C57BL/6:B6 参考1/2/3/4/5
- 黒色の体毛 Black(aa BB CC DD)、黒い目を持つ近交系
- Miss Abbie E. C. Lathrop(1868〜1918, 米国のマウスのブリーダー)が持っていたマウスを、Clarence Cook Little(1888〜1971, Jackson Laboratoryの遺伝学者)が1921年に入手し、#57(♀)と#52(♂)の交配に由来し毛色がBlackに固定されたものをC57Bと命名、その6番目の亜系統C57BL/6が1947年にJackson Laboratoryに導入されC57BL/6Jとなった。
- C57BL/6Jの「J」はジャクソン研究所の「J」
- C57BL/6Nの「N」はNIHの「N」
- マウス前ゲノム配列の解読が最初に行われた。
- 不安傾向は低く、新奇な場面での探索行動が多い。
- モルヒネ感受性が高く、アルコール嗜好がみられる唯一の系統である。
- Barberingという過剰な毛づくろい行動による脱毛が多く観察される。
- 高カロリー食による肥満、2型糖尿病、動脈硬化などに対する感受性が高く、骨密度が低い。
- 喫煙による肺気腫の発症率が高い。
- 水痘症の発症率も他の系統と比較して高い。
- 加齢に伴う聴覚障害を引き起こす突然変異であるCdh23をホモに持つため、10ヶ月齢以降になると聴覚が減弱していく。BALB/cやBA/2BA/2と比較して、老化がかなり遅い系統である。
- 遺伝子改変動物の背景系統として多用されている。
- 循環器病学、発生学、糖尿病学、肥満、免疫学などの分野で多用されている。
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DBA
- 近交系
- 1900年代にC. C. Littleによって毛色の遺伝の研究のために育成されたいくつかの系統の一つで、最も古い近交系の一つ
- このDBA/1とDBA/2の2系統が現在でも使われている。どちらの系統も毛色に関係するdilute, brown, agoutiの3つの劣性遺伝子をもつ.現在は遺伝子がクローニングされていて、毛色を薄くするdiluteはMyo5a (myosin Va)(Mercer et al., 1991)、毛の色素が茶色になるbrownはThrp1(tyrosinase related protein 1)(Shibahara, et al., 1992)と命名されている遺伝子の突然変異であることがわかっている。
- 単にDBAマウスといったときはDBA/2を指すことが多く、研究にも DBA/2の方がよく使われている。遺伝的にこの2系統はかなり違っていて、一方に原発した腫瘍のほとんどは他方に移植できない。
- DBA/1の特徴はタイプIIコラーゲンによる関節炎など、実験的自己免疫的関節炎に感受性が高いことで(Joosten, et al.,1994; Walter et al., 1996; Wooley, et al., 1998)、この方面の研究に多く使われている。
- 聴性発作を起こしやすい。
- クロロホルム・エチレンオキサイドに対する雄の死亡率が高い
- 赤血球数が多い。
- 比較的低血圧
- 心臓に石灰沈着がみられる。
- 毛色 Dilute brown、毛色遺伝子はaa, bb, CC, dd. H2q
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BALB/c
- アルビノマウスの近交系
- Hasely J. Baggが1913年に導入したアルビノ(albino、メラニン合成系の重要な酵素チロシナーゼを遺伝的に欠くため、白毛、赤目)マウスを祖先とするので、BaggのAlbinoから"BALB"と命名された。
- 1932年にG. Snell(1980年ノーベル医学・生理学賞受賞者)に分与され、彼が/cを付け加えてBALB/cという系統名となる。
- 一般的に繁殖力が高く、繁殖寿命も長い。
- アルビノ(AA bb cc DD)マウスで各種の自然発生腫瘍は比較的低発
- 心組織のカルシウム沈着による白斑が低頻度で認められる。
- 乳がんの発生率は正常では低いが乳がんウイルスに感受性である。
- ミネラル・オイルを腹腔内に注射すると形質細胞腫が多発するが、この形質細胞種はモノクローナル抗体の産生に有用でいろいろな分野で使われている。
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→KSN/Slc
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129
- 1928年にL.C.Dunnが樹立した近交系
- 1954年、アメリカジャクソン研究所のStevensは129マウス系統の精巣にテラトーマが高頻度(1%)で発症することを報告した。
- 近年の遺伝子改変動物の作成に重要な役割を持つ系統であり、ノックアウトマウスを作成されるES細胞のほとんどが129由来である。
- 主に3つの亜系統グループに分けられる。
1. parental亜系統 (129P)
2. steel亜系統 (129S)
3. teratoma亜系統 (129T)
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Sandos inbred mouse:SIM
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