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育児介護休業法(FMLA): 総括
作成:Tracie DeFreitas Saab, M.S.

はじめに

1993年に制定された育児介護休業法(Family and Medical Leave Act:FMLA)は、「家族に優しい」法律として、家庭と仕事のより健全な調和を可能にすることを意図して作られました。 この法律によって、家族が子どもの誕生といった重要な個人的事柄に必要な時間を割くことと、失業保険や健康保険の適用を受けることのいずれを選ばなければならないということがなくなりました。 この法律は、従業員が就業を続けながら個人および家族が処理しなくてはならないことを成就させることで、事業主および従業員双方に利益がもたらされることが意図されています。

FMLAは1993年2月5日に制定され、同年8月5日に施行されました。 同法律は、資格ある従業員に、1年間で最長12週の無給休暇を取得する権利を与えています。 当該休暇は、出産または養子縁組をする場合に取得可能で、同時に健康を阻害して重度の状態にある配偶者や近親者の世話をするため、もしくは従業員自身の深刻な健康状態を理由に働くことができない場合に取得することができます。 事業主は、従業員が休暇を取得している期間、既存の健康保険の負担を維持しなければなりません。 加えて、従業員は休暇期間が終了すると元のポストまたは同等のポストに復職されることになっています。

FMLAに準拠しなければならない事業主は?

FMLAには、様々な事業主を網羅する5つのタイトル(編)があります。 本書では、FMLA第I編の条項を概観することができます。

第I編は、商業に従事し、本年度および前年度で20週以上の暦年の週労働の内、各労働日に50人以上の従業員を雇っている民間の事業主に適用されます。 これには、パートタイム従業員や休暇を取っている従業員も含まれ、これら従業員は週間労働の日給ベースで雇用されていることが条件になっています。 長期のまたは無期限の一時解雇状態にある従業員は含まれていません。

本法律の第I編は、職場が半径75マイル以内にあって50人の従業員を雇用している公的機関にも効力を及ぼします。 郡や市と同様に、州も単独の公的機関とみなされます。 第I編は、連邦政府の事業主の一部または米国郵便公社のような事業体にも適用されます。 FMLAの第II編での同様の条項は、その他のほとんどの連邦政府行政機関の従業員に適用されます。 第II編は人事局(OPM)によって管理されています。 適用を受ける事業主は、従業員に対して通知やポスターを貼り出すことによって、FMLAが定める休暇取得の権利に関する情報を提供しなければなりません。

FMLAの休暇取得適格者とは?

従業員は、FMLA基準の休暇取得資格を得るために一定の基準を満たさなければなりません。 従業員は、12ヶ月以上の雇用期間があり、休暇の開始前年に最低1,250時間の就業がなされていなければなりません。 就業した労働時間が記録されなかった上級一般職は、1,250時間就業要件を満たしているとみなされます。 そうした従業員は、50人以上の従業員を雇用している半径75マイル以内の職場に雇用されなくてはなりません。 従業員は、50人以上の従業員を有し、適応を受けている民間事業主に雇われることが可能ですが、半径75マイル以内の職場で50人の従業員がいない場合、従業員は休暇を取得する資格がありません。

FMLA休暇を与えるための事業主に必要な環境とは?

資格がある従業員は、出産、養子縁組または養子養育の斡旋、病床にある従業員の配偶者、子息、親、または、従業員が深刻な健康状態にあって自身の職務遂行が不可能な場合にFMLA休暇を申請することができます。

深刻な健康状態とは、「入院治療、または医療介護機関による継続的な治療が必要な状態・・・」としてFMLA連邦施行規則パート825(Federal Regulations Part 825)で定義されています。 この意味するところは、治療および回復のために継続的に、または数日間以上にわたって、休暇が必要となる可能性があるということです。 FMLAの下では、深刻な健康状態の例として以下のようなものがあります。心臓発作、ほとんどの癌、肺炎、重度の神経障害、重度のつわりや妊婦管理、出産、脳梗塞などです。

施行規則は、3日以上に渡って休暇をとると重度とみなすと規定しています。 また、同規則では、個々の医学的必要性に応じて、断続的休暇や軽減した作業日程に合わせた休暇も許容しています。 従業員は、慢性的な健康障害や妊婦管理のために医師の診察や治療といった、医療スケジュールのためのFMLA休暇を取得することができます。

ポストの職務を遂行できない従業員とは、治療または病気のために一時的にそれぞれの任務を果たせなかったり勤務できなかったりする者を指します。 これは、従業員が能力を失ったためまったく働くことができないということではなく、一時的に職務機能を遂行できないことを意味します。

従業員は、家族を世話するため休暇を申請することができます。 事業主は、従業員に対し休暇の申請や家族の介護が必要であることを裏付けるために、家族の医療機関からの証明書の提出を求めることができます。 医療機関とは、米国において医療許可を得ていて、そこで医師または医療サービス提供者が医療を提供するものを言います。

適格従業員がFMLAの下で休暇のとれる日数は?

FMLAでは、任意の12ヶ月間で最長12週の無給休暇を適格従業員に認めています。 事業主は、その12ヶ月間の算出方法を確定することができ、その方法で変わることなく継続することが義務づけられています。 事業主はすべての従業員に対し、固定された12ヶ月間か、休暇の最初の日から向こう12ヶ月間を割り出したものか、または休暇が使われた日から過去に遡って12ヶ月間を割り出したものか選択することができます。

従業員は各人の必要性に応じて、12週の休暇を連続的にでも、断続的にも取ることができます。 休暇期間の下限はありません。 休暇の見通しが立つ場合は、従業員は前もって休暇の予定を組むよう義務付けられています。 従業員は、さらにFMLAに基づいて軽減された作業日程で働くことが可能です。 軽減作業日程または断続的休暇の申請が従業員からなされた場合、事業主は自身の判断によって、継続的な休暇に問題なく対応できる同等の職場に当該従業員を異動させることを考慮しなければなりません。 断続的休暇が取られた場合、FMLA休暇として実際に取られた時間のみがFMLA休暇として考慮されます。

従業員はどのようにFMLA休暇を申請しますか?

FMLA休暇が必要となった場合、従業員は30日前に事業主に通知するよう義務づけられています。 休暇取得が予測し難い場合は、従業員はその必要が生じてすぐに(通常1〜2営業日以内)通知することも可能です。 通知は、口頭もしくは書面で本人から直接または電話で行います。 事業主が、特別休暇申請に必要な手続きと同様の正式な休暇申請手続きを要求する場合もあります。

事業主は、FMLA休暇の必要性を証明する診断書を要求することができます。 この証明書は、従業員自身の深刻な健康状態のため、または子供の出生や病床にある家族の世話をするために休暇を取る従業員に要求することができます。 従業員の特殊な状況によって不可能でない限り、証明書は15日以内に事業主に提供します。

FMLA休暇は有給か無給か?

FMLA休暇は従来から無給休暇です。 状況によっては、従業員は無給休暇を有給休暇あるいは病気休暇として、報酬を得ることができます。 事業主は同様に、従業員に対して無給休暇を無くして有給休暇に置き換えさせる権利を有しています。

FMLA休暇取得中の保険金は維持されるのか?

従業員が、FMLA休暇の始まる際に団体保険に加入していれば、事業主はFMLA休暇期間中の保険金負担を維持しなければなりません。 同様の保険金負担は、休暇の開始より前と同じように従業員が休暇中の間でも適用されます。 従業員が職場復帰しないことを事業主が知った場合、医療保健給付を継続する事業主の義務は消滅します。 ただし、事業主は、包括的予算調整強化法(Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act[COBRA])に基づいて、給付金を付与する義務を有しています。

給付金の支払いは、休暇が有給または無給で取られているかにより異なります。 従業員は、FMLA休暇期間中に年次付加休暇を使い果たしたかもしれませんし、休暇期間が有給であった可能性もあります。 有給休暇が取られている場合、保険料は従来とおりに支払われることになっています。 事業主および従業員双方が通常自動給与天引きから保険料の負担分を支払っている場合は、これが継続することになります。 無給休暇の場合、従業員および事業主が双方に対して便宜がはかれる支払計画を調整します。 その取り決めは具体的で、休暇の開始前に決定されなければなりません。 従業員は、双方によって合意された日付から30日以内に支払います。 従業員が30日以内に支払わない場合、事業主は健康保険を無効にするか、または従業員および事業主の保険料支払いを行うことで保険の継続を合意するかを決定します。 保険を無効にする場合、事業主は従業員が職場復帰したときには保険を元に戻さなければなりません。

従業員の職場復帰が可能となった場合、どうすればよいのか?

従業員がFMLA休暇後に職場復帰が可能となった場合、従業員は休暇以前に就いていたポストと同様のポストに復位されることになります。 そのポストに復位されない場合、従業員は元のポストと同じ賃金・手当て、労働条件で同等のポストに復帰することができます。 従業員は同等の職場または地理的に近い職場、ならびに同様の職務に復帰することになります。

ポストが廃止になったり、改変されたりしていた場合、従業員は復職する権利を有しません。 例えば、人員削減で従業員の労働契約が終了した場合、従業員は元のポストが廃止になったことから、そのポストに復職することはありません。

特定の環境においては、「主要な」従業員は復職を認められない場合があります。 主要な従業員とは、高賃金従業員(上位10%以内)で半径75マイル以内のそれぞれの職場で雇用されている者です。 主要な従業員に関する詳細については、米国労働省賃金時間部(Wage&Hour Division of the Department of Labor)に問い合わせてください。

その他の州法および連邦法によると?

FMLAは、FMLAに比べ多大な育児介護休暇の権利を付与している州・地方の法律に優先するものではありません。 事業主は、当該事情に適応しうる州または連邦人種差別撤廃法(Federal anti-discrimination laws)の存在を認識しなければなりません。 特に、米国障害者法(ADA)は、ADAが障害として規定している深刻な健康状態をもつ従業員の状況と関係するからです。

事業主は、深刻な健康状態で生じる制約から、職務の基本的機能を遂行できない従業員の環境整備を考慮する義務があります。 事業主は、FMLAおよびADAの両法律が特殊な事態に適応する場合は、それらに準拠することが義務付けられています。

FMLAとADAの比較

多くの場合、FMLAとADAの適用範囲は一致します。 その法律は誰に適用されるのか、従業員はいつ各々の法律を利用することができるのか、それぞれの法律の下での特有な定義、各法律の下で提示されている休暇期間や復職権利の比較、といった2つの法律の違いを知ることは重要です。

両法律の下での休暇

FMLAでは、適用対象の従業員は任意の12ヶ月間で最長12週の無給休暇が認められています。 休暇は連続もしくは断続的、または軽減労働日程で使うことができます。 12週の休暇が使い果たされてしまうと、事業主はFMLAでの追加休暇を付与する義務は負いません。

ADAでは、従業員は、事業主と従業員双方によって決められた休暇期間をとる権利があります。 休暇は、事業主が従業員を職場から離すことで事業主に過度の負担が掛かることがなければ付与されます。 事業主は環境整備として無給休暇を付与する義務はあっても、追加の有給休暇を付与する義務を負うことはありません。 事業主は、従業員がFMLA休暇を使い果たしても、従業員が障害をもつ適用対象の従業員向けのADA資格を満たしていて、かつ、追加の休暇が事業主に過度の負担となることがなければ、環境整備として、追加的休暇を付与する義務があります。

FMLAでは、休暇期間は重度の病床にある家族の世話をするため使用することができます。 ADAでは、従業員は休暇を従業員自身の制約の適用処置としてしか使用することはできません。

両法律に基づく復職権利

FMLAでは、従業員は休暇期間が終了した時点で元のポストまたは同等のポストに復帰する権利が与えられています。 休暇期間が完了した時点で、従業員が職場復帰できない場合、事業主は従業員のポストを維持する義務はありません。 事業主はADA環境整備として追加の休暇を付与することができます。

ADAに基づいて休暇が付与される場合、従業員は、事業主にかかる過度の負担で当該ポストを空けておくことができなかった場合を除いて、元のポストに復帰する権利を与えられています。 事業主がポストを空けておくことができなかった場合、事業主は従業員に同等の空席ポストを考慮しなければなりません。 同等のポストが得られない場合、事業主は下位のポストを探すことができます。 それでも無ければ、それ以上環境整備を考慮する義務はありません。

施行

FMLAに基づいて告訴を考えている従業員は、地方の米国労働省賃金時間部(Wage&Hour Division of the Department of Labor)を通じて、雇用基準管理局(Employment Standards Administration)と連絡をとる必要があります。 事務所の所在地については、地方の電話帳で探すか、インターネットで下記のURLにアクセスしてください:

Employment Standards Administration Wage and Hour Division District Office Locations(ESA労働省賃金時間部地区事務所のURL)
http://www2.dol.gov/esa/contacts/whd/america2.htm

FMLAに関する一般情報
本書の目的は、単に一般情報を提供することにあります。 FMLAに関する追加情報が必要な場合は、地方の米国労働省賃金時間部(Wage&Hour Division of the Department of Labor)に連絡してください。 FMLA施行規則および情報の入手は、電話(866)487-9243,もしくは、インターネットで下記のURLにアクセスしてください:
http://www.dol.gov/dol/esa/fmla.htm

育児介護休業法(Family&Medical Leave Act)に関するさらなる詳細については

U.S. Department of Labor
ESA Office of Public Affairs
200 Constitution Ave., NW
Room S-3325
Washington, DC 20210
(202) 693-0023
(800) 326-2577 General DOL TTY number. Ask to be directed to ESA.

Employment Standards Administration(雇用基準管理局)と米国労働省賃金時間部(Wage&Hour Division of the Department of Labor)への照会は、電話(866)487-9243です。

Employment Standards Administration Wage and Hour Division District Office Locations(ESA労働省賃金時間部地区事務所のURL)
http://www.dol.gov/dol/esa/public/contacts/whd/america2.htm

家族医療休暇法従業員/事業主アドバイザー賃金時間部
http://www2.dol.gov/elaws/fmla.htm
育児介護休業法(FMLA)のアドバイザーに相談すると; 下記の事項を含めたFMLAによる従業員の適格条件に関する情報が得られます; 休暇の取得に必要な正当な理由および従業員/事業主の通知責任; ならびに従業員の権利と給付。 このアドバイザー制度は、雇用基準管理局(Employment Standards Administration)の賃金時間部(Wage&Hour Division of the Department of Labor)によって生み出されました。

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制作:米国労働省、障害者雇用政策室
ウエスト・バージニア大学(West Virginia University)
P.O. Box 6080
Morgantown、WV 26506-6080
(800) 526-7234
(800) ADA WORK.
電話/テレックス共通
http://www.jan.wvu.edu

本書に記載されている情報の出所は、1993年の育児介護休業法(Family and Medical Leave Act of 1993)、連邦規制825(Federal Regulations Part 825)、米国労働省賃金時間部公告1419(U.S. Department of Labor、Wage&Hour Division、WH Publication 1419)です。

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