世界的には、毎年600万以上の人が新たにがんにかかり、400万人以上ががんによって志望しています。 死亡原因の四分の一ががんによるものです; これより高いパーセンテージの死亡原因は心臓疾患のみです。 2001、合衆国では、55万3400人の人ががんによって死亡すると予測されます; 1日あたりでは1500人以上。 1990年からではおよそ500万人以上の命ががんによって失われ、アメリカ国立がん研究所(National Cancer Institute)は、今日、約890万人のアメリカ人ががんの病歴があると推定しています。 アメリカがん協会(American Cancer Society)アメリカ人のおよそ33パーセントは、何らかの形で病気が進行していると予測しています。 皮膚がんは、男性の前立腺がん、女性の乳がんについで、男性でも女性でも一般的ながんです。 ですが、肺がんは男性、女性ともに最も死亡率が高く、白血病は子供に最も見られるタイプのがんです。 
 今日、労働場面でも何百万もの人にがんの病歴があります。 従って、何人もの雇用主が、 がんになった従業員を見ていることこのことに加えて、アメリカ障害者法もがん患者への職場環境整備について知ることがいかに重要であるかを示しています。 
 がん患者への環境整備を考えるとき、そのプロセスは個別対応を基本に管理しなければなりません。 がんの症状は多様なので、効果的な環境整備を選択するには、その人固有の能力と障害の程度を考慮し、問題のある業務を特定すべきです。                そのため、患者本人がプロセスに参加することが望まれます。 
 すべてのがん患者が職務遂行に環境整備を必要とするわけではありませんし、必要な場合も、ごく簡単なものが大半です。 環境整備を必要とする人たちについては、以下に一般的な機能障害、症状、考慮すべき問題点、考えられる環境整備法についての基本情報を提供します。               これは参考例に過ぎません; この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。 
 この文書には追加情報のための問い合わせ先リストがあります。 
 がん
 以下のがんに関する情報は、いくつかの出典(特にアメリカがん協会)から編集したもので、出典の多くは問い合わせ先リストに列挙してあります。 当該情報は医療面のアドバイスを目的としたものではない。 医学的な助言が必要な場合には、適切な医療専門家に相談してください。 
 がんとは? 
 がんは多くの関連する疾病の総称です。 がんは全て成長の制御が不可能になった異常細胞群のことです。 正常な体細胞は、成長、分裂、細胞死を規則正しく繰り返します。 成長期には、細胞の分裂速度は比較的早くなります。 成人すると、正常な細胞分裂は、細胞死を迎えた細胞に取って代わったり、負傷を治癒したりするためだけに行われます。 一方がん細胞は、成長と分裂を続け、体中に散らばってゆき、腫瘍となって体内にたまり、正常な組織を破壊します。               腫瘍からがん細胞が剥がれ落ちて、血液やリンパ液にのって体内を移動し、移動先に定着してまた腫瘍を作り、「新たな征服地」にします。 新たな場所に移動すると、がん細胞は成長と分裂を続け、さらにまた新しい場所へと広がって(転移して)行きます。 転移が進んでも、病名は最初にがんが発生した部位の名前のままです。 成長の度合い、転移の仕方、有効な治療法の違いなどによって、さまざまなタイプのがんがあります。               
 がんの症状とは?  
 一般的な症状の例として、説明のつかない体重減少、発熱、疲労、しこりなどが、いくつかのタイプのがんに共通して見られます; しかし、がんのタイプによって、兆候や症状にはさまざまなものがあります。 
 がんの原因は?               
 がんの原因には、外的要因(化学物質、放射線、ウイルスなど)と内的要因(ホルモン、免疫の異常、遺伝的な異常など)の2つがあります。 それぞれのがんによって別々のリスクファクターを持っています。 がんを引き起こす要因は、さまざまなものが重なったり連続したりして、最終的にがんになるきっかけになったり、がんを進行させたりします。 リスクファクターというのは、がんにかかる危険性を増加させ得る要因のことで、必ずしもがんを「起こす」わけではありません。 複数のリスクファクターを持った人の多くががんにかからない一方、リスクファクターがひとつもないのにがんにかかる人もいます。 放射線被爆や身体的異常の発生から、10年以上経たないと、発見できる大きさのがんにはならないこともあります。 
 どのような人ががんにかかるのか? 
 がんにかかる危険性は、年齢と共に増加します; 中高年以上の症例がもっとも多いです。 アメリカでは、男性は一生のうちに2分の1回、女性は3分の1回がんにかかる危険性があります。 リスクファクターは様々です: たとえば、喫煙者は非喫煙者に比べて10倍肺がんにかかりやすく、母親に乳がんの病歴がある女性は母親に病歴がない女性に比べて2倍乳がんにかかりやすいなどです。               
 がんのステージ分け方法は? 
 ステージ分けは、病気の進行程度もしくは最初の患部からの転移の程度によって行います。 治療計画を立てる時や進行状態を評価するときに、ステージ分けは必須です。 がんのステージ分けは、原発腫瘍の大きさと患部の位置、転移の有無に関する情報を基に行います。 現在、腫瘍の分類に用いられるステージ分け方法には、さまざまなものがあります。 TNM分類は3つの方法でがんを腫瘍を評価します: T、N、MによってI、II、III、IVの「ステージ」を決定した後、「発生部位(in situ)」、局部的、領域的、遠隔という大まかなステージに分けます。  細胞の層の中に、がん細胞が、最初に発生した場所にのみ存在し、まったく広がっていない段階を「発生部位」といいます               がん細胞が広がっている場合、そのがんは進行性のものと考えられ、局部的、領域的、遠隔に大別されます。 
 がんの治療法は? 
 治療の選択肢には、外科手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法、免疫療法などがあります。               外科手術は、もっとも古くからあるがんの治療法です; がん患者の60%が外科手術を受けています。 放射線治療は、X線などの高エネルギー放射線を用いて、がん細胞を破壊する治療法です。 化学療法には抗がん剤を用います。 全身化学療法は、静脈注射もしくは経口投与によって、抗がん剤を血液にのせ、全身に行き渡らせます。 ホルモン療法は、ホルモンの製造を阻害する薬品を用いる治療法です。 免疫療法は、がんなどの病気に対する免疫系の働きを促進したり強化したりする治療法です。
 職場環境整備において考慮すべき問題
  どのような症状や機能制限が見られるのか?
 どのような症状や機能制限が見られるのか? 
  症状や機能制限は患者ないし患者の職務機能にどのような影響を与えているのか?
 症状や機能制限は患者ないし患者の職務機能にどのような影響を与えているのか?               
  症状や機能制限のために特に問題が出る職務は何か?
 症状や機能制限のために特に問題が出る職務は何か?               
  それらの問題を解消するために、どのような環境整備案があり得るのか? がんに対する環境整備の候補案を決定する際に、利用可能なリソースはすべて活用されているか?
 それらの問題を解消するために、どのような環境整備案があり得るのか? がんに対する環境整備の候補案を決定する際に、利用可能なリソースはすべて活用されているか? 
  環境整備案について患者本人と相談したか?
 環境整備案について患者本人と相談したか? 
  環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会を与える機能は働いているか?
 環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会を与える機能は働いているか? 
  上司や他の労働者には、がん、エチケット、その他の機能障害、アメリカ障害者法などについて、講習が必要か?
 上司や他の労働者には、がん、エチケット、その他の機能障害、アメリカ障害者法などについて、講習が必要か?
 
 がんへの環境整備の検討
 (注意: がん患者において以下の機能障害や症状の一部、場合によっては全部が進行することがあります。 機能障害は患者によってさまざまです。 がん患者すべてが職務遂行に環境整備を必要とするわけではなく、必要な場合も、ごく簡単なものが大半であることに注意してください。 以下は考えられる可能性のほんの一例です。 この他にもたくさんの解決法や検討材料があります。)   
 疲労および衰弱: 
    肉体の酷使やストレスを避ける
 肉体の酷使やストレスを避ける
  定期的に休憩時間を設けて職場から離れる
 定期的に休憩時間を設けて職場から離れる
  柔軟な労働時間と勤務外時間の利用を認める
 柔軟な労働時間と勤務外時間の利用を認める
  自宅勤務を認める
 自宅勤務を認める
  人間工学に基づいた職場設計をする
 人間工学に基づいた職場設計をする
  徒歩による移動が必要な場合は、電動車いすなどの移動装置を支給する
 徒歩による移動が必要な場合は、電動車いすなどの移動装置を支給する
  職場近くに駐車場を確保する
 職場近くに駐車場を確保する
  自動ドアを取り付ける
 自動ドアを取り付ける
  物品が手の届く範囲にあるかどうか確認する
 物品が手の届く範囲にあるかどうか確認する
  他に受け持っている仕事場、オフィス機器、休憩室などに近い位置に職場を移動する
 他に受け持っている仕事場、オフィス機器、休憩室などに近い位置に職場を移動する
  防音板、環境音楽機器、ヘッドホンなどを利用して雑音を軽減する
 防音板、環境音楽機器、ヘッドホンなどを利用して雑音を軽減する
  視聴覚的な気を散らす要因を減らすために、座席を変更する
 視聴覚的な気を散らす要因を減らすために、座席を変更する 
 
 治療の許可:               
    柔軟な勤務スケジュールを認める
 柔軟な勤務スケジュールを認める
  柔軟な休暇取得を認める
 柔軟な休暇取得を認める
  自分のペースでの職務負担と、柔軟な勤務時間を認める
 自分のペースでの職務負担と、柔軟な勤務時間を認める
  自宅勤務を認める
 自宅勤務を認める
  パートタイムの勤務スケジュールを認める
 パートタイムの勤務スケジュールを認める 
 
  呼吸障害:               
    調節機能付きの空調を用意する
 調節機能付きの空調を用意する
  職場からほこり、タバコの煙、香水、においなどを取り除く
 職場からほこり、タバコの煙、香水、においなどを取り除く
  「無香の」職場環境方針と「禁煙」職場環境方針を実践する
 「無香の」職場環境方針と「禁煙」職場環境方針を実践する
  スケジュールの一時的な偏りを避ける
 スケジュールの一時的な偏りを避ける
  扇風機ないしエアコンの利用、もしくはヒーターの利用
 扇風機ないしエアコンの利用、もしくはヒーターの利用
  空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする
 空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする 
 
 皮膚の障害:
    病原菌や化学物質への接触を避ける
 病原菌や化学物質への接触を避ける
  侵襲を避ける(肌の状態によっては侵襲反応が悪影響を及ぼすことがある)
 侵襲を避ける(肌の状態によっては侵襲反応が悪影響を及ぼすことがある)                  
  保護衣服を用意する
 保護衣服を用意する 
 
 ストレス: 
    事前に問題解決の計画を立てておく
 事前に問題解決の計画を立てておく
  同僚に意識向上のための講習を行う
 同僚に意識向上のための講習を行う
  勤務中に、医師などに支援を求める電話をすることを認める
 勤務中に、医師などに支援を求める電話をすることを認める
  カウンセリングや被雇用者支援計画に関する情報を提供する
カウンセリングや被雇用者支援計画に関する情報を提供する 
 
 気温過敏症: 
    職場の温度調節を行う
 職場の温度調節を行う
  服装規定を変更する
 服装規定を変更する
  扇風機ないしエアコンの利用、もしくはヒーターの利用
 扇風機ないしエアコンの利用、もしくはヒーターの利用
  柔軟な勤務スケジュールと休憩時間の利用を認める
 柔軟な勤務スケジュールと休憩時間の利用を認める
  極端に暑いまたは寒い天候時には自宅勤務を認める
 極端に暑いまたは寒い天候時には自宅勤務を認める
  常に換気をする
 常に換気をする
  空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする
 空調の吹き出し口からの風が直接当たらないようにする
  個別気温調節装置を導入する
 個別気温調節装置を導入する 
 
 製品
 機能障害を持つ人々への環境整備に利用可能な機器は数多くあります。JANの検索機能付きオンライン環境整備(SOAR)で、さまざまな環境整備の可能性を探索できます。  多くの機器取り扱い業者リストにアクセスできます; しかしながら、JANではウェブサイトで利用できるもののほかにもたくさんのリストを用意しています。 特別な環境整備条件がある場合、特別な機器を探している場合、取り扱い業者の情報が必要な場合、医師への紹介状を請求する場合は、JANに直接問い合わせてください。
 
 がん患者への環境整備の例
  ある工業会社の技師は、勤務時間中にがんの放射線治療を受けなければならなかった。 フルタイムでの勤務を続けながら治療を受けられるよう、柔軟な勤務スケジュールを認めた。
 ある工業会社の技師は、勤務時間中にがんの放射線治療を受けなければならなかった。 フルタイムでの勤務を続けながら治療を受けられるよう、柔軟な勤務スケジュールを認めた。 
  ある機械技師は、がんの放射線治療を受けており、座席の移動による環境整備を受けていた。 この移動により、放射線被爆のない場所に移ることができた。
 ある機械技師は、がんの放射線治療を受けており、座席の移動による環境整備を受けていた。 この移動により、放射線被爆のない場所に移ることができた。 
  ある卸売業の社員は、在庫の管理と運送を担当しており、化学治療による疲労のため、職務に必要な身体条件を満たすことが困難であった。 3輪の電動車いすによって環境整備をし、歩行の必要性を減らした。 また、上り下りを伴なう移動や手を伸ばす動作の必要が少ない役職に配置転換をした。
 ある卸売業の社員は、在庫の管理と運送を担当しており、化学治療による疲労のため、職務に必要な身体条件を満たすことが困難であった。 3輪の電動車いすによって環境整備をし、歩行の必要性を減らした。 また、上り下りを伴なう移動や手を伸ばす動作の必要が少ない役職に配置転換をした。 
  ある秘書は、がん患者で、化学治療による疲労のためフルタイムでの勤務が困難であった。               パートタイム勤務を認めて環境整備をし、頻繁に休憩を取ることも認めた。
 ある秘書は、がん患者で、化学治療による疲労のためフルタイムでの勤務が困難であった。               パートタイム勤務を認めて環境整備をし、頻繁に休憩を取ることも認めた。 
  ある精神科の看護師は、がん患者で、仕事に関するストレスの処理が困難であった。 環境整備として、一時的に転属され、病院側が開設する労働者支援プログラムに相談して感情面での支援を受けストレス対処器具を提供された。
ある精神科の看護師は、がん患者で、仕事に関するストレスの処理が困難であった。 環境整備として、一時的に転属され、病院側が開設する労働者支援プログラムに相談して感情面での支援を受けストレス対処器具を提供された。 
  ある弁護士は、がん患者で、抗がん剤の影響で集中力が乱れやすかった。 自分の仕事に集中できる時間を設けて環境整備をした。 週に2日の自宅勤務も認められた。
 ある弁護士は、がん患者で、抗がん剤の影響で集中力が乱れやすかった。 自分の仕事に集中できる時間を設けて環境整備をした。 週に2日の自宅勤務も認められた。
 
  問い合わせ先リスト 
(完全なリストではありません)