■構造と機能 | │自律神経系 autonomic nervous system:ANS│ |
AD2C | Galenus(P 131〜201、ローマ時代の名医)は(自律)神経節を"ganglion"と呼んでいた。脊椎動物の脊柱の内側に頸椎から尾骨まで伸び、ところどころに神経節と呼ばれるふらみを持つ2本の神経があり、神経節から分岐して内臓に達する神経線維を発見した。2本の神経は後に迷走神経として知られる大型の神経によって脳に繋がり、後に白色分岐と呼ばれる神経によって脊髄に繋がっていると考えた。Galenusは神経線維は「動物の魂」を通す中空管であると信じ、内臓は脳から直接「精妙な」感受性を、脊髄からは運動性を与えられると結論した。 |
1552年 | Bartolomeo Eustachio(P 1520〜1574, ローマのサピエンザ大学の解剖学者)が初めて交感神経幹を発見した。1552年に著した彼の著書「解剖図」は、1714年までローマ法王庁の書庫に眠っていたので、Thomas Willis↓が発見したことになっていた。 |
1664年 | Thomas Willis(P 1621〜1675, ロンドンの開業医でチャールズ2世の侍医、解剖学者)が、「Anatomy of the brain, with adescription of the nerves and their function」の中で、交感神経幹や副神経についても記載したが、すでにBartolomeo Eustachio↑が見つけていた。 |
1732年 | Jacques Benigne Winslow(P 1669/4/17〜1760/3/3, デンマーク出身パリ Jardin du Royの解剖学者)が「交感神経」ではなく、「自律神経」に対して、内臓器官の間の相互作用に関わる神経という意味で、「nervus sympathicus」と命名した。交感神経幹とその枝をgrand sympathique(大交感神経)、脳神経に含まれる内臓枝(=副交感神経)をpetit sympathetique(小交感神経)、迷走神経をsympathique intermediaire(中間交感神経)と命名した。 →Langley |
1800年 | Marie Francois Xavier Bichat(マリー・フランソワ・ザビエル・ビシャー P 1771〜1802, パリ、オテル・デュー病院の解剖学者、生理学者)は運動感覚神経である動物性(animale)神経に対して、内臓を支配する神経を臓器(organique)神経と呼んだ。 |
1845年 | Ernst Heinrich Weber(P 1795/6/24〜1878/1/26, ライプチヒ大の生理学者、解剖学者)とEduard Friedrich Weber(1806〜1871)が、迷走神経の刺激で徐脈、低血圧になることを発見した。 |
1851年 | Claude Bernard(P 1813〜1878, フランスの生理学者、Magendieの弟子、1865年に「実験医学研究序説」を出版。)が自律神経系の概念を確立した。↓ |
1886年 | Walter Holbrook Gaskell(P 1847〜1914, 英国ケンブリッジ大の生理学者)は内臓の神経系を延髄系、胸腰系、仙髄系に分類し、有髄線維(節前線維)と無髄線維(節後線維)の分布を明らかにし、交感神経の起始核は脊髄の側角の中間質外側核にあるとしました。Gaskellは自律神経系に対して不随意神経系という用語を使用した。 |
1898年 | John Newport Langley(P 1852-1925, イギリスの生理学者)が、Jacques Benigne Winslow↑(1732)が「nervus sympathicus」と命名していた「自律神経」に対して、「autonomic nervous system」という用語に改めた(auto=自分自身 + nomos=規則)。そして1905年にsympatheticとparasympatheticに分類し直した。 |
節前線維 | 節後線維 | |
汗腺以外の交感神経 | アセチルコリン | ノルアドレナリン・ニューロペプチドY |
汗腺を支配する交感神経 | アセチルコリン | アセチルコリン |
副交感神経 | アセチルコリン | アセチルコリン |
┏→○急性痛が生じたことによって、体性交感神経反射↓が起こる。---痛みがあるときの交感神経症状! | ┗→○慢性痛には、交感神経の関与が強い疼痛がある。↓ |
19C | Carl Ludwig(P 1816/1/29〜1895/4/23, ドイツの内科医)らは、痛み刺激により血圧が上昇することを発見した。脳幹部を切断するとこれらの反応が変化する。 体性交感神経反射経路 脊髄→延髄→脊髄を下行→交感神経節前線維 |
Sir Charles Sherrington(P 1857〜1952, イギリスの生理学者)も体性交感神経反射の反射経路が脊髄にあることを報告した。 | |
1932年 | Edgar Douglas Adrian(P 1889〜1977, ロンドンの電気生理学者)らが交感神経からリズミックなバースト状の活動を記録した。(ADRIAN E. D., BRONK, D. W. & PHILLIPS, G. (1932). Journal of Physiology 74, 115-133) |
1946年 | Robert S. Alexanderらが、体性感覚刺激による反射性放電を交感神経から最初に記録した。麻酔下ネコの体性求心性神経に電気刺激を行うと、1/10秒より短い潜時を持つ交感神経の反射性放電が起こる。(Alexander RS. Tonic and reflex functions of medullary sympathetic cardiovascular centers. J Neurophysiol. 1946; 9: 205–217*) |
佐藤昭夫先生のグループが体性交感神経反射の研究を発展させた。 末梢の体性神経を電気刺激することにより、交感神経の心臓枝あるいは腰髄交感神経幹から導出 |
1. 内臓 - 内臓反射
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2. 体性 - 内臓反射
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3. 内臓 - 体性反射 |
三叉神経-自律神経反射 参考1/2 |
A反射電位 |
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C反射電位 |
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1915年 | Rene Leriche(P 1879/10/121955/12/28, フランスの外科医)は、第一次世界大戦(1914〜1919)の負傷兵の神経損傷後の激しい疼痛(カウザルギー)に対して、その原因は交感神経の過剰活動によるものと考え、動脈周囲の末梢交感神経遮断 periarterial sympathectomyを行った。 |
1986年 | Roberts はRSD(CRPS) に対して自律神経系の薬やブロックが奏効するものとそうであるものがあることを報告した。 |
交感神経非依存性疼痛 sympathetic Independent pain :SIP 組織損傷や末梢神経の損傷後に引き起こされる疼痛症状のうち、交感神経ブロックなどによる交感神経活動の遮断が疼痛の軽減に無効痛みの総称。 |
交感神経依存性疼痛 sympathetic maintained pain :SMP 痛みの成因と維持機構に交感神経の働きが密接に関与する痛みの総称。CRPS ↓ (カウザルギーやRSD)等の慢性疼痛性疾患病態時には、交感神経系の興奮に伴って痛みが増悪するものが多く、ブロックが奏功するものがあるが、中には効かないものもある(→SIP) |
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ウサギ大耳介神経部分損傷 [PubMed] | |
Axotomy |
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CCI model |
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PNL model |
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SNL model |
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1型糖尿病性末梢神経障害 |
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フロインドアジュバンド Freund's adjuvand |
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神経損傷部位におけるクロストーク ---神経損傷後の中枢側断端に生じる神経腫にα2アドレナリン受容体が発現する |
痛覚受容器におけるクロストーク ---神経損傷後の痛覚受容器にα2アドレナリン受容体がupregulateする。
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DRGにおけるクロストーク ←→DRG ---神経損傷後のDRGに血管周囲の交感神経線維が進入する。
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1727年 | François Pourfour du Petit(フランシス・プルフール・ドウ・プチ P 1664/6/24〜1741/6/18, フランスの外科医、眼科医、解剖学者)がイヌの肋間神経を頸部で(実は頸部交感神経らしい)を切断すると縮瞳が生じることを観察していた。この症状はなぜか、頸部交感神経刺激症状として散瞳・眼球突出・眼瞼後退などが起こることを示した。Pourfour du Petit syndromeは、逆ホルネル症候群(the opposite of Horner syndrome)とも呼ばれる。 |
1838年 | Edward Selleck Hare(1812〜1838, イギリスの内科医)が頸椎の腫瘍でホルネル症候群様の症状が出るという記載をした。 参考1 |
1851年 | Claude Bernard(P 1813〜1878, フランスの生理学者、Magendieの弟子、1865年に「実験医学研究序説」を出版)がウサギの頸部交感神経を切断すると、耳が温かくなり、血管網が拡張するのを、1851〜1853年の生物学会で詳細な報告を行った。 |
1869年 | Johann Friedrich Horner(P 1831〜1886、チューリッヒの眼科医)が、40歳女性の症例から報告した。病巣は明らかにされていないが、それまで知られていた交感神経の機能から、交感神経障害によると推理した(Klin Monatsbl Augenheilk)。 ⇔英語圏では《ホルネル症候群》、フランスやイタリアでは《クロード・ベルナール・ホルネル症候群》と呼ばれている。 |
ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論) Polyvagal theory 参考1/2
3つの系統発生応答システム Three phylogetic response systems 系統発生的に順序付けられた階層モデル Phylogenetically ordered hierarchical model 階層的反応モデル
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自律神経症状 |
Pain Relief |