症 例:17歳、男性。
既往歴:特記事項なし。
現病歴:死亡約6週間前より発熱が出現した。死亡10日前に
腹部CT検査にて両側副腎腫大、
胸部CT検査にて右肺に腫瘤陰影を指摘された。
免疫学的検査にて血中Ferritin、可溶性Interleukin-2 receptor(IL-2R)及びβ2-microglobulinの高値を指摘された。死亡1週間前にはDIC及び下血を示し、この時施行された
骨髄検査では血球貪食像を呈した。その後多臓器不全に陥り死亡した。
剖検時、
副腎重量は左90g、右25gと著明な腫大と重量増加を示した。肉眼的に副腎割面の大部分は帯黄灰白色、充実性で、辺縁には灰白色、髄様の部分を伴い、既存の副腎組織はごく一部に残存するのみであった。組織学的に副腎では広範な凝固壊死及び副腎辺縁における大小の不整形あるいは多形性の顕著な核を持つ異型リンパ球の瀰漫性増殖と副腎外への浸潤像を認めた。免疫組織化学的に異型リンパ球はCD45RO(UCHL-1)、TIA-1、Granzyme
Bが強陽性、CD56が弱陽性であったが、CD20(L26)、CD5、CD10、ALK-1、CD57は陰性であった。またin
situ hybridization法により異型リンパ球にはEBV
encoded small nuclear RNA1(EBER1)の強いシグナルを認めた。
腹部傍大動脈、
腸間膜、傍気管、膵周囲リンパ節は最大径1cm大に腫大し、融合像は示さなかったが、割面の一部は髄様であった。組織学的にリンパ節では、リンパ濾胞は消失したが、リンパ洞を中心に異型リンパ球の浸潤を認めるのみであった。
空腸には異型リンパ球の血管破壊性、一部血管中心性浸潤による虚血性壊死性小腸炎を認めた。これに伴い
消化管内には約300mlの血性内容物が見られた。骨髄及びリンパ節において異型性は乏しく類円形核と豊富な泡沫状細胞質を持つ大型組織球による血球貪食像が見られた。また肉眼的に横隔膜に病変を見出せなかったが、組織学的には横紋筋線維の萎縮、筋鞘核の明瞭化、リンパ球の浸潤を伴う変性像を認め、横紋筋融解像であった。これらは高サイトカイン血症による変化と考えた。
腎臓は重量右190g、左160gであった。組織学的に腎臓では一部の糸球体毛細血管内にはフィブリン血栓の形成を認めた。また両肺に瀰漫性、主気管支、咽頭、食道、膀胱、横隔膜及び胸腹部皮膚には限局性の新鮮出血を認め臨床的に指摘されたDICを裏付ける所見であった。
その他の副病変としては、両肺の高度の急性鬱血水腫と肝臓の小葉中心性肝細胞変性ないし凝固壊死、精巣の精子低形成などが挙げられる。
直接死因としては、DICによる循環不全に基づく多臓器不全が重視される。
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問題点:組織診断と治療
プレゼンテーションスライド
現病歴 入院時現症 胸部CT(死亡6日前)1、
2、
腹部CT(死亡6日前)1、
2 頭部CT(死亡6日前)
検査所見(死亡5日前) 骨髄像 臨床経過図 臓器マクロ像
胃 右肺1 右肺2 右肺3 右肺4 右肺5 回腸 肝臓1 肝臓2 肝臓3 骨髄 左肺1 左肺1 心臓
腎臓 腸間膜 副腎 脾臓 膵臓胆嚢