ウィリス動脈輪、大脳動脈輪 Circle of Willis
- 発見者Thomas Willisに因んでウイリス動脈輪と呼ばれる。
- 内頸動脈と椎骨動脈の枝が連絡し形成された輪状もしくは六角形の吻合である。
- ウィリス動脈輪を形成している血管の走行は、
前交通動脈→前大脳動脈→内頸動脈→後交通動脈→後大脳動脈
の順番になっており、輪のように形成される。
- ウィリス動脈輪は、内頸動脈または椎骨動脈のどちらかの血流が妨げられた時、バイパスとして機能して、脳虚血を防ぐ働きをしている。
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内頸動脈 internal carotid artery:ICA
- 脳底部の主要な血管の一つ
- 上行大動脈から分枝してできる左右の総頸動脈から分枝する動脈の一つ、総頸動脈から分かれて頭蓋底にいたるまでは枝を出さない。
- 海綿静脈洞を通り、蝶形骨前床突起の内側で脳硬膜を貫いた直後に頭蓋内での最初の枝である眼動脈が出る。
- クモ膜下腔で、後交通動脈と前脈絡叢動脈が出る。その後、2本の太い終枝である前大脳動脈と中大脳動脈とに分枝する。その他、眼動脈、後交通動脈、前脈絡叢動脈を分岐している。
- 群発頭痛のメカニズムの一つに、内頸動脈の周囲に起源を求める説がある。
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前大脳動脈 anterior cerebral artery:ACA
- 視交叉と視神経の外側で内頚動脈から分岐する。
- 左右の前大脳動脈は視神経の背側を前内側方向に走り、相互に近づき、前交通動脈によって連結する。
- 一側の前大脳動脈の本幹が閉塞すると、下肢に最も強い対側性麻痺が起こる。
- 両側の前大脳動脈の閉塞は、両側麻痺、特に下肢の両側性麻痺と脊髄疾患に類似の 感覚障害を伴う。
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中大脳動脈 middle cerebral artery:MCA ←→中大脳動脈閉塞モデル
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後大脳動脈 posterior cerebral artery:PCA
- 脳底動脈から左右に分かれ、後交通動脈によって中大脳動脈と連結する。
- 側頭葉や後頭葉など大脳の後部に血液を供給する。
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椎骨動脈 vertebral artery:VA ←→ジフェニドール
- 首付近に左右に2本存在する、脳を栄養する重要な動脈の1つ
- 心臓から出た直後の大動脈から頭頸部、上肢への血管として頸動脈、鎖骨下動脈がある。鎖骨下動脈は椎骨動脈を出した後、上肢の血管となっていく。
- 左右が脳底動脈に合流し、左右にわかれ、後大脳動脈になる。
- 頚髄、延髄、橋、小脳、中脳、間脳の後部、大脳の後頭葉および側頭葉、蝸牛および前庭器官を栄養する。
- 椎骨動脈に狭窄を来したために症状が出現した病態が椎骨動脈狭窄症、椎骨脳底動脈循環不全症
- 椎骨動脈の血流が悪くなるとめまいを起こす。このめまいの多くは20〜30秒でおさまります。椎骨動脈は頸椎の中を通るため、急にうしろを振り向いたり、天井を見上げたり、床を見たりする動作で血液循環がさまたげられてめまいを起こす。特に生まれつき椎骨動脈が細い人、動脈硬化によって椎骨脳底動脈に狭窄がある人、老化で頸椎が変形し、動脈を圧迫している人では起こりやすい。
- 椎骨ー脳底動脈は三叉神経痛の圧迫動脈としては頻度の高い動脈の一つである。
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脳底動脈 basilar artery
- 左右の椎骨動脈が頭蓋腔内に入って橋の後端で合流してできる動脈
- 小脳に分布する枝を出したのち、脳底動脈の終枝である後大脳動脈となって大脳半球後部に分布している。
- 椎骨ー脳底動脈は三叉神経痛の圧迫動脈としては頻度の高い動脈の一つである。
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