アスペルガー症候群は、社会活動やコミュニケーションに関する障害です。 アスペルガー症候群患者は、社会的な付き合い、非言語コミュニケーション、変化への対応に支障があることがあります。 常識を理解できないという傾向があります。 他にも、運動技能、書くこと、数学、抽象的な推理、概念の形成などに困難がある場合があります。 不安、抑うつ、行動障害などが見られることもあります。http://www.asperger.org
自閉症は、複雑な発達障害です。 症状には、社会的な付き合いができない、言語ないし非言語コミュニケーションの障害、想像力の欠如、興味の対象の異常ないし重度の行動制限などがあります。 非常に重症である場合、極端な自傷行為を繰り返し、攻撃性が増す場合があります。 非常に軽度である場合、学習障害を伴なう人格障害と似た症状になります。 http://www.autism-society.org
小児まひは、脳の損傷によって起こる障害で、運動や姿勢の制御能力に影響を与えます。 小児まひ患者には、筋肉の衰弱(まひ)、随意ないし不随意運動の障害が見られます。 てんかん、知的障害、耳ないし聴覚の障害、言語コミュニケーションの障害などを併発することがあります。 http://www.ucpa.org
発達障害は、肉体、身体、あるいはその両方に障害を引き起こしうる、重度の、慢性的な症状を言います; 20歳に達する前に発症する; 永続的な症状が見られる; 以下に挙げた主要な日常生活のうちひとつ以上の分野に、かなりの機能障害を引き起こすといった定義がされています:
身の回りのことを自分ですること
言語の理解と使用
学習
移動
自己管理
自立した生活をする能力
経済的な自立
http://www.arch.gatech.edu
ダウン症は、21番染色体にある、特殊な遺伝物質(遺伝子)の異常によって起こる、先天的な障害です。 知的障害や認知障害など、なんらかの発達障害を伴ないます。 患者の60%から80%には、聴覚障害が見られます。 40%から45%の患者には、先天性の心臓障害が見られます。 この他に、免疫機能への影響、白血病、アルツハイマー病、てんかん、睡眠時無呼吸症、皮膚障害などの影響がありえます。 http://TheArc.org/faqs/down.html
胎児アルコール症候群は、知的障害、発達障害、中枢神経系の障害、顔面の変形、行動異常などを始めとする、身体的ないし心理学的な出生異常です。 それぞれの症状は比較的軽いことがあります。 http://www.nofas.org
欠陥X症候群は、遺伝性の障害で、ごく軽度の学習障害しか現れずIQも標準的な場合から、重度の知的障害と自閉症を引き起こす場合まで、さまざまな程度のものがあります。 身体的あるいは行動上の障害、発話や言語習得の遅れが見られることもあります。 http://nfxf.org
知的障害は、知能と順応能力の両方に障害が出ることが特徴で、小児期に発生します。 知的障害患者であるかどうかの診断は、以下の3つの基準に基づいて行います: 知能指数(IQ)が基準(70から75)よりも低い; 複数のタイプの順応能力に障害がある; 障害が現れ始めたのが小児期(18歳以下)である(AAMR、1992).知的障害の原因は、主なものが3つ知られており、胎児アルコール症候群、ダウン症、脆弱X症候群がその3つです。 http://thearc.org
プラター・ウィリー症候群は、体が小さい、知的障害、学習障害、性発達の不全、特異な行動障害、筋緊張が低い、無意識のうちに摂食衝動に駆られる(肥満につながる)などの症状が複合した、先天性の障害です。 http://www.pwsausa.org
二分脊椎症は、妊娠初期に起こる先天性の障害です。 脊椎の癒合不全(中の神経などが露出してしまうこと)が特徴です。 全身まひや部分まひ(損傷を受けた部分による)が、最も多く見られる症状です。 腸や膀胱に障害が見られることもあります。 出生時に水頭症が進行し、学習障害や認知障害などを引き起こすこともあります。 http://www.arch.gatech.edu
知的障害/発達障害に関連する他の健康状態や症状には以下のものが含まれます:
広汎性発達障害-他に特定されない場合
意味-語用論的障害
ハイパレクシア
発達性言語障害
表現-受容的言語障害の混合(Mixed expressive-receptive language disorder)
言語障害-他に特定された症状がない場合
聴覚障害
視覚障害
粗大動作障害
精密動作障害
知的障害/発達障害の人のための環境整備案
注意: 知的障害/発達障害を持つ人には、職場でのパフォーマンスに影響を与える認知的能力、運動能力、社会的能力に障害がある場合があります。 知的障害/発達障害を持つ人はこれらの一部あるいは全ての制限を持っている場合があります。 機能障害の度合いは人によって異なるので、環境整備もそれぞれ異なります。
認知能力に障害がある場合
読字:知的障害者は、IQなどの認知能力の水準によっては、職務に必要な文字情報の読み取りができないことがあります。
言葉の代わりに、絵や記号、図表などを使う
文字情報を読んで聞かせる
文字情報をテープに吹き込んで与える
コンピュータによる音声出力を使う
単語ごとに読み取りペンを使う
ラインガイドを使って、文書を一行ずつ読み取る
書字:知的障害患者は、IQなどの認知能力の水準によって、書字、つづり、署名、その他文字によるコミュニケーションができないことがあります。
情報の要求に対応できるように、テンプレートや書式を用意する
自筆書面のかわりに口頭での回答を認める
自筆書面のかわりに印字書面での回答を認める
コンピュータの音声入力を利用する
コンピュータのスペルチェックを利用する
書字補助者に回答を筆記させる
自筆書面での回答書式には、充分なスペースを設ける
記憶:知的障害者は、聴覚情報処理障害や情報の維持に関する認知障害、あるいは先天的な聴覚障害などのため、記憶能力に問題があることがあります。
テープレコーダを使って、口頭での指示を記録する
情報を書面で与える
チェックリストを用意する
音声的な刺激によって記憶の手助けをする(記憶補助のため)
使用頻度の高い装置について、指示をメモや絵にして貼っておく
計算: 知的障害者は、IQなどの認知能力のレベルによっては、「数学的思考」や演算などに機能障害があり、計算、計数、測定、計量などができないことがあります。
計算機の使用を認める
大画面の計算機
音声出力付きの計算機
計数機やチッカーを使用する
あらかじめ設定をした選別機を用意する
音声メジャーを用意する
液面表示器を使う
計量カップに「ここまで」の線を刻む
計画的行動: 知的障害者は、仕事環境の変化に対する情報の保持ないし応用能力に機能障害があり、計画的行動ができない場合があります。
混乱を極力減らす
物品や資料を色分けする
A-B-Cチャートを用意する
1-2-3チャートを用意する
一つの作業を、複数の小さな作業に分割する
作業場所の模様替えを避ける
物品や資料にラベルを貼る
言葉のかわりに、記号や絵を使う
手書きのラベルのかわりに、印刷したラベルを使う
時間管理および作業の実行と完了:知的障害者は自発的に作業を始めるなどの順応能力に問題があることがあります。
口頭で合図を出す(記憶補助のため)
記憶補助のため、文字や記号を使ったメモを用意する
アラーム時計やタイマーを使う
生産性向上のため、選別機を使う
物品を用途に応じて整理する
番号や記号をつけた作業表を使う
孤立した作業場所を避ける
ジョブコーチのためのスペースを設ける
必要に応じて、追加訓練たは再訓練を行う
運動能力の障害
コンピュータを使用する場合:知的障害者は、指先の敏捷さの欠如、けいれんや萎縮、まひ、指・手・腕の先天的障害などの運動障害のため、コンピュータの操作が困難なことがあります。
キーガードの使用
代替入力機器の使用
音声認識
音声出力
トラックボール
ジョイスティック
タッチスクリーン
電話を利用する場合:知的障害者は、指先の敏捷さの欠如、けいれんや萎縮、まひ、指・手・腕の先天的障害などの運動障害のため、電話の操作が困難なことがあります。
大きいボタンのある電話機を使用する
普遍的な記号がついた電話機を使用する(消防、警察、医者)
明瞭なラベル付で、音声ダイヤラーが付属した電話機を使用する
受話器ホルダーを使用する
ヘッドセットを使用する
職場での移動:知的障害者は、筋力の弱さや筋肉疲労、長時間の起立、長距離歩行、手を伸ばして物をつかむことや重い物の運搬ができないなどの粗大動作障害のため、作業場所への移動が困難なことがあります。
職場に坑疲労マットを敷く
電動スクーターの使用
坑疲労椅子の使用
手の届く範囲に物を置く
頻繁な休憩を認める
物をつかむ: 知的障害者/発達障害者は、つまむ動作ができない、手を固定できない、筋肉が弱っている、関節痛があるといった精密動作障害のために、物をつかんだり手で持つことが困難な場合があります。
人間工学に即した用具、改良取っ手、その他の適応器具を使用する
整形医学に即した書字補助用具を使用する
握り補助具を使用する
選別機や固定器具を使用する
社会的能力に障害がある場合
情緒的な支援:知的障害者は、他の人よりも多くの、あるいは他の人とは違った情緒的支援が必要なことがあります。
肯定的なフィードバック
進展状況の表を使用する
具体的な報労をする
同僚から助言をさせる
EAP(労働者支援プログラム)を使用する
ジョブコーチを配置する
同僚との付き合い: 知的障害者は、他の人とのコミュニケーションや適切な社交術を用いるといった人付き合いの能力に障害がある場合があります。
労働者全員に対し、障害への認識など、意識向上を図る
職場での適切な行動について教育するために、ロールプレイシナリオを利用する
職場での適切な行動について教育するために、研修ビデオを利用する
適切な社交術の見本を示す
仕事中、どこで食事をするべきか
仕事中、いつ食事をするべきか
同僚の体に触れてもよいのはどういう場面か
コーヒー代はどうやって払うべきか
興奮した場合に、どうすればよいか
誰に援助を頼むべきか
どんなときに、職場を離れてもよいか
上司との協調: 知的障害者は、周囲の人とのコミュニケーションや適切な社交術を用いるといった協調能力に問題があることがあります。
一対一でのコミュニケーションを行う
問題が生じると同時に処理をする
障害について知識を持ったジョブコーチをつける
上司に、人との付き合い方についての研修を行う
きちんとした手続きについての話し合いを行う
実行中の環境整備が有効か、調査をする
知的障害または発達障害に就いてのさらに詳しい環境整備に就いてはJAN(1-800-526-7234(V/TTY)までお問い合わせください。
環境整備の例
ある知的障害と脳性マヒ者の工員はプラスチックのビンを握って粘着ラベルをうまく貼ることができなかった。 JANでは、ボトルを持ってラベルを貼れるように、木製の固定具を用意することを提案した。 この環境整備のためのおおよその費用は50ドル以下であった。
ある知的障害者のクッキー作り係は、数を数えることができなかったが、12個で1セットのクッキーを焼かなくてはならなかった。 クッキーのシートに置いておき、焼く前に取り除くことができる、12個の穴の開いたプラスチックの型を使うことにした。 この型を使って、クッキーの種をそれぞれの穴に埋めていけば、確実に12個のクッキーを焼くことができる。 この環境整備のための費用は20ドル以下であった。
ある自閉症者の食料品店店員は、制服をきちんと着るのを忘れがちだった。 JANでは、制服を全て身につけた人の写真をとっておくことを提案しました。 その写真を渡して、仕事前に、その写真を参考にするようにした。 おおよその環境整備のための費用は5ドルであった。
ある脆弱X症候群者のビデオ店店員は、アルファベットが読めず、映画のタイトルを読むことができなかった。 彼女は返却されたビデオを棚に戻して保存することができなかった。 ビデオのケースに棚の陳列場所応じたマークを貼り付けることを提案した。 こうすれば、文字がわからなくても絵にあわせてビデオを棚に戻すことができる。 おおよその環境整備のための費用は75ドル以下であった。
あるアスペルガー症候群者のクリーニング作業員は、一定の品質のクリーニングができなかった。 クリーニングでやらなければならない技術を教える作業指導者を置くことを提案した。 また、作業の目安となる時間がわかるように、時間を知らせることができる、スケジュールアラームを使うことにした。 おおよその環境整備のための費用は35ドル以下であった。
ある知的障害者の製造ライン作業者は、製造プラントでカードボードを分離するために、かさばる安全手袋とつけ心地のよくない安全メガネをつけていた。 そのため、彼女の生産性は平均よりも落ちてしまった。 手が動かしにくくならないように、サイズにあった安全手袋の購入を提案した。 また、メガネを持ち上げる必要がないように、サイズに合ったメガネの購入することにした。 おおよその環境整備のための費用は100ドル以下であった。
ある知的障害者の食料品店の事務員は、時間がわからなかった。 そのため、彼はいつ休憩を取ったらいいのかわからなかったり、休憩から戻るのが遅れてしまうことがあった。 音が出たり、バイブレーションで知らせたりするスケジュールアラームを使うよう提案した。 上司は従業員がいつ休憩に入り、いつ戻るべきかを知らせるために、アラームを使うことにした。 おおよその環境整備のための費用は35ドル以下であった。
ある自閉症者の調理場作業員は、日常の作業や課題が変わると、感情のコントロールができなかった。 一週間にしなくてはならない全ての課題がわかるように、絵を使ったチャートを用意することにした。 1日あるいは1週間の作業の中で、次の課題や手順の変化を知らせるようしたので、不安になったり、憂鬱になったりすることがなくなった。 おおよその環境整備のための費用は0ドルであった。
ある知的障害とプラダー・ウィリー症候群者の清掃員は、夜間の病院を掃除していた。 なにか食べ物を食べたいという思いにかられると作業を続けられなくなり、時には気分が悪くなってしまうことがあった。 食べ物をすべて鍵のついた戸棚などに保管することを提案した。 また彼が作業を続けることを助け、適切な行動の模範となる作業指導者の配備も提案した。 おおよその環境整備のための費用は250ドル以下であった。
あるダウン症者の事務補助員は、ビルの中で別の階に配達物を届ける時に、迷ってしまったり、どこにいるのかわからなくなったりすることがあった。 それぞれの部署や、事務所や、エレベータの場所がわかるような、色分けした建物の地図を用意することを提案した。 またビルの中で迷ってしまったとき上司と連絡をとるために携帯電話を使用することにした。 おおよその環境整備のための費用は75ドル以下であった。
ある胎児期アルコール症候群の郵便局員は、アルファベット順に、ファイルをアルファベット順に並べることや、手書き文字のラベルを読むことに困難があった。 JANは印刷したファイル用のラベルを作ることを提案した。 また、教育資料としてファイル置き場にABC表を貼ることにした。 おおよその環境整備のための費用は10ドルであった。
ある脳性マヒ者の受付担当者は、認知障害のために電話の転送の方法が覚えられなかった。 JANでは、一つずつするべきことを説明する、色分けしためくりチャートをつくることを提案した。 電話の側において必要なときに見られるようになった。 おおよその環境整備のための費用は30ドル以下であった。
あるアスペルガー症候群者のソーシャルワーカーは、グループホームで働いていた。 極端な散らかし屋で、用意をしないで仕事に来ることもよくあった。 書類カバンの内側に必要な道具(鍵、携帯電話、電卓、スケジュール帳、名簿)のリストを作って貼っておくことを提案した。 仕事に出る前にこのリストを見て、仕事に必要な道具を持っているかどうか確認できるようにした。 おおよその環境整備のための費用は5ドルであった。
ある知的障害者のカフェテリア従業員は、シフトを終えてからタイムカードを押すのを忘れてしまっていた。 次のシフトの時に使う鍵を戻し忘れることもあった。 従業員の出口に以下のような覚え書きを張っておくことにした。「タイムカードを押しましたか?」 「鍵は返しましたか?」 おおよその環境整備のための費用は0ドルであった。
ある二分脊椎症者の郵便局員は職場での会話で気が散ってしまうために仕事に集中することができなかった。 ヘッドホンで音楽を聴くか、ラジオか環境音楽機器の設置を許可することを提案した。 おおよその環境整備のための費用は65ドルであった。
問い合わせ先リスト
(完全なリストではありません)