上小脳脚 superior peduncle、前小脳脚 pedunculus cerebellaris rostralis =結合腕 brachium conjunctivum
- 上小脳脚は中脳を結合する束状の神経線維
- 大半は歯状核から起始する遠心性線維からなるが、前脊髄小脳路から小脳前葉へと繋がる求心性線維の一部が、上小脳脚を経由している。
- 上小脳脚は、各半球の白質の上部と内側から出現し、小脳の上部の覆いの下に配置されている。
- 深部小脳核からの出力線維の大部分は上小脳脚を通る。
- 主要な遠心路は、小脳半球から赤核まで伸びる小脳赤核路、および小脳半球から対側視床外側腹側核/前腹側核まで伸びる小脳視床路、延髄などと連絡する経路で構成されている。
- 「歯状核 → 赤核 → 視床 → 前運動皮質」と「小脳 → 視床 → 前運動皮質」の2経路が、上小脳脚を通る主なルートであり、運動の立案に重要な役割を果たす。
- 求心性路の中で最も顕著なのは腹側脊髄小脳路 他の求心性路は青斑核からの三叉神経視床線維、蓋小脳線維、およびノルアドレナリン作動性線維である。
- 上小脳脚の周辺を取り囲む左右一対の細胞群が腕傍核である。
上小脳交叉 decussation of superior cerebellar peduncle、Wernekinck decussation
- 中脳被蓋では、左右の上小脳脚が交叉して、正中部に大きな上小脳脚交叉を形成している。
- 歯状核赤核視床路(歯状核から上小脳脚を通過し上小脳脚交叉で交叉し、対側の赤核や視床に向かう)が中脳や間脳にむかう。
- もともとWernekinckの馬蹄形の交連(horseshoe-shaped commissure of Wernekinck)として知られていた。
- Friedrich Christian Wernekink(1798年〜1835年 ドイツの解剖学者)の後継者であるJohann Bernhard Wilbrand (1779年〜1846年)の1840年の本で、この名前とイラストが最初に使用された。肉眼的解剖を使用して、交連は歯状核と対側の下オリーブ核を接続していると結論付けた。
- Benedikt Stilling(1810年〜1879年)が1846年に、ヒトの脳幹を通る連続切片の顕微鏡検査を使用して、結合腕を通過する全過程、交叉した後に赤核まで至ることを示した。Stillingの研究から、WernekinckとWilbrandがcentral tegmental tractを交連に含めていて、その上行枝を特定できなかったことが明らかになった。
- 上小脳脚交叉より上位の病変は対側の小脳徴候を引き起こし、下位の病変は同側の小脳徴候を引き起こすため、解剖学的ランドマークとして重要
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- 上小脳脚の萎縮を示す疾患は進行性核上性麻痺、マチャド・ジョセフ病、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などが知られている。多系統萎縮症は上小脳脚の萎縮を示さないのが通常であるため、進行性核上性麻痺と多系統萎縮症の鑑別でしばしば利用される所見になる。
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中小脳脚 middle peduncle、pedunculus cerebellaris medius =橋腕 Brachium pontis
- 小脳と橋を結合する束状の神経線維で、主に小脳に入る神経束の束からなり、橋核からの橋小脳路を含んでいる。
- 最大の小脳脚であり、「大脳皮質 → 橋 → 小脳」を結ぶ壮大な経路の一部を成す。全て橋核に起始する遠心性線維で構成される。この経路は大脳新皮質の感覚・運動野から下行する。
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下小脳脚 superior peduncle =索状体
- 小脳と延髄を結合する束状の神経線維で、主に小脳に入る神経の束で、後脊髄小脳路・オリ-ブ小脳路・前庭小脳路などからなる。
- 様々な種類の出入力線維を含む。平衡や姿勢の保持など、運動前庭機能を伴う固有感覚入力の統合に、主に関与する。全身からの固有情報は後脊髄小脳路を通じて下小脳脚に伝達され、旧小脳にシナプスを形成する。前庭の情報は古小脳に至る。下オリーブ核から起始する登上線維も下小脳脚を通り、プルキンエ細胞のデンドライトにシナプス結合し、また、プルキンエ細胞からの情報を、脳幹背側に位置する前庭神経核に送る役割を持つ。
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