備による解決法は原則的にケースバイケースで検討されるべきです。 ある人は、職場の成功において全く環境整備を必要としないか、あるいは1つ以上の環境整備が必要になるかもしれません。 ADAが述べているように、環境整備が事業主に過度の負担をもたらす場合、それは合理的だとは見なされないでしょう。

【大きい青い三角形弾丸】 視覚・聴覚を妨害するものを減らす

【大きい青い三角形弾丸】 間仕切りを設置して妨害刺激をブロックする

【大きい青い三角形弾丸】 従業員の作業区域をより静かな区域に移す

【大きい青い三角形弾丸】 環境音楽機器またはホワイトノイズ機器を使って周囲から出る雑音をなくす

【大きい青い三角形弾丸】 パソコン画面にグレア防止スクリーンを付ける

【大きい青い三角形弾丸】 蛍光灯を全スペクトラム照明に取り替える

【大きい青い三角形弾丸】 出勤規定を変更する。その他、従業員が日々の変化に適合できるように融通のきくフレックスタイムを使用する。

【大きい青い三角形弾丸】 従業員の勤務に対するペナルティー評価に関係なく病欠/休暇を与える

【大きい青い三角形弾丸】 仕事がうまくいく選択肢であれば、在宅勤務を認める

【大きい青い三角形弾丸】就労環境に適切な換気装置を設置し、妥当であれば空気浄化装置を使用する

片頭痛のある従業員のための職場環境整備に対するアイデアの事例
(Job Accommodation Network(JAN)に寄せられた実際の事例から)

電力会社に勤める労働者が、仕事中に掛けていた保護メガネの重さで部分的な片頭痛を患いました。 従業員のヘルメットには日除け板が付け加えられ、保護メガネと同様の防備が施されました。

大企業に勤める受付係は、片頭痛のお陰で1ヶ月につき平均1日欠勤しています。 環境整備としてフレックスタイムが設けられました。

片頭痛に悩む包装オペレータがシフト勤務に困難を感じていました。 その従業員は一時的ですが空席になっている昼間の職種に転任されました。 その後、彼女はFMLA(家族医療休暇法)を使って仕事を休み、片頭痛を抑え、または予防の助けになる新しい薬物治療を規則正しく行いました。 その従業員は今では元の職種であるシフト勤務で元気に働いています。

片頭痛を患った正看護婦は、長期欠勤で仕事に問題を抱えていました。 事業主は必要なときに(1年に1〜2度)彼女に休暇を与えました。

州の事務所で働いているシステム・アナリストは片頭痛を抱えています。 事務所は、頭上からの蛍光灯照明による小個室形式で配置されていました。 この従業員は光や雑音に敏感でしたので、事業主は従業員に個室を与え、頭上からの照明とは対照的に机上照明を使わせ、雑音を遮断する環境音楽機器を使うことにしました。

片頭痛をもつ製造オペレータは出勤に問題がありました。 事業主は1ヶ月につきおよそ1日休みを取ることを許可しました。

ある女性コンサルタントは、片頭痛が起きたときはいつも働くことができませんでした。 出勤できない期間はFMLA(家族医療休暇法)を利用しました。

トレーナーは片頭痛の間、集中できませんでした。 有給休暇が与えられ、これら時期(1ヶ月に付き1日)は環境整備が施されました。

片頭痛のための一般的な情報源

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