キラリティー chirality
- 3次元の図形や物体や現象が、その鏡像と重ね合わすことができない性質。
|
キラル chiral
- キラリティがあること
- ギリシャ語で「手」を意味するχειρ (cheir) が語源である。
- 手はキラルなものの一例で、右手とその鏡像である左手は互いに重ね合わせられない。
- キラリティがない、つまり鏡像と重ね合わせられることをアキラル (achiral) という。
- キラルな図形とその鏡像を互いに(たとえば右手に対する左手を)enantiomorphsと言い、ギリシャ語で「反対」を意味するεναντιος (enantios) が語源である。
- 多くのキラル分子は不斉炭素などのキラル中心を持つが、キラル中心の存在はキラルであることの十分条件でも必要条件でもない。
|
キラル中心 chiral center=不斉中心 asymmetric center
- 分子のキラリティーを生じさせる元となる原子をいう。
|
不斉 asymmetry
- 不斉とは「無対称」で、本来は、単にキラルであるだけでなく回転対称性もないということである。
- 歴史的には、酒石酸のキラリティを発見したL. Pasteurは1860年に dissymétrie という語を使ったが、英語とドイツ語に翻訳される時に asymmetry と Asymmetrie に変わった。
- 日本語では asymmetry を不斉、dissymmetry を不均斉と翻訳してきた。しかし不均斉という言葉は現在あまり使われておらず、不斉をキラリティーとほぼ同義語に使うことも多い。
- 多くのキラル分子は不斉炭素などのキラル中心を持つが、キラル中心の存在はキラルであることの十分条件でも必要条件でもない。
|
不斉合成
- 化学的な処理過程のひとつ。光学活性(キラル)のある物質を作り分けることである。
|
全合成 total synthesis
- 複雑な天然由来の化学物質などを目標とし、有機化学の手法のみを組み合わせて合成することをという。
- 有機合成化学において一大テーマであり、Robert Burns Woodward(P 1917/4/10〜1979/7/8 アメリカの有機化学者、1965年にノーベル化学賞受賞)をはじめ著名な有機化学者によって多くの化合物の全合成研究が行われ、その過程で様々な新規化学反応が発見・開発されるとともに社会に医薬品等を人工的に供給する手段を提供してきた。
- 全合成研究を進める意義としては、分光学的に決定された化合物の構造が実際に正しいか確認すること、天然からは微量しか得られない化合物を人工的に多量に供給すること、全合成の過程で新規化学反応を発見すること、などがあげられる。
|