□様々な痛み

│帯状疱疹痛│

┏急性期の帯状疱疹痛　←→抗ウイルス薬 ┗慢性期の帯状疱疹後神経痛

→参考1

ヘルペスウイルス Herpes virus herpes（ラテン）：小水疱・小膿疱の集簇した状態である疱疹の意味 線状の2本鎖DNAをゲノムとして持つDNAウイルスであり、そのビリオンは正20面体のカプシドがエンベロープに包まれた直径120〜200nmの球状粒子である。ウイルスの増殖は宿主細胞の核内で行われる。 ヒトヘルペスウイルス（HHV：human herpes virus）：人に病原性を示すヘルペスウイルス 　アルファヘルペスウイルス亜科（単純ウイルス属、水痘ウイルス属）、ベータヘルペスウイルス亜科（サイトメガロウイルス属、ロゼオロウイルス属）、ガンマヘルペスウイルス亜科（リンフォクリプトウイルス属（EBウイルスなど）、Rhadinovirus属（カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなど））、仮性狂犬病ウイルス

サイトメガロウイルス　Cytomegalovirus：CMV　←→CAG プロモーター/CMV-IE エンハンサー ヒトヘルペスウイルスの一種 サイトメガロウイルス（cytomegalovirus；CMV）という名称は、CMVは自身が感染した細胞を（cyto-）巨大化（megalo-）させることに由来し、ヒトサイトメガロウイルス（human cytomegalovirus；HCMV）の最初の分離者の1人である Weller T. H. によって1957年にその名称が与えられた。 CMVそれ自身は、1881年にドイツの病理学者 Ribbert H. が梅毒様症候を呈した死産児の腎で "owl eye（フクロウの目）" 様の特徴的な核内封入体を持つ巨細胞を観察し、学会発表したのが最初の報告である（論文発表は1904年で当初は寄生虫感染と推測されていた ヒトヘルペスウイルスには，1型から8型まであり、ヒトヘルペスウイルスの5型（HHV-5）にあたる。 サイトメガロウイルスによる感染症は、幼児期の初期感染と免疫抑制状態での再活性化することで様々な病態を起こす。通常は、幼児期に何の病態も示さない不顕感染で終わり潜伏感染のまま推移する。しかし、免疫系が正常であっても、肝炎、伝染性単核症様の症状、ごく希に胃腸炎を呈する事があるが、先天性感染以外では、聴覚神経、視覚神経への障害リスクは低い。

単純ヘルペスウイルス simplex virus 単純ヘルペスも感覚神経に親和性が高く、その神経節に潜伏感染する。 150Kbpのゲノム全長を持ち、80種類以上の遺伝子をコードしている。 宿主の細胞膜を自身のエンベロープとして保有し、その内側にテグメントタンパク質、さらに内側にカプシド、カプシド内にウイルスDNAが詰め込まれている。成熟粒子は100〜150 nmの大きなウイルスである。 単純ヘルペスウイルス1型（HSV-1：herpes simplex virus-type 1）(学名 human herpes virus type 1：HHV-1) 主に口唇ヘルペスを生じ、ヘルペス口内炎、ヘルペス角膜炎、単純ヘルペス脳炎の原因となりうるとともに三叉神経節に潜伏感染する。 顔面神経麻痺の60～75％を占めるベル麻痺は原因不明いわれてきたが、HSV-1が関与していることが明らかになっている。。 ラットなどは水痘・帯状疱疹ウイルスには感染しないが、単純ヘルペスI型ウイルスは、ヒトもラットも感染するので、メカニズムを解明する研究に利用されている。　←→モデル 単純ヘルペスウイルス2型（HSV-2：herpes simplex virus-2）(学名 human herpes virus type 2：HHV-2) 主に性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎、ヘルペス脊髄炎の原因となりうるとともに仙髄の脊髄神経節に潜伏感染する。

水痘・帯状疱疹ウイルス Varicella Zoster Virus: VZV（学名 human herpes virus type 3：HHV-3） 帯状疱疹ウイルス＝ 水痘のウイルス　chickenpox virus 1954年 Thomas Huckle Weller（1915〜2008, ハーバード大のウイルス学者、ノーベル生理学・医学賞受賞者）とAlbert Hewett Coons（P 1912〜1978、ハーバードの免疫学者、蛍光抗体法の発見者）が帯状疱疹ウイルスと水痘ウイルスが同じであると同定した。 ヒトアルファヘルペスウイルス 直径180-200nmのDNAウイルス そのゲノムは124, 844対の塩基を持っている。 水痘（水疱瘡：みずぼうそう） chickenpox 水痘は、VZVの初回感染によって引き起こされる病気である。 常に人口の1.2〜5.2%に発生している。 飛沫感染により、上気道粘膜あるいは眼球結膜から侵入したウイルスが、局所あるいは近くのリンパ節内で増殖して、第１次ウイルス血症を起こす。 ウイルスは肝臓、脾臓などの網内系臓器に移行して増殖し、第２次ウイルス血症を起こして全身に広がる。 ウイルスは皮膚に到達して小血管の内皮細胞、皮膚・粘膜の上皮細胞で増殖し、水痘を形成する。 感染した宿主はVZVに対する液性および細胞性免疫を獲得し、ウイルスの増殖が止まる。 一部のウイルスは皮膚に分布する感覚神経線維の末梢終末内に取り込まれ、逆行性軸索流に乗って、感覚神経線維の中を上行する。 所属のDRGや三叉神経節に運ばれ、外套細胞あるいは神経細胞のDNAの中に組み込まれてる。 一般に小児期に羅患し、終生免疫を獲得する。 VZVは免疫を獲得した後も、DRG、三叉神経節や顔面神経膝神経節などに潜伏している。

○帯状疱疹 herpes zoster, shingles

□痛みと鎮痛の歴史年表

→

痛み一般

-帯状疱疹痛→



• zoster ：帯（girdle）を意味するギリシア語の「zoster」に由来する。
• shingles ：帯（girdle）を意味するラテン語の「cingulus」に由来する。　←→帯状回
  
  
• 帯状疱疹は、VZVの回帰感染によって引き起こされる。
• 前駆症状：痛み→紅疹、水疱
• 宿主のVZV対する特異的細胞性免疫が低下したときに、ウイルスが再活性化すると帯状疱疹を発症する。


• 再活性化したウイルスが、順方向性軸索流に乗って、感覚神経線維の中を下行し、支配領域の皮膚に達する。
• ウイルスは末梢で、細胞から細胞へと感染しながら増殖を繰り返し、帯状疱疹を発症する。
  
  
• ウイルスが皮膚に達すると、疼痛の出現が出現する。---つまり、皮疹が出る前に痛みが出現する。
• 疼痛出現の4-5日後に、疼痛出現部位の皮膚分節（デルマトーム）に皮疹が出現することが多い。
• 疼痛出現部位も皮疹も片側性に出現することが多いようであるが、まれに両側性に出現する。
• ウイルスが増殖し始めると、痛みを感じた部位に浮腫性の小さい紅疹が生じる。
• 紅疹が生じた数時間に、ウイルスの増殖によって表皮細胞が破壊されると、紅疹の中に丘疹、水疱が出現して、帯状疱疹の診断が確定する。
• 疼痛のみで、皮疹が生じない zoster sine herpete もあるので、診断のためには、血清抗体価あるいはPCRによる単球内のDNA検査なども必要。
  
  
• 病理所見---表皮細胞の球状変性 ballooning degeneration を伴う、表皮内水疱形成が特徴である。
• 水疱は直径5〜6mm：エンドウ豆大ぐらい以下のものが多い。中央に臍上のくぼみを認める。
• DRGに出血を伴った炎症性細胞浸潤、壊死がある。
• 髄膜炎が発症することもある。
  
  
• 皮疹の出現する最初の３〜４日に、発熱が伴われることが多く、所属リンパ節の腫脹などが認められる。
• 水疱は膿瘍、びらん潰瘍、痂皮形成、上皮化による瘢痕形成となる。
• 痂皮：表皮組織に発生した水疱あるいは膿疱が炎症をきたして破れ、壊死塊またはびらん面の分泌物が凝固して一時的に表面を覆ったもの。
• すべての発疹が痂皮となれば、他人に伝染することはない。
• 痂皮の脱落まで1〜4週間程度であるが、潰瘍化すると治療は遷延する。
• 一部の症例では、帯状疱疹後神経痛を残す。
  
  
• 通常は一神経領域に限局されるが、複数の神経領域に出現する場合は、重症化することが多い。
• いずれの皮膚分節にも出現するが、三叉神経の第I枝（眼神経）の分布領域がもっとも高率に発症する。
• 次に高発の領域は、胸髄第3〜4皮膚分節である。
• 三叉神経第I枝領域の帯状疱疹は疼痛が激しく、頭痛や顔面の痛みを訴えることが多い。皮疹も重症例であることが多い。
  
  

  Ramsay Hunt症候群 Ramsay Hunt syndrome、膝神経痛 geniculate neuralgia　←→膝神経節 James Ramsay Hunt（P 1872〜1937, アメリカ、コロンビア大学神経科教授）が1907年に過去30年の文献56例と自験4例から報告した（J Nerv Ment Dis）。 水痘帯状疱疹ウイルスの感染による脳神経障害で、顔面神経を中心に聴神経・前庭神経が障害される。 典型的な症状（次の全部がそろうケースは少なく、一部の症状が現れる。） 片耳の外耳道に水疱や発赤、痛み 顔や口腔内の発疹 顔面の筋肉の運動麻痺（顔面神経麻痺） 耳鳴り、難聴、めまい（平衡機能障害） その他　流涙・目の痛み、味覚障害、頭痛など

  ハッチンソン徴候 Hutchinson's sigh 三叉神経の第一枝領域にある鼻毛様体神経は鼻部から眼球、結膜などに分布しているため、鼻背部や鼻尖部に皮疹が生じた場合、眼病変の合併頻度は高くなる。これはハッチンソン徴候といわれ、帯状疱疹における眼病変合併の予測および早期診断に有用である。 鼻尖部や鼻背部に皮疹が認められる場合、眼病変の合併頻度は95％以上にのぼる。

  無疱疹帯状疱疹 zoster sine herpete：ZSH 通常眼部帯状疱疹は、皮疹出現の2〜3日後に眼病変が出現するが、皮疹を伴わない無疱疹帯状疱疹が稀にある。

  
  
• 帯状疱疹は一生涯で約20%の人が発症するとされている。
• 加齢が帯状疱疹の危険因子の一つである。
• 加齢とともに、三叉神経帯状疱疹の頻度が相対的に高くなる。
• 帯状疱疹は悪性腫瘍（白血病、Hodgkin病、悪性リンパ腫、oat-cell肺ガン）に合併しやすい。
• 骨髄移植を受けた後でも効率に発症する。
• AIDSも発生を促進する。
  
  
• Robert Edgar Hope-Simpson（P 1908〜2003, 英国の開業医）による報告
  • 水痘患者の発生が多い年は、帯状疱疹の発生が少ない。
  • 16才以下の子供と同居している成人には帯状疱疹の発生が少ない。
  • 水痘をよく診る小児科医には帯状疱疹が少ない。
  • 水痘帯状疱疹ウイルスに暴露すると帯状疱疹の発症が低下する。
  • 高齢者では細胞性免疫が低下しているので、細胞性免疫が臨界期を下回ると発症するが、発症後に細胞性免疫は著明に賦活化する。

[帯状疱疹急性期の疼痛]
　┏急性期の帯状疱疹痛
　┗慢性期の帯状疱疹後神経痛

急性帯状疱疹痛 ---急性痛 　---侵害受容性疼痛 　┏炎症性疼痛 　┗（神経因性疼痛）	帯状疱疹発症前で皮疹が出る2-3日前から起こってくる前駆症状、あるいは急性期の疼痛 皮疹が出現する前に神経痛様の痛みが生じ、皮疹が出ると痛みが強まる。 増殖したウイルスが引き起こした神経炎による痛みと、皮疹部の炎症による痛みとがある。 神経の走行に沿って痛みが生じる。 痛みの強さは、軽い刺激症状から、夜も眠れないほどの強い痛みまで様々。 皮膚表面あるいは皮下に痛みを感じる。 持続性の疼く痛み、痒いような痛み、灼けつく痛み、そのうえに激しい乱切痛が重なる。 乱切り痛は、患部に触れたり、患部を動かす時に生じる。 ジンジン、ピリピリ、ズキズキ、チカチカ、キリキリなどと表現される痛み 皮膚症状があると、その部位を中心にした痛覚過敏帯がある。 痛みの多くは、皮疹の消失に伴って消失する。 １〜２週間がピークで、１ヶ月くらいで消失することが多い。
急性期の痛みからPHNへの移行 （一般に概ね帯状疱疹発症後3ヶ月を境に、3ヶ月以後をPHNの症例とされている。） 帯状疱疹における痛みの経時的変化を追うと、病態の最初の時期では、可逆的な炎症性疼痛の割合が多く占め、次第に、非可逆的な神経変性によって生じるPHNへと変化していく。 炎症性疼痛の割合が占める期間は比較的短いと考えられる。 6ヶ月以後で治癒した患者の中には、炎症性疼痛が持続していて、自然経過の中で治癒した可能性が考えられる。 時期だけで判断して治療を行うのではなく、個々の症例に基づいた治療法の選択が必要である。
帯状疱疹後神経痛 postherpetic 　neuralgia:PHN 　:shingles ---慢性痛 　┏（炎症性疼痛） 　┗神経障害性疼痛 　---求心路遮断痛	皮疹が治癒した後にも遷延する痛み 帯状疱疹におかされた皮膚に感じる耐え難い痛み 皮疹の重症例、高齢者、知覚低下が著しい症例が帯状疱疹後神経痛に移行しやすい。 皮膚の感覚低下 温冷覚の低下 触覚の低下 自発性定常痛 自発痛の灼熱痛 深部に感じる灼けつく痛み、あるいは疼く不快な痛み。 ヒリヒリ、チカチカ 発作性の電撃痛 自発痛の電撃痛 電気が走る、切り裂かれるという痛み ズキズキ、針で刺す、絞られる、締め付けられる痛み。 アロディニア 誘発痛 衣服で皮膚をこするような非侵害刺激で生じる痛み。 dynamic allodynia 個々の症例で、これらの3種類の痛みが混在している。 個々の症例の性質も一定しておらず、時間経過に伴い変化する。 軽微な痛み刺激の繰り返しにより、疼痛の増強と残痛現象が見られることがある。 アロディニアが伴われる例と、アロディニアが伴われない例がある。 アロディニア伴われない例では、羅患部の温冷覚、触覚、痛覚、振動覚、２点弁別が低下していることが多い。 アロディニア 温冷覚 局所注入 　 局麻薬 カプサイシン アドレナリン なし 著しく低下 変化なし 変化なし 感覚なし 求心路遮断 あり 著しく低下 短時間軽減 灼熱感は低下 疼痛軽微増強 C線維を介したアロディニア 著明 変化なし or 過敏 長時間軽減 灼熱感の誘発 疼痛増強 Aβ線維を介したアロディニア

[帯状疱疹痛の病理と治療]

• 急性期の帯状疱疹痛と慢性期の帯状疱疹後神経痛とは治療が異なる。
  

  	病　　理	（メカニズム）	治　　療
  急 性 期	ウイルスの出現 神経節の細胞質および核内、Schwann細胞、 神経周膜細胞、上皮細胞内に出現 ウイルスに侵された後の炎症 DRG/三叉神経節の細胞体の炎症、壊死、出血 衛星細胞の変性、脱落 皮膚では、表皮の有棘細胞増多と核内好酸球 性封入体 末梢神経線維の脱髄、変性 後根に含まれる神経線維の減少 脊髄後角、三叉神経脊髄路核が萎縮する。	炎症による痛みとDRGの細胞体の異常興奮による HSV-1に感染したラットのDRGの細胞体は、炎症がなくても、自発的に興奮する。 　→帯状疱疹痛でも1次ニューロン細胞体の自発性異常興奮 HSV-1に感染したラットのDRGの細胞体の電気的絶縁が不良になると、インパルスが巡回して、多数のニューロンが自発的に興奮する。 　→触覚線維の興奮がエファプス伝達によって、侵害受容ニューロンに伝えられる。	（診断薬） 抗ウイルス薬 NSAIDs オピオイドの全身投与 皮疹も疼痛も重傷症例 　→神経ブロック 上肢、顔面などTh2より上位 　→星状神経節ブロック 頸部より下位 　→硬膜外ブロック
  慢 性 期	DRG/三叉神経節の細胞体の壊死 皮膚に分布する求心性線維の減少。 特に細径の皮膚神経の変性、脱落 後根に含まれる神経線維の減少。 脊髄後角、三叉神経脊髄路核が萎縮する。 ---ウイルスによる直接作用と自己免疫反応の ２つの可能性が考えられる。 末梢神経線維の再生。 再生過程で、側芽が伸びる。	侵害受容線維の異常興奮は2次侵害受容ニューロンの反応性を亢進させる。 感覚脱失が著明で、アロディニアはない。 　→求心路遮断痛	抗うつ薬 オピオイド プレガバリンなど (ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液）
  		C侵害受容線維の過剰興奮によるアロディニア 　→C侵害受容神経の興奮には、カプサイシンによる脱感作	リドカインパッチ、持続的注入 カプサイシンクリーム
  		残存した侵害受容ニューロンに異常興奮がある。 C線維は損傷し、Aβ線維を介したアロディニア 　→神経の興奮は、ナトリウムチャネルブロッカー	リドカインパッチ、持続的注入 抗痙攣薬 抗不整脈薬

[American Academy of Neurology（AAN） 帯状疱疹後神経痛の治療指針]

　Neurology（2004; 63: 959-965）/　関連 ＝1960-2003年1月のMedlineのデータベースからランク付けした。
　---EBMに基づく医療

Group 1 ---中〜高等度の有効性、副作用が少ない	Group 2 --- group 1より有効性が低い	Group 3 ---プラセボと比べて有効なエビデンスがない	Group 4 ---充分なエビデンスがない
ギャバペンチン プレガバリン リドカインパッチ オキシコドン or 硫酸モルヒネ, controlled release 三環系抗うつ薬 アミトリプチリン ノルトリプチリン デシプラミン マプロチリン 　エビデンスが少ないながら，副作用がより少ないという理由からアミトリプチリンよりもノルトリプチリンを推奨	アスピリン, cream or ointment カプサイシン, 塗布 メチルプレドニゾロン, intrathecal	鍼 Benzydamine, cream デキストロメトルファン インドメタシン ロラゼパム メチルプレドニゾロン, 硬膜外 硫酸モルヒネ, epidural ビンクリスチン, イオントフォレシス ビタミンE ジメリジン	カルバマゼピン Chlorprothixene Cryocautery DREZ-lesion Ganoderma lucidum, 抽出液 He:Ne レーザー Cryocauteryl ケタミン メチルプレドニゾロン, イオントフォレーシス 硫酸モルヒネ, controlled release ニフェジピン ピロキシカム, 塗布 星状神経節ブロック トリアムシノロン, 硬膜外

帯状疱疹痛に対する漢方治療（平田道彦先生）

急性期↑ 基本：越婢加朮湯と五苓散の併用 熱感や痛みが強い場合：黄連解毒湯を追加 皮膚所見が膿性で感染が認められる場合は十味敗毒湯を加える。 急性期でも体力が極端に弱っているときには、温めると痛みが良くなる寒証になっていることがある。寒証の場合は麻黄附子細辛湯、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯＋桂枝加朮附湯を投与する。

慢性期↑ 痛みの性状として自発痛なのかアロディニアなのかの判別をまず行い、その痛みが温めて改善するのか、そうでないかの別を重要な指標としている。 自発痛があるPHN 温めると改善する自発痛 入浴などで温めて改善する自発痛の場合は寒証と判断 頭部や顔面、頸腕部などの肩から上の痛みには、葛根加朮附湯と四物湯を併用 　葛根には後頸部から後背部の筋肉を緩める作用がある。 肩から下の痛みには桂枝加朮附湯と四物湯を併用 胸脇部の痛みには、古書に準じて香蘇散を併用 温めても改善しない自発痛 熱証が残っていると判断し、温清飲を投与 アロディニアがあるPHN アロディニアを認める場合は、陰虚が基本にあると考え、六味丸と麦門冬湯の併用を基本とする。 温めると改善するアロディニア 八味地黄丸と麦門冬湯 温めても改善しないアロディニア 六味丸と麦門冬湯 痒みを伴うアロディニア 六味丸と麦門冬湯に当帰飲子を加える。 これらの漢方薬が無効の難治例には、大防風湯と桂枝茯苓丸 の併用を基本とし、冷えや消化器症状の有無などを配慮して漢方薬を調整

○ワクチン接種で、高齢者の帯状疱疹の羅患率が著明に低下　←→帯状疱疹ワクチン

Robert Edgar Hope Simpson（英国の開業医）による報告 水痘患者の発生が多い年には帯状疱疹の発生が少ない。 １６才以下の子供と同居している成人には帯状疱疹の発生が少ない。 水痘をよく診る小児科医には帯状疱疹が少ない。 結論は水痘帯状疱疹ウイルスに暴露すると帯状疱疹の発症が低下する。 水痘帯状疱疹ウイルス感染は抗体によって症状がよくなるのではなく細胞性免疫によって改善している。

NEJM Volume 352:2271-2284 June 2, 2005 Number 22　関連 　A Vaccine to Prevent Herpes Zoster and Postherpetic Neuralgia in Older Adults カリフォルニア大学サンディエゴ校米退役軍人管理局（VA）のDr Michael N. Oxmanらは、60歳以上の男女計3万8,546例を対象とした大規模ランダム化2重盲検プラセボ対照試験の結果、ワクチン接種により、高齢者の帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛の羅患率が著明に低下することを報告した。 臨床試験は、VA「共同試験プログラム」によって実施されたもので、10年にわたる試験期間中に、60歳以上の男女計3万8,500例を登録し、その半数にワクチンを皮下注射し、残る半数にはプラセボ薬を投与した。少なくとも30年以上米国（大陸）に在住し、水痘の既往のある者を対象とした。免疫抑制状態にある者、プロトコールに従えない者は除外した。VAと製薬会社メルク社が資金を提供。 ワクチンまたはプラセボの皮下注射は１回。被験者の平均年齢は69歳。平均追跡期間は3.13年。帯状疱疹の診断は、臨床的および検査結果に基づいて行った。帯状疱疹と診断された患者には、ファムシクロビルと鎮痛剤を投与。アロディニア、掻痒症などの不快な症状を含む帯状疱疹による痛みは、帯状疱疹疼痛簡易質問票を用いて評価した。 使用したワクチンは、Oka/Merch VZV（水痘・帯状疱疹ウイルス）ワクチン。現在米国で小児に定期接種されているのVarivax（Merck社）は、日本で開発されたもので、「岡」という名前の水痘症児に由来する。小児の水痘予防で承認されているワクチンの含有ウイルス量が1,350pfu（プラーク形成単位、プラークアッセイ法により定量される感染性ウイルス粒子数）であるのに対し、ウイルス量を14倍以上高めて、１用量（0.5ml）当たり18700〜60000pfuとした。 この試験での検討は、健康な高齢者に水痘帯状疱疹ウイルス（VZV）ワクチンを接種すると、VZVに対する細胞性免疫を賦活化し、帯状疱疹やヘルペス後神経痛を防ぐという仮説をたてて行われた。 帯状疱疹の確定診断を受けた患者は合計957例。ワクチン接種群は315人で、プラセボ摂取群は642人。BOIスコアはワクチン群で有意に低かった（2.21と5.68，P<0.001）。帯状疱疹の発症率は1000人年当たり5.42と11.12で(P<0.001)、ワクチンは発症を51.3％（44.2-57.6）抑えることが明らかになった。 帯状疱疹後神経痛患者は107例で、ワクチン群はプラセボ群の3分の1。ワクチン接種群は27人で、プラセボ摂取群は80人。ワクチン負荷により、帯状疱疹後神経痛の発症率が51.3% (P<0.001)低下した。発症率は1000人年当たり0.46人と1.38人で(P<0.001)、接種により発症率は66.5％（47.5-79.2）減少した。 疼痛と不快感の平均持続期間は、ワクチン接種群は21日、プラセボ摂取群は24日で、ワクチン接種群のほうが有意に短かった。 主要エンドポイントは、帯状疱疹疾病負荷スコア（BOIスコア）。２次エンドポイントは、帯状疱疹後神経痛の発症件数。痛みを０（無痛）から10（最大）で表した場合のスコアが３以上の状態が90日以上持続した患者の人数を比較した。 帯状疱疹疾病重傷度スコアの平均がワクチン接種群は142、プラセボ摂取群は180.5で、ワクチン接種群のほうが有意に低かった。 ワクチンの発症抑制効果はより若い人々で高かったが、病気の程度を軽くする効果は、高齢者の方が高かった。注射部位の反応は、ワクチン接種群により頻繁に見られたが、一般に軽度だった。 摂取部位反応は、概ね軽度であったが、ワクチン接種群のほうがプラセボ摂取群よりも頻度が高かった。摂取後42日間に、ワクチン接種群は1.9%、プラセボ摂取群は1.3%。 日本では50歳以上を対象として小児用の水痘ワクチンを帯状疱疹予防目的で接種（2004年1月承認）。米国では60歳以上を対象とする帯状疱疹ワクチンを2006年に承認。

NEJM Volume 352:2344-2346 June 2, 2005 Number 22 　A VaricellaﾐZoster Virus Vaccine — Grown-ups Need It, Too

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