熱 刺 激 |
テイルフリック試験 Tail flick test (7360>Ugo Basile)
- D'Amour and Smithが1941年に開発した。
- 覚醒動物、麻酔動物、除脳動物が対象となる侵害性熱刺激による逃避反射を指標とした評価法。通常は動物を拘束する。
- 侵害性熱刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- ラットやマウスの尾に投射熱刺激(スライドプロジェクターのランプのような装置)を加え、掉尾反射(尾を振り動かす反射)を指標として、逃避反射の潜時 withdrawal latencyを測定する。
- 掉尾反射は脳から切り離されたラットでも観察されるので、脊髄反射である。
- この反射はヒトが痛みを感じる程度まで照射部位の皮膚温が上がると現れる。
- 延長を指標倒して、鎮痛効果を検証する。(モルヒネをはじめとする多くの鎮痛薬を投与すると、この反射が現れるまでの潜時が延長する。)
[注意するポイント]
- 室温や体温を一定にして解析することが望ましい。
- 刺激部位の組織損傷を防ぐため、cut-off timeを設ける必要がある。cut-off timeは、正常動物の潜時の2倍程度とする。
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Tail dip test Tail immersion test
- 覚醒動物、麻酔動物、除脳動物が対象となる侵害性熱刺激による逃避反射を指標とした評価法。通常は動物を拘束する。
- 熱刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- 尾を44oC〜60oCの温水、あるいは4oC〜10oCの冷水につけて、尾が反応するまでの潜時を測定する。
- 覚醒動物、麻酔動物、除脳動物が対象となる。通常は動物を拘束する。
- 痛みによる脊髄反射が評価の対象となる。
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ホットプレート試験 Hot plate test (7280>Ugo Basile/Muromachi)
- Woolfe and MacDonaldが1944年に開発した。*
- 熱刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- 一定の温度に保たれたプレート上に覚醒動物を置き、疼痛関連行動: 1)足をなめるlicking 2)立ち上がる 3)ジャンプするjumpingまでの潜時を測定しする。測定後、動物を熱板から取り上げる。
- hot plate testは、脊髄反射ではなく、上位中枢を介した逃避行動が評価の対象となる。
[注意するポイント]
- 48oC〜58o程度に設定し、cut off timeは、低い場合でも60秒程度。
- ラットでは、52.5oに設定すると、通常10〜20secで陽性反応が出ることが多い。マウスでは、54.5o程度が妥当。
- プレートの温度を下げれば潜時が長くなり、温度を上げると潜時は短くなる。
- 弱い鎮痛薬の効果を観察する場合は低温を選択する。高温を選択すると、潜時は投与量を上げても充分に延長しないため、鎮痛効果を確認するのが難しくなる。
- 強い鎮痛薬の効果を観察するためには、高温を選択する。低温を選択すると、低用量でも潜時が延長してしまい、投与量依存性が醜くなる。低温ではデータのばらつきが大きくなり安い経口がある。
強い鎮痛薬の効果を判定する場合は
- 尿や便は速やかに拭き取り、接地面は清潔にする。
- 室温や体温を一定にして解析することが望ましい。
- In the Hotplate test by (Woolfe and MacDonald, 1944)、 mice were placed in a 20 cm high plexiglas cylinder on a 55oC or 55.5oC hot plate and latency for the animal to lick its hindpaw (or jump) was measured. Cut off time for the Hotplate test was set at 30sec. (Woolfe and McDonald, 1944. The evaluation of the analgesic action of pethidine hydrochloride (Demerol). J. Pharmacol. Exp. Ther. 80 (1944), pp. 300–307.)
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Thermal paw-withdrwal test Paw flick test -Plantar test Hargreaves test (7370 >Ugo Basile/Muromachi) →人での利用PubMed
- 熱刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- 脊髄反射ではなく、上位中枢を介した逃避行動が評価の対象となる。
- Hargreaves法により、拘束しない覚醒ラットやマウスの後肢足底に熱刺激を与え、足をなめる(licking)、あるいは足を振り回す(flinching)までを起こすまでのwithdrawal latencyを測定する。
- ガラスなどで作られたチャンバーの下から、赤外線などの熱刺激を与える。経時的に、刺激となる温度が上昇する。
- Hargreaves法の最大の特徴は、ラットを拘束せずに、侵害性熱刺激に対する逃避反応の潜時を左右の後枝を別々に測定できる点である。
- カラゲニンのような起炎物質を一側のラット後枝に投与し、炎症が発症した後枝の熱刺激に対する逃避反応の潜時を測定したり、一側の坐骨神経を損傷し、ニューロパッシクペインモデルラットを作成した際に、損傷側と非損傷側の熱刺激に対する逃避反応の潜時を比較検討したりすることができる。
- 安定したデータをとるのは容易ではないが、Thermal hyperalgesiaやThermal allodynia
[注意するポイント]
- 刺激部位の組織損傷を防ぐため、cut-off timeを設ける必要がある。
- 熱刺激を与えるときのタイミングが難しい。動物が熱源の下に来て、足底がしっかり接地面に接しているときに刺激を与える。動物の覚醒レベルが一定である必要がある。
- 尿や便は速やかに拭き取り、接地面は清潔にする。
- 室温や体温を一定にして解析することが望ましい。
- The Hargreaves assay (Hargreaves et al., 1988) measures nociceptive sensitivity in a freely moving animal by focusing a radiant heat source on the plantar surface of an animal’s hindpaw as it stands in a plexiglass chamber (20 x 20 x 20cm). Latency to withdraw its paw from the heat is recorded. Cut off time for this test was set at 10sec.
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Aceton test
- cold allodyniaを評価するテスト。
- Choi et al.、 1994 [PubMed][Science Direct]
- かかと、あるいは足蹠にアセトン(0.5 ml )をスプレーし、一定時間(1分間)に、足を浮かせている時間の合計、あるいは頻度をカウントする。
- 正常な動物にとっては、侵害刺激にはならないので、侵害行動は見られない。持続時間が長い、あるいは頻繁に足を浮かせた場合、allodyniaと評価する。
[注意するポイント]
- 数回繰り返してすとする場合は、2分程度の間隔で行う。
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機 械 刺 激 |
von Frey test (37400 - Dynamic Plantar Aesthesiometer>Ugo Basile Plantar Test/SWテスト
Semmes - Weinstein Monofilaments
- 動物では機械刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- 網の下からラットやマウスの足底に対して垂直にvon Frey Hairが曲がるまで押しつけ、動物が足をあげる機械刺激の閾値を測定する。
- 覚醒動物が対象となる。
- オリジナルは馬尾毛であったが、最近は太さの異なるプラスチックやナイロンなどのフィラメントをあてて、閾値を測定する。
- 動物を対象とした実験では、逃避反射の閾値を指標とするtactile allodyniaなどを調べる検査である。
- 本来ヒトを対象としては、Aβ低閾値機械受容器の機能を調べ、感覚鈍麻なども調べる。
up - down 刺激法 up-and-down method Chaplan SR. J Neurosci Methods. 1994;53:55-56.@Yaksh
- W. J. Dixonが感度試験のための、少数例でも推計学的処理が可能なUpandDown法を提案した。サンプルサイズN≦6のすべてのLD 50の最尤推定値のシーケンスは、より大きなサンプルサイズの近似推定値を示す。(Dixon W. The up-and-down method for small samples. J Am Stat Assoc. 1965;60:967–978)
- 閾値は、それを超えると被験者の50%が反応し、それを下回ると被験者の50%が反応しない点として定義されます。アップダウン試験では、いくつかの刺激レベルごとに事前に設定されたテスト数を使用する従来のデザインに比べて、わずか5分の1の被験者数で所定の標準誤差の中央値(ED50)の推定値を得ることができる。
- DixonとMoodによって提案されたup-and down methodは、確率変数Vが平均μ、標準偏差σの正規分布N(μ,σ2)に従う場合、観測される確率変数が直接にはVではなく、間接的に成功・失敗の2値の確率変数Yであるときに、μとσとを効率的に推定する方法として、工学分野だけでなく、医学薬学分野でも広く用いられている。
- ChaplanらはDixonのup-and down methodを使って、50%逃避反射の閾値を決める方法を提案した。
- 8種類の von Frey hair(0.41, 0.70, 1.20, 2.00, 3.63, 5.50, 8.50 and 15.1 g)
- 中程度(2.00g)のフィラメントから刺激を始める。
- そのフィラメントによる刺激で逃避反応が認められたら、一つ下の太さのフィラメントを用いて同様に刺激し、反応が認められない時は一つ上の太さのフィラメントの刺激を行う。
- 最初に閾値の越えた時:刺激に対して陽性から陰性、あるいは陰性から陽性へと変化した前後の2反応を最初の反応とし、その後4回(6回)連続して同様にup - down刺激を行い、そこから得られた結果から50%閾値を求める。
- percentage maximal possible effect (%MPE)= ((postdrug threshold−baseline threshold)/(cutoff threshold (15 g)−baseline threshold)) × 100.
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倉石研 Takasaki I, et al. Pain. 2000;86:95-101.
- Frey hairs:0.03, 0.17, 0.41, 0.69, 1.20 and 1.48 g
- 少なくとも15分間順応させた後、Frey hairを足底皮膚に垂直に押し付け、わずかに座屈させた状態で3~5秒間保持させる。
- 0.03gのフィラメントから開始し、同じ強度の刺激を数秒間隔で、6回加える。
- 刺激に対する反応のランク付け
0:無反応 1:足を上げる(触圧部位から逃れる) 2:足を舐める、噛む、激しく振る
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←→精密触覚機能検査@日本口腔顔面痛学会
- Semmes Weinstein Monofilaments;
Normal | 1.65, 2.36, 2.44, 2.83 (68 mg), 3.22 (166 mg), 3.61 (407 mg) |
Dimished light touch | 3.84 (692 mg), 4.08 (1202 mg), 4.17 (1479 mg) , 4.31 (2,041 mg) |
Dimished PS | 4.56 (3,630 mg), 4.74 (5,495 mg), 4.93 (8,511 mg), 5.07 (11,749 mg), 5.18 (15,136 mg), 5.46 (28,840 mg), 5.88, 6.10, 6.45 |
Deep pressure sensation | 6.65 |
- 太さは同じで長さを変えたフィラメントを自作している研究者も少なくない。
[注意するポイント]
- 安定した結果を得るためには熟練が必要。フィラメントが曲がるまで押しつけるなど、刺激の与え型を均一にする必要がある。
- Maximilian Ruppert Franz von Frey (P 1852/11/16〜1932/1/25, ビュルツブルグ, Carl Ludwig's physiological Institute in Leipzig)が1895年にvon Frey Hairを使って、皮膚の感覚点の温点、冷点、圧点、痛点を研究した。
- Florence Semmes とSidney Weinstein(P 1922〜2010, 米国の神経心理学者)が1958年に、馬の毛でできたvon Frey hair の代わりにナイロン製のモノフィラメントを開発し、脳損傷患者の感覚の定量化と分類を行った。
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自動デジタル式von Frey test
- 原理はvon Frey testに類似しているが、ミクロピペット状の機器の先に、細いチップを装着し、後肢足底に対して垂直に押しつけ、後肢の逃避行動を示したとき、自動的に押し当てた強さが計測される機器を用いる。
- マウス用のチップ;直径0.8-0.9mm
- 圧刺激の強さは0.1〜50g迄、加圧スピードは1〜20秒迄任意に設定
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Randall Selitto test --- paw pressure test (37215 - Analgesy-Meter>Ugo Basile Plantar Test/Muromashi)
(Randall et al., 1957 L.O. Randall and J.J. Selitto, A method for measurement of analgesic activity on inflamed tissue, Arch. Int. Pharmacodyn. Ther. 111 (1957), pp. 409–419.)
- 加圧式鎮痛効果測定装置で機械刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- Randall Selitto法により、ラットの後肢に一定の速度で連続的に増加する圧を与え、逃避閾値を測定する。
- 覚醒動物が対象となる。
- 水村研での筋痛モデルでは、円錐形の圧子の先端を太くして、筋に対する機械刺激の閾値を評価できるようにしている。
[注意するポイント]
- 安定した結果を得るためには、動物をテストにならすことが必要である。
水村研では、幼若期から良くハンドリングし、ラットの体幹部をタオルで巻き、テープやマジックテープで留めて、安全にテストをされている。これはラットを拘束して不快感を与えているのではなく、安心感(?)を与えているようだ。
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はけや電動歯ブラシを使った疼痛テスト
- 機械刺激を加え、急性痛を評価するテスト。慢性疼痛モデル動物では、アロディニアの評価にもなる。
- 触刺激を与え、逃避反射時間を評価する。
- 触刺激は順応が起こるので、tactile allodyniaのためのテストとしては、圧刺激より電動歯ブラシのような触刺激が適当である。
- 覚醒動物が対象となる。
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化 学 刺 激 |
ホルマリンテスト formalin test 参考1
- 1977年David Dubuisson & Stephen G. Dennis [PubMed]
- 急性持続性疼痛のモデルとして確立されている。慢性疼痛モデル動物では、慢性疼痛の評価にもなる。
- 1.5-5%のホルマリン溶液0.05-0.1mlをラットやマウスの前肢あるいは後肢足背/足蹠にホルマリンを皮下注入し、自発痛によって生じる行動を解析する。
- ハロタンなどによる深麻酔下、あるいは動物をを梗塞して皮下注射する。
- licking)、flinching、lifting、biting、guarding、shakingなどの行動回数や持続時間を評価する。
- 注射された動物は、直ちにその足を繰り返しなめる---Pain score 3
↓
数分すると、足を床に着けないよう空中に保持する--Pain score 2 ↓
やがてその足を使って用心深く歩く--Pain score 1 ↓
そして注射後約90分たつと正常に歩行するようになる--Pain score 0 ↓
最初の反応が中等度の痛みを反応し、以後痛みが弱まると解釈される。
(ヒトにホルマリン溶液を注射すると、直ちに強い、鋭い、ハチに刺されたような、あるいは焼けつくような痛みが現れる。約5分たつと定常な拍動痛に変わり、30-60分で消失する。最初の痛みを相性疼痛phasic pain、5分後の痛みを持続性疼痛tonic painと呼ぶ。)
ラットでは2相性の反応がみられる。
第1相 | 0-5分 | ホルマリン自身による直接の化学刺激による反応? |
第1相と第2相の間に、疼痛関連行動が全く認められない時期がある。内因性の疼痛抑制系が活性化されている時期 |
第2相 | 5-40分 | プロスタグランジンなどの炎症性メディエーターが関与した局所の炎症反応による侵害受容性興奮と脊髄後角に誘発される過敏化の相乗効果 |
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bee venom test/melittin test
- ハチ毒やハチ毒に含まれるメリチンをラットやマウスの後肢足蹠に皮下注入し、自発痛によって生じる行動や痛覚過敏/アロディニアを解析する。
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カラゲニンテスト →刺激/モデル
- カラゲニンは、アイルランド産の紅藻類から得られた多糖類の植物性ゴムで、起炎物質。
難水溶性で、生食に溶解させるためには、超音波洗浄機などを使用する。
- カラゲニン物質を後肢足底に皮下注入し、炎症に伴うアロディニアや痛覚過敏を評価する。
- カラゲニンは、末梢神経には作用しない。注入後約30分〜1時間経過して、炎症反応による浮腫と痛覚過敏が生じる。その後、数日間炎症反応が持続する。
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Algogenic-induced nociceptive flexion (ANF) test:
Algogenic-induced paw-flexor response (APF) test [PubMed]
- 植田弘師先生による考案:後肢足蹠への発痛物質投与に対する侵害性応答を侵害性屈曲反射を指標として評価する方法
- からだを浮かせて水平に保持した状態で、屈曲反応をトランスデューサーと、それに連結したレコーダーを介して解析する。
- 四肢を出すための穴の開いた柔らかい布製の筒に入れ、布を金属製の棒につるし、右後肢以外は足蹠背側に取り付けたごく細い糸で、実験台に結んで固定する。
- 右後肢に取り付けたいとは、床に取り付けた輪に通した後、アイソニックトランスデューサーに接続する。
- Algogenic-induced biting and licking (ABL) testの100倍の感度で、発痛物質の効果を検知できる。
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酢酸ライジングテスト acetic acid writhing test
- 覚醒動物において痛みや鎮痛の程度を評価する行動テストであるが、動物が痛みから逃れられないテストのため、動物倫理の観点から行うべきではないテスト法であると考えられる。
- マウスに酢酸を投与すると、痛みにより特有の「身もだえるような症状(ライジング)」が現れる。
- マウスの腹腔に0.5〜0.6%の酢酸を注射する。
- 鎮痛薬の投与前と投与後で、ライジングの回数を比較し、痛みに対する抑制効果を試験する。
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浮腫の測定 (7140 - Plethysmometer>Ugo Basile Plantar Test) |
電 気 刺 激 | フリンチジャンプ試検 flinch/jump test←→Foot shock induced analgesia
- Evans, W. D.が1961年に開発した。(Evans, W. O. A new technique for the investigation of some analgesic drugs as a reflexive behavior in the rat. Psychopharmacologia, 2: 318-324, 1961. )
- フットショックに対する痛みの感受性を測定する。
- ラットを床が電気格子になっている箱に入れ、この格子に10秒間隔で0.3秒間電気を流す。初めのショックの強度はふつう0.1μAである。その後、30回ジャンプするまで0.05μAずつ増加し続ける研究者もいれば(MayerとLiebeskind;1974)、ショックの回数を例えば10回に制限し、各連続試行における増加幅をより大きくする研究者もいる(Evans;1961)。10回の完全試行の間ずっとジャンプがみられると,再び0.1μAから始める研究者もいる(Bodmerら;1978)。
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情
動 |
場所嗜好性試験 conditioned place preference (CPP)法によるモルヒネの報酬効果(精神依存)の評価
- 薬物の効果と場所(ボックスの2つのコンパートメント)とを動物に条件付けした後に、動物に自由に場所を選択させて、薬物の効果を評価する。
コンパートメント1:白ー凹凸 コンパートメント2:黒ー平面
→薬物処置側のコンパートメントを動物が選択---報酬効果
→溶媒処置側のコンパートメントを動物が選択---嫌悪効果
第1日目 溶媒(or 薬物)を処置して、コンパートメント1に1時間動物を閉じこめる。
第2日目 薬物(or 溶媒)を投与して、コンパートメント2に閉じこめる。
↓この操作をラットは4日間、マウスは6日間繰り返す。
第5日目 ボックスの中央のしきりを取り外した後に、各コンパートメントでの15分間の滞在時間を測定する。
恐怖条件付け文脈学習 contextual fear conditioning test ←→恐怖条件付けテスト/PTSD/記憶
- 恐怖の古典的条件付けは、音や光など、それ自体では恐怖の指標となる反応を喚起しない条件刺激:CSと、電気ショックなどの恐怖反応を喚起する非条件刺激:USを対象とするパブロフ型の条件付けである。
- 動物に音を聞かせると同時に電気ショックを与えて聴覚による条件付けを行なうと、条件刺激(音)を提示しただけで血圧上昇やフリージング反応(すくみ反応)が起こるようになる。扁桃体が破壊されると、この恐怖聴覚条件づけ学習は障害される。
- この恐怖条件づけによって成立する情動反応の発現は、動物一般にみられるもので、その成立の機制はヒトと動物で基本的に違いはなく、自律神経反応(心拍数の増加、過呼吸、血圧上昇、発汗、立毛、緊張感、不安感など)、および副腎皮質ホルモンの上昇などを伴う「恐怖症状」や「パニック発作」が観察される。
□条件付けセッション Conditioning session
電気ショック用のグリッドがある、明るく、四角いボックス(条件刺激、文脈)に動物を入れて一定時間経過後に、聴覚刺激(条件刺激、手がかり刺激 cue)の終了時にフットショック(非条件刺激、嫌悪刺激)を与える。これを2〜3回繰り返し、情動反応はフリージング時間で評価する。 |
□文脈テスト contextual test
翌日、条件付けテストと同じ、明るく、四角いボックスに動物を入れるが、聴覚刺激もフットショックも与えない。嫌悪刺激と文脈刺激による連合学習が成立していれば、動物は嫌悪刺激がなくても情動反応を引き起こす。 |
□手がかりテスト cued test
文脈テストの1時間後に、暗い、三角形のボックスに動物を入れて一定時間経過した後に、聴覚刺激を与える。手がかり刺激と嫌悪刺激による連合学習が成立していれば、嫌悪刺激が与えられたボックスでなくても、情動反応を引き起こす。 |
□消去学習 extinction ←→薬剤/記憶の消去
- 恐怖条件付けで形成された中立的な刺激と恐怖の連合は、その後、中立的な刺激のみを提示(恐怖なしで)し続けることで「消失」する
- 一度形成された恐怖記憶は、「消去学習」によって抑制することができる。条件付けしたケージで音刺激は与えるが、フットショックを与えない。これを繰り返すと、フリージングしなくなる。
- 恐怖記憶が消失する再固定化の阻害とは異なるメカニズムである。「消去学習による記憶の(見かけ上の)減弱・消失」と「再固定化阻害による記憶の(完全な)減弱・消失」は、よく類似した現象であるが、分子・細胞機構は大きく異なると想定されている。 参考1
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痛みのオペラント条件付け実験 ←→オペラント課題/オペラント条件づけ 参考1/2
- マウスに報酬であるミルクと、罰である侵害刺激を加えられる装置
- マウスが報酬であるミルクを飲むためにウィンドウを鼻でタッチすると、弱い侵害刺激も加えられる。
- 弱い侵害刺激によって、痛みを感じない時には、報酬が得られるタッチ行動の頻度が高ます。
- タッチ行動によって痛みを感じれば、タッチ行動の頻度が減る。
- 神経障害性疼痛モデルでは、コントロール群よりも、侵害刺激によってタッチ行動の頻度が減る。
Grimace scaleしかめっ面スコア Grimace scale ←→表情/フェイス・スケール 参考1/Jeffrey Mogil/2/3/4/4/
- げっ歯類の表情を用いた痛みの評価 参考1/
- no pain (0)、moderate (1)、severe (2)の3段階のスコア化
Orbital Tightening | 眼窩の締め付け |
Nose Bulge | 鼻の膨らみ |
Cheek Bulge | 頬の膨らみ |
Ear position | 耳の位置 |
Whisker Change | ひげの変化 |
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