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ADAに関する質問と回答

この情報は、一般国民が米国障害者法(ADA)を理解し遵守するための助けとなるように編纂されました。 情報は、国民の権利と義務について司法省の判断を示したものではなく、また、司法省を拘束するものでもありません。

雇用、交通、公共施設、公共事業、および電気通信におけるバリアは、膨大な経済的・社会的コストをアメリカ社会に課しており、障害のある人のための教育、社会復帰、雇用における我々の善意の努力を妨げています。 これらのバリアを打破することにより、米国障害者法は、障害のある人の技術や能力を社会に役立てることができ、さらには彼らの購買力の増大とその能力の使用によりすべての国民に利益が供与され、アメリカ国民に充実した、より一層実り多い人生をもたらすことが期待されます。

米国障害者法では、人種、皮膚の色、性別、国籍、年齢、宗教に基づいて個人に与えられる保護と同様に、障害のある人に対しても公民権の保護が与えられます。 ADAは、障害のある人に公共施設、雇用、交通、州・地方政府による行政サービス、電気通信において平等の機会を保証しています。

公正、迅速、かつ効果的で画期的な公民権の法律制定は連邦政府の優先事項です。 この小冊子は、この新しく制定された法律に関し、最も多い質問に対する回答を提供するために作成されました。

発行には、国立障害者・リハビリテーション研究所(National Institute on Disability and Rehabilitation Research)の多大なる支援を受けました。

米国障害者法: 質問と回答

雇用

質問  米国障害者法第I編の適用を受けるのはどのような事業主ですか、また適用されるのはいつからですか?

回答 第I編の雇用条項は、民間企業の事業主、州・地方政府、職業紹介機関、および労働組合に適用されます。 25人以上の従業員を雇っている事業主に対し1992年7月26日付けで適用されます。 15人以上の従業員を雇用している事業主については、2年後の1994年7月26日から適用されます。

質問  どのような慣例や活動が雇用上の差別禁止要件に当るのですか?

回答 ADAでは、応募手続き、採用、解雇、昇進、報酬、訓練、その他諸条件、雇用上の基本的人権など、すべての雇用慣行における差別が禁じられています。 ADAは、募集、求人広告、身分保障、一時帰休、休暇、諸手当、その他の雇用関連活動に適用されます。

質問  誰が雇用差別から守られるのですか

回答 「適格障害者」に対する雇用差別が禁止されています。これには応募者および従業員にも適用されます。 主要な生活活動のひとつ以上を相当程度制約される、障害記録を保持している、あるいはこのような障害があるとみなされる、身体・精神障害を持っている場合、「障害」を持っているとみなされます。 障害のある人との交際や関係を理由に差別を受けている人も保護されます。

定義の最初の部分では、ADAは、障害があり、見る、聞く、話す、歩く、呼吸をする、手仕事を行う、学ぶ、自分をケアする、働くなどの主要な生活活動を相当程度制約される人に適用されることが明確に示されています。 また、てんかん、麻痺、HIV感染、エイズ、重度聴覚・視覚障害、知的障害、特異的学習障害にも適用されますが、軽度で慢性でなく短期的なもの、捻挫、四肢骨折、インフルエンザなどは、通常、対象とされません。

定義の第二の部分では、障害記録のある人を保護します、例えば、癌疾患や精神病から回復した人を対象としています。

定義の第三の部分では、このような障害がなくても、実質的に障害をもっているとみなされる人を保護します。 例えば、この条項では、事業主が顧客や同僚の「拒否的反応」を恐れて顔にひどい傷があることを理由に雇用を拒否された適格者を保護します。

質問  「適格障害者」とはどのような人ですか?

回答  適格障害者とは、法律で認められる技能、経験、教育、その他本人が就いている、または求めているポストに必要とされる要件を満たし、合理的な環境整備の有無にかかわらず、ポストの「基本的機能」を遂行できる障害のある人を指します。 「基本的」機能を遂行する能力を必要とするとは、付帯的・付随的な職務機能を遂行できないことのみを理由に、障害のある人が不適格と考えないことです。 障害から生ずる制約を除けば、基本的な職務機能を遂行できる適格者である場合、事業主は、合理的な環境整備を供与すれば基本的機能を遂行できるかどうか、判断しなければなりません。 職務内容記述書が募集広告や応募者面接に先立って用意されるならば、これは、決定的な証拠とはいえないまでも、基本的な職務機能を示す証拠と考えられます。

質問 事業主は、他の応募者より適格障害者である応募者を優先しなければなりませんか?

回答 いいえ。 事業主は応募者のうちから最も適した人を自由に選ぶことができ、障害に関係しない理由に基づいて採用決定をします。 例えば、一分間に75ワードを打つ速度と正確さを必要とするタイピストの募集に2名の応募者があるとします。 一人は障害をもつ応募者で、合理的な環境整備を供与されてタイプ・テストで一分間に50ワード打ちます; もう一人の障害のない応募者は一分間に75ワードを正確にタイプします。 事業主は、タイプの速度が職務遂行の要件であるならば、タイプを速く打てる応募者を採用することができます。

質問  ADAでは、健康診断と障害に関連した問診に関し、どのような制限を設けていますか?

回答 事業主は、応募者に対して採用決定前に健康診断を受けるよう要請することはできません。 雇用に先立って、障害について、または、障害の性質や程度について尋ねることはできません。 しかし、事業主は、特定の職務遂行能力について尋ねることができ、また、一定の制限内で、障害のある人に対し職務機能をどのように遂行するのかについて説明や実演を求めることはできます。

事業主は、同職種の新規採用者全員に求める場合には、採用後の健康診断や問診の結果が良好であることを条件に採用を決定することができます。 採用後の健康診断や問診は、職務関連や事業運営上の必要性に適合する必要はありません。

ただし、健康診断や問診により障害が明らかになったことを理由に採用されない場合、採用拒否の理由は職務に関連するものであり、事業運営上の必要性に適合したものでなければなりません。 事業主は、基本的職務機能の遂行を可能にする合理的な環境整備は供与できないこと、または、合理的な環境整備が過度の負担になることを示さねばなりません。 事業主は、個人が職場に「直接的な脅威」をもたらす危険性があり(本人と他の人々の健康や安全が相当程度脅かされる危険が高い)、合理的な環境整備によっても「直接的な脅威」を取り除いたり、減じることができないことと実証できる場合には、採用後の健康診断によって不適格とみなすことができます。 そのような不適格理由は、仕事と関連したものであり、職業上の必要性において一貫しているものです。 採用後の健康診断では、障害が将来において問題となる危険があるという憶測を理由に、現在職務の基本的機能を遂行できる障害のある人を不適格とすることはできません。

就業後は、従業員の健康診断や問診は職務に関連し、かつ事業運営上の必要性に適合したものでなければなりません。 事業主は、職務遂行上または安全上の問題である根拠が示される場合、他の連邦法により要求される場合、特定業務の遂行上必要な現在の「適性」を判断する必要がある場合、また、従業員の保健プログラムの一環として自主的に行われる健康診断を実施する場合に、従業員の健康診断を行うことができます。

全ての健康診断と問診に基づいた情報は、一般的な個人ファイルとは別にして、限定された状況下でのみ使用が許される機密扱いの医学記録とされます。

違法な薬物使用の検査は、米国障害者法では健康診断とはみなされず、このような健康診断の制約を受けません。

質問  いつ事業主は応募者に障害に関する情報の開示を要求できますか?

回答 1973年のリハビリテーション法第503条のアファーマティブ・アクション(差別撤廃措置)が適用される連邦政府の契約事業者および下請事業者は、障害のある人に応募書類または採用に先立つ照会により障害のある人であるかを尋ねることができ、503条の差別撤廃措置の要件にかなっています。 こうした情報を求める事業主は、情報の求め方および使用方法、並びに通常の人事関連文書と区別し、別途に機密記録とする情報保全手続きに関して503条の要件を満たさなければなりません。

採用前の障害に関する照会は、障害退役軍人やヴェトナム戦争時の退役軍人に適用されるものであるときなど、他の連邦法や条例に定められている場合には認められています。 こうした法律の下では、障害に関する採用の事前調査は、障害のある応募者や顧客に特別なサービスを提供をするために必要となる場合があります。

質問  米国障害者法では、事業主は職務内容記述書を作る必要があると定めていますか

回答 いいえ。 米国障害者法では、事業主に職務内容記述書の作成・保持を義務付けていません。 ただし、募集広告や応募者面接に先立って作られた文書による職務内容記述書は、他の関連事項の証拠とみなされます。 事業主が職務内容記述書を使用する場合、職務内容記述書は仕事の内容を正確に言い表すものとしなければなりません。 職務内容記述書は、仕事の通常のやり方のみにとどまらず、職務機能の結果や成果に焦点を当てれば非常に有効です。 合理的な環境整備を供与すれば、障害のある人は、障害のない従業員が遂行する方法とは別のやり方で職務を遂行できます。

質問  「合理的な環境整備」とは何ですか?

回答 合理的な環境整備とは、障害のある適格な応募者や従業員の応募過程への参加や基本的な職務機能の遂行を可能とする、職務や就労環境における変更・調整を指します。 合理的な環境整備は、適格障害者が、雇用において障害のない従業員と同等に権利・特権を有していることを保証するための調整をも含みます。

質問  応募者・従業員が必要とすると考えられる環境整備とはどのようなものですか?

回答 合理的な環境整備の事例には以下のようなものが挙げられます、従業員が使用している既存の施設に障害のある人がアクセスでき、使用可能であるようにすること; 職務の再編成; 勤務スケジュールの変更; 機器・装置の購入と変更・改造; 有資格の朗読者や手話通訳者; 適切に修正を加えた選考試験,訓練,その他プログラムなど。さらに,合理的な環境整備には,環境整備を受けても障害のために従来の職務を遂行できない場合,職務を遂行できる空席のポストへの配置転換も含まれます。 しかし、空席のポストの職務を遂行できない応募者のためにポストを捜す義務はありません。 事業主は、環境整備として質や量の基準を下げる必要はなく; また個人使用の眼鏡や補聴器などを提供する義務もありません。

適切な環境整備についての決定は、個々の事情に基づくべきです。 特定の合理的な環境整備を選定する際には、適用処置は、平均的な同様の状況にある障害のない者と比べて、障害のある人が同水準の職務遂行レベルに達することができ、また、同等に便益を享受できる機会を供与するものであるかといった、有効性の審査に主眼を置きます。 ただし、環境整備は、公平な結果を保証したり、またはまったく同様の便益を供与しなければならないということではありません。

質問  事業主はいつ合理的な環境整備を供与しなければなりませんか?

回答 事業主には、適格応募者・従業員の既知の障害に対して環境整備を供与することのみが求められます。 その必要性は、通常、障害者本人からの要望をきっかけとし、多くの場合、本人から合理的な環境整備の提案がなされます。 障害の性質と程度および職務要件は個々のケースにより異なるため、環境整備は個々の事情に基づいて供与されなければなりません。 障害者本人が環境整備を要望しない場合、事業主にとって明らかに必要である環境整備が、障害者本人の既知の障害によってそのことを知る能力が阻害されているとき、あるいはその必要性を効果的に伝えることができないときを除き、事業主は環境整備を供与しなければなりません。 障害者本人が環境整備を要望するが提案ができない場合、事業主と障害者本人は共同で適切な環境整備を見つけなければなりません。 様々な公的・私的なリソースが無料で使えます。

質問  合理的環境整備を供与する義務上の制約は何ですか?

回答 環境整備を必要とする障害者は、その他の要件を満たしていなければならず、かつ障害の存在が事業主に知らされていなければなりません。 さらに、事業主は、環境整備が事業主の事業運営に「過度の負担」となる場合には、環境整備を供与する必要はありません。 「過度の負担」とは、多くの要素を考慮して「著しい困難や莫大な費用を必要とする措置」と定義しています。 これら要素には、事業主の事業の規模、資金源、性質、構造に関わる環境整備の性質や費用などが含まれます。 過度の負担はケースバイケースで決定されます。 環境整備がなされる施設が大規模事業体の一部である場合、施設の大規模事業体との財務・管理的関係とともに、大規模事業体全体の資金源および構造が考慮されます。 一般的に、大きな資金源を持つ大規模事業体の事業主は、少ない資金源を持つ小規模事業体の事業主に比べ、大きな努力や費用を必要とする環境整備を供与すると考えられています。

特定の環境整備が過度の負担となる場合、事業主は、困難を生じない別の環境整備を探す努力をしなければなりません。 また、環境整備の費用が事業主に過度の負担となる場合、その過度の負担や環境整備を供与する費用の一部を、障害者本人が負担するといった選択肢が障害者に与えられるべきです。

質問  事業主は既存の施設を障害のある人がアクセスできるように変更・改装しなければなりませんか?

回答 第T編で規定されている事業主の義務は、個々の応募者が応募過程に参加できるようにすること、並びに建物、仕事場、必要な機器・装置および従業員が使用する全ての施設へのアクセスを含め、個々の障害者が職務の基本的機能を遂行できるようにすることです。 例えば、従業員用休憩室が車椅子使用の従業員には利用できないような場所にあったとすると、休憩室には改造や場所移転などの変更が必要となるでしょう、また障害のある人が同僚と共に休憩を取れる同様の施設を用意する場合もあるでしょう。 事業主は、過度の負担とならない限り、このようなアクセスを提供しなければなりません。

第T編では、特定の障害を持つ応募者もしくは従業員が環境整備を必要としないかぎり、事業主は既存の施設をアクセス可能とすることを求めていませんが、この場合、変更・改装は障害者個々の仕事上の必要に応じてなされなければなりません。 ただし、事業主は、応募者が障害者であることも想定されるため、特に応募者のために、通常のアクセスビリティを提供するような変更を率先して考えてゆくべきです。 事業主は、障害者が雇用関連の活動や便益のために使用しないと思われる場所や施設へのアクセスに変更を加える必要はありません。

質問  事業主は、合理的な環境整備として、職務の基本的機能を他の従業員へ移す必要がありますか?

回答 いいえ。 事業主には、合理的な環境整備として、職務の基本的機能を他の従業員へ移す必要はありません。

質問 事業主は、障害のある応募者または従業員の試験を行うにあたり、方法の変更・調整をしたり、他の合理的な環境整備を供与する必要がありますか?

回答 はい。障害による制約を受けない実際的な職務遂行能力の測定を正確に行うために、環境整備は必要不可欠です。 試験は、感覚、発話、手指に障害のある人々に対して実施される場合、試験が職務関連の技能を測定するよう策定されている限りにおいて、障害をうけた技能を使用しない方法で実施されるべきです。

質問  事業主は、現行の生産/職務遂行基準を障害者に適用することができますか?

回答 事業主は、合理的な環境整備の有無にかかわりなく、基本的な職務遂行機能の遂行において、同様の状況にあるその他の障害のない従業員と同様の生産/職務遂行基準を適用することができます。事業主は、また、付帯的機能に関し、その付帯的機能の遂行に障害が影響しない限りにおいて、障害を持つ従業員に、他の従業員と同様の生産/職務遂行基準を適用することもできます。 付帯的機能を遂行する能力が障害の影響を受ける場合、事業主は、職務の再編成など、特定の合理的な環境整備を供与する必要がありますが、職務の基本的機能を十分に遂行している障害者を除外することはできません。

質問  事業主は、特定の出勤・休暇規定を設けることができますか?

回答 事業主は、全従業員を対象として、障害にかかわりなく、共通の出勤・休暇規定を設けることができますが、他の従業員が同様に休暇を取るならば、事業主は障害のある従業員が必要としている休暇を拒否できません。 事業主は、合理的な環境整備として、休暇規定に調整・変更を加えなければならない場合があります。 事業主は追加の有給休暇を提供する義務はありませんが、環境整備には休暇の柔軟性と無給の休暇が含まれます。

米国障害者法は障害のある個人に対してより深刻な影響を与えるため、一律に適用される休暇規定は米国障害者法に抵触しません。 しかしながら、障害者が妥当な環境整備として、その様な規定の修正を要求すれば、それが過度の負担とならない限り、事業主は修正を行わなければなりません。

質問  事業主は、障害のある応募者を採用したり、障害のある従業員の雇用を維持するか否かの決断をする場合、健康・安全を考慮することができますか?

回答 はい。 ADAでは、合理的な環境整備によって「直接的な脅威」を取り除いたり、程度を減じたりすることができない場合、事業主が、本人または他者の健康や安全に直接的な脅威(重大な支障が起こりうる危険性)をもたらす者を排除する資格基準をもうけることを認めています。 ただし、事業主は、脅威が存在することを単に憶測することはできません; つまり、事業主は、職場において重大な危険の発生が危惧されることを、客観的、医学的見地にたつ方法で立証しなければなりません。 事業主には、一般常識や無知、恐れ、えこひいき、固定観念などによらない、信頼のおける、客観的証拠に基づく個別の判断をすることが求められ、ADAでは、職場の安全を保つ上での事業主の法的利益と障害のある人の利益との均衡を保つ必要性を認めています。

質問  現在薬物を違法使用している応募者または従業員はADAで保護されますか?

回答 いいえ。 薬物の違法使用に現在関わっている人は、事業主が薬物使用を理由に処置を行った場合、ADAで保護される「適格障害者」の定義からは明確に除外されます。

質問  ADAにおいて、薬物の違法使用のための検査は許されますか?

回答  はい。 ADAの下では、違法な麻薬使用者か否かのテストは、健康診断とはみなされません; したがって、事業主は応募者や従業員にそのような検査をすることができ、検査の結果による採用決定を行うことができます。 ADAでは、薬物検査を奨励、禁止、または正式に認可していません。

薬物検査の結果によって法律で規定された薬物・その他の医学的情報の存在が明らかになった場合、情報は機密の医学記録として扱われます。

質問  アルコール依存症者はADAの適用を受けますか?

回答 はい。 事業主が薬物の違法使用を理由に何らかの措置をする場合、ADAでは、薬物の違法使用者は保護はされませんが、アルコール依存症者も自動的に保護されないというわけではありません。 アルコール依存症者は障害者であり、職務の基本的機能を遂行できると認められる場合には、ADAで保護されます。 事業主にはアルコール依存症者に環境整備を供与することが必要とされる場合があります。 ただし、事業主は、飲酒が職務遂行や行動上、悪影響を及ぼす場合には、アルコール依存症者に罰則を与える、解雇する、または不採用とすることができます。 事業主は、職場での飲酒を禁止し、従業員にはアルコールの影響を受けないよう要求することができます。

質問  ADAは、連邦・州政府の保健衛生・安全にかかわる法律に優先しますか?

回答 ADAは、その基準が障害者の雇用にマイナスの影響を及ぼすことがあっても、他の連邦法により定められた保健衛生・安全規定に優先するものではありません。 他の連邦法により基準が規定されている場合、事業主はその法律を遵守しなければなりませんが、規定が職務に関連するものであり事業運営上の必要性に合致しているであることを示す必要はありません。 例えば、事業主は米国労働安全衛生局(the U.S. Occupational Safety and Health Administration)の保健衛生・安全要件に従わなければなりません。 ただし、連邦法の基準に違反することなく職務を遂行可能な適格障害者を排除することがないよう、事業主は、合理的な環境整備が供与されているか、他の連邦法の規定に整合しているか、についてADAの下で判断することが義務付けられています。 事業主は、ADAおよびその他の連邦法を遵守することができるのであれば、事業主はそのようにしなければなりません。

ADAは、ADAの要件と矛盾しない限り、公共の健康と安全を守るよう策定されている州や地方の法律に優先されることはありません。 州や地方の法律が健康と安全が脅かされる危険があることを理由に障害者を特定の仕事や専門職から除外する場合、事業主は、ADA基準に照らして、特定の個人が健康や安全に「直接的な脅威」となるか否かについてさらに検討評価する必要があります。 「直接的な脅威」が存在する場合であっても、事業主は、合理的な環境整備を供与することによって脅威を取り除いたり、程度を減じたりすることが可能となるか否か、考慮しなければなりません。 事業主は、差別にかかわる告訴をされないよう防御として、ADAと矛盾する州または地方の法律に依存することはできません。

質問  ADAは労働災害補償制度にどのような影響を及ぼしますか?

回答 ADAの下では、ADAの定義で規定される「障害者」に適合する障害者のみが障害者とみなされ、労働災害補償法やその他の障害者法による補助金の受給基準を満たしているかということは問題にされません。 労働者は、また、ADAの保護を受ける「適格」(合理的配慮のあるなしに関わらず)者でなければなりません。 労働災害は、必ずしも、主要な生活活動を「相当程度制約する」身体的・精神的障害を引き起こすとは限りません。 さらに、職務中の怪我は、短期間に治癒し、長期的または永久的な影響を及ぼすことはほとんど、またはまったくありません。 したがって、労働災害補償法やその他の障害給付法による給付を受ける資格のある怪我などに見舞われた労働者は、ADAの適用対象とはなりません。 事業主は、労働災害について、従業員がADAによる保護を受けるか否かをケースバイケースで検討しなければなりません。

事業主は、条件付き採用決定を行う前に、応募者の労働災害補償記録を照会することはできません。 条件付き採用の後、事業主は、同じ職種の応募者全員に行う健康診断や問診において、労働災害補償記録を調べることができます。ただし、条件付き採用の後でも、事業主は、同職種の応募者全員に健康診断を要求する場合を除いて、問診(健康診断の結果と対照させて)に対する回答が以前の労働災害によるものであることを理由に、採用内定者に健康診断を受けるよう求めることはできません。 また、事業主は、将来における応募者への補助金の増加などの予測に基づいて、採用決定を行ってはなりません。 ただし、本人や他者の健康や安全を著しく脅かすような重大な危険性が合理的な環境整備によっても排除あるいは軽減不可能である場合には、事業主は、その危険性について触れることなく、職務遂行能力に欠ける個人の採用を拒否したり、解雇を行うことができます。

事業主は、本人の状態や労働災害補償記録に関する、法律で認められた採用後の質問に対し、故意に虚偽の回答を行う者に対し、採用の拒否または解雇を行うことができます。

事業主は、従業員と応募者(条件付き採用後)の医学的情報および記録を、ADAの守秘義務に違反することなく、州の労働災害補償事務所および「二次障害」基金に提出することができます。

質問  ADAの「関係または交際」を理由とする差別とは何ですか?

回答 ADAは、障害のある人との関係が職務遂行に影響を及ぼすという根拠のない憶測による行為、あるいは特定の障害に関する偏見や誤解による行為に起因する差別を禁じています。 例えば、この規定では、事業主がこの応募者は配偶者の介助の為の休暇を過剰にとるのではないかという根拠の無い想定を理由に雇用を拒否することがないよう、配偶者が障害者である個人を保護します。 規定ではさらに、エイズ患者のためのボランティア活動をする人を、関係や交際が動機となっておきる雇用差別から守ります。

質問  どのように雇用条項が施行されますか?

回答 ADAの雇用条項は、1964年の改正公民権法第7編、および1991年の公民権法により、人種、皮膚の色、性別、国籍、宗教に基づく差別に適用されている同様の手続きが実施されます。 1992年7月26日以降に起きた行為に対する申立は、雇用機会均等委員会(Equal Employment Opportunity Commission)に提起されるか、州の人権機関に委任されます。 可能な救済措置としては、採用、復職、昇格、バックぺイ、フロントペイ、手当給付再開、合理的な環境整備、弁護士費用、専門家証言費用、および裁判費用などがあります。 補償的・懲罰的な損害賠償は、意図的差別の場合または事業主が合理的な環境整備を誠実に供与しなかった場合に適用されます。

質問  事業主の合理的な環境整備の供与やADA遵守の支援策としてどのようなものがありますか?

回答 特別な税額控除(tax credit)によって、中小事業の事業主はADAに定められた合理的な環境整備を供与できるように支援されています。 適格な中小企業は、ADAに準拠するために供与された環境整備に対し、年間に5,000ドルを限度に税額控除を受けることができます。250ドル以上10,250ドル未満の範囲で「控除を認められる超過費用」の半額が控除の対象となります。

どのような企業も、適格建造物の移動または交通上のバリアを取り除くための費用についても、年間15,000ドルまでを限度に、所得控除(tax deduction)が認められています。 対象となる費用とは、階段、狭い出入り口、アクセスできない駐車場、トイレ施設、交通車両にかかわるバリアを取り除くための費用です。 税額控除と所得控除に関する情報は地方国税局事務所(IRS)で入手するか、国税局の法律顧問室(the Office of Chief Counsel、Internal Revenue Service)に照会できます。

税額控除は、税額控除適用職種制度(Targeted Jobs Tax Credit Program、TJTCP)により、州・地方の職業リハビリテーション機関、州の視覚障害委員会(State Commission on the Blind)、または退役軍人省を通じて障害者の事業主に適用され、州の雇用サ-ビス機関が認証します。 TJTCP制度のもと、税額控除は、新規雇用の障害者の初年度給与の最初の6,000ドルの40%までに適用されます。 この制度は、議会により、毎年再認可されなければならず、現在は1993年6月30日まで延長されています。 TJTCPに関する詳細な情報は、州雇用斡旋機関(the State Employment Services)または障害のある人雇用に関する州知事委員会(State Governors'Committees on the Employment of People with Disabilities)で入手できます。

質問  ADAの雇用条項において、事業主の記録保持義務とは何ですか?

回答 事業主は、応募者の応募書類およびその他、合理的な環境整備の要請、昇格、降格、異動、一時帰休、契約満了、賃金または諸手当条件、訓練・見習の選考雇用に関する記録を、記録後または記載された措置がとられた後(どちらが後になっても)、1年間の保管を義務付けられています。 差別の申し立てが提起されるかEEOCによる提訴がなされた場合、事業主は提訴関連の全ての人事記録を申し立てが最終決着に至るまで保管しておかなければなりません。

質問  ADAは、事業主にADA規定を説明する通知の掲示を求めていますか?

回答 ADAでは、事業主は、ADAの条項の説明を掲示するよう要求しています。必要に応じて障害者がアクセスできるように掲示しなければなりません。EEOCから入手できるポスターには、ADAおよびEEOCが施行責任を有する差別禁止に関する他の連邦法の要件の概要が示されています。EEOCは、障害のある人の理解を得やすい形式にする手引書も提供しています。

質問  雇用機会均等委員会(EEOC)は事業主と障害者の理解を助け、かつ、ADA雇用要件の準拠に役立つどのようなリソースを提供できますか?

回答 雇用機会均等委員会(EEOC)は、事業主と障害者がADAの雇用規定を理解・遵守できるよう、資料をいくつか開発しました。

リソースには下記が含まれます:

1. ADA雇用規定に関する「ハウツー」ガイドとなる、また、特定の情報を探し出す手伝いをする技術支援マニュアル(Technical Assistance Manual)。

2. 種々のパンフレット、小冊子、ファクトシート。

州・地方政府

質問  ADAは州・地方政府に適用されますか?

回答 ADA第II編では、全てのプログラム、活動、公共機関によるサービスにおいて、適格障害者に対する差別を禁じています。 この法律は全ての州・地方政府に適用され、省庁、補助部門、州・地方政府の特別目的区すべてに適用されます。 この法律では、連邦助成金を受けている公共輸送機関のための1973年のリハビリテーション法(Rehabilitation Act of 1973)第504条の定めを明確に述べており、さらには、連邦助成金の有無にかかわらず、全ての輸送関連の公共事業体にも適用されます。 ADAは、公共輸送機関の運用基準を定めており、通勤、都市間連絡交通(AMTRAK)にも適用されます。

質問  州・地方政府に対する要件はいつから施行されるのですか?

回答  一般的には、1992年1月26日から施行されました。

質問  第U編は、州・地方政府のプログラム、活動、サービスにどのような影響を及ぼしますか?

回答 州・地方政府は、その要件が、サービス、プログラム、活動の規定に対して必要であることを明確化することができない限り、障害者を審査する、または結果として審査することになるような、プログラム、活動、サービスへの参加に関する適格基準を排除しなければなりません。ただし、州・地方政府は、障害者に対する固定観念や一般論でなく、発生しうる危険に基づくものである場合には、安全運用のために適法の安全基準を導入する必要があります。 さらに、公共事業体は、差別をなくすための政策、慣行、手続きを適宜修正しなければなりません。 公共事業体が特定の修正によって、サービス、プログラム、活動などが根本的に変わることになることを明示できれば、修正・変更を行う必要はありません。

質問  第U編は公共事業体の雇用規定と慣行に適用されますか?

回答 はい。 第U編では、労働者の人数にかかわりなく、全ての公共企業体による適格障害者に対する雇用上の差別を禁止しています。第U編の雇用条項に加えて、ADA第T編、1973年のリハビリテーション法第504条では、特定の公共事業体による適格障害者に対する差別を禁じています。

質問  公共事業体は、既存の施設を障害のある人がアクセスできるように、どのような変更をしなければなりませんか?

回答 公共事業体は、現存の建物がアクセスできないことを理由に、障害者がサービス、プログラム、活動から排除されないようにしなければなりません。州・地方政府のプログラムは全体的に、障害者にアクセス可能、利用可能となるよう策定される必要があります。「プログラム・アクセシビリティ」として知られているこの基準は、1992年1月26日現在存在する公共事業体の施設に対して適用されます。 公共事業体は、必ずしも既存の施設の個々についてアクセス可能とする必要はありません。 プログラムへのアクセスを可能にする方法には、既存施設の変更、追加施設の取得・建設、サービスやプログラムのアクセス可能な施設への移動、アクセス可能な代替施設でのサービスの提供など、多々あります。

質問  プログラム・アクセシビリティを達成するための構造的変更は、いつ行われるべきですか?

回答 プログラム・アクセシビリティに必要な構造的変更は、可能な限り迅速に、遅くとも1995年1月26日までには行われなければなりません。 この3年間は猶予期間ではなく; 全ての変更はできる限り速やかに完了させなければなりません。 50人以上を雇用している公共事業体は、1992年7月26日までに移行計画を立案し、変更を完了するために必要なステップを設けることが義務付けられています。

質問  自己評価とは何ですか?

回答 自己評価とは、公共企業体の現在の政策と実施状況の評価制度です。 自己評価は、第II編の要件に適合しない政策と慣行を特定し、是正します。 すべての公共事業体は、自己評価を1993年1月26日までに完了しなければなりません。 50人以上を雇用している公共事業体は自己評価を3年間保管することが義務付けられています。 他の公共事業体には自己評価の保管は義務付けられていませんが、第II編の要件を遵守しているとの証拠書類となるため自己評価の保管は奨励されています。

質問  第II編は新築と改築において何を求めていますか?

回答 ADAは、州・地方政府によって建設された全ての新築建物は、全ての人にアクセス可能であることを求めています。さらに、州・地方政府が建物の改築・改装を行う場合、改築・改装された場所は全ての人にアクセス可能であるようにしなければなりません。

質問  どのようにして州・地方政府は新規の建物がアクセス可能と判断するのですか?

回答 州・地方政府は、2種類のアクセスビリティ基準のうちの一方に従うのであれば、新規建設と改築・改装においてADAを順守することになります。 州・地方政府は、ADAの第III編に基づいて、公共施設および商業施設に使用されなければならない、建造物のアクセスに関する連邦統一基準、または米国障害者法アクセシビリティ・ガイドラインのいずれか一方の基準を選ぶことができます。 州・地方政府がADAアクセシビリティ・ガイドラインを選択した場合、エレベーター免除の資格を得ることはできません(エレベーター免除は、3階以下または床面積3,000平方フィート以下の特定の民間建物に対して、エレベーターの設置義務を免除しています)。

質問  911番のような公共事業体の緊急電話サービスには、どのような要件が適用されますか?

回答 緊急電話サービスを提供する州・地方の関係機関は,電話によるコミュニケーション手段としてTDDやコンピュータ・モデムを使用している人に対して,「ダイレクト・アクセス」を用意しなければなりません。 第三者を介したり、または連携サービスを通じての電話アクセスはダイレクト・アクセスの要件を満たしません。 911電話サービスを提供している公共事業体は、非音声の利用者が911番にアクセスできる唯一の方法として、別の7桁電話回線に代替することはできません。 ただし、公共事業体は、911回線へのダイレクト・アクセスに加えて、別途、7桁電話回線を非音声の電話利用者の専用として提供することができます。

質問  第II編では、緊急電話サービスは非音声通信方式と全て互換性がなければならないと定められているのでしょうか?

回答 いいえ。 現在、緊急電話事業は「ボド」方式(Baudot format)とだけは互換性がなければなりません。 技術的に、他の方式での通信に信頼性があり、緊急電話環境において互換性があるとされるようになるまで、公共機関には「ボド」方式(Baudot format)以外でコンピュータ・モデムに「ダイレクト・アクセス」をするようにと義務付けられることはないでしょう。

質問  州・地方政府に対するADA要件はどのように施行されるのですか?

回答 個々人は,第II編に基づく権利を行使して提訴し,妥当な弁護士費用など,1973年のリハビリテーション法第504条に定められている救済措置を受けることができます。 個々人は、司法省(Department of Justice)や運輸省(Department of Transportation)など、8つの指定連邦機関に不服申し立てを行うこともでききます。

公共施設

質問  公共施設とは何ですか?

回答 公共施設とは,公共施設の場所を所有,運営,賃借,賃貸する民間機関を指します。 公共施設の場所には、レストラン、ホテル、劇場、医院、薬局、小売店、博物館、図書館、公園、私立学校、デイケア・センターなど、様々な事業体が含まれます。 私的クラブや宗教団体は、ADAの公共施設に関する第III編の要件からは除外されます。

質問  ADAは、誰が受益者であるかを公共施設側が判断する際に使用する資格規準に影響を及ぼしますか?

回答  はい。 規準が障害のある人を選別する、あるいは選別する傾向にあるならば、サービスの提供に必要な場合にのみ使用することができます。 例えば、小売店が聴覚障害のある人を敷地内に入れないとするルールを定めることは違法であり、また、映画館が脳性麻痺者を除外することも違法です。 より微妙な形での差別も禁じられています。 例えば、小切手支払の為に、唯一の身分証明の手段として運転免許の提示を求めることは視覚障害のある人に対する差別行為とされます。 こうした人々が免許取得に不適格で、代替の身分証明の方法が使用できることがあっても、差別行為となります。

質問  ADAは、公共施設が障害のある人へのサービスの提供にあたって、安全性を考慮することを認めていますか?

回答 ADAでは,個人が,公共施設の規定や手続きに適切な変更を行っても,あるいは補助策によっても緩和できない,他者の健康や安全に直接的な脅威を与える場合,公共施設は個人を排除することができると明白に定めています。 公共施設は、運営上の客観的安全基準を設定することができますが; いかなる安全基準も、活動に参加する障害のある人について、固定観念や一般的観点によらない、客観的要件に基づいたものでなければなりません。

質問  ADAでは、規定、慣行、手続きにおける改変・修正の種類に制限を設けていますか?

回答 はい。 ADAでは、公共施設が提供するサービスの性質を根本的に変えるような変更を求めていません。 例えば、熱傷患者だけを治療する専門医が、聴覚障害のある人を四肢骨折や呼吸器疾患の治療のために、他の医者に紹介することは差別ではないでしょう。 専門外の患者を受け入れるように医師に求めることは、医療行為の本質を根本的に変えることになります。

質問  ADAでは、聴覚障害のある人または視覚障害のある人とのコミュニケーションを確実にするために、どのような補助支援とサービスが必要とされていますか?

回答 適切な支援とサービスには,有資格の手話通訳者,補聴器,聞き取り記録者,聴覚障害のある人のための資料といったサービスや機器; そして、有資格の朗読者、録音テープ、点字または拡大印字による情報なども含まれます。

質問  ADAの支援要件に制限はありますか?

回答 はい。 ADAでは、過度の負担となる、または公共施設が提供するモノやサービスの性格を根本から変化させるような支援の提供を要求していません。 ただし、公共施設は、可能であるならば、根本的変化をもたらすことがない、あるいは過度の負担になることがない場合、代替の補助支援を備える義務を免れるわけではありません。 双方の制限は、リハビリテーション法第504条のもと、現存の施行規則と判例法から推論され、事例ごとに決められます。

質問  レストランは点字メニューを用意しなければならないのでしょうか?

回答 いいえ。ウエイターまたは他の従業員が視覚障害のある人にメニューを読んであげることが不可能である場合以外には不要です

質問  衣料品店は点字の値段票を付けなければなりませんか?

回答 いいえ。尋ねられた時,販売員が口頭で価格を知らせることができるのであれば不要です。

質問  書店は、聴覚障害の顧客との意思疎通のために手話通訳者を従業員として雇用する必要がありますか?

回答 いいえ。従業員が適宜にペンやメモ用紙などで意思疎通を図ることができれば不要です。

質問  現存の施設において、ADAのバリア除去要件に制限はありますか?

回答 はい。 バリア除去は「直ちに達成できる」場合にのみ完了させる必要があります。

質問  「直ちに達成できる」はどのようなことを意味していますか?

回答  それは「多くの困難や経費を供なわないで簡単に達成できる」ことを意味します

質問  多くの場合において、直ちに達成できる修正の典型的事例はどのようなものですか?

回答 そういった事例として,数段の階段を傾斜路に変更する,壁の定期的補強を行う個所に手すり棒を設置する,電話を低い場所に置き変えるなど,小規模な手直しがあります。

質問  企業では家具や陳列棚の配置換えをしなければなりませんか?

回答 おそらく必要でしょう。 例えば、レストランは食卓を並び替える必要があったり、百貨店では車椅子の人がアクセスしやすいように陳列棚の配置変えをする必要があるかもしれません。

質問  企業はエレベーターを設置しなければなりませんか?

回答 企業では,追加設置が難しい場合が多く,直ちに設置できなければ,エレベーターを後から取り付ける必要はありません。

質問  バリア除去が直ちに達成できない場合、ADAではどのような代替策を定めているのですか?

回答 代替策として,アクセスしにくい棚から商品を移動する,食料品の宅配,ドライクリーニングの授受のためにドアまで行くといった店内補助サービスなどがあります。

質問  代替策は、経費に関わらず行わなければなりませんか?

回答 いいえ。直ちに実行可能な代替策以外行う義務はありません。

質問  多店舗事業では、どのようにして「直ちに達成できる」と判断するのですか?

回答 公共施設のアクセス改善措置が「直ちに達成できる」かを判断する際には,事業体または親会社の全体規模のみが考慮の対象要素となります。 ADAでは、特定施設や関連施設の財源、および施設と親会社との管理運営・財務上の関係を検討要素として認めています。

質問  公共施設が賃貸の場合、ADA遵守の責任は誰にありますか、家主ですかテナントですか?

回答 ADAでは、バリア除去、支援・サービス提供の法的義務を家主、テナントの双方に課しています。家主とテナントは、契約上で、実際に誰が変更をするのか、あるいは誰が支援とサービスを提供するのか、決めることができますが、双方に法律上の義務は存在します。

質問  ADAでは、新築の際には何を義務付けていますか?

回答 ADAでは、公共施設の全ての新築建物、およびオフィスビルのような商業施設にも、アクセシビリティを求めています。 エレベーターは、通常は以下のような場合を除いて、3階以下または床面積が3,000平方フィート以下のものについては必要ではありません;建物がショッピング・センターやショッピング・モール; 保健衛生管理関連の事務所; ターミナル、倉庫、他の公共旅客輸送施設; 空港旅客ターミナル。

質問  全ての新規に建設された公共施設と商業施設をアクセス可能にするのは、高額の費用がかかりますか?

回答 新規の建物にアクセシビリティ向上のための設備を組み込むための費用は建設費用の1%以下です。 これは、雇用機会の拡大や個人消費の増加、福祉依存の減少など、将来において、アクセスビリティから得られる多大な経済効果に比べると、小額です。

質問  新設施設のどの設備もアクセスできるようにする必要がありますか?

回答 いいえ、駐車場と水飲み場など特定数の場所のみが「直ちにアクセス可能」施設としなければなりません。エレベーター・ピット、エレベーター塔屋、配管や装置用の通路などへのアクセスは求められていません。

質問  ADAの施設変更要件は何ですか?

回答 施設の利便性に影響を及ぼす変更はすべて、可能な限り、アクセスビリティを考慮して行われなければなりません。一例として、施設修復時に出入り口が移転されるなら、新しい出入り口は、新しいアクセスビリティ規準を満たすように十二分に広くなければなりません。 変更が設備の主要個所、銀行のロビー、社員食堂の食卓周辺に行われる場合、変更箇所への通路が確保されなければなりません。

洗面所、電話、水飲み場もアクセス可能としなければなりません。 これらの追加的変更は、最大でも修復費用全体の20%を超えることはありません。 エレベーターは、通常は以下のような場合を除いて、3階以下または床面積が3,000平方フィート以下のものについては必要ではありません;建物がショッピング・センターやショッピング・モール; 保健衛生管理関連の事務所; ターミナル、倉庫、他の公共旅客輸送施設; 空港旅客ターミナル。

質問  ADAは、障害のある人が、差別が生じそうである、あるいは差別が差し迫って生ずるに違いないときに、企業を提訴することを認めていますか?

回答 ADAの公共施設規定では、個人が、正当な信念に基づいて、差別が起きそうであると申し立てることを認めています。 規定では、例えば、車椅子使用者が、ショッピング・モール等の公共施設の建築される予定の新しい場所へのアクセスが車椅子ではできないことを理由に異議申し立てすることを認めています。 アクセスできない施設の建設に先立つこうした申し立ての解決には、変更のための費用がそれほど掛からない場合に、計画段階で救済措置を建物に組み込む方法をとることができます。

質問  ADAはどのように現存の州・地方の建物に関する法規に影響するのですか?

回答 現行の法規は有効です。 ADAでは、州法、地方の建築法、またはアクセスビリティ要件を公共施設や商業施設に規定している類似の条令を、司法長官が認証することになっています。 州・地方政府は、法律や条令の認可申請をします。 司法長官は、事前通達および障害のある人を含む公聴会の後に認可を行うのですが、公聴会では関係者に証明に対し証言する機会が与えられます。

質問  州・地方の法律や条令の認証はどのような影響を及ぼしますか?

回答 認証は、認可された法律や条令に沿って事業体が建設または変更を行う場合に有利となりえます。 誰かが事業体を訴えた場合、認証は、州法または地方条令がADA要件に合致または最低要件を満たしているとして「反駁の為の証拠」とみなされます。 つまり、事業体は、建設または変更がADA要件に合致して行われたと主張することができます。

質問  公共施設規定は、いつから施行されますか?

回答 一般的に、1992年1月26日から施行されました。

質問  公共施設規定はどのように施行されるのですか?

回答 個々人は差別をやめるようにという裁判所命令を得ることができる訴訟を提起できます。 さらに、社会的重要性に関わる場合、または差別の「典型または慣例」が申し立てられた場合、提訴の権限が付与されている司法長官に異議申し立てを行うことができます。 この場合、司法長官は金銭的および公民権罰則を求めることができます。

公民権罰則は、最初の違反に対しては50,000ドルを超えることがなく、以後の違反に対しては100,000ドルを越えません。

その他

質問  連邦政府はADAが適用されますか?

回答 ADAは連邦政府の行政部門を適用対象としていません。 行政部門は、障害を理由としたサービス・雇用上の差別を禁じ、ADA要件のモデルとなっている、1973年のリハビリテーション法第V編の適用を受けます。 ただし、ADAは、連邦議会ならびに他の連邦政府の立法機関には適用されます。

質問  ADAは民間アパートや個人住宅にも適用されますか?

回答 ADAでは、厳密には、個人所有のアパートや個人住宅に適用されません。 ただし、医院やデイケア・センターなど公共施設が個人の住宅に在る場合、これらの住区域はADA要件が適用されます。

質問  ADAは航空輸送に適用されますか?

回答 雇用以外の分野では、航空会社による差別はADAで規制されるのでなく航空運輸法令(Air Carrier Access Ac)による規制を受けます(49 U.S.C. 1374(c).

質問  公共交通のバスに対するADAの要件は何ですか?

回答 運輸省は、アクセスできる公共交通の車両と施設のアクセスビリティを義務付ける規定を公布しました。 規定では、全ての改修工事済の道路や公共交通のバスはアクセス可能であること、また改修されたバスを利用できない障害のある人に対しては、補助的な代替輸送サービスが用意されることを規定しています。 運輸省への照会は30頁を参照して下さい。

質問  ADAではどのようにして電気通信をアクセス可能とするのですか?

回答 ADAは、視覚障害用の通信機器や類似の機器を使用している障害のある人のためにリレー電話の設置を要求しています。 連邦通信委員会(the Federal Communications Commission)は、これらサービス規準を明記する規定を発布しました。

質問  企業には、法律を遵守するために必要な費用にかかわる税優遇措置が与えられていますか?

回答 1990年の改正のように、国内税法(the Internal Revenue Code)では、年間最高15,000ドルを限度として、必要条件を備えている建築と輸送バリアを除去するなどの費用の控除を認めています。

1990年の改正では、適格中小企業に、ADA遵守のための費用に対して税額控除を認めています。 適格中小企業とは、総収入が1,000,000ドルを超えないか、または常勤の従業員数が30名を超えない企業をいいます。 適格企業は、条件を満たしているアクセス費用の、250ドル以上、10,250ドル未満の範囲で、50%までの費用を申請することができます。 条件を満たしているアクセス費用とは、建築上・身体的・通信・輸送などにおけるバリアの除去費用; 朗読者・手話通訳・補足的援助の費用; 機器の購入・改造費用などを指します。

この資料は以下の方法で入手が可能です: - 点字版-拡大印刷版-カセットテープ版-コンピュータ・ディスクや電子掲示板用の電子ファイル版(202)514-6193。 注: この資料の複製を奨励します。 改定: 1992年9月。

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