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APRV初心者です
日時: 2008/09/20 08:15:16
名前: お天気お姉さん

皆様おはようございます。初スレたたさせていただきます。

最近某メーカーのAPRVが話題だと聞いていますが、他の機種のBILEVELやBiventでは擬似APRVしかできないと聞きました。
その一番の違いはHiPEEPとLoPEEPの相の切り替わりに患者と同期しないというのが特徴らしく、同期しないことで適切な内因性PEEPを獲得して、時定数の異なる肺を適切に換気させることを目的としていることまでは自力で理解できたのですが・・・。

同期しなかった場合、
1:HiPEEPから圧がリリースされる際に患者が吸おうとしたら?
2:逆にLowPEEPから圧がかかる時に患者が呼気をしようとしたら?
どうなるのでしょうか?どうなるというか、患者に影響は???
結局、APRVの方が良い時もあるし、BilevelやBivevtを使って擬似APRVのほうが良いというときはあるのでしょうか?

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Re: APRV初心者です ( No.1 )
日時: 2008/09/20 20:38:29
名前: ももたろ・う

某メーカーのAPRVとはEVITA、それも現行のXLが搭載しているAPRVでの事柄ですね。

一番の違いと記されたHigh-Low PEEP切り替え時に自発呼吸に同期しないというのは確かですが、それがEVITAのAPRVが優れていると思われる理由ではないと思いますよ。

確かに同期すれば内因性PEEPは獲得しにくくなることには間違いありません。それがネックになるのはWest triangleでいうところのZONE 3の部分に対してであり、内因性PEEPが施されていればこのエリアは気道を開通したままに出来ることから、酸素と二酸化炭素の拡散促進が可能となり、自発呼吸時に横隔の動きの大きなこの部分の特性と相まって、より有効な換気特性を作り出せることとなります。

内因性PEEPですのでZONE1の部分にはPEEPはかかりません。元々重力的特性や臓器自体の重みの影響が少ないこの部分はPEEPを施さなくても肺胞虚脱はおきにくく、逆にPEEPを施すことによって肺毛細管血流を減らしてしまうという危険性があります。換気設定で獲得された内因性PEEPの特性ではZONE 1にはPEEPは施されませんので、ある意味では理想的といえるでしょう。

でも本当にEVITAのAPRVが優れている理由は上記が主ではないと思います。High PEEP時のOpen Valveの特性の上に作り出された自発呼吸環境にあると思うのです。Open Valveの詳細はDrager文庫内の「BIPAP* Two Steps forward in Ventilation (英語版)」にある程度の記載があるので省略しますが、EVITAのAPRV high PEEP(Low PEEPにおいても同様に)で行われる自発呼吸には、吸気の検出(吸気トリガー)も吸気終了Terminationも存在していません。患者さんが吸い始めると同時に吸気フローを供給して、吸い終わると同時に吸気フローは終了します。吸気や呼気のトリガー設定は存在していません。かなり繊細な呼気弁コントロール(それがOpen Valveなのですが)を行っているので、患者さんの自発呼吸プロフィールに合致した吸気呼気フロー特性になります。

以下はグラフィックセミナーで一部分を話し、また今後行われるNPOの人工呼吸セミナーで詳しく話す予定にしている内容です。

人工呼吸時に自発呼吸ドライブを残す手法は今現在のスタンダードです。そのメリットは今更ではありませんが、横隔の動きや自発呼吸パターンに対して忠実にフローを送ることは重要なことです。しかし一般的に用いられているPSVは、吸気Triggerや吸気Terminationを設定しなくてはならないために横隔の動きや患者さんの呼吸パターンに合致しているものとは言い難く、実際にはDouble breathやEarly terminationやP.musとの解離などが起きていて、完全に自発呼吸をサポートしているものではありません。またPSVのフローパターンは漸減波、または対数波形であって、横隔の動き(Profile)に追従したものかといえば、それは理想には遠く及ばない波形、パターンです。

気管内チューブなどの気道抵抗を考えれば、人工呼吸器側で表現される吸気フローは漸減波でも良いのかもしれません。しかし吸気フロー制御、呼気弁制御の性能が良くなれば、さらにTCやATCなどの気道抵抗補償機能が充実して、気道抵抗そのものがキャンセル出来るようになれば、横隔の動きに忠実なフローを送り出し、また吸気終了までフロー制御を行うことが出来るようになります。

上記の特性を有するAPRVはEVITAにしか存在していないのです。 他の機種でHigh PEEP時に自発呼吸をサポートしているのはOcmH2OのPSVです。吸気triggerも吸気terminationも動作している漸減波のPSVなのです。そのため、本当に患者さんの呼吸、気道状態を把握、評価出来るのはEVITAのOpen valve特性のもとで動作するAPRVしかないのです。(私の勤務環境ではPB840のPAVを使用することで、吸気時の状態をある程度までは表現させ、把握することは可能です)

とまぁ、ここまでの数行は11月8日のセミナー時に詳細を話します。


長くなりましたが、ご質問の
>同期しなかった場合、
>1:HiPEEPから圧がリリースされる際に患者が吸おうとしたら?
>2:逆にLowPEEPから圧がかかる時に患者が呼気をしようとしたら?

全く問題ありません。APRVの極端な短い時間のRelease areaでは呼吸ができません。自発吸気の開始時間や吸気最中であったり、同じく呼出開始やの呼気の最中であったりする場合はあるでしょう。しかしその時の自発位相による気道内圧の変化は、直後のAPRV動作で作られる気道内圧で相殺され気道内圧はすぐに調整されてしまいます。Release areaは酸素と二酸化炭素の入れ替えが行われるだけです。それが吸気の最中であろうが、呼気の最中であろうが、患者さんの自発呼吸には何も影響はありません。肺胞内圧はゼロではないのです。循環にも呼吸仕事量にも大きな影響を与えることはないのです。Release timeは影響を与えるほど長い時間ではないのです。

以前、その特性を嫌ってBIPAP modeでAPRVを行っていた時期もありましたが、APRV modeの特性にはかなわないため、今現在はBIPAP modeのAPRVは使用しません。APRVのために人工呼吸器を交換までしてもEVITAでAPRVを行います。一時的に時間稼ぎのためにも他機種のBILEVEL、BIPHASICを使用することはあります。

APRVを行う時にはAPRVで、IRVを行う時には(同期させた場合を含め)BILEVELやBIVENTやBIPHASICでの換気設定を行えば良いのではないでしょうか? Dr.Lachmannが唱える内因性PEEPを積極的に利用したAssist control ventilationの場合にはAPRV不向きで、BILEVELやBIVENTやBIPHASICのほうが良い環境に持ち込めます。
Re: APRV初心者です ( No.2 )
日時: 2008/09/21 01:05:39
名前: お天気お姉さん

はぁぁぁぁ、全く問題ないのですね。
凄く良くわかったような気がします(ホントは半分も理解できてないかも、何度も読み返してみます)
ただ、本当に勉強になりました。APRVは教科書ではほんの数行程度しか記述がないため、なかなか知識を深めることができません。実際にテスト肺で使用してみるのが一番ですね。
オープンバルブのほうもちゃんと理解するためドレーゲル文庫のほうを探してみます。色々出てきそうですね。
博識ですねぇ〜。セミナー是非聞いてみたくなりました!
・・・ホント奥が深い・・・
早いお答え本当にありがとうございました。
Re: APRV初心者です ( No.3 )
日時: 2008/09/21 09:46:20
名前: HANA

APRVではPSVをかけないと同様ATC、TCもOFFのほうがよろしいのでしょうか?
PSvやTCは ( No.4 )
日時: 2008/09/21 11:31:28
名前: ももたろ・う

PSVやTCを使用するのはAPRVではありません
Re: APRV初心者です ( No.5 )
日時: 2008/09/21 14:55:56
名前: HANA

お早い回答ありがとうございます。

でもなぜHigh PEEP でのPSV、ATC・TCはよろしくないのでしょうか?

せっかくの肺胞・気道開通状態を乱すためなのでしょうか??


Re: APRV初心者です ( No.6 )
日時: 2008/09/21 15:47:28
名前: お天気お姉さん

HANA様、横からしゃしゃり出てすみません。
私自信APRVについてももたろうさんほど良く説明できないので、何度も読み返したところ、APRVのHigh PEEPでPSVを使用しない理由はももたろうさんのお話にあったので引用させていただきます。

 >他の機種でHigh PEEP時に自発呼吸をサポートしているのはOcmH2OのPSVです。吸気triggerも吸気terminationも動作している漸減波のPSVなのです。そのため、本当に患者さんの呼吸、気道状態を把握、評価出来るのはEVITAのOpen valve特性のもとで動作するAPRVしかないのです。

 >EVITAのAPRVが優れている理由は上記が主ではないと思います。High PEEP時のOpen Valveの特性の上に作り出された自発呼吸環境にあると思うのです

 >横隔の動きや自発呼吸パターンに対して忠実にフローを送ることは重要なことです。しかし一般的に用いられているPSVは、吸気Triggerや吸気Terminationを設定しなくてはならないために横隔の動きや患者さんの呼吸パターンに合致しているものとは言い難く、実際にはDouble breathやEarly terminationやP.musとの解離などが起きていて、完全に自発呼吸をサポートしているものではありません。またPSVのフローパターンは漸減波、または対数波形であって、横隔の動き(Profile)に追従したものかといえば、それは理想には遠く及ばない波形、パターンです。

気道や肺胞の開通状態を維持することや把握できることも重要なポイントだと思いますが、要はいかに非生理的である人工呼吸中に、患者さん自身の自発呼吸ドライブを活かした呼吸をさせられるか?という点が重要なんだと思います。
Re: APRV初心者です ( No.7 )
日時: 2008/09/21 20:42:44
名前: HANA

そういうことだったのですね!
理解できました。ありがとうございました。

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