ヒトマイクロバイオーム human microbiome
- ヒトの細菌叢(微生物叢)
- 腸内細菌叢には、ヒトの細胞数に近い約40兆個の細菌が存在し皮膚、口腔、鼻腔、膣などにも微生物が存在している。
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腸内マイクロバイオーム gut microbiome |
ディスバイオシス dysbiosis
- 腸内細菌叢の構成異常
- 何らかのきっかけにより、腸内細菌の総菌数が著しく減少することや、その構成比が変化してしまうこと、また、通常は菌数レベルの低い菌種が異常に増加することなど、正常な細菌構成が異常になること
- ディスバイオシスの原因としては、食生活の乱れ、感染などによる炎症、抗生物質の使用などが考えられている。
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腸管壁侵漏、リーキーガット Leaky gut
- 腸の粘膜に穴が空き、異物(菌・ウイルス・たんぱく質)が血管内に漏れだす状態にある腸
- 腸管上皮細胞によるバリア機能が低下して腸壁の透過性が上昇すること
- 腸を透過しない未消化物や老廃物、微生物成分などが生体内に漏れ出す状態
- これらの物質が血流に入ることで体のさまざまな部位に運ばれ、炎症を引き起こすことで自己免疫疾患やアレルギー、感染症など多くの疾病の発症や憎悪に関わると考えられている。こうした生体内に漏れ出した物質が疾病を引き起こす状態をリーキーガット症候群と言う。
- リーキーガットの原因は、生活習慣の乱れや過度の飲酒、慢性的なストレス、炎症性腸疾患や2型糖尿病などの疾病、外科手術やがん化学療法など多様な要因が考えられている。腸のバリア機能の維持には腸内細菌も関与していて、プロバイオティクスがリーキーガットを改善する可能性も報告されている。
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プロバイオティクス probiotics
- アンチバイオティクス(抗生物質)に対して提案された用語であり、共生を意味するプロバイオシス(probiosis、pro:共に、~のために、biosis:生きる)を語源としている。
- 英国の微生物学者のRoy Fullerは1989年に「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義し、これが現在でも広く受け入れられている。
- 人体に良い影響を与える微生物(善玉菌)、または、それらを含む製品、食品のこと。
- プロバイオティクスの候補としては乳酸菌やビフィズス菌が有名だが、以下のような条件を満たすことが科学的に証明された特定の菌株に限り、プロバイオティクスと考えられている。
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腸内細菌叢移植、糞便移植 Fecal Microbiota Transplantation:FMT
- 健康な人の便に含まれている腸内細菌を病気の患者に投与する治療法
- 再発性クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症や、クローン病や潰瘍性大腸炎などの難治性炎症性腸疾患等に対して欧米を中心に最近行われている治療法
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