□様々な痛み

│痛覚変調性疼痛 nociplastic pain│

　←→IASPのPainの定義の改訂/terminology@history/ICD-11/慢性一次性疼痛/分類/侵害受容性痛/神経障害性疼痛/慢性疼痛
　→定義/日本語訳の選定/該当する痛み/関連文献/診断基準

IASP > Publications & News　Nov 14, 2017 　IASP Council Adopts Task Force Recommendation for Third Mechanistic Descriptor of Pain

Nociplastic pain　＠IASP Pain terminology 　Pain that arises from altered nociception despite no clear evidence of actual or threatened tissue damage causing the activation of peripheral nociceptors or evidence for disease or lesion of the somatosensory system causing the pain. 　Note：Patients can have a combination of nociceptive and nociplastic pain

痛覚変調性疼痛 　←→日本語訳の選定↓/terminology@history/分類/痛みの定義の改訂/可塑性 　末梢侵害受容器の活性化を引き起こす実質的な組織損傷、または損傷の可能性のある事象の明確な証拠がないにもかかわらず、あるいは痛みを引き起こす体性感覚系の病変や傷害の証拠がないにもかかわらず、侵害受容の変調によって引き起こされる痛み 　付記：患者が侵害受容性疼痛と痛覚変調性疼痛の両方を同時に感じることもありうる。



• Nociplastic painという概念の誕生は、2020年の痛みの新定義と2022年に施行されるICD-11の大きな変革と連動して、痛みの診療および研究における40年に１度の大きなパラダイムシフトをもたらすものである。
• Terminology Task Force↓は、侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛の定義に当てはまらない痛みの訴えや症状を表現するための用語の選定作業を進め、提案した。（Do we need a third mechanistic descriptor for chronic pain states? Pain. ;157(7):1382-1386, 2016 Jul ↓ [Pubmed]）

  歴史的背景を考慮しての3つの提案 Assertion of nociceptive pain「侵害受容性疼痛」の言明 組織損傷が生じれば、痛みが生じると言うのは常識であり、侵害受容性疼痛は最も馴染みのある痛みの経験であり、デフォルトの痛みである。組織が侵害刺激を受ける前は「正常」であり、体性感覚器も「正常」である。 IASPの定義において、侵害受容性疼痛は2008年の「痛みの京都議定書」で初めて登場した。2011年には、神経障害性疼痛でみられる異常な機能と対比して、改訂された。 侵害受容性疼痛の2011年の定義の変更は必要ないが、「正常に機能する体性感覚神経系における痛みを記述するもの」という註釈を加えることを提案する。 Confirmation of definition of neuropathic pain, but not as default　神経障害性疼痛の定義の確認 神経障害性疼痛は機能障害を含み、侵害受容機能の変化も含む。 神経障害性疼痛は侵害受容性疼痛のように一般的ではなく、通常の痛みの経験を反映しているものではない。 IASPの定義において侵害受容性疼痛は、侵害受容性疼痛よりも早く、1994年に登場した。 神経障害性疼痛の2011年の定義を修正する必要はない。 Need for a third descriptor　第3の記述子（識別用語）の必要性 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛しか定義されていないので、神経の損傷がなければ、侵害受容性疼痛と分類されることになるが、侵害受容器の関与も認められない患者が存在する。 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛以外の、第3の記述子（識別用語）が必要となった。

  
  
• Terminology Task Forceが2016年に提案した3候補（Nociplastic、Algopathic、Nocipathic）の中から「Nociplastic」を採択したことを正式に発表した。

  (1) “Nociplastic,” from “nociceptive plasticity,” to reflect change in function of nociceptive pathways.

  (2) “Allopathic,” from “algos” (Greek for pain) plus “pathic” (from　Greek “patheia” for suffering), paraphrased as “a pathological perception/sensation of pain not generated by injury.”

  (3) “Nocipathic,” from “nociceptive pathology,” to denote a pathological (ie, not “normal”) state of nociception.

  
  
• この用語は臨床使用を目的とするものであり、神経生理学的概念である「central sensitization of nociception」の診断でも、同義語でもない。
• neuropathyの証拠がなく、外見上は正常で損傷を受けていない組織にhypersensitivityが起こるという現象は、その根底にある機序がsensitizationである可能性があるという臨床的推論を導き、この用語はそういった状況の記述子（識別用語）として用いられる。
  
  
• 該当する痛み

  fibromyalgia

  CRPS

  migrane

  temporomandibular disorder

  irritable bowel syndrome

  non-specific low back pain

  
  
• Discussion
  • 現在のIASP用語では、慢性疼痛は必ずしも症状ではなく、「altered nociceptive function　変調をきたした侵害受容機能」に起因する可能性があり、慢性疼痛自体が病態を構成するという現在の理解を反映していない。したがって、侵害受容機能の変調に苦しむ患者の痛みは、現在「pain of unknown origin　原因不明の疼痛」に分類されている。新しい用語を定義する時に混乱が生じる可能性があり、「unknown　未知」または、「diopathic　特発性」という用語を使い続けられている。IASPの疼痛に関する用語が現在の概念と調和していないために、「dysfunctional pain　機能障害性疼痛」または、「pathological pain　病理学的疼痛」などの、定義されていない用語が使用されている。これらの用語は、可能性のある機序に対して洞察を与えないだけでなく、患者に汚名を着せるだけであるものであるかもしれない。
  • 臨床診療において第3の機構記述子を使用すれば、患者の痛みの経験に妥当性を与え、患者、臨床医、および他の利害関係者と正しいコミュニケーションを築けることに結びつく可能性がある。変調をきたした侵害受容機能に苦しむ患者は通常、末梢を標的とした治療よりも、中枢を標的とした治療で緩和されることがあるので、臨床医には侵害受容機能の変調の兆候をスクリーニングすることが奨励されれば、診断と治療が改善される。この用語ができたことによって、変調をきたした侵害受容機能の同定のためメカニズムの解析、治療ガイドラインの開発、および新しい治療戦略の開発等、研究の拡がりが促進されることが予想される。
  
  　↓↓↓
  
• IASPのTerminology Task Forceは慢性疼痛の第3の機構記述子（メカニズムに基づいた識別用語）third mechanistic descriptor for chronic pain statesとして、2017年に「nociplastic pain」を採択したことを発表した。
  • IASPのPublications & News　Nov 14, 2017↑はすでに削除
  • Neil Andrewsによる5 Feb 2018のPain Research Forumの「What's in a Name for Chronic Pain?」 ↓/＊
    

    IASP Terminology Task Force * Chair：Eva Kosek（Sweden, rehabilitation medicine, Surgical Sciences） Miroslav Backonja（USA, clinical director of the Division of Intramural Research）, Ralf Baron（Germany, Neurological Pain Research and Therapy）, Daniel Clauw, （USA, Anesthesiology）, Milton Cohen（Australia,Specialist Pain Medicine Physician and Rheumatologist）, Ian Gilron（Canada, Anesthesiology, and Biomedical Science）, Richard Harris（USA, Anesthesiology）, Juan A. Mico （Spain, Neuroscience）, Jo Nijs（Belgium, Physiotherapy, Human Physiology and Anatomy）, Andrew S C Rice（UK, Surgery & Cancer）, Matthias Ringkamp（USA, Neurosurgery）, Michele Sterling（Australia, Recover Injury Research Centre）, Lars Arendt-Nielsen（Denmark, Department of Health Science and Technology）

  ---

「nociplastic pain」の日本語訳↑　参考（連合/朝日2021/11/4/医学書院）

• 日本痛み関連学会連合↓（用語委員会委員長：加藤総夫先生）は2021年に、「nociplastic pain」の日本語訳として「痛覚変調性疼痛」を選出した。
• 新語「nociplastic pain」の背景を踏まえ、医療者や研究者だけでなく、患者を含む一般市民にとって最も受け入れやすく、しかも原語同様に、既存の語では説明できなかった新しい概念を伝えうる日本語訳について討議し、日本語の訳語を検討した。
• 「nociplastic pain」を直訳すると、「侵害・可塑性疼痛」や「侵害受容可塑性疼痛」などとなるが、新語が伝えようとする新概念を伝えるような新規性のある語であり、他の2つ（侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛）の用語と誤解や混乱がされにくい用語であることも考慮された。

  「noci-」＠「nociplastic pain」 「noci-」は「nociception」の「noci-」 「害なう。傷付ける。損害を与える。」を意味する、ラテン語の「nocere」に由来する。 「nocere」はinnocent などの語源でもある。 （ヒポクラテスの誓いには「危害を加えることを控える　Primum Non Nocere」と言う基本認識がある。） 定義↑では「altered nociception に起因する痛み」とされているが、第3の痛みを提案したKosekの論文では「altered nociceptive function↑」、「altered nociceptive pathway」↓、「altered nociceptive processing」↓などの表現も使われている。 ここでの「noci-」は「侵害刺激の符号化過程」としての狭義の「nociception」というよりも、末梢から中枢までの「痛みの成立に関わる機構と過程」を包括的に指していると解釈されるので、「痛覚」が選択された。

  「plastic」＠「nociplastic pain」 古代ギリシャ語の「plastikos」に由来する。 plasso（成形する）＋-ikos（～している）=plastikos（成形できる） plasma（プラズマ）と同じ語源をもつ。 「自由に形を変えられる」というのが、この言葉に込められた本質的な意味である。 神経科学の分野では「神経可塑性 neural plasticity」や「シナプス可塑性 synaptic plasticity」と言う用語があるが、「神経可塑性」や「シナプス可塑性」を意味するのではなく、「変化を示している状態」を指す幅の広い意味で提案されている。　←→可塑性 「Pain that arises from altered nociception↑」の「altered」 altered：変えられた、変更［変造］された、変貌［変容］した 「変調」の英訳は「modulation」であるが、「alteration」が使われる例もある 　congenital growth alteration　先天性成長変調 　metabolic alteration　代謝の変調 「変調」 調子が変わること。調子を変えること。また、その調子。 調子が狂うこと。また、その調子。「からだに―をきたす」 電信・電話・テレビなどの搬送波の振幅・周波数・パルスや位相を信号波で変化させること。 楽曲の調子を変えること。移調。

  ⇒「noci-：痛覚」＋「plastic：変調」＋「pain」の日本語訳は「痛覚変調性疼痛」が選出された。

  
  
  

＊日本痛み関連学会連合

一般社団法人 日本疼痛学会	改定版「痛みの定義：IASP」の意義とその日本語訳について
一般社団法人 日本ペインクリニック学会	用語集
日本慢性疼痛学会
一般社団法人 日本腰痛学会
一般社団法人 日本運動器疼痛学会
一般社団法人 日本口腔顔面痛学会
一般社団法人 日本ペインリハビリテーション学会
一般社団法人　日本頭痛学会	ニュースレター 第 44 号 （2022 年 4 月新年度号）

＊日本痛み財団　f







☆nociplastic pain 関連文献

1/*　Terminology Task Forceによる提案（2016年）　←→2/3/PRF 　Eva Kosek, Milton Cohen, Ralf Baron, Gerald F Gebhart, Juan-Antonio Mico, Andrew S C Rice, Winfried Rief, Kathleen Sluka Do we need a third mechanistic descriptor for chronic pain states? Pain. 2016 Jul;157(7):1382-1386. doi: 10.1097/j.pain.0000000000000507.(Topical Review)
	2/*　Chad Brummett, Daniel Clauw, Richard Harris, Steve Harte, Afton Hassett, David Williams We agree with the need for a new term but disagree with the proposed terms Pain. 2016 Dec;157(12):2876. doi: 10.1097/j.pain.0000000000000717. (Letter to Editor:)　←→1
	3/*　Lars-Petter Granan We do not need a third mechanistic descriptor for chronic pain states! Not yet Pain. 2017 Jan;158(1):179. doi: 10.1097/j.pain.0000000000000735. (Letter to Editor:)　←→1
	4/*　Murat Aydede, Adam Shriver Recently introduced definition of "nociplastic pain" by the International Association for the Study of Pain needs better formulation Pain. 2018 Jun;159(6):1176-1177. doi: 10.1097/j.pain.0000000000001184. (Letter to Editor:)
5/*　Michael Nicholas, ---- IASP Taskforce for the Classification of Chronic Pain The IASP classification of chronic pain for ICD-11: chronic primary pain Pain. 2019 Jan;160(1):28-37. doi: 10.1097/j.pain.0000000000001390.
6/*　Rainer Freynhagen et al Current understanding of the mixed pain concept: a brief narrative review Curr Med Res Opin. 2019 Jun;35(6):1011-1018.
7/*　Anne-Priscille Trouvin, Serge Perrot New concepts of pain Best Pract Res Clin Rheumatol. 2019 Jun;33(3):101415.
Trouvin AP, S Perrot New concepts of pain. Best Pract. Res. Clin. Rheumatol.33:101415 (2019).　Pubmed
8/*　Judith A Turner, Lars Arendt-Nielsen Four decades later: what's new, what's not in our understanding of pain Pain. 2020 Sep 1;161(9):1943-1944. doi: 10.1097/j.pain.0000000000001991.
9/*　Srinivasa N Raja (Chair of the IASP Task Force and Director of Pain Research) et al The revised International Association for the Study of Pain definition of pain: concepts, challenges, and compromises Pain. 2020 Sep 1;161(9):1976-1982. doi: 10.1097/j.pain.0000000000001939.
10/*　Megan E McPhee, Henrik Bjarke Vaegter, Thomas Graven-Nielsen Alterations in pronociceptive and antinociceptive mechanisms in patients with low back pain: a systematic review with meta-analysis Pain 2020 Mar;161(3):464-475. doi: 10.1097/j.pain.0000000000001737.
11/*　Florian Bailly et al Part of pain labelled neuropathic in rheumatic disease might be rather nociplastic RMD Open. 2020 Sep;6(2):e001326. doi: 10.1136/rmdopen-2020-001326.
12/*　Laurent Misery Pruriplastic Itch-A Novel Pathogenic Concept in Chronic Pruritus Front Med (Lausanne). 2021 Jan 20;7:615118. doi: 10.3389/fmed.2020.615118. eCollection 2020.
13/*　Shari, Muath A, Massé-Alarie, Hugoa, Hodges, Paul W. Methods to discriminate between mechanism-based categories of pain experienced in the musculoskeletal system: a systematic review Pain. 2021 Apr 1;162(4):1007-1037. doi: 10.1097/j.pain.0000000000002113.
Mary-Ann Fitzcharles, Steven P Cohen, Daniel J Clauw, Geoffrey Littlejohn, Chie Usui, Winfried Häuser. Nociplastic pain: towards an understanding of prevalent pain conditions Lancet. 2021 May 29;397(10289):2098-2110. Pubmed
Eva Kosek, Daniel Clauw, Jo Nijs, Ralf Baron, Ian Gilron, Richard E Harris, Juan-Antonio Mico, Andrew S C Rice, Michele Sterling. Chronic nociplastic pain affecting the musculoskeletal system: clinical criteria and grading system. Pain. 2021 Nov 1;162(11):2629-2634　 Pubmed/Pain ☆診断基準・フローチャート式診断手順による「Possible nociplastic pain」「Probable nociplastic pain」などの分類方法が示されている。 筋骨格系に影響を与える痛覚変調性疼痛の臨床基準と等級付け　Clinical criteria and grading for nociplastic pain affecting the musculoskeletal system. 痛みは 1a. 慢性的（3ヶ月以上） 1b. （離散的 discreteではなく）区域的（局所的） Regionalな分布（筋骨格系の痛みは深部の痛みであり、皮膚の痛みのように区域的ではなく、（離散的というよりも）多発性 multifocalで、広範囲 widespreadに分布している。さまざまな慢性疼痛状態（肩の筋肉痛や変形性膝関節症など）に起因する可能性のある多発的な疼痛状態の場合、それぞれの慢性疼痛状態や疼痛領域は個別に評価する必要がある。） 1c. 侵害受容性疼痛が（a）存在しない、または（b）存在するとしても、その疼痛に完全に起因している証拠がない。 1d. 神経障害性疼痛が（a）存在しない、または（b）存在する場合、その疼痛に完全に起因している証拠はない。 （変形性関節症などの侵害受容性疼痛や末梢神経病変などの神経障害性疼痛の存在は、痛覚変調性疼痛の併発を排除しないが、疼痛部位は、同定可能な病態で説明可能な範囲より広範である必要がある。） 痛みの領域に痛み過敏症 pain hypersensitivityの既往がある。　←→感覚過敏  以下のいずれか1つが伴われる：触覚感受性（触覚過敏）、圧感受性（圧過敏）、動き感受性（動き過敏）、熱、冷の感受性 併存症がある 以下のいずれか1つ：音、光、においに対する感受性の亢進、頻繁な夜間覚醒を伴う睡眠障害、倦怠感、集中力の欠如、記憶障害などの認知的問題　←→CSI 誘発性の疼痛過敏現象は、痛みのある部位で臨床的に誘発されることがある。 次のいずれか：静的機械アロディニア、動的機械アロディニア、熱または冷アロディニア 上記の選択肢のいずれかを評価した後に、痛みを伴う残感覚が残ること 痛覚変調性疼痛の疑いがある　Possible nociplastic pain：1および4 痛覚変調性疼痛の可能性が高い　Probable nociplastic pain：上記（1、2、3、4）のすべて （等級付けシステムの目的は、患者が確実に痛覚変調性疼痛であることを示すことであり、前述のように、神経障害性疼痛の現在の等級付けシステムに触発されたことによる。しかし、侵害受容の変化の存在を確認するための臨床的に有用で信頼できる診断テストがないため、現在、痛覚変調性疼痛は可能性または可能性が高いと評価されているが、明確ではない。将来の診断テストが開発され、検証された場合に、「痛覚変調性疼痛」という用語の導入を検討する必要がある。）
Jo Nijs/↓ et al. Nociplastic Pain Criteria or Recognition of Central Sensitization? Pain Phenotyping in the Past, Present and Future J Clin Med. 2021 Aug; 10(15): 3203　←→診断基準/CS/CSI PastのCS：2014年のCSSの臨床基準1/2—以前 PresentのCS：2021年の診断基準 FutureのCS：
Shraim, Muath A, Sluka, Kathleen A, Sterling, Arendt-Nielsen, Larsd; Argoff, Charlese; Bagraith, Karl S, Baron, Ralf, Brisby, Helena, Carr, Daniel B, Chimenti, Ruth L, Courtney, Carol A, Curatolo, Michele, Darnall, Beth D, Ford, Jon J, Graven-Nielsen, Thomas, Kolski, Melissa C, Kosek, Eva, Liebano, Richard E, Merkle, Shannon , Parker, Romy, Reis, Felipe J. J, ; Smart, Keithx; Smeet, Rob J. E. M, Svensson, Peter, Thompson, Bronwyn L, Treede, Rolf-Detlef, Ushida, Takahiro, Williamson, Owen D, Hodges, Paul W. Features and methods to discriminate between mechanism-based categories of pain experienced in the musculoskeletal system: a Delphi expert consensus study. Pain. 2022 Sep 1;163(9):1812-1828.　Pubmed/Pain デルファイ法 Delphi method：専門家グループなどが持つ直観的意見や経験的判断を反復型アンケートを使って、組織的に集約・洗練する意見収束技法。技術革新や社会変動などに関する未来予測を行う定性調査によく用いられる。 49人の痛み専門家を集め、デルファイ法により「侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛」に該当する特性を277の特性語から選ぶという作業を進めた結果↓ 痛覚変張性疼痛の特性として選ばれた用語は　 Pain location：Diffuse, widespread, or poorly localised distribution of pain.　痛みの部位：びまん性で、広汎性、または限局性に乏しい、痛みの分布 Pain location：Generalised hypersensitivity.　痛みの部位：全般性過敏症（全身性感覚過敏?） Associated signs and symptoms：Multiple somatic symptoms (eg, fatigue, memory difficulties, concentration difficulties, sleep disturbances, mood disturbances).　複数の身体症状（疲労・記憶障害・集中力低下・睡眠障害・気分障害）　←→CSI Pain location：Varying distribution of pain.　痛み部位：痛み分布の変化 Associated signs and symptoms：Presence of hypersensitivity to stimuli (eg, pressure, temperature, sound, odor, taste, and light).　関連する徴候および症状：刺激に対する感覚過敏の存在（圧、温度、音、匂い、味、光） Response to drugs：Generally NOT responsive to local anaesthetics.　薬物への反応：局所麻酔抵抗性 Subjective descriptors：Variability or no consistency in descriptors.　主観的記述子：記述子にばらつきがあるか、一貫性がない Response to physical treatments：Generally NOT responsive to surgery.　理学療法への反応：外科的介入抵抗性 Imaging/radiography：NO findings from imaging of body regions of　画像/X線撮影：画像所見の無効性
Manami Yajima, Mariko Sugimoto, Yae K Sugimura, Yukari Takahashi, Fusao Kato Acetaminophen and pregabalin attenuate central sensitization in rodent models of nociplastic widespread pain. Neuropharmacology. 2022 Jun 1;210:109029　PubMed iWSP：Inflammation-induced widespread pain 口唇部へのホルマリン注入による、両側後肢の感作 　←→広汎性／異所性痛覚痛覚過敏モデル aWSP：Amygdala activity-dependent widespread pain 　（Excitation by DREADD technique） 扁桃体中心核の活性化により、両側後肢の感作 von Frey filament tests, up-and-down method→PWT50 異所性の広範な感作は、アセトアミノフェンとプレガバリンによって大幅に軽減されたが、デュロキセチンでは軽減されなかった。
Manami Yajima, Yukari Takahashi, Yae K. Sugimura, Fusao Kato Pregabalin attenuates long-lasting post-inflammatory nociplastic mechanical sensitization in mice. Neurobiology of Pain. 2023 13: 100131-100131　PubMed マウスの左上唇へのホルマリン注入による両側性後肢の痛覚過敏（異所性感作） 50% paw withdrawal threshold：PWT50 血中IL-1β、TNF-αのELISA　検出されない プレガバリンは異所性感作を6日間減弱させた。 プレガバリンが初期炎症によって誘発されるnociplastic changesを受ける中枢性疼痛機構に作用し、widespread sensitizationを緩和する可能性があることを示唆 セレコキシブ：COX2阻害剤　効果なし （False Discovery Rate：FDRを調整するBenjamini & Hochberg法：BH法、バイオリンプロット、カーネル密度推定）
Jo Nijs/↑ et al. ・・・ Tomohiko Nishigami(6) Towards precision pain medicine for pain after cancer: the Cancer Pain Phenotyping Network multidisciplinary international guidelines for pain phenotyping using nociplastic pain criteria. Br J Anaesth . 2023 May;130(5):611-621.　PubMed




IASP Education Resourse Nociplastic Pain - The Third Mechanistic Descriptor: Background, Clinical Applications and Scientific Fundaments

Pain Research Forum What's in a Name for Chronic Pain? by Neil Andrews on 5 Feb 2018

a/*　Ruth L Chimenti, Laura A Frey-Law,Kathleen, A Sluka A Mechanism-Based Approach to Physical Therapist Management of Pain Phys Ther. 2018 May; 98(5): 302–314. 　表など　わかりやすい！

b/*　Martina Rekatsina, Antonella Paladini, Alba Piroli, Panagiotis Zis, Joseph V Pergolizzi, Giustino Varrassi Pathophysiologic Approach to Pain Therapy for Complex Pain Entities: A Narrative Review Pain Ther. 2020 Jun;9(1):7-21. doi: 10.1007/s40122-019-00147-2. Epub 2020 Jan 4.

b/*　Deborah F. Steinberg, Charles E. Argoff Understanding Pain MARCH/APRIL 2021




牛田 享宏先生 集学的痛み診療の普及と教育の推進を 2020.11.02　週刊医学界新聞：第3394号

加藤総夫先生 痛みと情動の生物学的意義＠日本生物学的精神医学会 Japanese Journal of Biological Psychiatry Vol.31, No.2, 2020

IASP 慢性疼痛の分類と定義@ICD-11のためのIASP慢性疼痛分類と定義@広島大学麻酔蘇生学

黒瀬 雅之先生、岡本圭一郎先生 顎関節痛を調節する下行性疼痛制御機構について 日本顎関節学会雑誌 31-3 149 - 158 2019

Pain Relief