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片肺換気の人工呼吸について
日時: 2007/06/04 09:44:29
名前: RedCross

みなさまお疲れ様です。
片肺換気の人工呼吸管理でみなさまの意見をいただきたいと思います。
よろしくお願いします。
患者は40代、男性。
急性肺塞栓のope中に、左肺より出血し、片肺切除となりました。
術後より、尿量低下によりCHDF導入し、水分バランスは、ある程度整ってきていると思います。
レントゲン上は、右上葉に無気肺が見られます。
聴診上は、low pitch の rhonchiが聴取できます。

当院では、呼吸管理業務体制を整えることができていないため、詳しい呼吸器設定の経過はわからないのですが、
使用呼吸器は、Servo-iで、現在の設定は、

Mode:PRVC(圧補正型のSIMV、DragerでいうAutoFlowのSIMV )
1回換気量:270ml
呼吸回数:28bpm
FiO2:60%
PEEP:5cmH2O
PS:30cmH2O

となっており、モニタリング値は、

気道内圧:40〜45cmH20
全呼吸回数:38bpm
分時換気量:7.5〜8.0L/min
PaO2:100mmHg前後
PaCO2:40mmHg前後
pH:7.25前後
BE:-5〜-7

となっています。

僕が個人的に気になっているのは、気道内圧の高さと、
呼吸回数の多さです。
主治医は、PCVも試したそうですが、1回換気量が入らず
諦めたそうです。
呼吸回数の設定が高いのは、分時換気量を稼ぐためだと思うのですが、1回換気量が少なく、呼吸回数が多い場合、死腔を考えると
有効換気量は低いと思われ、もう少し1回換気量が稼げれば、
換気回数を落とすこともできると思うのですが…
さらに代謝性のアシドーシスがあるので、炭酸ガスを溜める
ような事もできず。

僕自身、片肺の患者の人工呼吸管理をしたことがないので、
どのように考えたら良いかわからず、まだ何も手をつけて
いないのですが、
片肺の患者では、あまり1回換気量は取れないものなのでしょうか?
また、取れないのであれば、どのようにウィーニングに持って
いくべきなのでしょうか?

個人的にも、勉強しますが、その他、片肺換気の注意点
などもあれば、ご教授ください。
よろしくおねがいします。

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Re: 片肺換気の人工呼吸について ( No.1 )
日時: 2007/06/04 11:03:33
名前: L/I

非常に厳しい症例で、大変ですね。

呼吸管理に関しては色々意見がでるでしょうが、
循環動態は安定しているのでしょうか?
また残存肺の状態が悪い原因は肺塞栓でしょうか?

急性肺塞栓の手術を行ったようですので、
できればPCPSで急性期を乗り切った方が良かったのではないかと思いました。
もちろん出血のリスクは残りますが、残存肺が悪いのであれば仕方ないと思いますが、どうでしょう?

今からでも適応を判断されてはどうでしょうか?


Re: 片肺換気の人工呼吸について ( No.2 )
日時: 2007/06/04 11:48:53
名前: ももたろ・う

片肺換気で1回換気量が入らないのは物理的に当たり前のことですよね。だからといってPRVCとて高い気道内圧で換気されている状況をどう評価するか難しいと思います。

今後の患者さんのQOLを考えた場合、1回換気量は代償的に増加するものではありません。低換気量で呼吸性アシドーシスになってしまうのは仕方のないことでしょう。であるならば生体を低換気量でも恒常性が維持できる代謝による代償環境に作り上げなければならないと思います。

それには今現在の代謝性アシドーシスの原因を追及して、呼吸性アシドーシスの代償が出来る状態まで改善できなければ予後は難しくなってきます。

疾患は急性肺塞栓ということでしたので代謝性アシドーシスの原因は末梢循環不全(Volume arrest)だと思われます。換気回数設定が相当数であり、分時換気量がそれなりに確保されているにも関わらずそのPaCO2ですので、一度どの部位でも構いませんが静脈血の血液ガス分析を施行してみてください。その際には輸液との混ざり合い(contamination)に注意してください。静脈血液の性状はかなりの代謝性アシドーシスを呈しているはずです。

末梢循環不全の原因は肺血流の低下によるものでしょう。輸液や他の要素で何とか心拍出量を獲得(増加)できれば、末梢組織の代謝性アシドーシスも改善できます。そうなるための処置や時間稼ぎが必要になってきます。

しかしながら今現在の人工呼吸器設定では肺血流を低下させてしまう気道内圧(肺胞内圧)になっています。許される範囲で吸入酸素濃度を高め、気道内圧やPEEPを下げる設定が必要です。ちなみに私が関わっていたとしたら通常の人工呼吸設定に反してPEEPはゼロ付近で設定すると思います。そのくらい今の段階では肺血流を増加させなければならないと思います。また少しの気道圧差でも呼吸性変動が大きく反映される状況だと思います。

末梢循環が改善された状態に到達出来れば呼吸性アシドーシスを代償できるだけの恒常性が獲得できてくるはずです。そうでなければ末梢循環不全で恒常性が営めません。末梢循環不全組織酸素供給量は極端に減少していては・・・・。

逆に今の代謝性アシドーシスが末梢循環不全の改善で、血流が不揮発性の酸を洗い流している(Wash out)状況も考えられます。末梢循環のアセスメントが重要になってきます。

代謝性アシドーシスを改善するのは末梢循環の改善が大切です。間違っても揮発性の酸(重炭酸ナトリウム=メイロン)で血ガスの数値だけを整えようなんて考えないで下さい。(このケースでは緊急の心停止等以外は)絶対に使っちゃダメですよ。

敢えて末梢循環が改善するまでの換気設定を考えるならば、今現在の1回換気量が得られるPCVを設定してみて、さらに何とかPEEPも減少させられる環境を探してみてください。

全ては末梢循環維持からはじまります。
Re: 片肺換気の人工呼吸について ( No.3 )
日時: 2007/06/04 11:52:25
名前: ももたろ・う

すみません、文章を直したかったのですがパスワードセットを忘れたので書き直します。



片肺換気で1回換気量が入らないのは物理的に当たり前のことですよね。だからといってPRVCとて高い気道内圧で換気されている状況をどう評価するか難しいと思います。

患者さんの予後の予測と必要な環境を考えてみましょう。

1回換気量は代償的に元の換気量まで増加するものではありません。低換気量で呼吸性アシドーシスになってしまうのは仕方のないことでしょう。であるならば生体を低換気量でも恒常性が維持できる代謝による代償環境に作り上げなければならないと思います。

それには今現在の代謝性アシドーシスの原因を追及して、呼吸性アシドーシスの代償が出来る状態まで改善できなければ予後は難しくなってきます。

疾患は急性肺塞栓ということでしたので代謝性アシドーシスの原因は末梢循環不全(Volume arrest)だと思われます。換気回数設定が相当数であり、分時換気量がそれなりに確保されているにも関わらずそのPaCO2ですので、一度どの部位でも構いませんが静脈血の血液ガス分析を施行してみてください。その際には輸液との混ざり合い(contamination)に注意してください。静脈血液の性状はかなりの代謝性アシドーシスを呈しているはずです。

末梢循環不全の原因は肺血流の低下によるものでしょう。輸液や他の要素で何とか心拍出量を獲得(増加)できれば、末梢組織の代謝性アシドーシスも改善できます。そうなるための処置や時間稼ぎが必要になってきます。

しかしながら今現在の人工呼吸器設定では肺血流を低下させてしまう気道内圧(肺胞内圧)になっています。許される範囲で吸入酸素濃度を高め、気道内圧やPEEPを下げる設定が必要です。ちなみに私が関わっていたとしたら通常の人工呼吸設定に反してPEEPはゼロ付近で設定すると思います。そのくらい今の段階では肺血流を増加させなければならないと思います。また少しの気道圧差でも呼吸性変動が大きく反映される状況だと思います。

末梢循環が改善された状態に到達出来れば呼吸性アシドーシスを代償できるだけの恒常性が獲得できてくるはずです。そうでなければ末梢循環不全で恒常性が営めません。末梢循環不全組織酸素供給量は極端に減少していては・・・・。

逆に今の代謝性アシドーシスが末梢循環不全の改善で、血流が不揮発性の酸を洗い流している(Wash out)状況も考えられます。末梢循環のアセスメントが重要になってきます。

代謝性アシドーシスを改善するのは末梢循環の改善が大切です。間違っても揮発性の酸(重炭酸ナトリウム=メイロン)で血ガスの数値だけを整えようなんて考えないで下さい。(このケースでは緊急の心停止等以外は)絶対に使っちゃダメですよ。

敢えて末梢循環が改善するまでの換気設定を考えるならば、今現在の1回換気量が得られるPCVを設定してみて、さらに何とかPEEPも減少させられる環境を探してみてください。

全ては末梢循環維持からはじまります。
Re: 片肺換気の人工呼吸について ( No.4 )
日時: 2007/06/12 14:21:55
名前: RedCross

L/Iさん、ももたろ・うさん
コメントありがとうございます。
それと、返信が遅くなって申し訳ないです。

その後の患者状態についてですが、ご指摘にもあったとおり、
hypovolemiaによる、末梢循環不全があったと思いました。
動脈ラインの呼吸性変動は、Volume付加にて解消され、
それに伴い、ガスdataも是正されていきました。
おそらく肺血流upによるものだと思うのですが、
後になって、カプノメータをつけて、Volume付加に伴う変化を
見ればよかった…と後悔しています。

静脈血の酸塩基平衡は、計測はしてみましたが、残念ながら
期待したdataを得る事はできませんでした。
ですが、今後、末梢循環不全を判断する際の材料にしてみよう
と思っています。

人工呼吸については、現在、

Mode:PRVC
1回換気量:300ml
呼吸回数:20回
PEEP:3cmH2O
FiO2:0.4

で、

気道内圧:30cmH2O前後
全呼吸回数:25回前後
分時換気量:7L/min前後
PaO2:100mmHg
PaCO2:35mmHg
BE:0

となっています。

今後の問題点としては、尿量が少ないという事です。
現在、栄養がそんなに入っていないため、BUN等は上がって
きていませんが、透析が必要になる可能性もあると思います。

片肺換気による呼吸性アシドーシスがあって、腎不全のため
腎性代償が効かない状態でも、人工呼吸器離脱は可能でしょうか?

個人的には、今後、呼吸回数を下げていき、自発呼吸に移行
していこうと思うのですが…

ご意見があれば参考にさせていただきたいと思いますので、
よろしくお願いします。


Re: 片肺換気の人工呼吸について ( No.5 )
日時: 2007/06/14 01:27:18
名前: ももたろ・う

> Mode:PRVC 1回換気量:300ml 呼吸回数:20回 PEEP:3cmH2O FiO2:0.4
> 気道内圧:30cmH2O前後 全呼吸回数:25回前後 分時換気量:7L/min前後 PaO2:100mmHg PaCO2:35mmHg BE:0
> 今後の問題点としては、尿量が少ないという事です。
> 現在、栄養がそんなに入っていないため、BUN等は上がってきていませんが、透析が必要になる可能性もあると思います。

栄養が入っていない状態でも飢餓のデータではないですね。尿量は循環に依存してきますが、脱水状態があったのですから循環が維持されればじきに回復してくると思います。

> 片肺換気による呼吸性アシドーシスがあって、腎不全のため腎性代償が効かない状態でも、人工呼吸器離脱は可能でしょうか?

記されているデータだけを見てみると、今現在十分代償できています。落胆する数値ではありません。そのままで経過させることが出来ればあまり心配せずに離脱へ導けると思います。

> 個人的には、今後、呼吸回数を下げていき、自発呼吸に移行していこうと思うのですが…

アセスメントはしっかり行ってください。回数の多い補助換気は自発呼吸の妨げになることも念頭において、呼吸数が何を補助しているの否か把握しながら、時期が来たら一気にCPAP(PSV)へ移行させて問題ないと思います。その際の呼吸回数と換気量の判断は一般的な指標と同じに考えて良いのか、または片肺を考慮した数値で判断するかは、年齢的な面からくる余力や酸-塩基平衡からの代償機構によっても異なってきます。Turning pointを見逃さないでください。換気量も体重あたりの指標は全く意味がありません。換気量を決めるのは体重ではなく、必要な酸素量を獲得できているか、二酸化炭素を酸-塩基平衡からどのように調節しているかを考えなければいけません。

呼吸数の事は、代償なのか不穏なのかも考えなければいけません。鎮静も重要です。呼吸を抑制しない鎮静、鎮痛は常に念頭に置いておかなければならない事柄です。判断のための背反項目の除外(Ruleout)をしっかりと行い判定してください。

人工呼吸器の設定から自発状況を判断する際に、加温加湿器仕様であればPSVは最低で5〜7cmH2Oで十分で、それ以下に減ずる必要はありません。TCやATCが装備されているならばPSV=0は抜管後の環境を模擬できます。短時間でも構いませんので一度は試してみてください。

無理な抜管はすべきではありませんが、不要に長引かせる挿管も避けなければいけません。

最後に、
自発呼吸に敵うものはありません。  どんなに性能の良い人工呼吸器でも所詮はディマンド機構。  使用しなければ救命できない人工呼吸器であっても非生理的環境の代表的ディバイスです。良いことは何一つしていません。  完全体外循環や血液浄化は元の臓器が機能を停止してもある程度までは生命を維持できます。 しかし人工呼吸は肺の代行ではなく呼吸運動の代行です。 人工呼吸で肺を壊しちゃいけませんゼ! そのために努力する方々へなら喜んで情報を提供させていただきます。

頑張ってくださいね。

ももたろ・う

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