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予測では、人口の75%が少なくとも一度は肩・背・腰障害の経験があるといわれています。肩・背・腰障害をもつ人はほとんどの場合、浸襲的な治療(患部を大きく切開する外科手術)をすることなく回復しますが、なかには残りの人生に制約を受ける人もいます。肩・背・腰障害への環境整備により、制約を克服し、働きつづけることができるようになります。

1999年の統計局の予測では、仕事から離れざるを得なくなった業務上の損傷のほぼ半数が腰の損傷でした。このうち19.1%の人が31日以上仕事から離脱しました。労働災害補償事例管理に関与した事業主は、早期職場復帰に注力します; これは環境整備を講じることにより、事業主、従業員共にメリットになる結果となります。また、米国障害者法(ADA)の下では、事業主は損傷によって職場を離れた従業員のために環境整備を考慮しなければならない場合もあります。 ADAの下では事業主は様々な責任を負っていますが、効果的な環境整備を講ずることにより、肩・背・腰障害を持つ従業員が職務を遂行できるようになることがしばしばあります。

肩・背・腰障害への環境整備を考えるとき、そのプロセスは個別対応を基本に管理しなければなりません。機能上の制約は人によって、また、職務によって違いがあります。効果的な環境整備を選択するには、その人固有の能力と障害の程度を考慮し、問題のある業務を特定すべきです。したがって、環境整備を講ずる際、肩・背・腰障害を持っている本人もそのプロセスに関与すべきです。 ADAの下での事業主の責任および肩・背・腰障害の人の権利に関する詳しい情報(無料)を必要な方はJANにコンタクトしてください。

すべての肩・背・腰障害患者が職務遂行に環境整備を必要とするわけではありませんし、必要な場合も、ごく簡単なものが大半です。環境整備を必要とする人たちについては、以下に一般的な機能障害、症状、考慮すべき問題点、考えられる環境整備法についての基本情報を提供します。これは参考例に過ぎません; 以下に、考慮する必要があるとみられる事例のみを提示していますが、その他多数の解決策および配慮すべきことがあるかもしれません。

環境整備についての考え方に加えて、以下は肩・背・腰障害の人のための環境整備に利用される製品の一部に関する情報も含まれています。この情報は、製品や取り扱い業者のほんの一例です。ほかにも多数の商品と業者が存在するかもしれません。この文書には追加情報のための問い合わせ先リストがあります。

肩・背・腰障害とは?
脊柱は、下記の5つの部分に分かれています: 頚部(首)、胸部、腰椎、仙骨および尾骨です。靭帯、腱それに筋肉が脊椎に繋がれ、身体構造を支えています。脊椎の間にはショックを和らげるためのクッションになる椎間板があります。痛みは、靭帯、腱あるいは筋肉に捻挫を起こしたり、これらに負担がかかる時に起こります。一つまたは複数の椎間板が正常な場所から突出し、それが神経を圧迫して痛みを起こすこともあります。

肩・背・腰障害の症状とは?
肩・背・腰障害の症状は局部的なものに止まるか、背中の中心から放射状に広がるかのどちらかです。坐骨神経痛は、最初は背下部の痛みからですが、これがどちらかの脚あるいは両脚に波及していきます。

肩・背・腰障害発症の原因は?
肩・背・腰障害は、腰の酷使、急性損傷、脊椎の退化、神経への衝撃、脊髄の狭窄(脊柱管が狭まること)、伝染病、腫瘍等が原因と考えられます。

どういう人が肩・背・腰障害を患うのですか?
人口の75%が、生涯で少なくとも1回の腰の疼痛を経験するといった予測があります。肩・背・腰障害発症の要因は劣悪な状況、酷使、肥満、喫煙、加齢ということが考えられます。

肩・背・腰障害の治療法は?
腰の損傷では多くの場合、非侵襲性の治療技術を使って治療します。そうした治療には薬物治療、カイロプラクティック、はり治療、理学療法等があります。少数ながら手術を施すこともあります; これには脊椎融合、椎間板外生菌根、椎弓切除といったものがあります。

環境整備を検討するための質問

1. どのような症状や機能制限が見られるのか?

2. 症状や機能制限は患者ないし患者の職務機能にどのような影響を与えているのか?

3. 症状や機能制限のために特に問題が出る職務は何か?

4. 問題を避けるために、どのような環境整備が利用可能か?

5. 可能な環境整備を決定するためにあらゆる情報源が使用されていますか?

6. 環境整備案について、患者本人と相談したか?

7. 環境整備を実行に移した後、患者が環境整備の効果を評価し、追加の環境整備が必要かどうか判断する機会を与える機能は働いているか?

8. 上司や他の労働者には、肩・背・腰障害、その他の機能障害、アメリカ障害者法などについて、講習が必要か?

腰に障害を持つ人のための環境整備の検討

日常生活

通勤時に人的補助を許可する
職場での介助動物の使用を許可する
施設のアクセスビリティを確保する
仕事場を休憩室の近くに移す
休憩時間を長くとることを許可する
適切なコミュニティー・サービスを照会する

疲労・脱力感

激しい肉体労働と職場でのストレスを低減する、または無くす
仕事場から離れて休憩時間を定期的にとる
フレックスタイムによる就業および退社時間をフレキシブルにする
在宅勤務を認める
人間工学的な職場設計を行う
歩行時間を減らすことができない場合は、スクーターや別の補助的移動手段を提供する

粗大動作障害:

一般
職場をアクセス可能な場所に変える
職場に近い駐車場を提供する
アクセス可能な入り口を設ける
自動開閉装置のついたドア-を設置する
アクセス可能なトイレと休憩室を提供する
他の仕事場所までの通路を、移動しやすいようにしておく
アクセス可能な仕事場になるようにする
資料、備品等は手の届く所に置くようにする
仕事場を他の職域および休憩室に近い所へ移す

工業製品関係
リフティング装置用のオーバーヘッド構造を用意する
職場を調節可能なものに変更する
しばしば使う道具や補給品は本人の腰の高さまたはそれに近い場所におく
腰の高さに変更できない業務のために低い作業用椅子を提供する
立ったまま寄りかかることのできるスツールと立ち作業のための疲労防止用マットを用意する
長距離を歩く業務のために、車椅子、スクーター、工業用三輪車、ゴルフ・カート等を用意する
倉庫から補給品、道具等を出し入れするために、小型リフティング装置を用意する

オフィス
高さの調節できる机と人間工学に基づく椅子を用意する
仕事場を普段使われる事務機器に近い場所へ移す
高低のある引き出しからファイルや備品を取り出すために低い作業用椅子や回転安全装置のついたはしごを用意する
ファイル、郵便物、備品を取り出すためにカートを用意する
しばしば使う資料にアクセスするために、回転式荷物運搬用円形コンベアまたはデスクトップ・オーガナイザーを用意する

サービス業
長い間立ち作業するための疲労防止用マットと、立ったまま寄りかかれるストールを用意する
高さの調節できる机と人間工学に基づく椅子を用意する
普段使う事務機器のある所に近い場所に仕事場を移動する
棚から在庫品や備品を出し入れすることのできる小型リフティング装置を用意する
備品や在庫品を動かすことのできるカートを用意する

医療
底にスプリングの入った布団を敷いたカートを用意する
患者を移動できる装置を用意しておく
長距離を歩く業務のために、車椅子、スクーター、工業用三輪車、ゴルフ・カート等を用意する
患者の持上げ方および持ち運び装置に関する研修を従業員に行う
患者を運ぶための電動ベッドを用意する
高さを調節できる机と人間工学に基づいた椅子を別の人にも応用できるように用意する

肩・背・腰の状況が思わしくない人のための環境整備の事例

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