51)Brunnstrom法による治療の考え方と各回復段階における治療手技

   :脳p80〜、運p19〜、片p74〜、講義プリント

治療の考え方は、随意運動のない時期には連合運動など反射的な運動を利用してとにかく運動をおこさせる。
 そして共同運動が確立してきたら種々の方法で共同運動を抑制し、
 個々の動作の分離、独立を可能なように訓練を行うというものである。

・上肢の治療手技は脳卒中最前線p166

 

52)Barthel Index:日p16、リハビリテーションにおける評価p45

10項目
 @食事、
 A車椅子・ベッド間の移乗、
 B整容、
 Cトイレ動作、
 D入浴、
 E歩行・車椅子の推進、
 F階段昇降、
 G更衣、
 H便コントロール、
 I尿コントロール)
からなる。

介助と自立の基準(independent,with help,dependent)があり
それぞれ得点が配されている(基準にあわないときは0点)。
最高は100点、最低は0点。

60点以上:介助が少ない
40点以下:かなりの介助を要する

20点以下:全介助

・BI=100は,病棟内自立であり,一人で社会生活を営めることを意味しない。

点数評価しやすいが、患者の経過を見るには不十分

・いわゆる「できるADL」を評価するものである。

 

53)更衣動作・入浴動作

1)シャツ・ズボンの着脱:脳p195-

・前開き型上着:上着を膝上に広げて患手を入れる。
袖を通して肩にかけ、背中に回して健側の肩まで羽織れたら健手を通す。
脱ぐときは健手から脱ぎ、着るときの逆の順序で行う。

・かぶり型上着:膝上に広げておき、患手→健手の順に袖を通し、最後に首を入れる。
このとき裾が患側の肩に引っかかりやすい。
裾を下ろして身づくろいを して完成である。
脱ぐときは首を脱いで健手→患手の順に脱ぐ。 

<参考>

「片麻痺の更衣」:「ADLとその周辺p66-」日p162

患側から着て健側から脱ぐ
 更衣動作の練習を行うには座位バランスが良好なことが必要。
 開閉方法はベルクロかジッパーが望ましい。

ズボンの着脱:患側下肢を健側下肢の上に交差して組ませ、患側下肢からズボンを通す
 ズボンの着脱には立位バランスが必要だが背臥位でも可能。

2)浴槽の出入り:浴槽には補助椅子を設置しておく。
 まず椅子に腰掛け健脚を入れる。
 このとき健手で浴槽の縁や手すりにつかまると入れやすい。
 次いで患脚を入れる。
 自力で入れられないときは介助するが、後方へ倒れないよう注意が必要である。
 脚が入ったら臀部を前方に滑らせて浴槽内に立ち、手すりなどにつかまりながら静かに腰を下ろす。
 立ち上がりが困難な場合には、あらかじめ浴槽内に低い台などを置いておくと良い。
 出る順序も同様に健脚から出した方が楽である。
   (なお浴槽の出入りについては浴槽のタイプが自立を左右する。
   片麻痺者に最適な浴槽は半埋め込み型である。
   埋め込み型は平面での立ち座りができないと自立は困難である。
   据え置き型は最も自立しにくいタイプであり、
   介助も大変である。
   洋バスは入りやすいが出るときに大変で介助量が大となる。)

  (脳p197-)

<参考>

「片麻痺の入浴」:日p166「ADLとその周辺p69-」

1)浴槽までの移動 
2)浴槽の出入り動作 
3)身体を洗ったり拭く動作の3つに分けられる。
浴槽への出入りでの浴槽壁をまたぐのが最も難しい。
浴槽外あるいは浴槽内に簡単な木製の椅子をおいて腰掛けながら移動すると良い。
補助椅子の高さは浴槽壁と同じ高さが最も良い。

片麻痺の入浴は手すりと椅子をつかって腱側から入る
(椅子に腰掛けて健脚→患脚→臀部を前方に滑らせ浴槽内に立ち手すりにつかまりながら腰を降ろす) 
出るときも健脚→患脚の順に行う

片麻痺者に最適な浴槽は、半埋め込み型浴槽である。

・入浴用プラスチックブレースの利用、手すりの設置、滑りにくいタイルの使用、 滑り止めテープの貼付などの工夫。

・ループ付きタオル、長柄ブラシ、吸盤付きブラシなどの使用。(日p166)

 

54)車椅子の駆動・操作 移乗を含む(床上、ベッド)

1)駆動・操作:健側の上肢でハンドリムを操作し、下肢を内後方に蹴るようにして駆動する。

2)車椅子と床上の移乗:脳p128、安p72〜(姿p158)

3)車椅子とベッドの移乗:移乗の途中の回転動作は患側回り
 (右片麻痺では時計回り、左片麻痺では反時計回り)を原則とする。
 従って移乗しようとする目的物が健側にくるように工夫する

 これにより体幹回転角度が減少するし、健側上肢による体幹支持が安定して行える。
 介助する場合には患側の膝や下腿が前方に出てくるのを抑制すると同時に、
 患者の両側腰部に両手をあてがい体幹骨 盤の回転や移動に対して介助を与えたり抵抗を加える。
 特に患側骨盤が後退しやすく、歩行パターンの諸悪の根元にもなるのでこれを重点的にコントロールする。ADLp157

<参考> 

「片麻痺の車椅子・ベッドへの移乗動作」:「日P156参」「Ap60-」    

@移乗の途中の回転動作は患側回り
 
(右片麻痺では時計回り、左片麻痺では反時計回り)。
 腱側下肢を軸に(1/4+α回転)して移乗する。

 移乗する目的物が腱側にくるようにする。

A車椅子は健側から近づける。

B健側にベッドがくるように車椅子を近づける。

C移乗動作の際は必ずブレーキをかける(日P157)

<参考>・片麻痺の車椅子からマットへの移乗訓練当初は、
 車椅子→マットではなく、途中で一度台に腰掛けさせてから車椅子→台→マットと進める。

「片麻痺の車椅子動作」:「ADLとその周辺p64-」日p158

歩行することのできない片麻痺患者では、
 健側の上下肢で車椅子を駆動することが現実的な移動方法
である。
 車椅子は両上肢が有効に機能していれば駆動は容易であるが、
 片手しか機能していない場合には健側下肢で舵を取りながら床を蹴り、
 かつ片手で車椅子を駆動する

 この場合,敷居などの数センチの段差でも力不足で乗り越え困難なことが多く
 ,スローブ化するなどの対策が必要である

車椅子はuniversalのもので十分。片手・片足での操作は難しいものではない。

  車椅子の片脚ドライブは平地に限る。

 ワンアームドライブ型は何らかの理由で健側下肢が使えないときのみに適応になるが
 そのためはワンアームドライブを行うだけの健側上肢の能力と、
 運転空間の認知、判断能力などを検討してから処方する。(日p158)

・患側レバー式ブレーキを延長する事も有用。(ワンアームドライブは非機能的である)

 

55)応用歩行:「p130」姿p172、p40

1)階段昇降:昇るときはまず一段ごとに健脚を上げ、次いでそこに患脚を上げそろえていく。
 降りるときは一段ごとに患脚を降ろしそこに健脚を降ろしそろえていく。
 手すりがある場合は使用し、握った手を脚の動きに先行させていく。 
 また杖を使用するときは一段ごとに脚の動きより先行させていく。

・T字杖による階段昇降:      姿勢と動作p172、講義プリント

 前昇り:{健杖患サイクル},杖健患サイクル

 前降り:杖患健サイクル

・階段昇降は昇るとき健側から、降りるとき患側からが原則

2)方向転換:姿勢を整えて患脚に体重を移動させ支持性が充分であることを確認する。
 次いで患脚を軸にして杖および患脚を少しずつ前方に運び任意の位置まで回転する。
 
後方に回転することは転倒の危険性が高いので避けた方がよい。

・患脚を軸にして患側回り右片麻痺は時計回り、左片麻痺は反時計回り)?

・健側を軸にして健側回り?

3)障害物の乗り越え:対象物にできるだけ近づいて患脚に体重を移動する。
 患脚で充分支持し対象物に健脚を乗せ、次いで患脚を乗せる。
 次に患脚を降ろし最後に健脚を降ろす方法が最も安定している。
 
可能であれば対象物をいっぺんに越えて、次に患脚を越える方法もある。
 杖を使用している場合は常に杖を先行させるようにする。

4)溝越え:一般的なパターンは杖歩行と同様に、杖→患脚→健脚の順で溝を越える。
 
しかし患者によっては杖→健脚→患脚の順に越える方が安定している場合がある。
 どちらのパターンで行うかは安全を確認してみて、患者自身の行いやすい方法を選ぶ。

5)坂道:歩行時と同様のパターンであるが、昇るときには患脚を降り出すとき引っかかりやすいので、
 少し膝を高く上げて振り出すように注意する。
 下るときには逆に振り出しが容易ではあるが重心の前方移動も自然に大きくなってしまうために、
 患脚・健脚の降り出す距離を小さくすると安全性が高い。

 道路はかまぼこ型をしていることが多いので斜めのところを歩く練習も必要である。
また、杖を使っている場合は排水溝の溝などに注意を向け杖を置く場所に配慮できるかどうかも重要。