椎体 vertebral body
←→脊椎/椎体骨折
- 椎骨の円柱状の部分
- 頸椎、胸椎、腰椎で形が異なる。腰椎にかかる負担は非常に大きいため、もっとも幅広く大きな形をしている。
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椎間円板、椎間板 intervertebral disk ←→椎間板ヘルニア/椎間板性疼痛/IDET/椎間板内加圧注射法/酵素注入療法
- 椎間板は椎体と椎体に挟まれ、クッションのような役割を果たしている軟骨である。
- 背側には脊髄円錐や馬尾を有する脊柱間と接している。
- 椎間板はバウムクーヘンの中にクリームが詰まったような構造である。
- バウムクーヘンのような線維輪↓の中に、髄核↓が入っている。
- 椎間板は単に椎体を結合するのみではなく、弾性体として脊柱の運動および体重を支える重要な役割を果たしている。
- 椎間板は背側の椎間関節と協力して体重を支える。
- 脊柱の屈伸に際して、椎間板の屈側は低く圧迫され、伸側は引き延ばされるが、線維輪のラセン状の線維配列はこのような外力に対する抵抗と、変形のあとの復元とに大切な意義を有する。
- 椎間板は傍脊椎交感神経により非髄節性に、また椎骨洞神経により分節性に神経支配されている。
- 線維輪の外側は椎骨洞神経が分布しているが、髄核・軟骨性終板は神経支配されていない。
- 損傷のない椎間板の内部は、神経支配も血管支配も受けていないので、基本的に椎間板内に障害を受けても、痛みを感じることはない。
- 椎間板が損傷を受けると、修復をおこなうために、血管と線推輪の外側に存在する椎骨洞神経が椎間板内に伸びていき、椎間板内の炎症に反応し、痛み情報を伝える。
線維輪 annulus fibrosus
→線維輪の状態によるヘルニアの分類
- 椎間板中心部の髄核の周りを、輪状に走る線維軟骨。
- 軟骨基質中のコラーゲン線維は束をなして椎間板の外周に平行なラセン状の走行を示し、そのラセンの傾斜が互いに直角に近く交わる多数の層をを作る。
- 正常線維輪の湿重量の60-70%は水分であるが、乾燥重量の50-60%はコラーゲン、20%はプロテオグリカンであり、水分保持能に寄与している。
- 線維輪が脊椎上下の軟骨板と強く結合して、椎間板が硬くて適切な支持力を維持することができる。
- 線維輪の前方は厚く、後方の線維輪より約2倍も太い。
- 線維輪に弾力性があり硬い時には髄核は漏れないが、線維輪が弾力性を失ったり破れたりすると、変性した髄核が漏れてしまう。
- 線維輪の外層は、C侵害受容線維を含む椎骨洞神経に支配されている。
- 腰痛の最好発の組織部位は線維輪の外層である。
Stephen Kuslich et al., (Orthop Clin North Am. 1991,22(2):181-7.) [PubMed]関連1
- 局部麻酔薬を用いて700件以上の腰椎の手術を行った。
- 手術中に腰椎の多様な関連組織を刺激して痛みがあるかどうかを観察した。
- 腰痛の最好発の組織部位は線維輪の外層であった。
- ただし、炎症を起こしていたり伸張されていたり腫れていたりする神経根を刺激すると、坐骨神経痛(殿部と下肢の痛み)が生じる。
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髄核 nucleus pulposus
- 椎間板の中心部に近づくにしたがってコラーゲン線維の配列は次第に疎になり、ついには細い線維が疎に、不規則に配列し、その間に軟骨細胞の小群と、不定形の腔所とを含むコラーゲンの組織となる。この部が髄核である。
- 髄核は、椎間板の中心部の30-50%に位置している。
- 胎生期の脊索の遺物といわれる。胎児の椎間円板中には、この部でとくに太くなる脊索が明瞭である。成人でも髄核組織の一部が脊索の遺物にあたる。
- 脊索細胞、軟骨組織とゲル基質からなる。
- 水分を多量含み(70-90%)、弾力に富む。
- 基質はアグリカンと弾力性に富むII型コラーゲンが主な構成要素である。
- 髄核は硬い線維輪の中にあって、あたかも水枕のように作用し、圧をすべての方向に分散させるとともに、屈伸に向かって若干おしつけられる。
- 線維輪断裂による髄核の脱出が、突出型のヘルニアである。
- 髄核が脱出した周囲は炎症が強く、白血球中のマクロファージの働きが活発になり、ヘルニアを異物とみなし、次第に吸収される。
- 脱出した髄核は数ヶ月で吸収されることが多いので、通常は保存的加療で症状がおさまる。
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椎間関節 facet joint, zygapophysial joint ←→関節/椎間関節性疼痛/椎間関節ブロック
- 頸椎、胸椎、腰椎において、椎間関節面の方向から、形態的な差はあるが、同じような痛みを発生しやすい構造になっている。
- 上の椎体の下関節突起と下の椎体の上関節突起によりできる関節で、典型的な滑液関節である。
- 椎間関節は、後方脊椎支持組織として働く滑液関節である。
- 神経支配:椎間関節はその関節をはさむ同レベル、および1分節上の脊髄神経からの神経根後枝内側枝によって2重支配され、その関節包と滑膜には豊富な神経終末が認めらている。さらに、椎間関節内に侵害受容器やその他の感覚終末の存在も証明されている。
- 役割:椎間関節は、脊柱の働きを制御するのと同時に、脊柱の安定性に寄与している。その生体力学的役割は、その形状から、前方へのtranslocationと左右へのrotationが制限され、椎間の運動方向が決められている。
⇒腰椎椎間関節 |