内受容感覚 interoception ↓ ←→内部受容器/共感 参考1
- 身体全体のホメオスタシスの状態を意識するためのもの
- 心房、頸動脈、大動脈の伸張受容器、頸動脈洞の化学受容体、門脈循環における脂質受容体、骨格筋の代謝受容体によって生じる感覚で、内臓や血管の状態の知覚に関わっている。
- 心拍や血圧、呼吸などの変化の受容にはこの感覚が主に関わっていて、感情の生起に伴って観察される感情反応と呼ばれる身体反応の多くは、内受容感覚器が検出できる変化をもたらすものである。
- Vaitl (1996) は内受容感覚を、固有感覚と身体内器官の感覚 (内臓感覚) からなると定義した。
- Craig ADはあらゆる痛み(皮膚痛を含む)を内受容感覚とした。
- Damasioは2003年に、内受容感覚は身体内部環境に関する感覚であ
るとした。痛みや体温を含む身体内環境(internal milieu)、内臓、横紋筋、前庭システム、体液の状態を挙げた。
内臓感覚ー内受容感覚 ↑ ←→内臓感覚/内臓痛/腹痛/内臓器官へのがん浸潤による痛み
参考1/2
- 自律神経系が強く影響
- 身体状態を意識している際の中枢神経活動を捉えた事象として、Pollatos and Schandry (2004)は心拍誘導性電位を報告した。
心拍誘導性電位 Heart beat-evoked potential:HEP ←→バイオフィードバック
- HEPは心電図の R波から250〜350ms遅れて観察される陽性波である。この振幅は心拍を敏感に知覚できる個人では大きく、また心拍を知覚しようと努力することでその大きさが増大することから、内受容感覚の鋭さと関連するのではないか、と考えられている(Weitkunat & Schandry,1990)。
- 発生源推定を行った研究では,島皮質に加えて、前帯状回,前頭葉内側部、下頭頂皮質などが発生源と考えられてる(Pollatos,Kirsch,&Schandry,2005a)。
- 内受容感覚の鋭さに対応すると仮定される指標であることに注目して、Fukushima,Terasawa, and Umeda (2011)はHEP の振幅と、他者への共感の度合いが相関することを示し、内受容感覚と感情処理を繋ぐデータを提示した。
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- 内受容感覚の敏感さは、身体からの影響のされやすさ (susceptibilityあるいはvulnerability)を意味し、強い感情経験や、不安傾向の増加などにつながると考えられる。実際に、こちらの見解を指示するデータが多数を占める、
- しかし別の捉え方では、内受容感覚の敏感さは、身体内のモニタリング能力の高さを意味すると考えられ,それが身体の適切な制御、ひいては感情の適切な制御につながると考えることができる。たとえばマインドフルネス的な特性は、内受容感覚の深化と結びついていることも示唆されている(Daubenmieretal., 2013;Farb,Segal,& Anderson, 2013)。
- また実際に、心拍知覚課題の成績が良いほど、認知的再評価による感情制御に優れているという報告もある(Füstös et al., 2013)。したがって、内受容の敏感性は、感情強度の適切さ (相対的な小ささ)や低不安を予測すると考えられる。
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