■基礎の基礎

│神経節 ganglion│　←→脊髄/脊髄神経

神経節 ganglion 中枢神経以外の末梢部において神経細胞が集合し、周囲から明確に判別される構造をいう。中枢神経内の神経核と対比される。 神経節が、構造的に中枢から独立した神経細胞の集合体を作っているのは、中枢に至らない反射経路などを形成して、種々の自律的・反射的調節に寄与するためではないかと考えられる。 ヒトの脳も脊髄神経節が肥大化したものと見ることができます。 　→感覚神経節（脊髄後根神経節、三叉後根神経節、ほか） 　→自律神経節（交感神経節、副交感神経節）

神経叢 nerve plexus 神経細胞の軸索、樹状突起およびシナプスが密に絡み合った部分 　→腸内神経叢（筋層間神経叢/粘膜下神経叢) 　→脊髄神経の神経叢（腕神経叢/仙骨神経叢）

ガングリオン（ganglion cyst、結節腫） 関節や腱にできる小さな球状のかたまり（内側に粘液がたまる）。 神経節とは関係がない。

●感覚神経節

→脊髄後根神経節 　→三叉神経節

膝神経節 genicle ganglion 顔面神経 N. facialis：第7脳神経中の中間神経の求心性神経の細胞体がある。 脊髄後根神経節や三叉神経節と相同な神経節。 舌の前2/3の味覚を司る。 舌の前2/3　→　鼓索神経　→　膝神経節　→　中間神経　→　孤束核 膝神経節神経痛＝ラムゼーハント症候群

ラセン神経 spiral ganglion 蝸牛軸にあり、聴覚を司る。

前庭神経節 vestibular ganglion 内耳道底にあり、平衡覚を司る。

上神経節 superior ganglionと下神経節 inferior ganglion 舌咽神経 N. glossopharyngeus（第9脳神経）の求心性神経の細胞体がある。 それぞれ頸静脈孔の上と下にあり、舌の後ろ1/3の味覚、および耳や舌の感覚を司る。

頸静脈神経節

迷走神経下神経（迷走神経節神経節）nodose ganglion 迷走神経の感覚神経節：脊髄神経節と相同 頸静脈孔の中と下にあり、消化、呼吸器の粘膜の感覚を司る。

●自律神経節　←→自律神経

• 節前ニューロンと節後ニューロンのシナプスの部位
  　→交感神経節
  　→副交感神経節

○交感神経節　←→交感神経/交感神経ブロック/交感神経作用薬/副交感神経節/感覚神経節

• 交感神経節には脊椎傍神経節と椎前神経節がある。

  脊椎傍神経節、傍脊椎交感神経節 paravertebral ganglia　←→傍脊椎ブロック 　＝交感神経幹神経節 ganglia trunci sympathici, sympathetic chain ganglia 交感神経幹に沿って存在する神経節。脊柱の両側にある。 上は頭蓋底から下は尾骨にまで及んでいる。 一本の交感神経幹の中に20余個の幹神経節が介在するので、全体は数珠のようである。

  椎前神経節 prevertebral ganglia ＝自律神経叢神経節 交感神経幹から出る神経線維は主に近くの血管壁に沿って走り、自律神経叢plexus autonomiciを作りながら副交感神経の分枝をも受けて支配器官に向かう。 椎前神経節は脊柱の前側にあり、自律神経叢中にある。 腹腔神経節、上および下腸間膜動脈神経節などがある。

  　 　

  	神経節（脊髄分節）	支配神経叢	二次的な神経叢・節	おもな支配領域
  頸 髄	上頸神経節 (C1-C5)	C2		頭部、頸動脈洞、唾液分泌
  	中頸神経節（C5-C6)	C6		大動脈弓
  	下頸神経節 (C7-T1)	星状神経節 (C7-T1)		頭頚部、上肢、上胸背部
  胸 髄	胸部交感神経節（T1）			頭頚部、上肢、上胸背部
  	胸部交感神経節 (T1-T5)	心臓神経叢		心臓、静脈洞
  	胸部交感神経節 (T1-T12)	腹腔神経節・叢（L1）	上腸間膜動脈神経叢・節 横隔神経叢、副腎神経叢 大動脈腎動脈神経叢・節	下部食道、胃、肝、膵臓、胆嚢、小腸、大腸、腎、副腎、脾、尿管、子宮、卵巣
  	胸部交感神経節 (T10-T12)	下腸間膜動脈神経叢（L3-4）	下腸間膜動脈神経節	子宮、卵巣、精巣、外性器、腎、膀胱
  腰 髄	腰部交感神経節 （L1-L5）	上下腹神経叢（L4－L5）		直腸、腎、膀胱、子宮、卵巣、精巣、外性器
  	腰部交感神経節 （L2-L5）	下下腹神経（骨盤）叢（S1－S5）		直腸、膀胱、子宮、卵巣、精巣、外性器

  
  

  星状神経節 stellate ganglion　←→星状神経節ブロック 下頸神経節はしばしば第１胸神経節と癒合して星状神経節（頸胸神経節）と呼ばれる。 頭部・顔面・頸部・上肢・上胸部を支配している。 長さ約2.5cm、幅約1cm、厚さ約0.5cm 第７頸椎横突起と第一胸椎横突起の腹側に存在する。 頸部交感神経節に入る交感神経節前線維のすべてが星状神経節を通過する。 節前線維の多くが上頸神経節の節後ニューロンにシナプス接続する。 上頸神経節を出た節後線維は、灰白交通枝を通って、舌咽神経、迷走神経、舌下神経と第1〜4頸神経に加わって、咽頭と内、外頸動脈に向かい、内、外頸動脈の周りに神経叢を作る。 これらの神経叢を通過した節後線維は、脳神経の枝に加わって、瞳孔散大筋、上眼瞼挙筋、Muller筋、血管、汗腺、頭蓋・顔面の立毛筋、涙腺、唾液腺に分布する。 中頸神経節は第6頸椎の高さにあって、この神経節を出た節後線維は、第5,6経神経に入る。 下頸神経節は、第7〜8頸神経と第1胸髄神経に節後線維を送る。 上肢に向かう節後線維は主として第2〜3胸神経を出ており、第2胸神経節からの節後線維の多くと第3胸神経節からの節後線維の一部が星状神経節を通過する。 星状神経節を通過しない第2〜3胸神経節から節後線維の束をKuntz神経という。 中頸神経節、星状神経節および第2〜4胸神経節からの心臓神経叢へ向かう節後線維が出ている。 星状神経節は気管支平滑筋と肺の血管へも節後線維を送っている。

  腹腔神経節 celiac ganglia、腹腔神経叢 celiac plexus ＝太陽神経叢 solar plexus 　＝Willis' centrum nervosum　＝Vieussens' ganglia 　←→腹腔神経叢ブロック 腹腔神経叢は腹腔動脈、さらにすぐにその下側からでる上腸間膜動脈の基部周辺を囲む極めて強大な神経叢で、大きな腹腔神経節が存在し、全体の形から太陽神経叢とも呼ばれる。 大内臓神経、小内臓神経は横隔膜を貫いて腹腔内に入り、腹腔動脈周辺で強大な腹腔神経叢を作っている。 腹腔神経叢は下行してくる迷走神経の分枝をも受け、ここから出る枝は動脈壁にそって、上、下腸間膜動脈神経叢、腎神経叢、肝神経叢、胃神経叢、膵神経叢、脾神経叢などを形成して腎、腎上体、肝臓、胃、腸管、膵臓、脾臓など腹腔内諸器官に分布する。 腹腔神経叢は、第12胸椎と第1腰椎高を中心に頻度が高く、左側は第1腰椎の下1/3に、右側は左側より1cm高いところに存在し、腹大動脈からの距離は右側が0.6cm、左側は0.9cm離れている。

  不対神経節 ganglion impar 　←→不対神経節ブロック 仙骨と尾骨の接合部の前面正中で、後腹膜腔に位置する交感神経節 上位からつながり腰仙骨の前面への左右に走行してきた交感神経節が、ほぼ仙骨関節の前面の高さで一つとなるため、不対神経節と名づけられている。 稀に存在しないこともある。 仙尾骨の接合部は、線維軟骨板が存在するが、骨化している場合も皆無でない。 5つの靱帯（前仙尾靱帯、外側仙尾靱帯、浅後仙尾靱帯、深仙尾靱帯、関節仙尾靱帯）で補強されている。

○副交感神経節　←→交感神経節/感覚神経節

毛様体神経節 ciliary ganglion 眼窩の後ろで、視神経と外側直筋との間にあり、瞳孔括約筋、毛様体筋を収縮させる。 経路：動眼神経副核と動眼神経正中核　→　動眼神経→　毛様体神経節　→　短毛様体神経　→　瞳孔括約筋と毛様体筋

翼口蓋神経節 pterygopalatine ganglion 翼口蓋窩にあり、涙腺や鼻の腺の分泌を司る。 経路：上唾液核　→　中間神経　→　大錐体神経 →　翼口蓋神経節　→ ┌─頬骨神経　→　涙腺 └─後鼻枝 →　鼻腺

耳神経節 otic ganglion 卵円孔の直下にあり、耳下腺の分泌を司る。 下唾液核→　舌咽神経　→　鼓室神経　→　小錐体神経　→　耳神経節（シナプス結合）　→　耳介側頭神経（下顎神経）　（→　顔面神経）　→　耳下腺 耳神経節から耳介側頭神経との交通枝によって耳介側頭神経と結合し、さらに耳介側頭神経の枝である耳下腺枝によって耳下腺に達する。

顎下神経節 submandibular ganglion 顎下腺の上にあり、顎下腺、舌下腺の分泌を司る。 上唾液核　→　中間神経　→　鼓索神経　→　舌神経 →　顎下神経節　→ ┌顎下腺 └舌下腺





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