convulsion:不随意に筋肉が激しく収縮することによって起こる発作
- 中枢神経の障害により、不随意かつ発作性に筋肉が収縮することによって起こる発作。
- 意識障害を伴うことが多い。
┌全身性痙攣
└局所性痙攣
- 全身性痙攣には、関与する筋の全てが一様に持続的に収縮する強直性痙攣と、拮抗筋が交互に収縮する間代性痙攣とがある。
- 全身性強直性痙攣では一般に伸筋群の張力が屈筋群のそれに勝るため、四肢を伸展し、頸部と背部とを反り返らせる後弓反張を示すことが多いが、マウスでは頸部を前屈し後肢を伸展する前彎痙攣となる。
強直性痙攣 tonic convulsion, tonic spasm ←→強直間代発作
- 筋収縮が持続的に一定時間続く。
- 運動を伴うような痙攣が持続する。
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間代性痙攣 clonic convulsion, clonic spasm, clonic seizure
- 拮抗筋の収縮が交互に繰り返される痙攣
- 伸筋と屈筋とが交互に収縮する。
- 運動を伴うような痙攣が反復する。
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後弓反張 opisthotonus
- 頭部を後ろに反らせ身体が弓なり状に反った状態
- 全身性強直性痙攣では一般に伸筋群の張力が屈筋群のそれに勝るため、四肢を伸展し、頸部と背部とを反り返らせる後弓反張を示すことが多いが、マウスでは頸部を前屈し後肢を伸展する前彎痙攣となる。
- 破傷風の症状の一つで、Charles Bellはコルーニャの戦い(Battle of Corunna)で銃創後の破傷風感染によってOpisthotonusに苦しんでいる兵士のスケッチをしている。
- 中枢神経障害がある時にみられる。多発性単神経炎(ビタミンB1欠乏)感染、肝疾患や腎疾患などの代謝性疾患、中毒、腫瘍疾患など様々な理由で起こる。
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- 原因はさまざまで、てんかん、脳腫瘍、頭部外傷、電解質異常、低血糖などの頻度が高い。
- 熱性痙攣 febrile convulsion, fever convulsion---乳幼児では、発熱に引き続いておこる。
- 妊娠中は妊娠中毒症による子癇で痙攣がみられる。
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cramp:痛みを伴う強直性の痙攣をいう。
- ふくらはぎの強直性痙攣は「こむらがえり」と呼ばれ、正常人でも筋疲労時に起こるし、妊娠後期にもみられる。
- crampは種々の疾患でみられるが、これを主症状とする疾患としてstiff-man症候群、McArdle病、全身こむら返り病(里吉病)などがある。
胃痙攣 stomach cramps →鎮痙薬
熱痙攣 heat cramps
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テタニー tetany
- tetanyorまたはtetanic seizureは、筋の不随意収縮を示す徴候であり、筋細胞またはそれらを神経支配する神経の活動電位の頻度を増加させる病態、または他の状態によって引き起こされる。
- 意識を失うことなく四肢の筋群に,疼痛性,強直性のけいれんを起こす状態
- tetanyによって引き起こされるcrampはtetanyに分類されない。 むしろ、それらは筋肉を供給する神経細胞に対する抑制の欠如によるもである。
- Tetanic contractions:生理的強縮は広い範囲での筋収縮タイプであり、tetanyは1病態である。
- 小児では佝僂病,成人では上皮小体の機能不全によることが多い。原因は血清カルシウムの減少である。激しいけいれん発作の際,歯を食いしばり,食事ができず,喉頭筋あるいは呼吸筋のけいれんで喘鳴を起こし窒息することがある。また,母指が手のひら面に向かって曲がる。
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spasm ←→spasticity
- [生理学用語集]では、「攣縮」
- 痙攣性の収縮
1. 不随意筋、特に平滑筋の持続的な収縮。 2. 骨格筋の痙攣性の収縮 ←→単収縮↑
- しかしspasmは通常広い意味で用いられ、いろいろな筋の不随意な収縮を意味するようだ。
間代性痙攣 clonic spasm, clonic seizure ↑ |
強直性痙攣 tonic spasm ↑ |
眼瞼痙攣 blepharospasm
片側顔面痙攣 hemifacial spasm
血管攣縮=血管痙攣 angiospasm, vascular spasm, vasospasm
気管支痙攣=気管支攣縮 bronchospasm
脳血管攣縮=脳血管痙攣 cerebral vasospasm
胃痙攣 gastrospasm, stomack spasm →鎮痙薬
食道痙攣 esophageal spasm
喉頭痙攣 aryngospasm
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有痛性強直性痙攣 painful tonic spasm: PTS(painful tonic seizure)- 多発性硬化症では痛みを伴う強直性痙攣が四肢に起こることがある。
- 陳旧性の病巣を有している多発性硬化症患者の一側の上肢または下肢に起こる。
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ミオクローヌス myoclonus ←→ミオクロニー発作/若年性ミオクロニーてんかん 参考1/2
- 自分の意志とは無関係な運動を起こす不随意運動の一つである。
- 神経系の過度の興奮によって生じる、急速に起こる電撃的な不随意的筋収縮で、拮抗筋が同期して収縮することが多い。
- ある筋肉や筋肉群に起きる素速い稲妻のような収縮。痙攣よりも持続時間が短い。
- 陽性ミオクローヌスと、筋収縮の瞬間的停止による陰性ミオクローヌスnegative myoclonusとに分類される。陰性ミオクローヌスの病態ではasterixisや膝折れがある。
- ミオクローヌスは片手の筋肉あるいは上腕、太もも、顔の筋肉群に起こる。しゃっくりは腹部と胸部の境目にある横隔膜の筋肉だけにミオクローヌスが起きたものです。ミオクローヌスは多くの筋肉で同時に起こることもある。
- ミオクローヌスの原因
生理的ミオクローヌス
- 正常時にもみられる。
- 眠りかけたときなどにも手足のミオクローヌスが起こる;睡眠時単収縮(Sleep jerks)
- 不安誘発性
- 運動誘発性
- 吃逆:横隔膜と呼吸補助筋のミオクローヌスによって生じるしゃっくり
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本態性ミオクローヌス
家族性本態性ミオクローヌス、夜間ミオクローヌスなど |
てんかん性ミオクローヌス
- てんかん発作による症候の一つであり、その場合はミオクローヌス発作とも呼ばれる。
- てんかん発作の部分症状
- 小児のミオクローヌスてんかん(Lennox-Gastaut症候群など)
- 進行性ミオクローヌスてんかん(Uverricht-Lundborg、DRPLAなど)
- 良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)
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症候性ミオクローヌス
- 蓄積症(リピドーシス、セロイドリポフスチノーシスなど)
- ミトコンドリア機能異常にともなうミオクローヌス
- 脊髄小脳変性症(DRPLA、Friedreich運動失調症など)
- 大脳基底核の変性(Wilson病、皮質基底核変性症など)
- 認知症にともなうもの(橋本脳症など)
- 感染症(CJD、HSV、SSPE、Whipple病など)
- 代謝性疾患(肝腎不全、CO2ナルコーシス、透析症候群、低Na、無酸素脳症、熱中症などなど)
- 傍腫瘍症候群(抗NMDA受容体脳炎、神経芽細胞腫)
- 局所の中枢神経障害(視床術後、外傷、脳血管障害、脳腫瘍)
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中毒性ミオクローヌス
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薬剤性ミオクローヌス
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他の原因
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