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線維筋 (肉) 痛患者への環境整備 作 成:Kendra M. Duckworth, MS and Beth Loy, Ph.D. はじめに
はじめに
線維筋痛症 (FMS) は全身性の筋肉痛と疲労の一種で、700万から1000万人のアメリカ人がこの 病気にかかっています。 FMSを抱えながら働く患者のたいへんな数に加えて、アメリカ障害者法も、FMSを抱える人々への職場環境整備について知ることがいかに重要かを示してい ます。 FMS患者への環境整備を考えるとき、そのプロセスは個別対応を基本に管理しなければなりません。 FMSの症状は多様なので、効果的な環境整備を選択するには、その人固有の能力と障害の程度を考慮し、問題のある業務を特定すべきです。 そのため、患者本人が環境整備プロセスに参加することが望まれます。 すべてのFMS患者が職務遂行に環境整備を必要とするわけではありませんし、必要な場合も、ごく簡単 なものが大半です。 環境整備を必要とする人たちについては、以下に一般的な機能障害、症状、考慮すべき問題点、考えられる環境整備法についての基本情報を提供します。 これは参考例に過ぎません; この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。 この文書には、さらに詳しい情報が必要な場合のための問い合わせ先リストがあります。 線維筋 (肉) 痛症 線維筋痛症に関する以下の情報は、いくつかの出典から編集したもので、出典の多くは問い合わせ先リス トに列挙してあります。 この情報は、医学的な助言を意図したものではありません。 医学的助言が必要な場合は適切な医療専門家に相談してください。 FMSとは? FMSは、全身的な痛みと重度の疲労を引き起こす、複合的で慢性的な症状です。 FMSは症候群のひとつで、筋肉や筋肉と骨の継ぎ目に影響を与えるいろいろな症状が、組み合わさって一度におこります。 関節炎の一種ではなく、関節の変形が原因でもありません。 組織軟化や筋肉リウマチの一種です。 FMSの症状は? 筋肉の深部痛が、最も多く見られる症状です。首や肩から始まって、時とともに他の部分に痛みが広がっ ていくのが普通です。痛み方は、時刻、天候、睡眠パターン、ストレスのたまり方によって異なります。 膝、太もも、尻、ひじ、首などへの負荷に極端に弱くなるという症状があります。 FMS患者のおよそ90%に、極度の疲労が見られます。 また、睡眠障害; 抑うつや慢性の不安を始めとする情緒不安定や物思い; 頭痛; 記憶障害; 過敏性腸管症候群; 化学物質複合刺激反応; 下肢静止不能症候群; 敏感肌および気温過敏症; 顎関節症; 蓄積性外傷疾患の症状に似た痒痛などの症状も多く見られます。 強い月経痛 (月経困難症) 、腰痛、起床時硬直、筋肉のけいれん、過敏性膀胱、目や口唇の乾き、視覚の不安定、めまい、協調運動障害などが起こることもあり ます。 American College of Rheumatologyが定めた基準によると、全身を4つに区切って、その4つの領域すべてに、少なくとも3カ月以上痛みがあり、以下の18カ所の中 に、11以上の圧痛点があることが、FMSの診断基準です.1990年にAmerican College of Rheumatologyが定めた圧痛点は以下のとおり: 1 & 2: 後頭下筋付着部 3 & 4: C5〜7横突起間全面、 5 & 6: 僧帽筋部、 7 & 8: 棘上筋部、 9 & 10: 第2肋間肋軟骨部、 11 & 12: 上腕骨外側上顆部、 13 & 14: 上外側臀筋部、 15 & 16: 大転子部 17 & 18: 内側膝関節部。 FMSの原因は? FMSにはくつかの誘因が考えられます: 疾患、肉体的ないし心理的外傷、ホルモン異常などです。 男性に比べ、女性の罹患率が圧倒的に高く、男女比はおよそ1:20です。 FMSであると診断される人のほとんどは20代から30代ですが、FMSはすべての年齢層に見られる病気です。 最近の研究で、FMSは世界中で起こっている病気で、人種による疾病素因はないということがわかってきています。 FMSの治療法は? FMSを診断するための検体検査がないため、FMSと紛らわしい症状の病気との区別をまず初めにしな ければなりません (たとえば、甲状腺疾患、狼瘡、ライム病、リウマチ様関節炎、その他) 。 医師は、症状緩和による治療を行います。深い (専門用語でいうとstage 4の) 睡眠は、組織の再生、抗体の生産、ホルモンや免疫系の調整など、多くの身体機能に欠かせないものなので、FMS患者に多く見られる睡眠障害は、 FMSの症状を引き起こす主な原因となっていると考えられています。 重度の睡眠障害のため、FMS患者は通常、睡眠状態の改善と痛みの軽減のための薬で治療します。 さらに、上記以外の薬、運動、理学療法、リラクゼーション、ストレス対処法なども症状緩和に用いられます。 職場環境整備において考慮す べき問題 どのような症状や機能制限が見られるのか? 症状や機能制限は患者ないし患者の職務機能にどのような影響を与えているのか? 症状や機能制限のために特に問題が出る職務は何か? それらの問題を解消するために、どのような環境整備案があり得るのか? 環境整備の候補案を決定する際に、Job Accommodation Networkなどのリソースはすべて活用されているか? 環境整備案について、患者本人と相談したか? 環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会 を与える機能は働いているか? 上司や他の労働者には、線維筋痛症、その他の機能障害、アメリカ障害者法などについて、講習が必要か? FMS患者への環境整備の検 討 (注意: FMS患者において以下の機能障害や症状の一部、場合によっては全部が進行することがあります。 機能障害は患者によってさまざまです。 FMS患者すべてが職務遂行に環境整備を必要とするわけではなく、必要な場合も、ごく簡単なものが大半であることに注意してください。 以下は考えられる可能性のほんの一例です。 この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。) 集中力の問題: 可能であれば、職務上の指示を書面で与える 仕事に優先順位をつけ、なるべく秩序だてる 柔軟な勤務時間や自分のペースでの職務負担を認める 気分転換のため、定期的な休憩を認める 手帳や電子手帳などの記憶補助機器を用意する 気を散らす要因を最小限におさえる ストレスを軽減する 抑うつと不安: 気を散らす要因を減らす To Doリストを用意し、指示を書面で与える 重要な締め切りや会議については、何度も確認する カウンセリングのための休暇を認める 責任分担や業績評価について、何が求められるのかを明確にする 同僚の意識向上のための講習を行う ストレス対処法の実践のために休憩を取ることを認める 事前に問題解決の計画を立てておく 勤務中に、医師などに支援を求める電話をすることを認める カウンセリングや被雇用者支援計画に関する情報を提供する 疲労および衰弱: 肉体の酷使やストレスを避ける 定期的に休憩時間を設けて職場から離れる 柔軟な労働時間と勤務外時間の利用を認める 自宅勤務を認める 人間工学に基づいた職場設計をする 精密動作障害: 人間工学に基づいた職場設計をする コンピュータの操作方法を変更する 電話機の操作方法の変更 ひじ掛けの導入 書字補助具、握り補助具の導入 ページめくり機や書見台を用意する 筆記助手を手配する 粗大動作障害: 職場での移動をしやすくする 職場近くに駐車場を確保する 出入りをしやすくする 自動ドアを取り付ける 他の作業場所、オフィス機器、休憩室などの近くに座席を移動する 偏頭痛: 業務一覧表を用意する 蛍光灯を避ける コンピュータ画面にちらつき防止フィルタを使用する 防音板、環境音楽機器、ヘッドホンなどを利用して雑音を軽減する 視聴覚的な気を散らす要因を減らすために、座席を変更する 「無香の」職場環境方針を実践する 空気清浄機を用意する 柔軟なスケジュールを認める 定期的な休憩時間を認める 自宅勤務を認める 呼吸障害: 調節機能付きの空調を用意する 職場からほこり、タバコの煙、香水、においなどを取り除く 「無香の」職場環境方針と「禁煙」職場環境方針を実践する スケジュールの一時的な偏りを避ける 扇風機ないしエアコンの利用、もしくはヒーターの利用 空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする オフィス機器が発するガスを取り除くために、適応支援機器を導入する 人工呼吸マスクの着用を認める 自宅勤務を認める 皮膚の障害: 病原菌や化学物質への接触を避ける 保護衣服を用意する 睡眠障害: 柔軟な勤務時間と頻繁な休憩を認める 自宅勤務を認める 気温過敏症: 温度調節を行い、換気装置を調節する 服装規定を変更する 扇風機やエアコン、ないしヒーターを利用するとともに、空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする 極端に暑いもしくは寒い天候時には、柔軟なスケジュールや自宅勤務を認める 個別気温調節装置を導入する FMS患者への環境整備の一 例 あるFMS患者の管理職付きの秘書は、首の痛みと上半身の疲労を訴えてい た。 タイピング、電話応対、メモとりなどの担当であった。 首の痛みを軽減し受話器の上げ下げによる繰り返し運動を避けるための電話機用ヘッドホン、メモとりのためのポータプル筆記台と書字補助具、書類保管のため のコピーホルダ、タイピングのための肘置きなどで環境整備をした。 あるFMS患者の看護婦は、地方の健康クリニックに勤務しており、勤務時 に重度の疲労と痛みがあった。 普段は夕勤シフトだったが、主治医がスケジュールの変更を勧めたので、睡眠パターンを調整することができた。 夕勤から日勤への変更の他、12時間勤務のシフトが連続しないような制限、パートタイムで働いていた分の労働時間の大幅な削減、頻繁な休憩などによって環 境整備をした。 ある大きな高校のガイダンスカウンセラーは、FMSのため、過敏性膀胱の 重い発作、抑うつ、疲労の症状があった。校内の重いドアを開けることが困難であり、しかも頻繁にトイレに行く必要があった。 学校は、この患者が持ち場を離れている時間が多すぎて、生徒がカウンセリングを利用しづらいという苦情を訴えた。 学校はこの患者の仕事場を設備の整った休憩室の近くに移動し、入り口のドアに自動開閉装置を取り付け、セラピーの予約に応じた柔軟な勤務時間を認めた。 権利活動団体の職員のある患者は、手根管症候群とFMSにかかっていた。 キータイプ、筆記、プレゼンテーション資料の持ち運びが困難であった。 活動団体は、ワープロに音声認識ソフトウェアをインストールし、書字補助具を用意し、物品の持ち運び用に軽量の携帯台車を用意した。 機器 機能障害を持つ人々への環境整備に利用可能な機器は、数多くあります。 JANの検索機能付きオンライン環境整備 (SOAR) <http://www.jan.wvu.edu/soar> で、さまざまな環境整備の可能性を探索できます。多くの機器取り扱い業者リストにアクセスできます; しかしながら、JANではウェブサイトで利用できるもののほかにもたくさんのリストを用意しています。 特別な環境整備条件がある場合、特別な機器を探している場合、取り扱い業者の情報が必要な場合、医師への紹介状を請求する場合は、JANに直接問い合わせ てください。 問い合わせ先リスト (完全なリストではありません)
線維筋痛症 (FMS) は全身性の筋肉痛と疲労の一種で、700万から1000万人のアメリカ人がこの 病気にかかっています。 FMSを抱えながら働く患者のたいへんな数に加えて、アメリカ障害者法も、FMSを抱える人々への職場環境整備について知ることがいかに重要かを示してい ます。
FMS患者への環境整備を考えるとき、そのプロセスは個別対応を基本に管理しなければなりません。 FMSの症状は多様なので、効果的な環境整備を選択するには、その人固有の能力と障害の程度を考慮し、問題のある業務を特定すべきです。 そのため、患者本人が環境整備プロセスに参加することが望まれます。
すべてのFMS患者が職務遂行に環境整備を必要とするわけではありませんし、必要な場合も、ごく簡単 なものが大半です。 環境整備を必要とする人たちについては、以下に一般的な機能障害、症状、考慮すべき問題点、考えられる環境整備法についての基本情報を提供します。 これは参考例に過ぎません; この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。
この文書には、さらに詳しい情報が必要な場合のための問い合わせ先リストがあります。
線維筋 (肉) 痛症
線維筋痛症に関する以下の情報は、いくつかの出典から編集したもので、出典の多くは問い合わせ先リス トに列挙してあります。 この情報は、医学的な助言を意図したものではありません。 医学的助言が必要な場合は適切な医療専門家に相談してください。
FMSとは?
FMSは、全身的な痛みと重度の疲労を引き起こす、複合的で慢性的な症状です。 FMSは症候群のひとつで、筋肉や筋肉と骨の継ぎ目に影響を与えるいろいろな症状が、組み合わさって一度におこります。 関節炎の一種ではなく、関節の変形が原因でもありません。 組織軟化や筋肉リウマチの一種です。 FMSの症状は?
筋肉の深部痛が、最も多く見られる症状です。首や肩から始まって、時とともに他の部分に痛みが広がっ ていくのが普通です。痛み方は、時刻、天候、睡眠パターン、ストレスのたまり方によって異なります。 膝、太もも、尻、ひじ、首などへの負荷に極端に弱くなるという症状があります。 FMS患者のおよそ90%に、極度の疲労が見られます。 また、睡眠障害; 抑うつや慢性の不安を始めとする情緒不安定や物思い; 頭痛; 記憶障害; 過敏性腸管症候群; 化学物質複合刺激反応; 下肢静止不能症候群; 敏感肌および気温過敏症; 顎関節症; 蓄積性外傷疾患の症状に似た痒痛などの症状も多く見られます。 強い月経痛 (月経困難症) 、腰痛、起床時硬直、筋肉のけいれん、過敏性膀胱、目や口唇の乾き、視覚の不安定、めまい、協調運動障害などが起こることもあり ます。 American College of Rheumatologyが定めた基準によると、全身を4つに区切って、その4つの領域すべてに、少なくとも3カ月以上痛みがあり、以下の18カ所の中 に、11以上の圧痛点があることが、FMSの診断基準です.1990年にAmerican College of Rheumatologyが定めた圧痛点は以下のとおり:
1 & 2: 後頭下筋付着部 3 & 4: C5〜7横突起間全面、 5 & 6: 僧帽筋部、 7 & 8: 棘上筋部、 9 & 10: 第2肋間肋軟骨部、 11 & 12: 上腕骨外側上顆部、 13 & 14: 上外側臀筋部、 15 & 16: 大転子部 17 & 18: 内側膝関節部。
FMSの原因は?
FMSにはくつかの誘因が考えられます: 疾患、肉体的ないし心理的外傷、ホルモン異常などです。 男性に比べ、女性の罹患率が圧倒的に高く、男女比はおよそ1:20です。 FMSであると診断される人のほとんどは20代から30代ですが、FMSはすべての年齢層に見られる病気です。 最近の研究で、FMSは世界中で起こっている病気で、人種による疾病素因はないということがわかってきています。
FMSの治療法は?
FMSを診断するための検体検査がないため、FMSと紛らわしい症状の病気との区別をまず初めにしな ければなりません (たとえば、甲状腺疾患、狼瘡、ライム病、リウマチ様関節炎、その他) 。 医師は、症状緩和による治療を行います。深い (専門用語でいうとstage 4の) 睡眠は、組織の再生、抗体の生産、ホルモンや免疫系の調整など、多くの身体機能に欠かせないものなので、FMS患者に多く見られる睡眠障害は、 FMSの症状を引き起こす主な原因となっていると考えられています。 重度の睡眠障害のため、FMS患者は通常、睡眠状態の改善と痛みの軽減のための薬で治療します。 さらに、上記以外の薬、運動、理学療法、リラクゼーション、ストレス対処法なども症状緩和に用いられます。
職場環境整備において考慮す べき問題
どのような症状や機能制限が見られるのか? 症状や機能制限は患者ないし患者の職務機能にどのような影響を与えているのか? 症状や機能制限のために特に問題が出る職務は何か? それらの問題を解消するために、どのような環境整備案があり得るのか? 環境整備の候補案を決定する際に、Job Accommodation Networkなどのリソースはすべて活用されているか? 環境整備案について、患者本人と相談したか? 環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会 を与える機能は働いているか? 上司や他の労働者には、線維筋痛症、その他の機能障害、アメリカ障害者法などについて、講習が必要か?
どのような症状や機能制限が見られるのか?
症状や機能制限は患者ないし患者の職務機能にどのような影響を与えているのか?
症状や機能制限のために特に問題が出る職務は何か?
それらの問題を解消するために、どのような環境整備案があり得るのか? 環境整備の候補案を決定する際に、Job Accommodation Networkなどのリソースはすべて活用されているか?
環境整備案について、患者本人と相談したか?
環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会 を与える機能は働いているか?
上司や他の労働者には、線維筋痛症、その他の機能障害、アメリカ障害者法などについて、講習が必要か?
FMS患者への環境整備の検 討
(注意: FMS患者において以下の機能障害や症状の一部、場合によっては全部が進行することがあります。 機能障害は患者によってさまざまです。 FMS患者すべてが職務遂行に環境整備を必要とするわけではなく、必要な場合も、ごく簡単なものが大半であることに注意してください。 以下は考えられる可能性のほんの一例です。 この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。)
集中力の問題:
可能であれば、職務上の指示を書面で与える 仕事に優先順位をつけ、なるべく秩序だてる 柔軟な勤務時間や自分のペースでの職務負担を認める 気分転換のため、定期的な休憩を認める 手帳や電子手帳などの記憶補助機器を用意する 気を散らす要因を最小限におさえる ストレスを軽減する
抑うつと不安:
気を散らす要因を減らす To Doリストを用意し、指示を書面で与える 重要な締め切りや会議については、何度も確認する カウンセリングのための休暇を認める 責任分担や業績評価について、何が求められるのかを明確にする 同僚の意識向上のための講習を行う ストレス対処法の実践のために休憩を取ることを認める 事前に問題解決の計画を立てておく 勤務中に、医師などに支援を求める電話をすることを認める カウンセリングや被雇用者支援計画に関する情報を提供する
疲労および衰弱:
肉体の酷使やストレスを避ける 定期的に休憩時間を設けて職場から離れる 柔軟な労働時間と勤務外時間の利用を認める 自宅勤務を認める 人間工学に基づいた職場設計をする
精密動作障害:
人間工学に基づいた職場設計をする コンピュータの操作方法を変更する 電話機の操作方法の変更 ひじ掛けの導入 書字補助具、握り補助具の導入 ページめくり機や書見台を用意する 筆記助手を手配する
粗大動作障害:
職場での移動をしやすくする 職場近くに駐車場を確保する 出入りをしやすくする 自動ドアを取り付ける 他の作業場所、オフィス機器、休憩室などの近くに座席を移動する
偏頭痛:
業務一覧表を用意する 蛍光灯を避ける コンピュータ画面にちらつき防止フィルタを使用する 防音板、環境音楽機器、ヘッドホンなどを利用して雑音を軽減する 視聴覚的な気を散らす要因を減らすために、座席を変更する 「無香の」職場環境方針を実践する 空気清浄機を用意する 柔軟なスケジュールを認める 定期的な休憩時間を認める 自宅勤務を認める
呼吸障害:
調節機能付きの空調を用意する 職場からほこり、タバコの煙、香水、においなどを取り除く 「無香の」職場環境方針と「禁煙」職場環境方針を実践する スケジュールの一時的な偏りを避ける 扇風機ないしエアコンの利用、もしくはヒーターの利用 空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする オフィス機器が発するガスを取り除くために、適応支援機器を導入する 人工呼吸マスクの着用を認める 自宅勤務を認める
皮膚の障害:
病原菌や化学物質への接触を避ける 保護衣服を用意する
睡眠障害:
柔軟な勤務時間と頻繁な休憩を認める 自宅勤務を認める
気温過敏症:
温度調節を行い、換気装置を調節する 服装規定を変更する 扇風機やエアコン、ないしヒーターを利用するとともに、空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする 極端に暑いもしくは寒い天候時には、柔軟なスケジュールや自宅勤務を認める 個別気温調節装置を導入する
FMS患者への環境整備の一 例
あるFMS患者の管理職付きの秘書は、首の痛みと上半身の疲労を訴えてい た。 タイピング、電話応対、メモとりなどの担当であった。 首の痛みを軽減し受話器の上げ下げによる繰り返し運動を避けるための電話機用ヘッドホン、メモとりのためのポータプル筆記台と書字補助具、書類保管のため のコピーホルダ、タイピングのための肘置きなどで環境整備をした。
あるFMS患者の看護婦は、地方の健康クリニックに勤務しており、勤務時 に重度の疲労と痛みがあった。 普段は夕勤シフトだったが、主治医がスケジュールの変更を勧めたので、睡眠パターンを調整することができた。 夕勤から日勤への変更の他、12時間勤務のシフトが連続しないような制限、パートタイムで働いていた分の労働時間の大幅な削減、頻繁な休憩などによって環 境整備をした。
ある大きな高校のガイダンスカウンセラーは、FMSのため、過敏性膀胱の 重い発作、抑うつ、疲労の症状があった。校内の重いドアを開けることが困難であり、しかも頻繁にトイレに行く必要があった。 学校は、この患者が持ち場を離れている時間が多すぎて、生徒がカウンセリングを利用しづらいという苦情を訴えた。 学校はこの患者の仕事場を設備の整った休憩室の近くに移動し、入り口のドアに自動開閉装置を取り付け、セラピーの予約に応じた柔軟な勤務時間を認めた。
権利活動団体の職員のある患者は、手根管症候群とFMSにかかっていた。 キータイプ、筆記、プレゼンテーション資料の持ち運びが困難であった。 活動団体は、ワープロに音声認識ソフトウェアをインストールし、書字補助具を用意し、物品の持ち運び用に軽量の携帯台車を用意した。
機器
機能障害を持つ人々への環境整備に利用可能な機器は、数多くあります。 JANの検索機能付きオンライン環境整備 (SOAR) <http://www.jan.wvu.edu/soar> で、さまざまな環境整備の可能性を探索できます。多くの機器取り扱い業者リストにアクセスできます; しかしながら、JANではウェブサイトで利用できるもののほかにもたくさんのリストを用意しています。 特別な環境整備条件がある場合、特別な機器を探している場合、取り扱い業者の情報が必要な場合、医師への紹介状を請求する場合は、JANに直接問い合わせ てください。
問い合わせ先リスト (完全なリストではありません)
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