name
e-mail
url
subject
comment
トップページ > 過去ログ > 記事閲覧
血漿交換とHDの併用について
日時: 2005/12/01 23:12
名前: マンタ

当院では劇症肝炎の患者に対してはHDを併用していますが、TTPの血漿交換においては単独で血漿交換を行います。その場合低Ca血症に対しては塩Ca注で対応しています。血漿交換とHDを併用する場合に関して、先輩は肝不全状態の患者は肝での解毒能が低下している為、HDでそのなんらかの物質を除去するのだそうです。ちなみに腎機能は保たれており、自己尿は出ています。またTTPの患者ではHDを併用しておりません。そのへんの使い分けの理由と先輩のゆうなんらかの物質というのがどうも理解できません。なにかご存知でしたらご意見おきかせください。よろしくお願いします。

Page: 1 |

Re: 血漿交換とHDの併用について ( No.1 )
日時: 2005/12/05 16:14
名前: 管理人

劇症肝炎の場合、肝臓の細胞がどんどん壊れてしまい、正常なはたらきができなくなります。人間は生きていくために代謝を行っていますが、その過程で生体にとって有害な物質も数多く産生されます。それら様々な有害物質を解毒して無毒化し胆汁に溶かして便として排泄するというはたらきを担っている臓器です。

肝臓の機能は大きく3つあります。1つ目は、今述べた解毒・排泄機能」。2つ目は、胆汁という消化酵素を作って、十二指腸に分泌し、アブラを含んだ食べ物の消化吸収を助けるという「胆汁生成機能」。3つ目は、消化した栄養分を一手に集めて、身体が必要としている蛋白質や脂肪分などを作り出す「合成能力」。これ以外にも一定の量の血液をプールしておくという駐車場のような役割、糖分を貯蓄しておくという銀行のような働きもあります。身体の免疫や、造血などに関与している場合もあります。とにかく、いろいろな能力を持った重要な臓器です。

肝臓の解毒能力が落ちると、さまざまな有毒な物質が体内にたまってきてしまいます。その有害物質は解明されているものもあれば何だか分からないものもあります。
有毒物質の代表格が「アンモニア」です。通常であれば、アンモニアは肝臓で代謝されて「尿素」となり腎臓から排泄されるのですが、肝機能が落ちてくるとアンモニアの値が上昇してきます。アンモニアの値が高くなると、「肝性脳症」という意識障害を来すことがあります。アンモニアは分子量が小さいので透析性があります。ただngという単位なので数値としては異常に高くても濃度勾配は小さく、経験上、透析効率はそれほど高くないように思います。また肝不全によってアンモニアがどんどん産生されていますので透析で除去しても透析の前後ではそれほど変わらないこともあります。他、有毒性アミンという物質の生成と吸収も増加すると言われています。

血漿交換を回復するまで持続して行うことは医学的、医療費の問題などで無理です。そこで血漿交換の狭間にせめてHDやHDFを行い、肝不全により蓄積される有害物質を少しでも除去するという意味もあるかと思います。

血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)ですが、TTPの原因としては以下の二通りが考えられています。

(1)細小血管の内皮細胞障害の原因

1)自己免疫疾患による血管炎、
2)病原大腸菌O157:H7株が産生する毒素ベロトキシンが血管内皮細胞上の受容体(Gb3)に結合
3)抗癌剤などの薬剤
4)放射線照射など→HUS型


(2)血漿ADAMTS13活性著減の原因
1)ADAMTS13活性の先天性欠損
2)後天性にADAMTS13に対する自己抗体(IgG型中和抗体、IgM型非中和抗体)の産生;原因不明、薬物、妊娠、HIV感染、悪性腫瘍など
3)重篤肝機能障害など→TTP型

症状が多様で急激に変化するため管理が大変です。諸症状に対する対症療法と血漿中の不足物質(血小板活性化抑制因子)の補給と上記の原因物質の除去を目的に、血漿交換療法が用いられます。
血小板減少に対して、初回に血小板輸血を行うと症状が急速に増悪するので「禁忌」だということです。血小板輸血が必要な場合には、必ず血漿交換の後に行うことがポイントらしいです。

また、急激な腎機能障害が進行すればHDが必要となることもしばしばあります。
特にHUSでは血中遊離ヘモグロビンが増加し、これが全身の臓器、血管、特に腎尿細管に毒性が強く、病態を悪化させますので血漿交換が適応になります。

Page: 1 |