ロータロッド試験 Rota-rod test
- 運動機能の協調性と平衡感覚、運動学習のテスト
- 回転する円柱の上にマウスを乗せ、ゆっくりした回転から徐々に加速して、落下するまでの時間を測定する。
- 訓練前歩行(回転していない円柱上に動物を5分間乗せた時の落下回数)→訓練歩行(3〜6rpmで回転させた円柱上で歩行させた時の落下回数)→測定歩行(1時間後に12rpmで回転させた時に落下するまでの滞在時間:運動学習)
- 訓練前に比較する群間で運動機能の差がないことを確認
- 繰り返しテストすることで、運動学習機能についても検査することが可能である。
- オープンフィールド試験で歩調等に異常があった場合などに実施されることがある。
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ワイヤハングテスト、ハンギングワイヤーテスト、ワイヤー・ハンギングテスト Wire-hang test, Wire hanging test 参考1/2
- 握力、運動能力のテスト、平衡感覚
- マウスを金網にしがみつかせてから、金網をひっくり返す。その時、マウスが金網から落ちるまでの時間を計る(最大60秒 など)。
- ジャンプして下におりることを厭わないマウスでは、純粋に筋力を測定することができない。そこで、グリップストレングステストやビームバランステストを併用する。
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グリップストレングステスト(握力測定試験) grip strength test
- 筋力試験
- 横棒に動物を前肢で捕まらせ、尾をつまんで一定の速度で広報に引っ張り、横棒を話すまでに加わった力を測定する。
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ビームバランステスト(バランスビームテスト) beam balance test
- 運動能力ー協調運動、平衡感覚を評価するテスト
- 地上50cmの高さに棒を地面と平行に設置し、その端から動物をつたわらせて、もう一端にある安全な箱に到達するまでを観察する。
- 棒の太さを段階的に細くしていくと、つまづきやすくなり、スムーズにたどりつくのが難しくなる。
- 箱にたどりつく時間、足下を滑らせる回数を記録していく。
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ホールボード試験 Hole-board test
- オープンフィールド試験の応用型
- 床面に数カ所(通常4〜16カ所)穴を設けたオープンフィールド
- マウスを床に穴の空いたケージ(新奇環境)に入れ、穴を覗き込む(head-dip)行動を測定することにより抗不安薬の評価を行う試験
- 通常、マウスは新奇環境におかれると、head-dip 行動を含む探索行動を行う。
- しかし、マウスに不安惹起物質やストレスを与えると、穴に対する恐怖/不安が惹起され、head-dip 行動は減少する。
- 逆に抗不安薬を投与すると、穴に対する恐怖/不安が緩解し、head-dip 行動が増加する。
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Y字型迷路 Y-maze test
- 空間学習、ワーキングメモリー
- 同じ長さの3本のアーム(仮にA, B, C とする)が 120˚ で連結された装置を使って行う。
- マウスをアーム A に置き、自由に 8 分間移動させる。
- マウスは新しい場所に置かれると探検する行動 exploratory behavior を示すため、放っておいても各アームへ進入する。それぞれのアームに進入した回数を記録する。
- 後足がアームに入ったら進入したと判断する。
- マウスの移動パターンがA→B→C→B→A→C→A→Bであったとして、ここから自発行動↓と空間作業記憶↓を判断することができる。
- 同じアームに何回も進入した場合は、探検行動を記憶していない:空間作業記憶の能力が低いと判断する。
[自発行動 Spontaneous locomotor activity]
- アームへの総進入回数から求める。最初の A は進入回数には含めない。
自発行動 =進入回数-1 =8-1=7
[空間作業記憶 spatial working memory]
- 交替反応 alternationを空間作業記憶 spatial working memory の指標とする。
- 3 回連続して異なるアームへ進入した回数をアームへの総進入回数から 1 を引き、100 をかける。
交替反応 alternation (%) =3 回連続総進入回/(進入回数-1) = 5/7*100
- alternationが高い程、ワーキングメモリーが優れていると判断する。
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水探索試験 water-finding test
- 記憶学習試験、潜在学習
- 無報酬条件下で過去の経験を手がかりとした、絶水後マウスおよびラットの水探し行動から、潜在学習能力を評価するテスト
- 訓練試行:給水瓶をセットしたオープンフィールド内の小部屋に、絶水させていない動物を入れ、自由に3分間探索させる。この間動物の行動量と給水ノズルへの接触回数を測定する。
- 給水ノズルへの接触がなかった動物は、以降の実験には使用しない。
- 訓練試行終了後、速やかにホームケージに戻すと同時に絶水処理を開始する。
- 保持試行:訓練試行24時間後に、訓練試行と同じオープンフィールドに置き、
- 開始潜時:動き始めるまでの時間
- 進入潜時:小部屋に進入するまでに要した時間
- 発見潜時:小部屋に進入してから給水ノズルを見つけるまでの時間
- 摂水潜時:進入潜時+発見潜時 を測定する
これらの数値が小さいほど潜在学習能力が高いと評価する。
- ノズルの位置に対する記憶は自由な探索行動の中で水に対する強化効果なしに獲得されるため、動物の潜在的な学習能力(潜在学習)を反映すると考えられている。
- 訓練試行時には給水ノズルは床から5cm、保持試行には7cmの位置にセットする。
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新奇物体認識テスト novel object recognition test:NOR、object recognition test:ORT
位置認識テスト object location test:OLT ←→記憶
- 記憶学習試験、視覚的認知記憶
- 新奇性を好むというげっ歯類の特性を利用した試験
- 多くの学習評価系と異なり、人為的な正の強化因子を用いないのが特徴
- 報酬や罰といった正の強化因子を用いないことから、情動レベルの低い条件で形成される記憶を検出できると考えられる。
- 電撃ショックや大きな運動負荷などもかけないこともメリット
- 馴化、獲得、テストの三試行からなる。
馴化:予め観察箱に馴化させる。 |
獲得:馴化させた翌日同一の観察箱に入れ、2 個の同一物体を自由に探索させる。 |
ORTのためのテスト試行
- 片方の物体を新規の物体に変え、再度動物を観察箱に入れ、物体の探索時間を測定する。
- 海馬非依存性テスト
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OLTのためのテスト試行
- 片方の物体の位置を新規の位置に変え,再度動物を観察箱に入れ、物体の探索時間を測定する。
- 海馬依存性テスト
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- 動物は獲得試行とテスト試行の間隔が短いとき、新奇性のある物体(新奇の形状,あるいは新奇の位置)により長い時間探索行動を示し、その嗜好性は間隔を広げていくことで消失していく。このことからこの新奇性に対する行動変化は「獲得試行時の物体の形状または位置の記憶」を反映していると考えられる。
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受動回避試験 Passive avoidance test =抑制性回避 InhibitoryAvoidance:IA
- 長期記憶
- 動物が一度経験した嫌悪刺激(電気刺激)に対して回避行動を記憶する指標
[ステップスルー型試験]
- マウスが暗い場所を好むことを利用する。
- 明室と暗室が扉で繋がった装置の明室側にマウスを入れた時の暗室への移動時間を指標とする。
- 訓練試行:扉を閉めた明室にマウスを入れ、20秒後に扉を開けて、マウスが好む暗室への移動を可能とする。マウスが暗室内へ移動すると扉を閉め、電気刺激を与える(0.3mA, 3秒 or 2mA, 1秒など)
- 保持試行:訓練試行の一定時間(1日、1時間など)後、再びマウスを明室に入れ、暗室への移動時間を反応潜時とする。反応潜時が長いほど、嫌悪刺激を記憶していると判定する。
[ステップダウン型試験]
- 狭いプラットフォーム上に乗せた動物が床に降りた時に電気刺激を与えることにより条件刺激を行い、その後に観察されるプラットフォームから降りることに対する躊躇行動(ステップダウン潜時)を記憶の指標とする。
- 受動的回避反応はコンフリクト行動としての特徴があることも考慮する必要がある。
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T字型迷路 T-maze test
- 空間学習・作業記憶・参照記憶のテスト、オペラント条件づけ
- T字の横棒にあたるアームの先端に報酬(餌など)があり、報酬を得るまでの時間を測定する。
- 作業記憶を調べる遅延交替課題と参照記憶を調べる左右弁別課題を行うことができる。
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8方向放射状迷路試験 eight-arm radial maze test
- 空間作業記憶・空間参照記憶
- 空間学習・作業記憶のテスト、餌を用いた報酬性課題
- その試行で既に選択した走路はどこであるかに関する記憶は空間作業記憶であり、報酬が置かれている走路、又は置かれることのない走路はどこであるかに関する記憶は空間参照記憶である。
- 1976 年にOlton and Samuelson等によって開発された空間認識の記憶学習をテスト法
- 8本のアーム(50 x 11 cm?)と、8角形の中央プラットフォームからなる高架式8方向放射状迷路(地上60 cm?)
- 食餌制限を行い、実験終了まで体重を自由摂食時の85%に維持する。
- 装置と餌ペレットへの馴化:すべてのアームの先端に餌ペレットを置いた迷路内にラットを入れ10〜15分探索させる(数日間)
学習試験
- 8本のアームの内毎回同じ4つのアームの先端に餌ペレットを置き、迷路中央からスタートさせたラットがすべての餌ペレットをお入り終える(あるいは5分経過)までの行動を観察する(1日1〜2試行、7〜10日)
- 一度進入したアームに再侵入する回数(作業記憶エラー数)
- 餌ペレットを置いていないアームに進入した回数(参照エラー数)
- 最初の4選択中にペレットの置いてあるアームに進入した回数(正選択数)
- 4個のペレットをすべて採り終えるまでに要した時間(全所要時間) を計測し、空間認知機能の指標とする。
8方向迷路を用いた遅延空間 win-shift課題
- ギロチンドアなどで任意の4アームの進入を制限した迷路において採餌行動をさせたラットを、一定の遅延時間の後、進入制限を説いた迷路で再び採餌行動を行い、短期的な空間記憶を評価する。
- 訓練試行:ランダムに選んだ4アームにギロチンドアを設置した迷路中央にラットを置き、進入可能な4アームすべての餌ペレットを採り終える(あるいは5分経過)までの行動を観察する。
- 試験試行:ラットを一度ホームケージに戻し、5分の遅延時間の後、ギロチンドアを取り除いた迷路中央にラットを置き、訓練試行でギロチンドアを設置していた4アームすべての餌ペレットを採り終える(あるいは5分経過)までの行動を観察する。
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モリス水迷路試験 Morris water maze test 参考1/2
- 空間学習、参照記憶
- 1982年にRichard G. Morris(University of Edinburghの神経科学者)等によって開発された空間記憶のテスト法
- マウスから見えないように設置した水面下10〜15mmに退避用プラットフォーム(直径:約120cm)を探索する訓練をする。
- プラットフォームの設置場所を基準として4分割した任意の1区画からマウスを水面に放ち、その前肢もしくは胴体がプラットフォームに接触した時をゴールとする。その場に20秒間滞在させた後、すくい上げ、直ちに身体の水分を拭き保温に配慮する。60秒以内にプラットフォームに到達できなかったマウスは、プラットフォームに誘導して20秒間滞在させる。
- 水温は20℃以上とする。
- 1日に3〜4回繰り返し、学習が認められるまで継続して実施する(7〜10日)。
- 水泳能力、プラットフォームに上る動機づけの強度、逃避戦略などが混交要因となる。 ←→バーンズ迷路
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バーンズ迷路 Barnes maze 参考1
- 空間学習、参照記憶のテスト
- Carol A. Barnes(University of Arizona)が1979年に開発したテスト
- ラットやマウスが暗く囲われた場所を好み、明るく開けた場所を嫌う性質を利用した迷路課題である。
- ストレスの強いモリス水迷路試験や、報酬が必要な8方向放射状迷路試験に変わるテストとして考案された。
- 円形のテーブルの外周に見かけの等しい、12〜16〜18個の穴があり、そのうちの1つのみに逃避ボックスが設置されていて、暗い場所へと逃避することができる。
- 逃避ボックスに続く正しい穴の場所は、装置外刺激の空間的な関係性によって識別できる。テーブル中央の小さな円筒に動物を入れ、円筒を下げて試行を開始する。
Training ーLearning phase、Acquisition learning
- 訓練により、動物は逃避可能な穴に直線的に向かうようになる。
- 逃避潜時、移動距離や誤反応(逃避穴以外の穴をのぞいた回数)を学習測度として用いる。
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Probe test
- Morris水迷路と同様に訓練後に全ての穴を逃避できないようにしてプローブテストを行う。
- 逃避ボックス周辺での滞在時間を学習の程度とする。
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Reversal test ←→逆転学習
- Morris水迷路ではPlatform の位置を変えて行う再テストするが、ゴールを180度変えて再テストする。
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- 逆転学習 reversal learning:げっ歯類では前頭眼窩野、霊長類で前頭眼窩野と腹外側前頭前野が関与する。
- Barnes maze@Imayoshi-lab 1 @
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明暗箱試験 Light-dark box test、明暗往来試験 Light/dark transition test
- 不安や恐怖を測定するテスト、新奇ストレス
- 明箱と暗箱の間のしきり板にマウスが通り抜けられる程度の穴が開いた明暗箱を用いる。
- 明箱に入れられたマウスは、新奇で明るい環境であるためしばしばフリージングを示すが、暗所を好むためやがて暗箱に進入する。
- 暗箱に侵入するまでにかかる時間を測定する。また,その後明箱と暗箱を往来する回数と,暗箱での滞在時間を測定する。
- マウスは夜行性動物で暗い場所(暗室)を好む傾向があると同時に、新規の環境(明室)を好むという性質も持っている。暗室に滞在している時間が長い場合、不安様行動が亢進していると考えられる。
- 約350万円
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高架式十字迷路テスト Elevated plus maze test 参考1/2/
- 動物の不安または恐怖を数値化するテスト
- Sharon Pellow(University of Londonの薬理学者)らが開発したテスト
- 動物が本質的に有する探索動員に基づく接近行動(好奇心)と不安や恐怖が動員となった回避行動とが平衡状態にある接近—回避型コンフリクト(葛藤)モデルである。
- 動物の探索行動を主な指標として、不安水準を簡便に測定することが可能であることから、抗不安薬のスクリーニング法として広く用いられている。
- 薬効評価だけでなく、遺伝子改変動物や疾患モデル動物の情動機能、特に不安関連行動の行動学的表現型を検索するためのテストバッテリーの一つとしても応用されている。
- 床から500〜600mmの高さに設置した十字型のプラットフォームのうち、向かい合うふたつのアームは透明の壁があり(closed-arm)、ほかのふたつのアームは壁がない(open-arm)。
- マウス/ラットが壁際を好むという性質がある。
- 中央に置かれた動物は高所に対する恐怖/不安が強ければ、壁のないアームへの進入を避け、壁の存在するアーム(closed-arm)への進入をより好む傾向が出てくる。
- Open-armに侵入した回数とopen-arm上での滞在時間の変化を指標とする。
- 約100万円
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高架式ゼロ迷路テスト elevated zero maze:EZM
- Shepherd et al. (1994) * が開発した。
- 不安神経症 anxiety の動物モデルに対して提唱された行動試験
- 高架式十字迷路テストの修正版であり、あいまいな中央領域がないという利点がある。
- 高架式十字迷路テストと同様に新奇探索と、捕食者のリスクの状況を構成する高架とオープンスペースがある接近—回避型コンフリクト(葛藤)モデル
- 床から500mm-6500mmの高さに設置した壁のない通路と壁のある通路がある円形迷路
- 90˚ずつ オープンスペース(壁が低い)と クローズドアーム(壁が高い)部分に分かれている。
- 接触走性 thigmotaxis という性質によって,closed の部分にいることを好む。
- Open の部分で過ごした時間が長いほど,不安行動が少ないと評価する。
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ポーソルト強制水泳テスト Forced swimming test, Porsolt test ←→強制遊泳ストレス
- 回避ができない環境で強制的に泳がされたマウスが遊泳しなくなることを利用した抗うつ薬のスクリーニングテスト
- 学習性絶望、うつモデル、線維筋痛症の病態モデル
- マウスの尾が底に届かない程度の深さまで水を入れた円筒形の容器にマウスを入れ、泳いで移動している時間(距離)と無動の時間を計測する。
- うつ傾向が高いマウスでは不動時間が長く、移動距離も短くなる。抗うつ薬を投与すると不動の時間が減少する。
- Roger D. Porsolt(フランスの薬理学者)らがうつ病の動物モデルに関する研究で使ったテスト(1977年):逃避不可能な水槽に入れられたラットは、最初活発に泳ぎ回るが、最終的には頭部だけを水面に出して、手足は動かさずに浮いている「不動状態 immobility」となる。不動状態は逃避を拒否した絶望状態とも解釈されている。イミプラミン(抗うつ薬)やアンフェタミン(精神興奮薬)を投与すると不動状態は減少したが、ジアゼパム(抗不安薬)投与では減少は認められなかった。
- 抗うつ薬のスクリーニング法として広く用いられてきた。
- 水温:通常24°C程度
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尾懸垂試験 Tail suspension test
- 強制水泳試験に類似した理論に基づいて、マウスの抑うつ様行動を評価する試験
- うつモデルの開発にしばしば利用されている。
- マウスの尾を試験装置内に設置した棒に固定し逆さの状態でつるすと、懸垂下で逃れようと動き回った後に不動状態が認められる。
- 一定時間中に認められる不動行動の発現時間を抑うつ様行動として評価する。
- 抗うつ薬を投与すると不動時間が減少することが知られている。
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