良性腫瘍、悪性腫瘍

腫瘍には、大きく分けて、良性のものと悪性のものがあります。悪性腫瘍というのは、一般に呼ばれる「癌」とほとんど同じ意味と考えてもらってもよいと思います。

脳腫瘍の場合は、悪性のものでも、癌という呼び方はしません。それには理由があるのですが、一般の方には、悪性脳腫瘍=癌と考えてもらっても大きな違いは無いと思います

ある腫瘍が、悪性か、良性かという場合、次に述べる三つのポイントに違いがあります。

(1)腫瘍の大きくなるスピード

腫瘍の大きくなるスピードは、悪性の方が速く、良性のほうが遅いということになります。

(2)周りの組織への進展の仕方

良性の腫瘍は、周りの組織を圧迫するような形で大きくなっていくのに大して、悪性の腫瘍は、周りの組織に、いわば染み込むようにして大きくなっていくという特徴があります。したがって、良性腫瘍では、周りの正常な組織との境界がはっきりしているのに対して、悪性腫瘍では、 この境界がはっきりせず、一見正常な組織に見える部分にも、既に腫瘍の細胞がもぐりこんでいるということがあります。

(3)転移

脳腫瘍の場合は、全身に転移することは極めてまれですが、悪性度の強い脳腫瘍の場合には、脳脊髄液の流れにのって、脳のほかの部位や、脊髄に、腫瘍が拡がる場合があります。このような現象を髄膜播種(ずいまくはしゅ)と呼びます。