障害者のための環境整備は、しばしば、障害をもつ従業員と会社側代表との協力関係を必要とする。 どの管理問題でも同じだが、環境整備の提供を成功させるには効果的なコミュニケーションが何より肝要である。 JAN(JAN)では、環境整備のプロセスは、調査や共通認識を通じて解決される他の多くの職場問題と同様であると考える。
JANは調査とコミュニケーションの過程を促進することを目的に、個別支援を提供することのできるコンサルタントの職員を擁している。 会社と、リハビリテーションの専門家、障害者がJANのコンサルタントと心配事や情報ニーズを話し合い、環境整備問題への解決策について直接提言を受ける。
JANは1992年10月以来環境整備のコストに関して調査を実施してきた。 調査は1999年7月現在、環境整備のコスト(ドル)が一般的にそれほど高くないことを継続して示している。 JANは環境整備のコストと利益について意見を得るために、環境整備の情報を求めてきた雇用主を調査している。 結果は環境整備の71%が500ドルかかり、環境整備の20%以下が費用ゼロであることを示した。
環境整備や障害をもった人の採用について学習している人に、環境整備の概念を紹介するために、ここに例をいくつか提供することにする。 サンプルの環境整備は必ずしも「唯一」または「理想的な」解決策ではない。 環境整備は1つずつ個人ベースで作成されるため、雇用主が同様の解決策に直面した場合、その他にもいくつか可能性がありうる。
われわれは創造的なプロセスをスタートさせることを念じて、「状況」と「解決策」を提示する。 これは障害のある人を雇用することに不慣れな人に、実際に達成された環境整備の構想を示すために使うことができる。 サンプルは共同するプロセスを開始することを容易にしてくれる。
状況:ある人は目に疾患をもっていた。 コンピュータ・スクリーンのぎらつきが疲労を引き起こした。
解決策:ぎらつき対策スクリーンが購入された(39ドル)。
状況: 学習障害の人が郵便物取扱室で働いていたが、どの通りがどの郵便番号に属するか覚えるのに困難を抱えていた。
解決策:ロロデックス・カードシステムによって通り名がアルファベット順にファイルされた。 これによって彼の収入が増加した(150ドル)。
状況:工場労働者は補聴器の使用を必要とするような聴覚障害があるために、電話を使うことが困難であった。 電話を使わない賃金の安い仕事に就くよう提案された。
解決策:補聴器と連動して作動する電話増幅器が購入された。 彼は同じ仕事に留まることができた(48ドル)。
状況:ある大型日用品店では、ダウン症と軽度の聴覚障害を持つ患者を、陳列と在庫管理担当として雇用しようとしていた。 離れた場所から店内呼び出しを行うスピーカの音が聞き取れないのではないかということが問題になった。
解決策: 手首もしくはベルトに取り付けて振動で呼び出しを知らせる、個人用の呼び出し装置を購入した。 呼び出しがあると、すぐに事務所に行って指示を受ける。 これによって、指示がきちんと行き届いていることを確認できるようになった。 費用: $350.
状況:ある事務員の手に動きが限定される症状が現れ、机の端にあるファイルに手が届かなくなった。
解決策: 回転式ファイルホルダーが用意されたため、彼女はファイルに手が届くようになり現在の仕事を維持することができた。(85ドル)。
状況:ある個人が手の機能を失い、もはやカメラを使うことができなくなった。 会社は三脚を用意したが、それはあまりに扱い難かった。
解決策:旗の桁上げに使われるようなウエスト・ポッドによって、彼はカメラを操作することが可能になり、仕事を続けられることになった(50ドル)。
状況: お針子が手首に痛みを生じ、通常のはさみを使うことができなくなった。
解決策:会社はバネ式の人間工学的に設計されたはさみを購入した(18ドル)。
状況: 脳性小児麻痺を患った保険勧誘員は、電話で話している最中にメモをとることに困難を抱えていた。
解決策: 彼女の雇用主はマイク付きのヘッドホンを購入した(49.95ドル)。
状況:ある人がコックの仕事に応募した。片手がないために缶詰の蓋を開けることはできなかったが、それを除いて要求されたことはすべてこなすことができた。
解決策:雇用主はJANに電話したところ、片手用の缶切りリストを紹介され、ひとつ購入した(35ドル)。
状況:ある医療関係者はろう患者で、ある研究で実験に必要なタイマーのブザーの音が聞こえなかった。
解決策: 表示灯が設置された(26.95ドル)。
状況: 警察官として働く失読症の人が、毎日終了時に書類の記入に何時間も費やしていた。
解決策: 彼はテープレコーダーを提供された。 秘書は一般的に手書きのものをタイプするが、彼の場合はディクテーションから報告書をタイプすることになった。 この環境整備で彼は仕事を続けることができた(69ドル)。
状況:車いすを使っている人が、机が低すぎて膝を下に入れることができないために、机を使うことができなかった。
解決策:木製ブロック(各自が自宅から持ち寄った廃材)で机の高さを上げたことにより、車いすが机の下に入る十分なスペースが確保できた(0ドル)。
状況: 戸外で働いていた人に、両手が寒さに耐えられなくなる病状が現れた。
解決策: その人はハンターが使うようなポケット式のハンドウォーマーが付いた手袋を利用することにした(50ドル)。
状況:異常にソフトな声の持ち主が、大勢の人の前で話をしなければならなくなった。
解決策:手持ち式の拡声器が功を奏した(150ドル)。
状況:雇用主は、目は不自由だが点字が読める新入社員のために、エレベーターを使えるようにしたいと考えている。
解決策: エレベーターを示す糊付きの点字シールでエレベーターが利用可能になった。 費用は1つに付き6ドルだった。
状況: 会社はある事務員を雇いたいと考えたが、彼女は車いすから縦型ファイルキャビネットに届くことができない。
解決策:会社はファイルを横型ファイルに移し、彼女を採用した(450ドル)。
状況:ある人の健康状態は、1日に2時間の休憩を必要とした。
解決策: 会社は彼女のスケジュールを変更して、労働時間は変わらないものの、これまでより長い休憩時間が取れるようにした(0ドル)。
状況: 国の事務所で働くシステムアナリストが片頭痛を訴えた。 事務所は間仕切りで仕切った形式で、天井に満開の照明が付いている。
解決策: その人を個人用のオフィスに移し、天井付けの照明ではなくデスク置きの照明を使うという環境整備が図られた。 その事務員は騒音にも敏感であった。 オフィスは騒々しい倉庫街の隣にあったため、周期的に問題となる雑音をいくらかでも遮断するために、環境音マシーンが使われた。 費用は約410ドル。
状況:電子部品を製造する工場で車いすを使用する労働者に「アース」する必要が生じた
解決策:「足用アース・ストラップ(grounding foot strap)」がその人の足に取り付けられ、5-6インチのチェーンがストラップに付けられた。 チェーンは床に接地して、アースの役割を果たす。 会社は、施設に椅子を使う訪問者があった場合に備えて、予備の装置を作った。 費用はチェーンにかかった僅かな額であった。
状況:ある保険の支払額査定人は、一部の紙製品に使われているホルムアルデヒドとゴムにアレルギーがある。
解決策: 講じられた環境整備には、紙の取り扱いに手袋を使用すること、リサイクル紙や塩素のない紙、大豆を主成分とするインクに変更することが含まれた。 これらの環境整備によって、労働者は要求された書類仕事を達成することが可能になった。 紙/インクの費用は年間約130ドル増加。 手袋は10ドル。
状況:小児麻痺だった人がネイルアーチストになる訓練を受けている。 その人は片手しか使えない。 仕事上、片方の手で様々な作業をすると同時に、もう一方の手で客の手を動かないように抑えることが必要となる。 その人は実際にマニキュアの作業はできるが、手を支えることができない。
解決策:プロのネイルアーチストに必要なアクセスを提供しながら、客の手を固定するために、手の治療で運動用に用いられる用具が使われた。 費用は約100ドル。
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